38 / 82
第三十七話 鉱物迷宮その四
しおりを挟む
鉱物迷宮二十階層
「さて、どうする?
採掘はもう十分の量採れたからな。このまま帰る事も出来るぞ」
すっかり満足したガンツがボス戦をどうするか聞いて来た。
「挑戦するに決まってるぜ!なぁアニキ!」
カジムはやる気満々だが、今の所一番役に立たない事は自分でも分かっていた。
「ミスリルゴーレムのドロップはミスリル鉱石ですよね」
「おお、そうじゃ。じゃが、ボス戦後の宝箱の方がオイシイぞ」
「ミスリルゴーレムの弱点てなんなの?」
サクヤはやる気になってきているようだ。
「ミスリルゴーレムの弱点か、ミスリルだけあって魔法耐性は高いし、当然物理耐性も高いしの。これがボス個体じゃなければ帝級の火魔法辺りだと効く筈じゃが、ボス個体は特別じゃからのう」
ガンツが考え込むなか、ホクトには考えがあるようで、サクヤの耳元で何かを話している。
「それでダンジョンコアは壊しちゃダメなんですよね」
「あゝ、ここはドワーフにとって大事な場所だからな。そう言うって事は、ボス部屋に挑戦するんじゃな」
「はい」
ホクトは二十階層のボスと戦う事を決める。
ホクト達が二十階層のボス部屋の扉の前に立つ。
「じゃあ開けるよ」
重厚な金属製の扉が音を立て開いた。
扉が開いたその先の広い空間の中央に、白銀に輝く巨大なゴーレムがホクト達を待ち受けていた。
アイアンゴーレムよりもさらに大きく、全長4メートルはあるだろう。
ホクト達が部屋に入ると、地響きを立てながらミスリルゴーレムが動きだした。
「ファイヤーランス!」「サンダーランス!」
ドォーーーーン!!
ホクトとサクヤが試しに魔法を放つ。
「やっぱり、これじゃあダメだよな」
ミスリルゴーレムにはダメージを受けた様に見えない。魔法耐性は相当高いようだ。
ホクトとサクヤにとっては想定内だった様で、二人とも落ち着いていた。
迫り来るミスリルゴーレムに対して、ホクトとサクヤが珍しく詠唱を始める。
それと共に二人の身体から膨大な魔力が嵐の様に吹き荒れる。
「「我求めるは、巌を溶かす白炎の焔」」
『『フレア!』』
ミスリルゴーレムの頭上に巨大な白炎の焔が二つ現れる。
ドォーーーーーーーーン!!!!
ミスリルゴーレムの巨体が真っ赤に白熱する。
続けてホクトとサクヤが詠唱を始め放つ。
それは神の御業とされる神級魔法のひとつ。
「「我求めるは、地獄の最下層よりの万物を閉じ籠める獄寒の冷気」」
『『獄寒地獄!』』
真っ赤に熱せられたミスリルゴーレムが、氷の監獄に囚われる。
白熱したミスリルゴーレムが急激に冷却され、ミスリルゴーレムのボディから何かが破れる音がする。
「今だ!たたみ掛けるぞ!」
急激に動きがギクシャクしだしたミスリルゴーレムへ、ホクトとカジムが走りだす。
一瞬で懐まで間合いを詰めたホクトに、巨大な白銀の拳が振り下ろされる。ホクトは拳を避けながら魔力と氣を纏わせた剣が一閃すると、ミスリルゴーレムの腕が斬り落とされる。
「ウォリャアァーー!!」
カジムがメイスを肩の関節に叩き込むと、ミスリルゴーレムの残った腕の付け根にヒビが入る。
「もう一丁!!」
腕を軋ませ振り上げるミスリルゴーレムに、カジムは追撃を仕掛ける。
ガンッ!!一撃を耐えたミスリルゴーレムの肩の関節は、追撃で放たれた一撃に耐えきれなかった。
「コアを砕くぞ!!」
ホクトが大声で叫び、ミスリルゴーレムへ走りだす。戦鎚を振り回したガンツも参加した総攻撃に、なすすべもなく斃れるかと思われたその時、ミスリルゴーレムが発光する。
「っ! 僕とサクヤの背後に!!」
カジムとガンツがホクトとサクヤの背後に逃れたと同時に、ミスリルゴーレムから無属性の光線が放たれた。
レーザーの様な無属性の魔法を、ホクトとサクヤが何重にも張り巡らせた、全力の魔法障壁で防ぎきる。
何枚かの魔法障壁を撃ち破りミスリルゴーレムからの魔法が止まる。
光線が止むと、再びコア目掛けて攻撃を重ねる。
バキンッ!!金属が破砕する音が響き、ミスリルゴーレムの巨体がゆっくりと後ろに倒れた。
その瞬間、ボス部屋の中央に白銀の宝箱が出現して、ミスリルゴーレムが討伐された事を知らせてくれた。
「みんなケガはない?大丈夫みたいだね」
ホクトが全員の状態を確認する。
ミスリルゴーレムのドロップを回収すると、宝箱を全員で確認する。
「何が出て来るかの」「そうだな、デカイ宝箱だから期待出来るんじゃねえか」
ガンツとカジムは疲れた身体を引き摺って宝箱まで近付いて来た。
「じゃあ開けるよ」
全員が宝箱の周りに集まったのを確認したホクトは宝箱を開ける。
「さて、どうする?
