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8巻
8-3
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3 結婚式 その1
聖域の東にある街、バロルに豪華な馬車が続々と集まってくる。
ユグル王国の国王、王妃、宰相のバルザ様が、護衛の騎士とともにバロルに入っていった。国家の重要人物が総出で国を空ける事になるんだけど、エルフの国には長老衆というのがいるので大丈夫なのだそうだ。
ダンテさんとフリージアさんは、直接聖域に来る予定なんだけど、ダーフィはどうなるのかな……
ロマリア王国からは、ユグル王国と同じように国王と王妃、宰相のドレッド様が護衛の近衛騎士を連れてやって来た。バーキラ王国も同様で国王と王妃、宰相のサイモン様、更にボルトン辺境伯とロックフォード伯爵が家族を連れてバロルに入る。
パペックさん達とかバラックさん達とかが来ているかはわからない。各国の国王達は大勢なのでわかりやすいんだけど。
ここで、ちょっとしたトラブルが発生した。招待状を送っていない貴族や豪商が集まり始めたのだ。その中に、以前ソフィアを狙っていたホーディア伯爵がいるようだ。何か問題を起こさないか、僕よりもユグル王国の国王やバルザ様がピリピリしていた。
各国の招待者達はバロルで休息を取ったあと、聖域の出島にある宿泊施設に移動する事になっている。
時を同じくして、聖域の西の港に、アキュロスの女王フラールと側近の鬼人族リュカさんが到着したと連絡が入った。フラール女王のお供はリュカさん一人のみらしい。
宿泊施設の中では、エルフや人魚族の人達が忙しく動き回り、出迎えの準備をしてくれている。
なお、式には聖域のみんなが参加する予定だ。
ケットシーのマッボ・ポポロ夫婦、ミリ・ララ姉妹。
猫人族の兄妹のワッパとサラ。
人族の姉妹コレットとシロナ。
エルフで果樹園の管理をお任せしている親子、母のメルティーさんと姉のメラニーと妹のマロリー。
西の村で漁業と製塩業を任せている人魚族のフルーナさん。
当然、ドガンボさんを始めとするドワーフ達も出席する。
あとで色々言われるだろうけど、有翼人族も出席予定だ。ちょっと前に天空島からベールクト、バルカンさん、バルザックさんが到着し、出島の宿泊施設ではなく僕達の屋敷に泊まっている。
◆
バロルの高級宿の一室で、エルフの種族特性である端整な容姿は何処へ行った? と問い詰めたくなるほど醜く太った豚のようなエルフが怒鳴っている。
「おい! どういう事だ! 伯爵たる儂が招待されんなんて! 何とかしろ!」
ユグル王国貴族、ホーディア伯爵である。
最近始まった聖域との交易の益を得ようと、彼は様々な手を使っていたが、当然上手くいっていない。また、事あるごとに聖域へ侵入しようとしていたが、成功した試しはなかった。
エルフでありながら精霊に見放された彼が、聖域の結界を抜けられるわけがないのだ……
「クソッ! ソフィアは儂の物になるべき女だ! 人族などには勿体ないわ! 国王やミーミル王女は気でも触れたか?」
「…………」
王族への暴言を吐くホーディア伯爵に、部下達は距離を取り出す。
これまで彼は、金とコネの力で好き勝手にしてきた。だが、とうとう誰も庇いきれなくなっていた。今では宰相のバルザ指揮のもと、ホーディア伯爵がしてきた不正や犯罪行為の証拠集めが行われているのだ。
だが、それを知らぬは、誠実さを母の胎内に忘れてきたと陰口される本人のみだった。
邪な考えを持って集まってきたのは、ホーディア伯爵だけではない。
強欲な商会、盗賊、闇ギルドも聖域を目指していた。
ただし、バーキラ王国、ロマリア王国、ユグル王国の三ヶ国の王族が集結するとあって、三ヶ国は合同で治安維持の部隊を編成している。それによって大量の悪人が捕縛されていった。あまりに大量の捕縛者が出たため、その一部は、タクミが作った城塞都市ウェッジフォートへ送られている。
このように、ただの平民であるタクミの結婚式は、好むと好まざるとにかかわらず、多くの人々の注目を集めるのだった。
◆
質素な馬車が、未開地に出来たばかりの真新しい街道を走っている。
ユグル王国の下級貴族、シルフィード家の馬車だ。
「…………」
馬車の中には、シルフィード家当主のダンテ、妻のフリージア、それと固い表情で一言も話す事なく押し黙る青年がいる。姉のソフィアにプライドをへし折られた、弟のダーフィである。
