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第三十六話 鉱物迷宮その三
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薄暗い坑道の行き止まりで、ガツガツと音が聞こえる。
壁面からこぼれ落ちた鉱石を拾い、ニヤニヤするビア樽の様な身体に筋肉隆々の太い手足、一目でドワーフと分かるその男は当然ガンツである。
「良い魔鉄鉱石じゃな。ここは当たりじゃ」
鉱物迷宮の十五階層、アイアンゴーレムが出現し始めるこの階層で、ガンツは目的の採掘を始めていた。
「なぁ、このアイアンゴーレムがドロップした魔鉄のインゴットじゃダメなのか?」
先程、サクヤの火魔法とホクトの雷魔法で倒された、アイアンゴーレムからドロップした魔鉄のインゴットを持ちながら、カジムがガンツに疑問に思った事を聞く。
「ダメじゃないが、アイアンゴーレムからドロップした魔鉄より、ダンジョンの壁に埋まっている魔鉄の鉱石の方が、永く魔素に曝されているからな。魔力の内包量が多いんじゃ」
ガンツが採掘する間、ホクトとサクヤが周辺の警戒をしている。
「おおっ!ミスリルがでたぞ!
十五階層でミスリルが採掘出来たという事は、暫く誰も潜っとらんかったようじゃな。
これはボス部屋の宝箱は期待出来るぞ」
どうやら暫く他のドワーフはこのダンジョンへ来ていなかったらしい。
それでも数十年程度らしいのだが、ボスの討伐に限定すると五百年以上ぶりらしく、ボス部屋に出現する宝箱の中身が期待出来ると言う。
ガンツは場所を変えながら採掘を繰り返す。
十五階層から下では、ミスリルやアダマンタイトの鉱石が出現し始める。
もうそうなるとガンツのテンションは天井知らずになっていた。
どうやら今回の採掘は、希少金属の鉱石が多く掘れているようだ。
ホクトとサクヤがアイテムボックスを使えると分かると、もう自重を忘れて採掘に熱中し始める。
その間、時折出現するアイアンゴーレムをホクトとサクヤで撃退する。
ホクトもさすがにアイアンゴーレムへは無手では戦わず、魔法を主体に戦っていた。
その気になれば無手でもアイアンゴーレムを葬れるホクトだが、何もわざわざ疲れる方法で倒す事はないと、魔法の一撃で倒している。
ここまでマトモに武器を使って戦闘をしていなかったホクトは、ここである試みをする。
「ちょっと試してみるか」
ホクトはそう言って、一体のアイアンゴーレムに向かって走り出した。
腰の剣を抜くと、魔力と氣を剣に纏わせる。
アイアンゴーレムは、マッドゴーレムやストーンゴーレムに比べれば動きは速いが、所詮はゴーレムの中での話、ホクトにとってはスローモーションを見ているのと変わらない。
アイアンゴーレムの横をすれ違いざまに剣を一閃すると、自身の身に何が起こったか認識する前に、アイアンゴーレムの腕が一本宙を舞う。
「次は魔法剣だな」
ホクトはそう言うと剣に属性魔法を纏わせる。
剣の鋼の組成に影響を与えない様に、剣を保護しながら火魔法を纏わせる。
アイアンゴーレムがホクトに向けて、人の頭より大きい拳を振り上げ殴り掛かる。
ホクトは慌てる事なくゴーレムの拳を避けながら、剣自体に温度変化を起こさない様に、魔力操作で絶妙な調整をし、青白い高温の炎を纏った剣でアイアンゴーレムの残った腕と脚を斬り離す。
地面を揺らして倒れたアイアンゴーレムの胸に、剣を突き刺しコアを破壊する。
「……うん、使えそうだな」
剣に異常がないか調べてから鞘に収める。
「普通の鋼の剣じゃ繊細な魔力操作が必要そうね」
それを見ていたサクヤには、魔力感知能力とエルフとしての魔力を視認する能力で、ホクトが何をしていたのか分かっていた。
「そうだね。ガンツに新しい剣を打って貰えば、もっと楽に魔法剣が使えそうだな」
今のホクトが使っている唯の鋼鉄に剣とは比べ物にならない剣や槍が手に入るだろう期待に胸が踊る。
「おーい!ホクト!次の階層へ行くぞ!」
ガンツがこの場所での採掘を終え、下への階段への道順をホクト達に指示していく。
「わかりました」
ホクト達は二十階層というダンジョンとしては、階層の少ない部類に入るとはいえ、驚くべきスピードで踏破して行く。これは、殲滅のスピードが速い事も理由のひとつだが、希少金属の鉱石が採掘出来る階層までは、ひたすら下へ下へと急いでいたからだ。
「ウッホーー!!」
ガンツが鉱石を手に奇声を上げる。
「なっ!どうした!ガンツさん!」
いきなり叫んだガンツに駆け寄るホクト達。
「どうしたもこうしたもないわい!
まさか十八階層でオリハルコンがこんなに採れるとは、…………クックックッ、帰ったら造りまくるぞ!
カッカッカッカッ」
それを聞いて、ガックリするホクト達。
「ビックリするじゃねえか!」
カジムも噛みつく。
「これが興奮せずにいられるか!