採掘はもう十分の量採れたからな。このまま帰る事も出来るぞ」
すっかり満足したガンツがボス戦をどうするか聞いて来た。
「挑戦するに決まってるぜ!なぁアニキ!」
カジムはやる気満々だが、今の所一番役に立たない事は自分でも分かっていた。
「ミスリルゴーレムのドロップはミスリル鉱石ですよね」
「おお、そうじゃ。じゃが、ボス戦後の宝箱の方がオイシイぞ」
「ミスリルゴーレムの弱点てなんなの?」
サクヤはやる気になってきているようだ。
「ミスリルゴーレムの弱点か、ミスリルだけあって魔法耐性は高いし、当然物理耐性も高いしの。これがボス個体じゃなければ帝級の火魔法辺りだと効く筈じゃが、ボス個体は特別じゃからのう」
ガンツが考え込むなか、ホクトには考えがあるようで、サクヤの耳元で何かを話している。
「それでダンジョンコアは壊しちゃダメなんですよね」
「あゝ、ここはドワーフにとって大事な場所だからな。そう言うって事は、ボス部屋に挑戦するんじゃな」
「はい」
ホクトは二十階層のボスと戦う事を決める。
ホクト達が二十階層のボス部屋の扉の前に立つ。
「じゃあ開けるよ」
重厚な金属製の扉が音を立て開いた。
扉が開いたその先の広い空間の中央に、白銀に輝く巨大なゴーレムがホクト達を待ち受けていた。
アイアンゴーレムよりもさらに大きく、全長4メートルはあるだろう。
ホクト達が部屋に入ると、地響きを立てながらミスリルゴーレムが動きだした。
「ファイヤーランス!」「サンダーランス!」
ドォーーーーン!!
ホクトとサクヤが試しに魔法を放つ。
「やっぱり、これじゃあダメだよな」
ミスリルゴーレムにはダメージを受けた様に見えない。魔法耐性は相当高いようだ。
ホクトとサクヤにとっては想定内だった様で、二人とも落ち着いていた。
迫り来るミスリルゴーレムに対して、ホクトとサクヤが珍しく詠唱を始める。
それと共に二人の身体から膨大な魔力が嵐の様に吹き荒れる。
「「我求めるは、巌を溶かす白炎の焔」」
『『フレア!』』
ミスリルゴーレムの頭上に巨大な白炎の焔が二つ現れる。
ドォーーーーーーーーン!!!!
ミスリルゴーレムの巨体が真っ赤に白熱する。
続けてホクトとサクヤが詠唱を始め放つ。
それは神の御業とされる神級魔法のひとつ。
「「我求めるは、地獄の最下層よりの万物を閉じ籠める獄寒の冷気」」
『『獄寒地獄!』』
真っ赤に熱せられたミスリルゴーレムが、氷の監獄に囚われる。
白熱したミスリルゴーレムが急激に冷却され、ミスリルゴーレムのボディから何かが破れる音がする。
「今だ!たたみ掛けるぞ!」
急激に動きがギクシャクしだしたミスリルゴーレムへ、ホクトとカジムが走りだす。
一瞬で懐まで間合いを詰めたホクトに、巨大な白銀の拳が振り下ろされる。ホクトは拳を避けながら魔力と氣を纏わせた剣が一閃すると、ミスリルゴーレムの腕が斬り落とされる。
「ウォリャアァーー!!」
カジムがメイスを肩の関節に叩き込むと、ミスリルゴーレムの残った腕の付け根にヒビが入る。
「もう一丁!!」
腕を軋ませ振り上げるミスリルゴーレムに、カジムは追撃を仕掛ける。
ガンッ!!一撃を耐えたミスリルゴーレムの肩の関節は、追撃で放たれた一撃に耐えきれなかった。
「コアを砕くぞ!!」
ホクトが大声で叫び、ミスリルゴーレムへ走りだす。戦鎚を振り回したガンツも参加した総攻撃に、なすすべもなく斃れるかと思われたその時、ミスリルゴーレムが発光する。
「っ! 僕とサクヤの背後に!!」
カジムとガンツがホクトとサクヤの背後に逃れたと同時に、ミスリルゴーレムから無属性の光線が放たれた。
レーザーの様な無属性の魔法を、ホクトとサクヤが何重にも張り巡らせた、全力の魔法障壁で防ぎきる。
何枚かの魔法障壁を撃ち破りミスリルゴーレムからの魔法が止まる。
光線が止むと、再びコア目掛けて攻撃を重ねる。
バキンッ!!金属が破砕する音が響き、ミスリルゴーレムの巨体がゆっくりと後ろに倒れた。
その瞬間、ボス部屋の中央に白銀の宝箱が出現して、ミスリルゴーレムが討伐された事を知らせてくれた。
「みんなケガはない?大丈夫みたいだね」
ホクトが全員の状態を確認する。
ミスリルゴーレムのドロップを回収すると、宝箱を全員で確認する。
「何が出て来るかの」「そうだな、デカイ宝箱だから期待出来るんじゃねえか」
ガンツとカジムは疲れた身体を引き摺って宝箱まで近付いて来た。
「じゃあ開けるよ」
全員が宝箱の周りに集まったのを確認したホクトは宝箱を開ける。
10
あなたにおすすめの小説
過程をすっ飛ばすことにしました
こうやさい
ファンタジー
ある日、前世の乙女ゲームの中に悪役令嬢として転生したことに気づいたけど、ここどう考えても生活しづらい。
どうせざまぁされて追放されるわけだし、過程すっ飛ばしてもよくね?
そのいろいろが重要なんだろうと思いつつそれもすっ飛ばしました(爆)。
深く考えないでください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で
重田いの
ファンタジー
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で、人々の間に静かな困惑が広がる。
魔術師は事態を把握するため使用人に聞き取りを始める。
案外、普段踏まれている側の人々の方が真実を理解しているものである。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる