124 / 363
第3部 笑顔の裏に隠された真実
5-9例え限界を超えても私には立ち止まれない理由がある
しおりを挟む
『こんなはずじゃなかった……』
私は走りながら、何度も何度も、この言葉を心の中でつぶやいた。
もっと、上手くやれたのでは――?
慎重に走っていれば、こうはならなかったのでは……?
事前にペース配分を、もっと考えておくべきだったのでは――?
無理をしないで、ハーフゴールでよかったのでは……?
後悔の念が、浮かんでは消えて行く。
いまさら悔やんでも、どうにもならないのは、分かっている。それでも、次々と自分の甘さを責める想いが、浮かび続けていた。
走れば何とかなると思ってた――。気合でどうにでもなると信じてた……。
でも、現実は、そんなに都合よく行くはずもなかった。今までは、何事も運がよかっただけだ。
本当に考えが甘かった――。全ておいて甘すぎた……。
一歩、前に進むたびに、足に激痛が走り、私に現実の厳しさを直視させる。この痛みは、私の甘い考えへの、罰なのかもしれない。
平気なフリをして走っていたのも、束の間だった。四十一キロ地点を少し過ぎたあたりで、普通の痛みが『激痛』に変わったからだ。例えようもない痛みが、脳にガンガン響いて、全身から嫌な汗が噴き出してくる。
もう、平気なフリをする余裕もなく、走ることもできない。足を引きずりながら、ゆっくり歩くのが、やっとだった。観客たちからも『無理しないで』と、次々に心配の声が上がる。いよいよ、本格的にマズイ状況になって来た。
それでも、私は歩みを止めなかった。止めないのではなく、止められなかったのだ。四十キロ地点でリタイアしなかった時点で、私は完全に退路を断っていた。だから、どうあがいても、ゴールする以外に選択肢はなかった。
歩いても歩いても、前に進まない気がする。先ほどまでとは違い、ゴールがはるか彼方に感じた。
一歩一歩が、あまりに重すぎる。まるで、一歩進むごとに、命を削っているような感覚。それ程までに、激しく辛く、まるで地獄を歩いているようだった。
激痛と疲労もあるけど、何よりも、心が折れかけていた。これでは、気合も何も、あったもんじゃない。心が折れそうになるのが、こんなに辛いとは思わなかった。心の強さには自信があったのに、すでに決壊寸前のところまで来ていた。
もう、立ち止まってもいいんじゃないの?
ノー……。
もう、あきらめて楽になろうよ?
ノー……。
もう、十分なんじゃないの?
ノー……。
一歩ごとに意識がゆらぎ、諦めを促す心の声が聞こえてきた。ちょっとでも気を許せば、すぐに同調してしまいそうになる。
これほど重い一歩は、これほど長い道のりは、私の人生で初めてだった。疲労・足の激痛・心の声の全てが、一歩一歩に、重く圧し掛かってくる。
私は諦めの悪さには自信があった。でも、自分の心が、これ程もろいものだと、今初めて痛感する。
たぶん、この激しい辛さは、体じゃなくて、心の痛みなんだと思う。諦めて楽になりたい気持ちと、諦めたくない気持ちが、ずっとぶつかり合っていた。
なんで、そこまで頑張らなきゃいけないの?
わからない――。
こんなに無理して走って、何になるの?
わからない――。
名誉のため? 意地のため?