ダンテがダーフィに声をかける。
「ダーフィ、くれぐれも態度には気を付けるのだぞ。挙式にはフォルセルティ王のみならず、王妃様やバルザ宰相も出席なさるのだ。この間のような態度は許されんぞ」
「…………」
先日のソフィアとの諍いのあと、ダンテはダーフィに繰り返し態度を改めるように言った。肝心のダーフィに、その言葉は一切届いていなかったが。
ダーフィは今、懐に短剣を忍ばせている。しかも、その刃には毒が塗られていた。
(これで傷さえ付ければ……)
ダーフィの頭の中には、それしかなかった。
ターゲットはタクミ。姉が失って一番悲しみ苦しむ対象は、タクミだと考えたのだ。
(聖域の中なら、姉も奴の護衛に付きっきりという事はないだろう。ましてや結婚式だ。花嫁は準備に忙しい……)
ダーフィは間違いに気付いていない。
彼は、タクミが戦えないと思い込んでいた。多くのステータスでダーフィを大きく上回っているというのに。
それだけでなく、大精霊を始めとする精霊達が、聖域の中での暴挙を許すはずがなかった。だが、精霊の声が聞こえないダーフィが、それに思い至る事はない。
やがて聖域を囲う防壁が見えてきた。
「……これは凄いな」
「……ええ。何て立派な防壁なんでしょう。王城の物よりも立派かもしれないわ」
「…………」
結界に阻まれ、中の様子が覗えなかった聖域が徐々に明らかになっていく。
なお、張り巡らされた防壁と堀は、聖域の防備が鉄壁である事を示すために、敢えて見えるようになっていた。
馬車が街道に沿って、真っすぐ進んでいく。
聖域は精霊に認められた者しか入れないと認知されているが、未だに強引に入ろうとする者はあとを絶たない。今も、我も我もと有象無象が集まってきている。
結界の境い目までたどり着くと、奇妙な光景が目に入ってきた。結界を越えて中に入ったはずの馬車が、方向を変えて出ていくのだ。
これは、聖域の入り口に仕掛けられている特別な結界「試しの門」。不適切な者を押し返す結界になっているのである。
その様子を横目に見つつ、シルフィード家の馬車は結界を越えていく。
何事もなく通り抜けたかに思えたが、実は大精霊によるチェックを受けていた。
ダーフィが懐に忍ばせていた毒が塗られた短剣が、いつの間にか消えていたのである。外して置いてあったダーフィの剣もその姿を消している。
結界を通り抜けた事にホッとするダーフィが、そうした異変に気付くのはもう少しあとの事だった――
結界を通り抜け、少し走ると堅固な門が見えてきた。
門の両脇には、2メートル50センチの全身鎧を着込んだようなゴーレムがおり、仁王立ちして門を護っている。
さっきの結界を通り抜けた馬車は少なく、シルフィード家の順番が来るまで時間はかからなかった。
ふと遠くに見えた、出島にある豪華な宿泊施設に、ダンテが声を上げる。
「……これは、あそこに滞在するのか?」
「いえ、私達はここじゃないわ」
「?」
フリージアはダンテの言葉を否定すると、更に続ける。
「この先の門を抜けて、聖域の中心部にあるタクミさんの屋敷にお世話になるそうよ」
「……精霊が知らせてくれたのか?」
「あなたも落ち着いていれば聞こえたはずよ。深呼吸でもしたらどう?」
フリージアに言われ、顔を赤くするダンテ。
同じく精霊の声が聞こえていなかったダーフィは、自分が平静ではなかったから精霊の声が聞こえなかったのだと勘違いする。
警備ゴーレムのチェックを抜け、出島を通って聖域に入る。
ダンテ達の目に、巨大な精霊樹が見えてきた。
ダンテとダーフィが呆然として精霊樹を見上げる。
「「…………」」
「……何て清浄な空気なんでしょう」
フリージアは聖域の空気を吸い込み、その心地よさを堪能する。
精霊を見る事が出来るエルフにとって、聖域は奇跡の土地だった。聖域の中心部へ延びる道を馬車で進みつつ、彼らは声を上げる。
「……何て精霊の数だ」
「……世界樹周辺と比べても多いわ」
「…………」
もともとこの土地は、濃い魔素が漂う魔境だった。それにもかかわらず、土地は浄化され、豊かな緑に溢れている。精霊の泉からは、清らかな水が渾々と湧き出ていた。
ここは精霊が集まってくるだけの場所ではない。今では、新しい精霊の生まれる地となっているのだ。
精霊を見て感動するダンテとフリージアを尻目に、ダーフィは一人焦っていた。
彼はこの時になって初めて、精霊を見られなくなっている事、その声すら聞けなくなっている事に気付いたのだ。
(ど、どういう事だ! 何故なんだ!)
