始めのダンジョンをループし続けた俺が、いずれ世界最強へと至るまで~固有スキル「次元転移」のせいでレベルアップのインフレが止まらない~

Rough ranch

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異世界で新たな一歩目を!

第五十八話 『遺言』

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「お前、さっき俺の「次元転移」の弱点がうんたらかんたら言ってたろ。」
「そうだよ。例え僕がここで負けたって、冥皇様には勝てない。」
「そうか、なら丁度いい。その冥皇様のスキルを教えてくれよ。」
「嫌だね。」

 俺は、ナギサの腹に短剣を刺す。

「グッ、」
「それなら、交渉と行こうじゃないか。」
「?」

 俺だって拷問をした経験なんてない。
 ナギサにはなるべく冷酷な表情を見せているが、内心では吐き気と悪戦苦闘中だ。

「もしお前が冥皇のスキルについて話してくれたら、俺はお前にその傷を治してやるよ。」
「はっ、ハッタリを言ったって無駄だよ。僕の「鑑定」ってスキルであんたのステータスは読んだが、あんたに俺のこの致命傷を直す術なんか無いはずだ。」
「まあ、当然の反応か。」

 論より証拠だ。
 俺は、ポケットに入っている二つ目のボールを取り出して、俺のちぎれた右手にあてる。
 すると、

「き、傷が癒えていく!?」
「このボールには、HPとかMPを保管しておく「能力吸収」ってスキルが付与されてんだよ。そんで、このボールの中には30000のHPが内蔵されてんだ。ちょっぴりそのHPを使って、俺の肉体を回復させていってるんだよ。」
「なんだって!? 欠損した部位まで直せるというのか。」
「そうだ。」

 治療している俺から見ても、今俺の右手に起きている現象は少し気持ち悪さを感じる。
 なんと言うか、少しづつ右手が生えて言っているのだ。

「あんたが俺のこの傷を治せるのは分かった。じゃあ、最後に聞かせてくれ。」
「なんだ?」
「どうやってあんたは俺の「浮遊」を使ったんだ?」
「ああ、そのことか。」

 まあ、当然の疑問だよな。

「俺の「次元転移」ってスキルで、未来の俺がこの玉に「浮遊」が付与された状態で送って来てくれたんだよ。つまり、」
「なるほど、そういう事だったのか。なるほどな。」

 そう言うと、ナギサは全身の力を抜いて地面に体を預けた。

「ナギサ?」

 俺は不審に思い、ナギサに声を掛けた。

「冥皇様、ツカサ姉ちゃん、俺、キヨハラショウスケには勝てなかったよ。最後の最後まで今までの恩を返しきれなかった、な。せめて、今送った情報を活用して欲しいな。僕の、最後の......」

 そう言って、ナギサは力尽きた様に目を閉じた。


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