わからない――。
何のために前に進んでいるのか、目的が分からなくなってきた。もう、考える力さえ残っていないはずなのに、頭の中で色んな想いが交錯する。考えるのが苦手なのに、何でこんな大変な時に限って……。
でも、答は何も見つからない。それでも、私は歩き続けた。ゴールすれば、何か答が見つかるかもしれないから――。
足も心もきしませながら、辛うじて歩みを進めていると、
「大丈夫ですか? リタイアしますか? 救急コンテナが、すぐ後ろで待機していますので。もしダメなら、すぐに声を掛けてください」
すぐ隣まで来た、運営スタッフの人が、大きな声で私に呼び掛けてきた。
私は『大丈夫です』と答えようとしたが、声が出なかった。もう、声を出す力すら残っていない。
私は左手を軽く挙げて、無事であることを伝えた。だが、スタッフの人は微妙な表情をしている。おそらく、全然、無事には見えなかったのだろう。
でも、気にせず私は歩き続けた。今私にできるのは、前に進むことだけだ。例え、どんなに果てしなく遠くても、一歩踏み出すたびに、確実にゴールは近づいている。歩き続ける限り、いつかはたどり着くはずだ。
前へ……前へ………。
私は心の中で唱え続けた。全神経を、前へ進むことだけに集中する。
前へ……前へ……前へ……。
私は前に進むためだけに、生きているのかもしれない。
前へ……前へ……前へ……前へ……。
前に進むためなら、命を懸けてもいい。それが私の生き方なのだから。
ふと、音が消えていることに気が付いた。周りから聞こえていた歓声や雑音が、全く聞こえない。自分の足音さえ聞こえなくなった。
疲れすぎて、耳もダメになっちゃったのかな?
でも、地面を踏みしめる感触は、しっかり伝わって来る。しかし、気を失いそうなほどの足の痛みが、なぜか消えていた。
あぁ、まだ足は生きてるみたい。なら、たぶん大丈夫――。
私は無音の中で、足を動かし続ける。倒れそうになる前に、逆の足を前に出す。ただ、それだけのこと。なんだ、簡単じゃない……。
だが、今度は、急に視界が狭まった。先に続く道しか見えない。沢山いたはずの観客が消え、私一人になった。
周りがよく見えないけど、まぁ、いいか。進む道さえあれば、それでいい――。
黙々と歩みを進めていると、フッと色が消え、視界がモノクロになる。さらに、だんだん光がなくなっていく。延々と続く暗いトンネルを、さまよっているような感覚だ。ついには、自分の体も見えなくなる。
いよいよ、ヤバイかも。私死んじゃうのかな……?
でも、不思議と心は穏やかだった。今のこの状況にも何の疑問も持たずに、ただ、黙々と足を動かし続けていた。体は見えないけど、地面を踏みしめる感覚だけは残っている。
後ろのほうから、いくつもの光の玉が、私をスーッと追い抜き、前に進んで行った。追いかけようとするが、私の体だけ、スロー再生のように異常に遅い。いくら追い掛けても、全く追い付けなかった。
手を伸ばそうとするが、手が動かない。声をかけようとするが、声も出ない。次々と、光の玉が前に進んで行き、暗闇の先に、吸い込まれるように消えて行った。
この道って、どこに続いているんだろ? 天国だといいなぁ。って、私なんでこんな所にいるんだっけ――?
私は停止していた思考を、再び動かし始める。すると、少しずつ、色んなことを思い出して来た。
教室で、友達たちと笑いながら、世間話をしていたこと。陸上部の仲間たちと、一緒にグラウンドを走っているところ。学校の帰りに、友達たちとコンビニに寄って、アイスを食べていたこと。
休日に、友達たちとショッピングに行って、わいわい騒いでいるところ。休みの前日の深夜に、ベッドの上に寝転び、お菓子を食べながら漫画を読んでいたこと。
次々と、楽しい記憶ばかりが、よみがえって来る。
これって、走馬灯ってやつかな? 結構、楽しい人生だったよね。もう、思い残すことはなにもな……。違う――違うよ。私、もっと別に、やりたいことが有ったはず……。
記憶が高速で再生される。親と喧嘩して、家を飛び出した時のこと。不安と期待が入り混じる気持ちで、時空航行船に乗ったこと。初めてこの町に降り立った時に、超感動したこと。
受けた会社の全てに落ちて、絶望のふちに立たされたこと。通りすがりのリリーシャさんと、運命の出会いをしたこと。〈ホワイト・ウイング〉に入社して、超浮かれていたこと。
