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第6部 飛び立つ勇気
3-2試験直前の焦燥感は何度経験しても変わらない……
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夜、静まり返った、自室の屋根裏部屋。ストーブを付けていないので、部屋は滅茶苦茶、寒かった。だが、そんなことは、全く気にならない。いや、気にする余裕すらなかったのだ。私は、鬼気迫る心境で、超ハイスピードで勉強を進めていた。
家に帰って来てから、食事もせずに、学習ファイルを開いて、黙々と勉強をしている。この追い詰められた、崖っぷちの感覚は、学生時代の定期試験の前日に、一夜漬けしてた時以来だ。
今回は、もちろん、一夜漬けではない。でも、明らかに勉強不足なのは、自分でも、十分すぎるほど分かっていた。まだ、うろ覚えで、曖昧な知識が多い。覚えることは出来ても、腑に落ちたり、常識レベルになるには、時間が必要だからだ。
そもそも、試験は、四月中旬だと思いこんでいた。しかも、四月だったとしても、ギリギリの状態だった。それが、急に十日後だなんて、あまりに無理すぎる。
リリーシャさんって、唐突に何かを言ってくることが有るんだよね。ただ、試験の日程や制度を、知らなかった私が悪い。
それに、優秀過ぎるリリーシャさんには、勉強が苦手な私の気持ちは、理解できないのだろう。シルフィード学校は、首席で卒業したらしいし。全てにおいて、レベルが違いすぎるので。
無理・無茶・無謀は、私の得意技。しかも、今までは、たいていのことは、根性で何とかしてきた。でも、試験には、気合も根性も全く通じない。だから、勉強は苦手なのだ。
ヤバイ……ヤバイ……。
目をひたすら動かしながら、次々とページをめくって行く。いつもよりも、学習スピードが速いが、気持ちも、どんどん回転数が上がって行った。
ヤバイ……ヤバイ……ヤバイ……。
いつもなら、簡単に分かっているはずの部分が、理解できず、なかなか頭に入って来ない。何で、こんな肝心な時に――。
ヤバイ……ヤバイ……ヤバイ……ヤバイ……。
だんだん疲れて、頭が回らなくなって来た。体が重い、全身が寒い、指が思うように動かない。でも、もう時間がないから、一分一秒たりとも、無駄にはできなかった。息をすることすら忘れ、学習ファイルの内容を、必死に頭に詰め込んで行く。
その時、マギコンのコール音が鳴った。一瞬、無視しようかとも思ったが、いったん手を止め、確認する。やっぱり、この時間は、ユメちゃんだ。
「どうしよう――全然、時間ないし。でも、行き詰ってるから、ちょっと、気分転換したほうがいいかな……?」
少し考えてから、大きく息を吐き出すと、私はELを立ち上げた。
『風ちゃん、こんばんはー。元気?』
『こんばんは、ユメちゃん。死にそうです――』
『ええぇぇ?! 風ちゃん、どうしちゃったの?』
うーむ、どうしたもんだろうか? って、打ち込んでから考えても、しょうがないんだけど。勉強のことなら、ユメちゃんに相談するのが、一番かも。勉強は、大好きって言ってたし。
『実は、試験勉強が、思うように進まなくて……』
『試験勉強なら、毎晩ちゃんと、やってるんでしょ?』
『そうなんだけど。急に、繰り上げ試験を受けることになって――』
確かに、一日も欠かさず、毎日、真面目にやって来た。でも、それは、一年後に向けての、普通の学習スピードだった。
『繰り上げ? 早く受けられるってこと?』
『うん。リリーシャさんに申請書を渡されて。二ヵ月、早くなったんだよね』
『へぇー、良かったじゃない! これで、早く一人前になれるね』
『まぁ、受かればね……(汗)』
そう、いくら推薦してもらって、繰り上げが認められても、単に早く試験を受けることが出来るだけ。合格しなければ、全く意味がないのだ。
『自信がないの?』
『うん、サッパリ――』
『自信家の風ちゃんにしては、珍しいね』
『だって、四月の中頃だと思ってたのに、来月の一日なんだもん。あと十日で、どうしろと……。無理、絶対に無理(涙)』
たった十日で、人の知力は、絶対に変わらない。そんな簡単に、勉強ができるようになったら、世の中、天才だらけだよ。
『大丈夫。落ち着いて、風ちゃん。まだ、十日もあるんだよ。できること、色々あるから』
『でも、たったの十日だよ?』
