始めのダンジョンをループし続けた俺が、いずれ世界最強へと至るまで~固有スキル「次元転移」のせいでレベルアップのインフレが止まらない~

Rough ranch

文字の大きさ
29 / 72
異世界で新たな一歩目を!

第二十九話 『普通に話している様に見えるだけ』

しおりを挟む
 俺が葉山の方を見ると、やはりまだ友人と談笑中だ。
 とても、洗脳されている様には見えないのだが。
 けど、クルトがここまで焦りながら言っているんだ。
 信憑性が無い訳じゃない。

「とりあえず、葉山のところに行ってみるか。」

 俺は、若干小走りをしながら葉山の元へ駆けていく。
 佐々木原には悪いが、今はそれどころでは無くなってきたかもしれないから仕方がない。
 それに、事態に気が付いた女子数名が佐々木原の方に急いで駆けていったから問題無いだろう。

『オイラがハヤマ様の思考を読もうとしても読めなかったのさ。つまり、ハヤマ様は今何かしらの状態異常スキルによって、思考停止状態にされているのさ。』
(普通に会話している様に見えるぞ。)
『理由は分からないのさ。もしかしたら、洗脳した者が裏からハヤマ様の言動を操っているのかもしれないし、可能性は薄いけど今見えているハヤマ様が幻影という可能性もあるのさ。』

 確かに、スキルを使えば何でもありのこの世界ならば何が今起こっていても不思議じゃないよな。
 そして、何も結論は出ないまま俺は葉山の前まで着いた。
 俺は、談笑中の葉山へ強引に問いかける。
 「次元転移」があるのだから、異常事態の今は基本的に周りの目は無視していく方針だ。

「おい、葉山!」
「ん、どうしたの清原君、そんなに焦って?」

 一見今までと変わりない葉山に見える。
 まあ、思考を読むことが出来るクルトでも原因が分からなかったのだから、俺に葉山に起きている異常事態の原因を突き止めるのは難しいだろう。
 今俺に出来ることは、ただただベストを尽くすしかない。

(おいクルト、周りの奴らの思考を片っ端から読んで見てくれ。)
『分かったのさ。』

 そう言って、クルトは葉山と今話していた夏目沙耶の肩に乗った。
 どうやら、ある程度距離が近くないと相手の思考は読めないらしいな。
 その後も、数瞬誰かの肩に乗って思考を読むことをクルトは続けて行った。
 そして、五人目くらいのの時、クルトは驚いた様に俺の元へ跳んできて言った。

『彼もハヤマ様と同じように思考停止していたのさ。』
 
 クルトは、地球で俺をいじめていた奴の一人である、小紋劉生を指して言った。
 小紋の性格は、一言で表せばガキ大将だ。
 これは俺の偏見だが、若干精神年齢が幼い奴という説明を付け足してもいいだろう。
 地球では俺以外のクラスメートの大半に嫌われていた様な奴だ。
 葉山、小紋と何とも奇妙な組み合わせだな。
 性格も真逆だし。

「う~~ん。」

 俺は数秒程黙考をする。
 周りからの視線が痛いが、極力無視する。
 そして、考えた末に一つの可能性を思い付いた。

(もしかして、葉山が「情報収集」のスキルを持っているからか?)

 洗脳されているのが葉山だけでは無いのだとしたら、葉山達を洗脳している奴らの目的が俺たちに葉山達の洗脳を気付かせない為という可能性が出てくる。
 鑑定の時に居なかったから「情報収集」がどれだけの情報を集められるのかは知らないが、もし「情報収集」にみんなが洗脳されていることを見つけ出せる程の能力があったのなら、葉山が洗脳されている説明がつく。
 となると、だ。

「問題は、誰が葉山を洗脳しているか、だよな。」

《次元転移を発動します》

 俺は、みんなが職業を選択している時まで戻って来た。
 今は、俺と葉山がダンジョンからみんなのところへ戻って来てすぐなので、きっとまだ葉山は洗脳されていないはず。

「クルト、葉山へ常に「情報収集」を使用する様に言ってきてくれ。なるべく最短で未来のことを葉山に伝えてくるんだ。」
『キヨハラ様は来ないんですかなのさ?』
「俺が居たら、葉山が洗脳されないかもしれないだろ。あとクルト、お前はすぐに戻って来いよ。クルトは常に俺の肩に乗っていたから、洗脳されたら過去に戻って解除出来ないんだからな。周囲の警戒を怠るなよ。」
『愚問なのさ!』

 そう言って、クルトは葉山に向かって跳んで行った。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

異世界サバイバルゲーム 〜転移先はエアガンが最強魔道具でした〜

九尾の猫
ファンタジー
サバイバルゲームとアウトドアが趣味の主人公が、異世界でサバゲを楽しみます! って感じで始めたのですが、どうやら王道異世界ファンタジーになりそうです。 ある春の夜、季節外れの霧に包まれた和也は、自分の持ち家と一緒に異世界に転移した。 転移初日からゴブリンの群れが襲来する。 和也はどうやって生き残るのだろうか。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

処理中です...