あぁ、そうだ。辛いことや大変なことも、一杯あった。けれど、いつも沢山の人たちが、手を差し伸べてくれて、私を助けてくれたんだ――。
今まで出会った、全ての人たちの顔が思い浮かび、とても温かくて優しい光が、私の中に流れ込んで来る。
私は立派なシルフィードになりたくて、この町に来た。最初はそんな、個人的な理由だけだった。でも、今は違う……。
シルフィードが、この町の人にとって、特別な存在だと知った。それに、私を応援してくれる、優しい人たちもいる。だから、その想いに答えたい。私の夢はもう、私一人だけのものでは無いのだから――。
そうか……そうなんだ。私が歩みを止められない理由。ただの負けず嫌いとか根性とか、そんなものじゃない。
ここで立ち止まったら、夢を諦めるような気がするから。今までに受けた、沢山の優しさを、無下にしてしまう気がするから。だから、私は止まれないんだ。夢を果たして、みんなに恩返しをするまでは――。
心の中のモヤが一気に晴れる。その刹那、音・視界・色の全てが元に戻った。と同時に、体にずっしりとした重みと、足の激痛も戻って来た。
観客たちの大きな声と、急に戻った明るい光。加えて、疲労で鉛のように重い体と、頭にギンギンと響く足の激痛が、まとまって押し寄せた。私は受け止めきれずに、フラフラとよろける。
周囲から、悲鳴にも似た声があがった。だが、私は辛うじてこらえて、持ち直す。すると、安堵の声と応援をする声が、一気に広がった。
もう、何も迷いはない。心が折れる心配もない。なぜなら、今の私は、沢山の人たちに支えられているから。ずっと一人だと思ってたけど、こちらの世界に来てから、一人だったことなんて、一度もなかったんだ。
応援してくれる人がいる限り、私は絶対に立ち止まらない。はってでも、前に進み続けてみせる。
私は再び命を燃やしながら、ゆっくりと、でも確実に、一歩ずつ前に進み続けるのだった……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『命を燃やして進む人生で最も長い10メートル』
弁解無用。人生は一回こっきりの真剣勝負だ。
私は走りながら、何度も何度も、この言葉を心の中でつぶやいた。
もっと、上手くやれたのでは――?
慎重に走っていれば、こうはならなかったのでは……?
事前にペース配分を、もっと考えておくべきだったのでは――?
無理をしないで、ハーフゴールでよかったのでは……?
後悔の念が、浮かんでは消えて行く。
いまさら悔やんでも、どうにもならないのは、分かっている。それでも、次々と自分の甘さを責める想いが、浮かび続けていた。
走れば何とかなると思ってた――。気合でどうにでもなると信じてた……。
でも、現実は、そんなに都合よく行くはずもなかった。今までは、何事も運がよかっただけだ。
本当に考えが甘かった――。全ておいて甘すぎた……。
一歩、前に進むたびに、足に激痛が走り、私に現実の厳しさを直視させる。この痛みは、私の甘い考えへの、罰なのかもしれない。
平気なフリをして走っていたのも、束の間だった。四十一キロ地点を少し過ぎたあたりで、普通の痛みが『激痛』に変わったからだ。例えようもない痛みが、脳にガンガン響いて、全身から嫌な汗が噴き出してくる。
もう、平気なフリをする余裕もなく、走ることもできない。足を引きずりながら、ゆっくり歩くのが、やっとだった。観客たちからも『無理しないで』と、次々に心配の声が上がる。いよいよ、本格的にマズイ状況になって来た。
それでも、私は歩みを止めなかった。止めないのではなく、止められなかったのだ。四十キロ地点でリタイアしなかった時点で、私は完全に退路を断っていた。だから、どうあがいても、ゴールする以外に選択肢はなかった。
歩いても歩いても、前に進まない気がする。先ほどまでとは違い、ゴールがはるか彼方に感じた。
一歩一歩が、あまりに重すぎる。まるで、一歩進むごとに、命を削っているような感覚。それ程までに、激しく辛く、まるで地獄を歩いているようだった。
激痛と疲労もあるけど、何よりも、心が折れかけていた。これでは、気合も何も、あったもんじゃない。心が折れそうになるのが、こんなに辛いとは思わなかった。心の強さには自信があったのに、すでに決壊寸前のところまで来ていた。
もう、立ち止まってもいいんじゃないの?
ノー……。
もう、あきらめて楽になろうよ?
ノー……。
もう、十分なんじゃないの?
ノー……。
一歩ごとに意識がゆらぎ、諦めを促す心の声が聞こえてきた。ちょっとでも気を許せば、すぐに同調してしまいそうになる。
これほど重い一歩は、これほど長い道のりは、私の人生で初めてだった。疲労・足の激痛・心の声の全てが、一歩一歩に、重く圧し掛かってくる。
私は諦めの悪さには自信があった。でも、自分の心が、これ程もろいものだと、今初めて痛感する。
たぶん、この激しい辛さは、体じゃなくて、心の痛みなんだと思う。諦めて楽になりたい気持ちと、諦めたくない気持ちが、ずっとぶつかり合っていた。
なんで、そこまで頑張らなきゃいけないの?
わからない――。
こんなに無理して走って、何になるの?
わからない――。
名誉のため? 意地のため?
わからない――。
何のために前に進んでいるのか、目的が分からなくなってきた。もう、考える力さえ残っていないはずなのに、頭の中で色んな想いが交錯する。考えるのが苦手なのに、何でこんな大変な時に限って……。
でも、答は何も見つからない。それでも、私は歩き続けた。ゴールすれば、何か答が見つかるかもしれないから――。
足も心もきしませながら、辛うじて歩みを進めていると、
「大丈夫ですか? リタイアしますか? 救急コンテナが、すぐ後ろで待機していますので。もしダメなら、すぐに声を掛けてください」
すぐ隣まで来た、運営スタッフの人が、大きな声で私に呼び掛けてきた。
私は『大丈夫です』と答えようとしたが、声が出なかった。もう、声を出す力すら残っていない。
私は左手を軽く挙げて、無事であることを伝えた。だが、スタッフの人は微妙な表情をしている。おそらく、全然、無事には見えなかったのだろう。
でも、気にせず私は歩き続けた。今私にできるのは、前に進むことだけだ。例え、どんなに果てしなく遠くても、一歩踏み出すたびに、確実にゴールは近づいている。歩き続ける限り、いつかはたどり着くはずだ。
前へ……前へ………。
私は心の中で唱え続けた。全神経を、前へ進むことだけに集中する。
前へ……前へ……前へ……。
私は前に進むためだけに、生きているのかもしれない。
前へ……前へ……前へ……前へ……。
前に進むためなら、命を懸けてもいい。それが私の生き方なのだから。
ふと、音が消えていることに気が付いた。周りから聞こえていた歓声や雑音が、全く聞こえない。自分の足音さえ聞こえなくなった。
疲れすぎて、耳もダメになっちゃったのかな?
でも、地面を踏みしめる感触は、しっかり伝わって来る。しかし、気を失いそうなほどの足の痛みが、なぜか消えていた。
あぁ、まだ足は生きてるみたい。なら、たぶん大丈夫――。
私は無音の中で、足を動かし続ける。倒れそうになる前に、逆の足を前に出す。ただ、それだけのこと。なんだ、簡単じゃない……。
だが、今度は、急に視界が狭まった。先に続く道しか見えない。沢山いたはずの観客が消え、私一人になった。
周りがよく見えないけど、まぁ、いいか。進む道さえあれば、それでいい――。
黙々と歩みを進めていると、フッと色が消え、視界がモノクロになる。さらに、だんだん光がなくなっていく。延々と続く暗いトンネルを、さまよっているような感覚だ。ついには、自分の体も見えなくなる。
いよいよ、ヤバイかも。私死んじゃうのかな……?