『まずは、そこを直そう。たった十日じゃなくて「十日もある」だよ。落ちつかないと、本当に、何も出来なくなっちゃうからね』
『うん――そうだね』
私は、大きく深呼吸すると、少しクールダウンする。
『今日は、帰って来てから、ずっと勉強してたの?』
『うん。帰って来てすぐに、学習ファイルを開いて、勉強してた』
『夕飯や休憩は、ちゃんととった?』
『いや、今日は、夕飯もまだ』
いつもなら、空腹が気になって、勉強どころじゃない。でも、今日は、胃がキュッと締め付けられるような感じで、食事する気も起きなかった。ここ数日、胃が鉛のように重くて、全く食欲がない。
『あぁ、それじゃダメだよ。完全に、逆効果だから』
『そうなの?』
『人の集中力は、二十五分が限界なの。だから二十五分やったら五分休憩。これが最も効率いいんだよ。休憩しないと、どんどん、効率が悪くなるから』
『へぇー、そうなんだ』
『いい物あるから、ちょっと、待っててね』
ほどなくすると、ユメちゃんから、何かのアプリが送られて来た。
『これって、何?』
『学習用タイマー。開始すると二十五分後にアラームが鳴って、休憩時間が五分開。また、時間になるとアラームが鳴って、二十五分間の繰り返しだよ』
『へぇー、こんなのあるんだ』
『休憩を入れたほうが、確実に効率あがるから。まずは、これ使ってみて』
『うん、やってみる』
流石はユメちゃん。勉強の仕方も、よく知っている。
『あと、試験って、全部で五教科だよね? 得意な順に、並べてみて』
『えーと「基礎知識」「地理学」「飛行法」「歴史」「マナ工学」かな』
『OK、ちょっと待っててね』
少し気が楽になったせいか、物凄くお腹が空いていることに、気が付いた。私は、買ってきたパンにかぶりつく。数分後、何かのファイルが、送られて来た。
『今、三十一日までの、学習スケジュールを送ったから。開いてみて』
『うん。って、おぉぉー! 短時間で、こんなに細かく』
そこには、各教科の時間割が書かれていた。最初の数日は、マナ工学一つだけ。あとは、苦手な教科を中心に組んであり、得意教科は、直前に軽く入っているだけだ。
『風ちゃん、全教科を、勉強しようとしてない?』
『うん。五教科、全部できないと、マズいでしょ?』
『得意な教科は、直前に、軽くチェックするだけで十分。苦手な教科だけにしぼれば、大丈夫だよ。得意教科は、今までの学習で、充分、点数とれると思うから』
『なるほど……確かにそうかも』
基礎知識は、一般常識や、普段の業務でやっている内容が多い。地理学は、主に〈グリュンノア〉の観光名所についてだ。これも、日々、飛行練習をしていれば、だいたい分かる。
『あと、全部、覚えようとしてない?』
『うん。全て覚えないと、試験、受からないと思って』
シルフィードの昇級試験は、非常に範囲が広い。技術・教養・礼儀作法・法律など、まんべんなく知識が必要になる。想像以上に、総合力が必要な仕事なんだよね。
『合格点を取るだけなら、全部、覚えなくても大丈夫。満点、狙ってる訳じゃ、ないんでしょ?』
『もちろん。そもそも私、満点なんて、一度も取ったことないし――』
『だったら、七割、覚える気持ちで、大丈夫だから』
『あー、なるほど。そういうことね』
そうだった。私は、満点を目指している訳じゃなかった。完璧主義のナギサちゃんは、普通に狙ってそうだけど……。
『教科は、しぼって学習。覚えるのは、七割ぐらい。これなら、十日で充分だよ』
『ふむふむ、確かに。ありがとう、ユメちゃん。なんか、行けそうな気がしてきたよ!』
ユメちゃんの作ってくれたスケジュールは、決して、無理な感じではない。むしろ、ゆとりさえ感じる。
『よかったー。落ち着いてさえいれば、大丈夫だよ、今まで、ずっと頑張って来たんだから。努力は、絶対に裏切らないもん』
『そうだね。私、頑張って、必ず昇級するよ』
『でも、頑張り過ぎは、ダメだよ。休憩も忘れずにね』
『うん。頑張り過ぎないように、頑張る!』
『あははっ』
試験日の繰り上げで、ちょっと、気負い過ぎてたみたい。私って、すぐにやる気が、空回っちゃうんだよね。ほどほどにやるように、いつも、心掛けてはいるんだけど。今の私に、一番、足りないのって、心の余裕なのかもね。
でも、ユメちゃんのお蔭で、物凄く気が楽になった。スケジュール表まで、作ってもらったし。この通りにやれば、大丈夫なはず。
あとは、過去の自分の努力を信じて、自分のペースで進んで行こう。いつだって、私は、自分自身を、強く信じて生きて来たんだから……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『ついに来た……私の運命が決まる昇級試験の当日』
人は星の下に生まれ、その運命に左右される
家に帰って来てから、食事もせずに、学習ファイルを開いて、黙々と勉強をしている。この追い詰められた、崖っぷちの感覚は、学生時代の定期試験の前日に、一夜漬けしてた時以来だ。
今回は、もちろん、一夜漬けではない。でも、明らかに勉強不足なのは、自分でも、十分すぎるほど分かっていた。まだ、うろ覚えで、曖昧な知識が多い。覚えることは出来ても、腑に落ちたり、常識レベルになるには、時間が必要だからだ。
そもそも、試験は、四月中旬だと思いこんでいた。しかも、四月だったとしても、ギリギリの状態だった。それが、急に十日後だなんて、あまりに無理すぎる。
リリーシャさんって、唐突に何かを言ってくることが有るんだよね。ただ、試験の日程や制度を、知らなかった私が悪い。
それに、優秀過ぎるリリーシャさんには、勉強が苦手な私の気持ちは、理解できないのだろう。シルフィード学校は、首席で卒業したらしいし。全てにおいて、レベルが違いすぎるので。
無理・無茶・無謀は、私の得意技。しかも、今までは、たいていのことは、根性で何とかしてきた。でも、試験には、気合も根性も全く通じない。だから、勉強は苦手なのだ。
ヤバイ……ヤバイ……。
目をひたすら動かしながら、次々とページをめくって行く。いつもよりも、学習スピードが速いが、気持ちも、どんどん回転数が上がって行った。
ヤバイ……ヤバイ……ヤバイ……。
いつもなら、簡単に分かっているはずの部分が、理解できず、なかなか頭に入って来ない。何で、こんな肝心な時に――。
ヤバイ……ヤバイ……ヤバイ……ヤバイ……。
だんだん疲れて、頭が回らなくなって来た。体が重い、全身が寒い、指が思うように動かない。でも、もう時間がないから、一分一秒たりとも、無駄にはできなかった。息をすることすら忘れ、学習ファイルの内容を、必死に頭に詰め込んで行く。
その時、マギコンのコール音が鳴った。一瞬、無視しようかとも思ったが、いったん手を止め、確認する。やっぱり、この時間は、ユメちゃんだ。
「どうしよう――全然、時間ないし。でも、行き詰ってるから、ちょっと、気分転換したほうがいいかな……?」
少し考えてから、大きく息を吐き出すと、私はELを立ち上げた。
『風ちゃん、こんばんはー。元気?』
『こんばんは、ユメちゃん。死にそうです――』
『ええぇぇ?! 風ちゃん、どうしちゃったの?』
うーむ、どうしたもんだろうか? って、打ち込んでから考えても、しょうがないんだけど。勉強のことなら、ユメちゃんに相談するのが、一番かも。勉強は、大好きって言ってたし。
『実は、試験勉強が、思うように進まなくて……』
『試験勉強なら、毎晩ちゃんと、やってるんでしょ?』
『そうなんだけど。急に、繰り上げ試験を受けることになって――』
確かに、一日も欠かさず、毎日、真面目にやって来た。でも、それは、一年後に向けての、普通の学習スピードだった。
『繰り上げ? 早く受けられるってこと?』
『うん。リリーシャさんに申請書を渡されて。二ヵ月、早くなったんだよね』
『へぇー、良かったじゃない! これで、早く一人前になれるね』
『まぁ、受かればね……(汗)』
そう、いくら推薦してもらって、繰り上げが認められても、単に早く試験を受けることが出来るだけ。合格しなければ、全く意味がないのだ。
『自信がないの?』
『うん、サッパリ――』
『自信家の風ちゃんにしては、珍しいね』
『だって、四月の中頃だと思ってたのに、来月の一日なんだもん。あと十日で、どうしろと……。無理、絶対に無理(涙)』
たった十日で、人の知力は、絶対に変わらない。そんな簡単に、勉強ができるようになったら、世の中、天才だらけだよ。
『大丈夫。落ち着いて、風ちゃん。まだ、十日もあるんだよ。できること、色々あるから』
『でも、たったの十日だよ?』
『まずは、そこを直そう。たった十日じゃなくて「十日もある」だよ。落ちつかないと、本当に、何も出来なくなっちゃうからね』
『うん――そうだね』
私は、大きく深呼吸すると、少しクールダウンする。
『今日は、帰って来てから、ずっと勉強してたの?』
『うん。帰って来てすぐに、学習ファイルを開いて、勉強してた』
『夕飯や休憩は、ちゃんととった?』
『いや、今日は、夕飯もまだ』
いつもなら、空腹が気になって、勉強どころじゃない。でも、今日は、胃がキュッと締め付けられるような感じで、食事する気も起きなかった。ここ数日、胃が鉛のように重くて、全く食欲がない。
『あぁ、それじゃダメだよ。完全に、逆効果だから』
『そうなの?』
『人の集中力は、二十五分が限界なの。だから二十五分やったら五分休憩。これが最も効率いいんだよ。休憩しないと、どんどん、効率が悪くなるから』
『へぇー、そうなんだ』
『いい物あるから、ちょっと、待っててね』
ほどなくすると、ユメちゃんから、何かのアプリが送られて来た。
『これって、何?』
『学習用タイマー。開始すると二十五分後にアラームが鳴って、休憩時間が五分開。また、時間になるとアラームが鳴って、二十五分間の繰り返しだよ』
『へぇー、こんなのあるんだ』
『休憩を入れたほうが、確実に効率あがるから。まずは、これ使ってみて』
『うん、やってみる』
流石はユメちゃん。勉強の仕方も、よく知っている。
『あと、試験って、全部で五教科だよね? 得意な順に、並べてみて』
『えーと「基礎知識」「地理学」「飛行法」「歴史」「マナ工学」かな』
『OK、ちょっと待っててね』
少し気が楽になったせいか、物凄くお腹が空いていることに、気が付いた。私は、買ってきたパンにかぶりつく。数分後、何かのファイルが、送られて来た。
『今、三十一日までの、学習スケジュールを送ったから。開いてみて』
『うん。って、おぉぉー! 短時間で、こんなに細かく』
そこには、各教科の時間割が書かれていた。最初の数日は、マナ工学一つだけ。あとは、苦手な教科を中心に組んであり、得意教科は、直前に軽く入っているだけだ。
『風ちゃん、全教科を、勉強しようとしてない?』
『うん。五教科、全部できないと、マズいでしょ?』
『得意な教科は、直前に、軽くチェックするだけで十分。苦手な教科だけにしぼれば、大丈夫だよ。得意教科は、今までの学習で、充分、点数とれると思うから』
『なるほど……確かにそうかも』
基礎知識は、一般常識や、普段の業務でやっている内容が多い。地理学は、主に〈グリュンノア〉の観光名所についてだ。これも、日々、飛行練習をしていれば、だいたい分かる。
『あと、全部、覚えようとしてない?』
『うん。全て覚えないと、試験、受からないと思って』
シルフィードの昇級試験は、非常に範囲が広い。技術・教養・礼儀作法・法律など、まんべんなく知識が必要になる。想像以上に、総合力が必要な仕事なんだよね。
『合格点を取るだけなら、全部、覚えなくても大丈夫。満点、狙ってる訳じゃ、ないんでしょ?』
『もちろん。そもそも私、満点なんて、一度も取ったことないし――』
『だったら、七割、覚える気持ちで、大丈夫だから』
『あー、なるほど。そういうことね』
そうだった。私は、満点を目指している訳じゃなかった。完璧主義のナギサちゃんは、普通に狙ってそうだけど……。
『教科は、しぼって学習。覚えるのは、七割ぐらい。これなら、十日で充分だよ』
『ふむふむ、確かに。ありがとう、ユメちゃん。なんか、行けそうな気がしてきたよ!』
ユメちゃんの作ってくれたスケジュールは、決して、無理な感じではない。むしろ、ゆとりさえ感じる。
『よかったー。落ち着いてさえいれば、大丈夫だよ、今まで、ずっと頑張って来たんだから。努力は、絶対に裏切らないもん』
『そうだね。私、頑張って、必ず昇級するよ』
『でも、頑張り過ぎは、ダメだよ。休憩も忘れずにね』
『うん。頑張り過ぎないように、頑張る!』
『あははっ』
試験日の繰り上げで、ちょっと、気負い過ぎてたみたい。私って、すぐにやる気が、空回っちゃうんだよね。ほどほどにやるように、いつも、心掛けてはいるんだけど。今の私に、一番、足りないのって、心の余裕なのかもね。
でも、ユメちゃんのお蔭で、物凄く気が楽になった。スケジュール表まで、作ってもらったし。この通りにやれば、大丈夫なはず。
あとは、過去の自分の努力を信じて、自分のペースで進んで行こう。いつだって、私は、自分自身を、強く信じて生きて来たんだから……。
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次回――
『ついに来た……私の運命が決まる昇級試験の当日』
人は星の下に生まれ、その運命に左右される
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