273 / 321
18巻
18-1
1 中型機
創世の女神ノルン様の神託から始まった離島の救済、大陸規模の疫病対策、そして再び離島の地下水脈浄化と、半年以上にわたる長い期間のミッションを終えた僕――タクミ。
ただ、離島への聖域騎士団の長期派遣は、思ってもみない問題が……いや、問題って言うとダメだな。一応、祝福するべき事だもんな。
長い期間派遣するとなると、聖域騎士団の中でも若手が優先的に選ばれるのは仕方のない事だった。その騎士団の若者と、離島の年頃の女性が恋仲になるなんて想定外だったよ。
そこで聖域騎士団の団長であるガラハットさんから、小規模でもいいので、駐屯地を維持出来ないかと相談された。
まあ、断れないよね。
島の女性を聖域に移住させるって方法もなくはないけれど、離島で生まれ育った彼女達は、家族と遠く離れた土地には行きたくないらしい。
当然の話だ。せっかくこれから暮らしやすくなる島を出たくない気持ちは理解出来る。
それに島のためにも、外から新しい血が入るのはいい事だ。
この世界において、遺伝的に血が濃すぎて悪影響があるのかは分からないけれど、多分その辺は地球と変わらないと思う。
で、創世教の神官からも、同じノルン様を信仰する島の教会を継続的に支援したいと申し出があり、騎士団の駐屯地を維持する事が決定した。
その決定を受けて離島の駐屯地にて、輸送機のガルーダ用の滑走路はそのままに、騎士団が継続的に駐屯するための施設整備を行った。
もう既にかなりの施設や建物が建設されていたので、それをむしろ縮小して少人数でも管理維持しやすい規模に変更したんだ。
今は、避難民用の簡易住宅と騎士団用の簡易住宅だから、本格的に長期滞在可能な、快適な住居は必要だし、ある程度の防衛力を持つ拠点として整備する必要はあるだろうしね。
その辺は、ガラハットさんや騎士団員と相談しながらかな。
離島のアレコレが一段落したので、僕は少しの休暇をもらった。
神託が続いたせいで、僕的にもソフィアやマリアなど妻達から見ても働きすぎだったからね。
僕の助手であるレーヴァには悪いけれど、ゆっくりと休ませてもらったよ。勿論、子供達と思いっきり遊んださ。
その後、離島と聖域の人員の行き来をスムーズにするため、転移ゲートではなく、ガルーダよりもスピードが速く、垂直離着陸が可能で、かつ輸送能力のある機体を新たに造る事が決まった。
それに向けて早速僕は動き出した。
今日は、その中型輸送機の仕様を決めるための話し合いを行っているんだ。話し合いって言っても、今回は僕とガラハットさんの二人だけどね。
「サラマンダーを二台搭載するのはいいんですけど、あのサイズを出し入れしようとすると、それなりに大きくなりますよ。格納庫は空間拡張でどうとでもなりますけど、搬入口であるハッチの大きさはどうにもなりませんから」
「ううむ。運用する人数が人数じゃから、機体の大きさは抑えたい。しかし、現地での移動手段がグライドバイクだけというのもな。騎士団用のグライドバイクは、三人乗りじゃからな。哨戒任務には向くじゃろうが……」
最初ガラハットさんから、新たに造る予定の中型輸送機には、陸戦艇サラマンダーを二台載せられるようにしたいとリクエストがあった。
ただ、サラマンダーはそれなりに大きいので、搬入の事を考えると機体のサイズがどうしても大きくなってしまう。
大型の輸送機であるガルーダなら、ハッチも大きいから、サラマンダーの搬入は何の問題もない。
ただ、それを今回造る中型機でとなると、中型の輸送機が大きくなって、中途半端なサイズになりかねない。
現地ではサラマンダーだけでなく、グライドバイクも使っているけれど、最大で三人乗りっていうのが移動手段としては弱い。
「そもそも、あの離島にサラマンダーは大きくて使いづらくないですか?」
「うむ。確かに、族長勢力の襲撃から拠点を守るバリケード代わりに使うにはよかったが、哨戒任務はほぼグライドバイクだったな。その襲撃も奴らが船で逃げた事で、二度目はおそらくなさそうじゃ。サラマンダーは大きすぎるか」