やっぱり長い事誰もこの階層で採掘してないな。オリハルコンは以前は二十階層じゃないと、これだけの量は採れなかったんだ。アダマンタイトもだ。
さあ、カジム!お前も手伝え!」
ガンツの暴走は止まりそうにもなかった。
壁面からこぼれ落ちた鉱石を拾い、ニヤニヤするビア樽の様な身体に筋肉隆々の太い手足、一目でドワーフと分かるその男は当然ガンツである。
「良い魔鉄鉱石じゃな。ここは当たりじゃ」
鉱物迷宮の十五階層、アイアンゴーレムが出現し始めるこの階層で、ガンツは目的の採掘を始めていた。
「なぁ、このアイアンゴーレムがドロップした魔鉄のインゴットじゃダメなのか?」
先程、サクヤの火魔法とホクトの雷魔法で倒された、アイアンゴーレムからドロップした魔鉄のインゴットを持ちながら、カジムがガンツに疑問に思った事を聞く。
「ダメじゃないが、アイアンゴーレムからドロップした魔鉄より、ダンジョンの壁に埋まっている魔鉄の鉱石の方が、永く魔素に曝されているからな。魔力の内包量が多いんじゃ」
ガンツが採掘する間、ホクトとサクヤが周辺の警戒をしている。
「おおっ!ミスリルがでたぞ!
十五階層でミスリルが採掘出来たという事は、暫く誰も潜っとらんかったようじゃな。
これはボス部屋の宝箱は期待出来るぞ」
どうやら暫く他のドワーフはこのダンジョンへ来ていなかったらしい。
それでも数十年程度らしいのだが、ボスの討伐に限定すると五百年以上ぶりらしく、ボス部屋に出現する宝箱の中身が期待出来ると言う。
ガンツは場所を変えながら採掘を繰り返す。
十五階層から下では、ミスリルやアダマンタイトの鉱石が出現し始める。
もうそうなるとガンツのテンションは天井知らずになっていた。
どうやら今回の採掘は、希少金属の鉱石が多く掘れているようだ。
ホクトとサクヤがアイテムボックスを使えると分かると、もう自重を忘れて採掘に熱中し始める。
その間、時折出現するアイアンゴーレムをホクトとサクヤで撃退する。
ホクトもさすがにアイアンゴーレムへは無手では戦わず、魔法を主体に戦っていた。
その気になれば無手でもアイアンゴーレムを葬れるホクトだが、何もわざわざ疲れる方法で倒す事はないと、魔法の一撃で倒している。
ここまでマトモに武器を使って戦闘をしていなかったホクトは、ここである試みをする。
「ちょっと試してみるか」
ホクトはそう言って、一体のアイアンゴーレムに向かって走り出した。
腰の剣を抜くと、魔力と氣を剣に纏わせる。
アイアンゴーレムは、マッドゴーレムやストーンゴーレムに比べれば動きは速いが、所詮はゴーレムの中での話、ホクトにとってはスローモーションを見ているのと変わらない。
アイアンゴーレムの横をすれ違いざまに剣を一閃すると、自身の身に何が起こったか認識する前に、アイアンゴーレムの腕が一本宙を舞う。
「次は魔法剣だな」
ホクトはそう言うと剣に属性魔法を纏わせる。
剣の鋼の組成に影響を与えない様に、剣を保護しながら火魔法を纏わせる。
アイアンゴーレムがホクトに向けて、人の頭より大きい拳を振り上げ殴り掛かる。
ホクトは慌てる事なくゴーレムの拳を避けながら、剣自体に温度変化を起こさない様に、魔力操作で絶妙な調整をし、青白い高温の炎を纏った剣でアイアンゴーレムの残った腕と脚を斬り離す。
地面を揺らして倒れたアイアンゴーレムの胸に、剣を突き刺しコアを破壊する。
「……うん、使えそうだな」
剣に異常がないか調べてから鞘に収める。
「普通の鋼の剣じゃ繊細な魔力操作が必要そうね」
それを見ていたサクヤには、魔力感知能力とエルフとしての魔力を視認する能力で、ホクトが何をしていたのか分かっていた。
「そうだね。ガンツに新しい剣を打って貰えば、もっと楽に魔法剣が使えそうだな」
今のホクトが使っている唯の鋼鉄に剣とは比べ物にならない剣や槍が手に入るだろう期待に胸が踊る。
「おーい!ホクト!次の階層へ行くぞ!」
ガンツがこの場所での採掘を終え、下への階段への道順をホクト達に指示していく。
「わかりました」
ホクト達は二十階層というダンジョンとしては、階層の少ない部類に入るとはいえ、驚くべきスピードで踏破して行く。これは、殲滅のスピードが速い事も理由のひとつだが、希少金属の鉱石が採掘出来る階層までは、ひたすら下へ下へと急いでいたからだ。
「ウッホーー!!」
ガンツが鉱石を手に奇声を上げる。
「なっ!どうした!ガンツさん!」
いきなり叫んだガンツに駆け寄るホクト達。
「どうしたもこうしたもないわい!
まさか十八階層でオリハルコンがこんなに採れるとは、…………クックックッ、帰ったら造りまくるぞ!
カッカッカッカッ」
それを聞いて、ガックリするホクト達。
「ビックリするじゃねえか!」
カジムも噛みつく。
「これが興奮せずにいられるか!
やっぱり長い事誰もこの階層で採掘してないな。オリハルコンは以前は二十階層じゃないと、これだけの量は採れなかったんだ。アダマンタイトもだ。
さあ、カジム!お前も手伝え!」
ガンツの暴走は止まりそうにもなかった。
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