聖なる夜に、愛を___

美鳥羽

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6、本音

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「__で、今、こんな感じ。一気に話しちゃったけど、………」

「大丈夫だよ。………でも、本当に酷い話だね。私がその場にいたら、助けられたかもしれないのになー………」

河合さんが、視線を落として言った。

「でも、それがあってここに来て、やっと友達が出来た………と言っても、河合さんだけなんだけどね………。」

俺がそう言ったら、河合さんはこっちを見て嬉しそうに笑った。でもその顔は、一瞬で暗くなった。

「でも、そんなに沢山嫌な思いして、川上くん泣かなかったの………?」

俺は、泣かないんじゃない………

「俺は、泣いたら負けだと思うから、ずっと我慢して過ごした。」

「体に悪いよ……。」

「絶対泣かないって、決めたんだ………!」

泣くもんか……。すると何故か、河合さんが立ち上がった。

「何のために、そんな意地張ってるの⁉︎本当は、ずっと泣きたかったんじゃないの⁉︎」

や、めろ………やめてくれ………!

「悲しいんでしょ!苦しいんでしょ!言ってよ!」

そんなこと言うな………言ったら___

「川上くんの本音を、聞かせてよ‼︎‼︎」

__俺が、崩れてしまうから____
耐えろ、耐えろよ、俺!
そう念じたけど、もう遅い…………。両目の端に涙が溜まって、頬を伝って、落ちていく………。

「………本当は……本当は____っ!」

涙はどんどん溢れる。

「ずっと………ずっと、泣きたかった………‼︎」

絶えることなく、頬を伝っていく。
河合さんが、いつの間にか隣に腰掛けて、俺の背中を優しく叩いてくれている。

「…………悲しかったんだ………。俺は……何もしてない…のに、みんなが……みんなが……寄ってたかって……ボロクソに…言ってきて………ずっと、苦しかった………!」

「そうだよね、もう、我慢しなくていいよ………」

溢れる涙はしばらく止まらなかった。




「___少し、スッキリした……?」

「ああ、だいぶ………。ごめんな、こんなに無様なことしちゃって……。」

俺、情けないな…………。

「ううん。私こそ、怒鳴ったりしてごめんね!初めて怒鳴った………。」

「俺も、初めて人前で泣いた…………。」

お互い、初めて見せた姿、ってことか。ちょっと、特別な感じだな………。

「前髪、すごい乱れてるけど、大丈夫?」

「河合さんしかいないし、いいかなって。」

「そっか………。その色、サファイアみたいで、すごく綺麗だね………。」

ドキッ………

え、何?今の……。「ドキッ」って何⁉︎

「ね、ねえ、せ、聖夜くん、って呼んでもいい……かな……?」

名前呼び………って、俺は何でこんなにドキドキしてるんだ⁉︎

「あ、ああ、いいよ、えっと__」

……河合さんの下の名前は___

「__ゆめ……。」

「‼︎……あ、ありがとう!聖夜くん……!」

なんか、顔が熱い……。

「あ、じゃあ、そろそろ帰るね……!」

俺は、玄関で、ゆめを見送った。

「俺……」

「ん?何?」

「俺、オッドアイ見られたのがゆめで、本当によかった。」




___‼︎‼︎聖夜くんが笑った!笑ったというより微笑んだ感じだったけど、初めて見た‼︎
っていうか聖夜くん、すごい美形!顔のパーツが全部整ってる!超~~カッコいい………!普通にカッコいい男の子は沢山いるけど、聖夜くんと並ぶ人はいないな、絶対。それに、声の低さもちょうどいい。この声でゆめ、って言われると、なんだか嬉しい。

「………ゆめ?どうかした?」

「あ、う、ううん!何でもない!じゃあ、また明日ね~!」




__俺は、遠ざかるゆめの背を、見えなくなるまで見ていた。

………ゆめ___やっぱ、超可愛いな___。
って、ん⁉︎俺はさっきからどうしたんだ⁉︎
……もしかして、俺はゆめのことが……好き……なのか___?
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