「ですよね。サラマンダーは悪路でも走れますけど、それでもほとんどまともな道がない離島では使いにくいと思いますよ。あの島、狭くて湿地も多いですしね」
「う~む」
要求される最低限の仕様は、飛行速度は速く、それなりの搭載量があり、垂直離着陸が可能。
この三つか。
そこで僕はガラハットさんに一つ提案する。
「ガラハットさん。今後離島でサラマンダーを並べてバリケードとして使う機会は、ほぼなさそうですよね」
「うむ。逃げた奴らが戻る可能性は低いし、たとえ戻ったとしても、今の島民なら撃退可能じゃろうしな」
何故なら、残った島民の多くが魔大陸のダンジョンを使ったブートキャンプを行ったからね。
スキルもレベルも、あの島を支配していた族長達とは大人と子供くらいの差が出来た。装備だって支給したので、二度と旧支配者達の横暴を許す事はないだろう。
「ならサラマンダーの代わりに、小型の装甲車両を新しく造ればいいんじゃないですか。それなら輸送機側のハッチも小さく出来るでしょうし、結果、輸送機の大きさもコンパクトに出来ると思うんです」
僕はサラマンダーに代わる新しい小型の装甲車両を提案した。中型の輸送機を造る話が、小型の装甲車両を造る話になっているけれど仕方ない。
そもそも離島に駐屯する聖域騎士団の人数は少ないんだから、サラマンダーは必要ない。もっと小型のもので十分だろう。
「……小型のサラマンダーか。いいかもしれんな」
「ですよね。小型なら、道のない場所や湿地では、なんならグライドバイクみたいに低空を滑空させる事も出来ます。普段は、魔力を節約するため頑丈なタイヤか、無限軌道での走行にすればいいんじゃないですか」
「ふむ。ありじゃな。操縦士一人と観測士一人、あと十人も運べれば十分か」
「ですね」
「ではイルマ殿、その線でお願い出来るか?」
「了解です。小型のサラマンダーと中型輸送機でいきましょう」
ハマーやハンヴィーくらいのサイズがあれば十分じゃないかな。
あのくらいのサイズなら多少重くても、そんなに魔力を使わず浮かせられるだろうしね。
装甲車両だから、デザイン的にはラーテルみたいな感じにしようかな。まあ、デザインはあとでいいか。
その後、ガラハットさんと、中型輸送機と小型のサラマンダーは何台必要か、装備する武装に関してなどの相談を少しして解散となった。
「はぁ、またノームの鉱山通いか……仕方ないか」
中型輸送機は、二機で離島の駐屯地と聖域を行き来するので、最低二機必要なんだけど、ガラハットさんから聖域にも四機ほど欲しいと言われた。
まあ、当然だと思う。
で、小型のサラマンダーも四つある騎士団に各二台ずつ欲しいとお願いされ、僕の鉱山通いが決定したというわけだ。
さて、ほどほどに頑張りますか。
おっと、その前に、子供達の顔を見ておくかな。
2 次回作
僕が中型輸送機と小型のサラマンダーの構想を練り始めた頃、サマンドール王国やトリアリア王国も疫病騒ぎが落ち着き始めていた。
勿論、影響がほぼなかったユグル王国やノムストル王国は早期に普段通りの生活に戻っていたし、事前に対策をしていたバーキラ王国やロマリア王国も、収束は早かった。
とはいえ、何処の国も疫病による死者がゼロだったわけじゃない。国民の生活が困窮した地域もあり、どんよりとした空気に包まれているのはどうしようもない。
そんな暗い空気を何とかしようと動き出したのがアカネだった。
嫌な予感しかしない。
案の定、リビングに入ってきたアカネがとんでもない事を言い出した。
「えっ!? 次回作!」
「そう。大陸規模の疫病流行が終息したとは言っても、対策が上手くいったバーキラ王国やロマリア王国でさえ、それなりに犠牲者が出たでしょう。そのせいで暗くなっている世間の雰囲気をどうにかしようと思ってね」
「いやいやいや、それと次回作とどう繋がるんだよ」
どうやらアカネは、映画の次回作を撮るつもりらしい。
まあ、疫病のせいで皆んなが大変というのは分かる。
いや、サマンドール王国で大変なのは国民だけか。国王はポーションでかなり儲けたみたいだもんな。
「……まさかうちの子供達が主演じゃないよな?」
「何言ってるのよ! エトワールと春香、フローラの三人が主役に決まってるじゃない! あの子達が出演するだけで大ヒット間違いなしなんだから!」
やっぱりエトワール、春香、フローラの三人を出演させるつもりみたいだ。
いやいや、もうバーキラ王国やロマリア王国産の作品も出来るだろうし、わざわざ僕達が作品を提供する必要はないと思う。
「子供達のプライバシーは? その前に、ソフィアやマリア、マーニは反対するんじゃないか?」
そう言って反対側のソファーでそれぞれの第二子のセルト、ユーリ、クルスを抱いてあやすソフィア達を見る。
「また父上や母上が喜びますね」
「録画した映像、もらえないですかね?」
「獣人族の地位向上に役立てばいいのですが」
「み、皆んな、前向きだね」
「「「はい」」」
僕の願いは叶わず、ソフィア、マリア、マーニの三人は乗り気のようだ。
確かに三人は前回の桃太郎擬きがお気に入りで、いまだに聖域の映画館に観に行っているのは知っていた。
聖域の住民にも人気なんだよな。
超ロングラン上映だよ。
そんな事もあり、聖域内でも次回作を望む声は多いんだとか。
ただ、学校の勉強、聖域の子供達との遊びやそれぞれの趣味、弟達との触れ合いと、色々と忙しいエトワール達が嫌がるんじゃないだろうか。
前回は物珍しさから楽しげだったけれど、子供は飽きるのが早いからね。
だけどアカネから返ってきたのは、僕の望みとは違う言葉だった。
「あの子達もやる気満々よ」
「へっ?」
アカネが視線を振ると、そこにはわいわいと楽しそうに話し合うエトワールや春香、フローラがいた。
「わたしのセリフ多くない?」
「エトワールお姉ちゃんだったら大丈夫じゃない。フローラなら難しいかもだけど」
「もう! その通りだけど、春香もそんなに変わらないよ!」
リビングの床に敷かれたラグの上に寝転び、何やら台本のようなものを開いて、はしゃぐ子供達。
どう見ても嫌々には見えない。
アカネの言うように、やる気満々みたいだね。
もう、新しい映画への出演自体は諦めるしかないと思い、なら次回作はどんな物語をベースにするのかアカネに聞く。
「……はぁ、分かったよ。で、今度は何のお話にするの?」
前回は桃太郎だ。三人の娘が、犬、猿、雉役の聖域騎士団の団員を従え、鬼(オーガ)を退治するというストーリーだった。
わざわざ魔大陸までロケに向かい、本物の魔物を相手にした撮影だったから、次回作も少し不安なんだ。
「フッフッフッ、それは完成してからのお楽しみよ」
「えっ!? 教えてくれないの?」
「試写会には招待してあげるわ」
「いやいや、教えてよ」
「だーめ」
アカネは秘密だと言って、頑として教えてくれない。
試写会に招待なんて当然じゃないか。
僕とアカネが話していると、ソフィアがアカネに話しかける。
「アカネさん。例の衣装なのですが」
「ああ、今デザインを描いてるところなの。完成したら出演者全員の採寸ね。それから製作になるわ」
「分かりました。小道具や小物の方もお願いしますね」
「それもあったわね。分かったわ。そっちは職人に振るから」
ソフィアとアカネは、次回作の衣装や小道具類の話をしていた。そんなの聞いたら、余計に気になるじゃないか。
「ねぇ、ヒントくらいはいいんじゃない?」
「ダメよ。試写会を楽しみにしてなさい」
「秘密ニャ」
「はぁ、分かったよ」
どうにも教えるつもりはなさそうだ。アカネだけじゃなくルルちゃんにまで言われちゃった。
これはもう僕にはどうしようもなさそうだ。
すると、アカネが僕に近づき、耳元で小さな声で話しかける。
「そんな事より、あの子達の誕生日プレゼントは、もう考えているの?」
「あっ!!」
「ほらっ、タクミは映画の事よりそっちをちゃんとしなさい」
「わ、分かったよ」
や、やばい。二度の神託とかあって、色々と忙しくて忘れてた。
エトワール、春香、フローラ。
三人同じ誕生日ってわけじゃないけれど、ほぼ近い日にちだから、毎年誕生日パーティーは一緒にしているんだ。
当然、誕生日プレゼントもその時に渡している。
今アカネに言われるまで、エトワール達の誕生日がもうすぐだって忘れてたよ。
危なかったぁ~。
因みに、この世界に誕生日パーティーなんて習慣はない。
貴族の子息子女は、お披露目としてパーティーを開くらしいけれど、それも毎年っていうわけじゃないそうだ。
多分、幼い子供の死亡率が高い世界なので、ある程度成長するまで祝うって事をしないんだと思う。
貴族や、裕福な商人や職人は別にして、子供の体調が悪くなった時に、治癒院や教会で治療するなんて無理なんだろうな。
創世教の教会があって、なおかつ光属性魔法が使える神官がいれば、貧困層でも診てもらえるだろうが、教会がない村や集落もある。
ただ、僕の子供達は、毎年誕生日を祝っている。
いや、聖域は誕生日パーティーの習慣が根付いたと言っていいかな。
ここでは、新生児の死亡率は驚異のゼロだ。創世教の神官が多く、なんと言っても僕とアカネがいるし、光の大精霊セレネーの顕現する地だからね。
誕生日パーティーが流行るのは時間の問題だった。
加えてアカネから指摘が入る。
「だいたいガラハットさんからも何か頼まれているんでしょう?」
「うっ」
「聖域騎士団の方は、ちゃんとした仕事なんだから。そっちを忘れてるんじゃないの」
「わ、忘れてはないよ」
「なら、お忙しいタクミは、さっさと工房なり鉱山なりに行きなさい」
「はぁ。わ、分かったよ」
映画どころじゃないだろうというアカネの言い分はもっともで、中型輸送機と小型装甲車を造らないといけないんだから、さっさと行けと尻を叩かれてしまった。
台本らしきものを広げて、キャイキャイ楽しそうなエトワール達をチラッと見る。
ああ、気になる。
ソファーではアカネとソフィア、マリア、マーニが、衣装や小道具の打ち合わせを始めている。
なんだろう、この疎外感。
はぁ、中型輸送機と小型装甲車は勿論だけど、子供達の誕プレも考えないとな。
3 工房でも一人
中型輸送機を造るにも小型装甲車を造るにも、とりあえず素材となるアダマンタイトやミスリルが必要になる。
今回の中型輸送機と小型装甲車は造る台数が多いので、在庫だけじゃ心許ない。となると行く場所は決まっている。
「はぁ、聖域の中とはいえ、一人で鉱山は寂しいな」
コツコツとノームの鉱山で採掘しながら、思わずぼやいてしまう。
エトワール達は、映画の次回作にノリノリみたいだし、アカネやソフィア達もそっちに力を入れているからな。
仕方ないので、僕は黙々と採掘するんだけど、とはいえ、考えないといけない事が多い。
エトワール達の誕生日プレゼント。
装備とかじゃダメなんだろうな。
もう装備は子供には勿体ないくらいの一流の物をあげているもの。新しく造るとしても、せめてもう少し体が大きくなってからだ。
遊び道具も、自転車どころかミニグライドバイクまで与えている。
プレゼントの方向性を変えないと。
ベタにぬいぐるみとかどうかな。
女の子だから着せ替え人形とかでもいいかもしれない。大きな家に、小さな動物の人形。シル◯ニアファミリーみたいなのも喜ぶかも。
コマとか竹馬とかは、男の子のオモチャっぽいけど、ありか。
ケン玉も作ってみようかな。
……さて、エトワール達の誕生日プレゼントも重要だけど、ガラハットさんから依頼されている中型輸送機と小型装甲車も、いつまでも放っておけない。
「はぁ、さっさと掘ろう」
一人で寂しいからか、思考があっちこっち行っちゃうな。
今回は数を造らなきゃいけないから集中して掘ろう。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
『お前の針仕事など誰でもできる』——なら社交界のドレスの裏地を、めくってごらんなさい
歩人
ファンタジー
「地味な針仕事しかできない令嬢は要らない」——公爵家の嫡男にそう言い渡された伯爵令嬢ティナは、
裁縫道具だけを持って屋敷を出た。その翌週、社交界が凍りつく。王妃の夜会服も、公爵令嬢の舞踏会
ドレスも、第一王女の外交用ローブも——仕立てた職人が消えたのだ。しかもティナが十年かけて縫った
全てのドレスの裏地には、二重縫いで隠された署名が残されていて——。
辺境の小さな仕立て屋で穏やかに暮らすティナの元に、王都から使者がやってくる。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