でも、不思議と心は穏やかだった。今のこの状況にも何の疑問も持たずに、ただ、黙々と足を動かし続けていた。体は見えないけど、地面を踏みしめる感覚だけは残っている。
後ろのほうから、いくつもの光の玉が、私をスーッと追い抜き、前に進んで行った。追いかけようとするが、私の体だけ、スロー再生のように異常に遅い。いくら追い掛けても、全く追い付けなかった。
手を伸ばそうとするが、手が動かない。声をかけようとするが、声も出ない。次々と、光の玉が前に進んで行き、暗闇の先に、吸い込まれるように消えて行った。
この道って、どこに続いているんだろ? 天国だといいなぁ。って、私なんでこんな所にいるんだっけ――?
私は停止していた思考を、再び動かし始める。すると、少しずつ、色んなことを思い出して来た。
教室で、友達たちと笑いながら、世間話をしていたこと。陸上部の仲間たちと、一緒にグラウンドを走っているところ。学校の帰りに、友達たちとコンビニに寄って、アイスを食べていたこと。
休日に、友達たちとショッピングに行って、わいわい騒いでいるところ。休みの前日の深夜に、ベッドの上に寝転び、お菓子を食べながら漫画を読んでいたこと。
次々と、楽しい記憶ばかりが、よみがえって来る。
これって、走馬灯ってやつかな? 結構、楽しい人生だったよね。もう、思い残すことはなにもな……。違う――違うよ。私、もっと別に、やりたいことが有ったはず……。
記憶が高速で再生される。親と喧嘩して、家を飛び出した時のこと。不安と期待が入り混じる気持ちで、時空航行船に乗ったこと。初めてこの町に降り立った時に、超感動したこと。
受けた会社の全てに落ちて、絶望のふちに立たされたこと。通りすがりのリリーシャさんと、運命の出会いをしたこと。〈ホワイト・ウイング〉に入社して、超浮かれていたこと。
あぁ、そうだ。辛いことや大変なことも、一杯あった。けれど、いつも沢山の人たちが、手を差し伸べてくれて、私を助けてくれたんだ――。
今まで出会った、全ての人たちの顔が思い浮かび、とても温かくて優しい光が、私の中に流れ込んで来る。
私は立派なシルフィードになりたくて、この町に来た。最初はそんな、個人的な理由だけだった。でも、今は違う……。
シルフィードが、この町の人にとって、特別な存在だと知った。それに、私を応援してくれる、優しい人たちもいる。だから、その想いに答えたい。私の夢はもう、私一人だけのものでは無いのだから――。
そうか……そうなんだ。私が歩みを止められない理由。ただの負けず嫌いとか根性とか、そんなものじゃない。
ここで立ち止まったら、夢を諦めるような気がするから。今までに受けた、沢山の優しさを、無下にしてしまう気がするから。だから、私は止まれないんだ。夢を果たして、みんなに恩返しをするまでは――。
心の中のモヤが一気に晴れる。その刹那、音・視界・色の全てが元に戻った。と同時に、体にずっしりとした重みと、足の激痛も戻って来た。
観客たちの大きな声と、急に戻った明るい光。加えて、疲労で鉛のように重い体と、頭にギンギンと響く足の激痛が、まとまって押し寄せた。私は受け止めきれずに、フラフラとよろける。
周囲から、悲鳴にも似た声があがった。だが、私は辛うじてこらえて、持ち直す。すると、安堵の声と応援をする声が、一気に広がった。
もう、何も迷いはない。心が折れる心配もない。なぜなら、今の私は、沢山の人たちに支えられているから。ずっと一人だと思ってたけど、こちらの世界に来てから、一人だったことなんて、一度もなかったんだ。
応援してくれる人がいる限り、私は絶対に立ち止まらない。はってでも、前に進み続けてみせる。
私は再び命を燃やしながら、ゆっくりと、でも確実に、一歩ずつ前に進み続けるのだった……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『命を燃やして進む人生で最も長い10メートル』
弁解無用。人生は一回こっきりの真剣勝負だ。
0
あなたにおすすめの小説
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる