私異世界で成り上がる!! ~家出娘が異世界で極貧生活しながら虎視眈々と頂点を目指す~

春風一

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第9部 夢の先にあるもの

3-3今の私にできるのは平和の象徴になる事だと思う

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 夜、自宅にて。パンで軽く夕飯を済ませたあと、私は、二階の奥にある、物置部屋にこもっていた。座布団をしいて、テーブルの前に正座し、たくさん表示されている空中モニターに、次々と視線を動かし、情報をチェックしている。

 ちなみに、この部屋は、つい先日、改装したばかりだ。前から『和室が欲しいなぁー』と思っていたので、ユキさんに相談してみた。すると、大家さんに掛け合って、リフォームの手配をしてくれたのだ。

 と言っても、そこまで大掛かりな改装ではない。床に畳をしいて、壁紙を、少し和風っぽく、貼り替えただけだ。

『床の間や、木のはりや柱を付けることも出来る』と、言われたんだけど。あんまり、本格的になり過ぎても、落ち着かないので、軽いリフォームにしてもらった。

 でも、やっぱり、畳の床っていいよねぇ。気兼ねなく、ゴロゴロできるし。いぐさの香は、自然と心が安らぐ。

 私は、空中モニターを切り替えながら、とても真剣に文章を読んでいた。次々と、過去の出来事をチェックし、興味のある部分は、深堀りして調べていく。

 学生時代から、歴史は苦手だったので、やや避け気味だったけど。ここ最近は、積極的に、この世界の歴史を勉強していた。

 やはり、先日、過去の世界に行ってきた影響が大きい。考えて見たら、私は、過去の出来事を、ほとんど知らない。有名な話なら知ってるけど、観光案内に必要な、最低限の知識だ。ほんのちょっと、かじった程度の、表面的な知識すぎない。

 私は、この平和な世界が大好きだ。それに、日々楽しくやっているから、別に、過去に起こった戦争などには、全く興味がなかった。

 そもそも、この平和な時代に、絶対に戦争は起こらないだろうし。『今が幸せなら、過去の出来事なんて自分には関係ない』と、完全に他人事のように、思っていたからだ。

 でも、直接、魔女たちに会って、もっと、詳しく知るべきだと痛感した。本気で世界の平和を守る気ならば、過去に何が起こったのかを、もっと詳しく、知っておく必要がある。同じ過ちを、二度と犯さないためにも……。

 その時、メッセージの着信音が鳴った。送信者を見ると、ユメちゃんからだ。私は、いったんモニターを全て閉じると、急いでメッセージを確認する。

『風ちゃん、こんばんはー。元気ー?』    
『うん、元気元気。絶好調だよ』

『勉強中だった?』
『うん。今日は、この世界の歴史の勉強をしてた』

 このやり取りは、もはや、毎晩の日課になっている。基本的には、たわいもない世間話なんだけど。ユメちゃんとの会話は、元気がもらえるし、ストレス解消には、欠かせない。

 あと、何気に、勉強になることも多かった。何といっても、ユメちゃんの知識量は、半端ない。割とミーハーで、流行などの最新情報にも詳しいし。逆に、誰も知らないような、物凄くマニアックな知識まで持っている。

 今まで、質問して、答えが返ってこなかったことがないし。『知らないことは何もないんじゃない?』と思うぐらい、何でも知っている。彼女は『歩く百科事典』みたいな存在だ。

『ここのところ、よく歴史の勉強してるね。以前は、全然、興味がなかったんじゃなかったっけ?』
『最近までは、そうだったんだよね。学生時代も、歴史って、超苦手だったし』

『何かあったの?』
『まぁ、あったと言えば、あったかなぁ――』
『どうしたの? 遠慮なく何でも言ってよ、相談に乗るから』

 うーむ、どうしたものかなぁ……? あまりにも、奇想天外すぎて、どう説明したらいいのか、分からない。『時を越えて過去に行って来た』なんて、普通は信じないよね。

『ちょっと、言いにくいというか、信じて貰えないと思うけど――』
『大丈夫。私は、風ちゃんの言うことなら、何でも信じるから!』
『ユメちゃん、ありがとう。実はね……』

 先日、用水路のトンネルで見つけた鏡から、過去に行ってきた話を、詳しく説明する。あまり、記憶には、自信のないほうだけど。向こうに、一ヶ月もいたので、いまだに、細部までリアルに覚えていた。

『えぇぇーー?! 凄いっ、凄すぎるよ!! いいなぁー、私も行きたいよー!!』
『って、信じてくれるの?』

『だから、信じるって、言ったじゃん。それに、風ちゃんが、こんな凝った作り話をするとは、思えないもん』
『まぁ、確かに、その通りなんだけど――』

 頭が悪いと、遠回しに言われているようで、素直に喜んでいいのかどうか……。

『ねぇ「大地の魔女」って、どんな感じの人だった?』
『うーん、実際に伝わっている話と同じで、凄く厳格な人だったよ。とっても真面目で、一日中、黙々と仕事をしてたし』

 夜、私が休もうとする時は、いつも働いてたし。朝、早く起きても、やっぱり、私より先に来て、仕事してたし。いつ休んでいるのか、全く分からないぐらい、よく働いていた。

『魔法は、どんな感じだった? 凄い魔法使いなんでしょ?』
『大地の魔女は、思ったほど、使ってなかったね。デスクワークと巡察の繰り返しで。あと、いつも帯剣していて、剣のほうがメインみたいだし』

『やっぱり、剣は凄く強いの?』
『私は、戦ってるところは見てないから、よく分からないけど。たまに、庭で剣の素振りしてて。すっごく、速かったよ』

 幸い、私が滞在中に、戦闘は起こらなかった。ただ、たまに素振りをしたり、他の人に、剣の稽古をつけていた。剣を構える姿が、とても様になっており、見た目は、完全に剣士だった。

『じゃあ「水竜の魔女」は?』
『彼女は、物凄い博識な人だったよ。いかにも、魔法使いって感じで。彼女が、一番、魔法を使ってたかな。彼女の部屋には、魔法関連の本が、たくさんあったし』

『どんな魔法を、使ってたの?』
『一番、使うのは、空を飛ぶ魔法。あと、水を操る魔法だね。そうそう、雨雲を呼んで、畑に雨を降らせたりとかもしてたよ』

 二つ名の通り、彼女は水の魔法が得意だ。あと、局所的に、天候を変えることもできるようだった。

『すっごーい!! 空って、本当にほうきで飛ぶの』
『うん、町の人たちは、みんな、ほうきに乗って飛んでたよ』

『町の人って、全員、魔法が使えるの?』
『私が行ったのは、この町の初期のころだからね。全員、魔法使いみたいだったよ』

 歴史書にも、初期メンバーは、全員、魔法使いだったと書かれている。人数は少なかったが、町の建設作業にも、魔法が多用されており、そのお蔭で、通常よりも早く、町が完成したのだと思う。

『へぇぇー。じゃあ、今伝えられている歴史は、正しかったんだ』
『そうだね。今、歴史関連の資料を、片っ端から目を通しているけど。どれも、ほぼ正確だね』

『あと「旋風の魔女」は、どんな感じだった?』
『彼女は、何というか、物凄くのんびりした人だった。他の二人は、ピリッとしてたけど。彼女だけは、フワフワした感じで』

『へぇー。彼女も、言い伝え通りなんだ』
『でも、とても、いい人だったよ。私のことを、真っ先に信じてくれたのも、彼女だったし。町の人たちからも、物凄く慕われてるみたいだったし』

 彼女は、どことなく、フィニーちゃんに、雰囲気が似ていた。実際、お昼寝が大好きみたいで。しばしば、姿をくらましては、昼寝をしていたようだ。あと、風が物凄く好きだったり、猫好きなのところなんかも、よく似ていた。

 ただ、フィニーちゃんとは違って、とても明るくて、よくしゃべる人だった。あまり、仕事の話は出さず、世間話ばかりだったけど。

『最初は、信じて貰えなかったの?』
『うん。やっぱ「百年後から来ました」なんて、いきなり言っても、信じてもらえないよね。「大地の魔女」には、刺客じゃないかって、凄く疑われたし――』

『戦争中じゃ、しょうがないよね。平和な今の時代だって、過去や未来から来た、なんて言われても、そうそう信じないだろうし』

『だよねぇー。そう考えてみると、一目見ただけで、すぐに信じてくれた「旋風の魔女」は、凄いよね』

 他の二人には、しばらくの間、かなり警戒されていたけど。彼女だけは、みじんも、敵意や警戒心を感じなかった。

『一目で、信じてくれたの?』

『うん。会った瞬間に「嘘はついてない」って、言ってくれて。私の「シルフィードの加護」を、一発で見抜いてたし。でも、信じてくれたのは、性格的な問題じゃないかな?』

『流石は「旋風の魔女」だね。他の魔女たちも、色んな意味で凄そう』
『実際、凄かったよ。魔法も、知識も、人間的な大きさも』

 私が、帰って来る時の儀式以外は、あまり、魔法を目にしなかったけど。三人からは、非常に強い魔力を感じており、とんでもなく凄い魔法使いだというのが、雰囲気だけで分かった。

 でも、魔法だけではない。皆、人として、卓越していた。強い意思、懐の大きさ、人間的な魅力など。今も語り継がれているのは、大魔法使いとしてだけではなく、人として優れていたからだと思う。

『でも、なんで過去の世界に、飛ばされちゃったんだろうね?』

『正確には、分からないんだけど。「水竜の魔女」が言うには、色んな条件が、偶然に重なったんじゃないかって。鏡と満月と、シルフィードの加護。あと、私が、異世界人なのも、関係あるかもしれないって……』

 彼女は、何だかんだと、愚痴をこぼしながらも、最も真剣に研究してくれていた。本人は、全てが仮説だと、言っていたけど。結局、そのほとんどが、合っていたようだ。そのお陰で、元の世界に、帰ってこれたのだから。

