革命の夜は二度来ない

白藤結

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二章(18)

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 あの二人は何者だろう?

 兄妹だと思われる青年と少女と出会った一週間後。また非番であったエリクはそんなことを思いながら、ぶらぶらと街を歩く。

 アデラと呼ばれていた少女と、彼女の兄だと思われる青年。二人は反革命派のファルシェーヌ元侯爵の馬車に乗ってどこかへ向かった。おそらくファルシェーヌ元侯爵の屋敷だと思われるが、確信はない。大きな屋敷の多い地区は人通りが少なく、さすがに尾行したら気づかれるため追いかけられなかったのだ。
 そのせいか二人に関することがずっと胸に引っかかっていて。

(とりあえず、反革命派に関わりがあることは確実だよな)

 屋台で食べ歩きできる串を買いながら、エリクはそんなことを思う。
 反革命派の馬車に乗り、どこかへ向かったのだ。関わりがないなんてありえない。

 それに彼ら二人を迎えに来たのはファルシェーヌ元侯爵だ。この国に残っている反革命派の中でも筆頭と言われている人物である。となると反革命派の中でもかなり重要な地位にいる、のではないだろうか?

 エリクは串についた肉にかぶりつく。濃く、とろみのある、独特なタレの味が口の中に広がった。

(あの女の子は俺と同じくらいだし、男のほうも二十歳くらいで、革命が起こったときは子どもだったはずなのに。なんで反革命派と関わろうとするんだ?)

 革命は正しいことで、それに反対するのは悪いこと。つまり反革命派は悪なのである。そうだとわかっているはずなのに。

 もやもやとしたものを抱えながら、エリクは肉をすべて頬張ると近くにあったゴミ箱に捨てる。こんなふうに簡単に気持ちや悩みを捨てたりできないから、いつまで経っても子どもだって言われるのだろう。
 そう思い、つい顔を顰める。

 今朝のことだった。珍しく父と朝食の時間が重なり、屋敷の食堂で二人きりで食べることになった。
 父との仲は、正直よくない。周囲から「元貴族」と言われるたび、エリクは荒れた。悪口を言った人に掴みかかることだってあったし、もしそうでなくても屋敷に戻ると物に当たったりした。

 そんなエリクに、父は子どもだな、と言うのだ。早く大人になれ、とも。

 それが正しい処世術だとはわかっている。周囲との無用な軋轢は父のように政治に携わる者には邪魔だし、無視して地道に積み上げていけばいつかはきちんと認めてもらえるかもしれない。
 けれどエリクはなにも悪いことはしていないのだ。それなのにかつては貴族だった家の出身だからと悪く言われる。そんな理不尽には堪えられない。

 それに父の指摘は自分が悪いと突きつけられているようで、無性に苛立つのだ。そのため反発してしまい、いつのころからか会話もしなくなった。
 そんな父と二人きりの朝食。言われることは予想できていた通りだった。

『聞いているぞ。仕事中もほかのことを気にかけているそうだな。もっと大人になれ』
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