『何で、異世界人なのが、関係あるの?』
『時空航行船って、時空の壁を越えて来てるでしょ? 一度、時空を超えたことがあると、時空を越えやすいんじゃないか、って言ってたけど』

『えぇぇ―⁈ そうなのっ? 私も、時空航行船で、向こうの世界に行ったら、過去とかに行けるのかな?』
『さぁー、それはどうだろう――?』
 
「水竜の魔女」いわく、時空を超えて並行世界に行くのは、空間移動ではなく、時間移動らしい。つまり、異世界に行くのは、過去や未来へ行くのと、全く同じ行為なのだ。別の可能性の世界というのは、過去や未来にあるらしいので。

 他にも、色々言っていたけど、難し過ぎて、私には、よく分からなかった。もう少し、詳しく聴いておけば、よかったかもしれないけど。色々混乱していたのもあって、あまり、言葉が、頭に入って来なかった。

『ねぇ、今度、私も、その水路に連れてってよ。もしかしたら、過去に行けるかもしれないし!』

『いや、ダメだよ。戻って来れなくなったら、大変だし。それに、私が戻って来た時には、トンネルに柵が付いてて、中に入れないようになってたから』

『えぇー、残念。風ちゃんだけ、そんな楽しいことして、ずるーい!!』
『いやいや、行きたくて、行った訳じゃないし。楽しくはないから……』

 滅茶苦茶、貴重な体験はできたけど。いつ、戦いが始まるのか、気が気じゃなかったし。帰って来れる保証も全くなく、常に、大きな不安を抱えて生活していた。

『でも、なんで、歴史の勉強を始めたの? 直接、見て来たんでしょ?』
『私が見たのは、ほんの一部だからね。歴史に干渉したらマズイから、行政府の建物から、全く外に出なかったし。一ヵ月だけだったから』

 私が見たのは、過去の出来事の、ほんの断片に過ぎない。それに、別の場所では、大きな戦いが行われていたのだ。

『でもね。魔女や町の人たちの、平和を願う気持ちが、物凄く強く伝わって来たんだ。あと、私が元の世界に帰る時に、約束したから』
『約束って――?』

『大地の魔女に「この世界の平和を、これからも守って行ってくれ」って、言われて。私は「必ず守ります」って、約束したんだ』
『へぇーー』

 あの時の言葉は、今でも、鮮明に覚えている。彼女の切実な想いが、心に響いて来たからだ。それに、あの時初めて、彼女の笑顔を見た。

『平和を守るには、まずは、過去の歴史を、知る必要があると思うんだ。もちろん、戦争のことも、目を背けるわけには行かないし。辛く悲しい出来事も、全て知っておかないと』

『それに、シルフィードは、元々「世界平和の象徴」として、作られた職業だから。私は、四人の偉大な魔女の、遺志を継いで行きたいんだ。後世の人たちに、平和の大切さを、伝えていくためにも』

『とはいえ、私は、異世界人だし。この世界の平和を守るだなんて、やっぱり、大げさ過ぎて、おかしなことなのかな……?』
 
 私は、この世界とは、全く縁もゆかりもない、異世界人だ。でも、この世界も、この世界の人たちも、その全てが、物凄く大切で、大好きだ。だからこそ、この世界の平和を、永遠に守りたいと、心の底から思っている。

『そんなことないよ。そもそも、風ちゃんを、異世界人なんて思ったこと、私、一度もないもん。単に、生まれた場所が違うだけ。それに、不可能を可能にするのが、風ちゃんなんだから。全然、大げさ過ぎることなんてないよ』

『私だって、シルフィードを目指してるんだから、全く同じ気持ちだよ。私は、この救ってもらった命を、人助けのために使うって、決めてるから。だから、一緒に力を合わせて、平和を守って行こうよ』

 そうだった。彼女は、単に憧れだけで、シルフィードを目指している訳じゃなかった。ちゃんとした覚悟を持って、この道を進もうとしているのだ。

『ありがとう、ユメちゃん。滅茶苦茶、心強いよ』
『任せといて。私が、ばっちりサポートするから』

 その後も、この町の歴史の話で盛り上がった。流石に、本をたくさん読んでいるだけあって、ユメちゃんは、滅茶苦茶、歴史に詳しい。

 確かに、今の平和な時代に生きている人たちは、過去の戦争のことなど、興味がないかもしれない。でも、こうやって、歴史に興味を持ったり、平和の大切さを知っている若者だっている。

 私のこれからの仕事は、人々を幸せにすること。あとは、平和の大切さを、伝えていくことだと思う。

 もう二度と、悲劇が起こらないように。平和な世界を作るために、必死に戦ってくれた、昔の人たちの想いを、裏切らないために。

 これからも『平和の象徴』と『幸運の使者』として、全身全霊で頑張って行こうと思う……。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

次回――
『気品や威厳は一朝一夕で身につくものではない』

 勇気とは、窮地に陥ったときにみせる、気品のことである
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