表情には出さないようにしているが、背中には冷たい汗が流れ、身体は震えていた。
それからダーフィは、懐の短剣がなくなっている事に気付いた。それが意味するのは、精霊が自分を監視しているという事である。
ダーフィは怯えながら、頭を振って考えを巡らす。
(剣や短剣が使えなくても、魔法による不意打ちがある……)
そう思い至った時、体内で魔力が練れない事に気が付き、ダーフィは愕然とする。なお、これはシルフィード家の名の由来となった大精霊、シルフが一時的に封じたためである。
ダーフィの混乱をよそに、シルフィード家の馬車は更に進んでいく。
この世界ではなかったであろうレベルの大聖堂や音楽堂といった建築物を見て、ダンテとフリージアは、あんぐりと口を開けていた。
「……精霊の泉に精霊樹……ここは楽園なのか?」
「泉に映る精霊樹が幻想的で素敵ですね」
やがてタクミの屋敷に到着した。
馬車からダンテとフリージアが降り、あとから悄然とした様子のダーフィが降りた。
迎えに出てきたタクミ、ソフィア、そして何故かその場にいた神々しい存在を見て、三人は思わずその場に両膝をつき、祈り始めてしまった。
◇
シルフに、ダンテさんとフリージアさんの馬車がもうすぐ到着すると教えてもらったので、僕、タクミとソフィアは屋敷の外で出迎える事にした。
「ソフィアの弟君、悪さしようとしてたから、魔力を封じておいたわよ」
「シルフ様、申し訳ございません」
ダーフィが何か仕掛けようとしていたみたいだとシルフから教えられ、ソフィアが謝る。
出迎えに出た僕とソフィアの横には、シルフ、ウィンディーネ、ドリュアスが並んでいるんだけど、これだとダンテさん達が緊張しちゃうんじゃないだろうか。
「一応、何も出来ないように精霊達が見張っているし、あとは放置で大丈夫だと思うわ」
「本人も心が折れてるみたいだしね」
ウィンディーネとドリュアスがそう言うって事は、ダーフィの心が折れるほど、何かしたんだろうな。
早速現れたダンテさん達は、いきなり土下座し出してしまった。シルフ、ウィンディーネ、ドリュアスが呆れたように言う。
「いつまでも頭を下げてちゃ話も出来ないじゃない」
「そうよ。それに私達が偉そうにしているみたいよね」
「ふふっ、楽にしてもいいのですよ」
ダンテさんがガチガチになりながら声を発する。
「は、はい。大精霊様にお会い出来て。光栄の極みでございます」
「…………」
一方、ダンテさんの横のダーフィは石像にでもなったのかというように固まっていた。これじゃ埒が明かないので、僕はソフィアに相談する。
「ソフィア、ミーミル様に来てもらう?」
「そうですね。ミーミル様にシルフ様達との緩衝材になっていただければ、父上や母上も少しは気が楽になるかもしれませんね」
その後、ダンテさん達をなんとか屋敷の中へ連れていき、御者を務めていた人と侍女の二人は、それぞれの部屋で休んでもらう。
その間、ソフィアにミーミル様を呼びに行ってもらったんだけど――
結果、ダンテさん達の緊張が増しただけだったな。
そういえばミーミル様って、ユグル王国の王女だったよ。自国の王女と同席なんて緊張するのも当たり前か。
4 結婚式 その2
防壁と堀に囲まれた、聖域の出島に足を踏み入れたロマリア王族達が、一様に目を見開く。
「……ドレッド、以前視察に来た時とは、まったく様子が違うな」
「……そ、そうですな」
「陛下、あれが滞在する場所なのですね? とても素敵な建物ではないですか」
ロマリア王と宰相のドレッドが、以前行われた三ヶ国での視察時にはなかった、隔離された土地と宿泊施設を見て驚く。王妃は純粋に嬉しそうにしていた。
なお、隔離された場所だという事で、招待された王族や貴族達は、身の回りの世話をする侍女や護衛の騎士を連れてくるのを許されている。
タクミやドワーフ達によって細かな部分までこだわって作られた宿泊施設は、王族といえど溜息を吐くほど見事だった。
「陛下、このソファーの座り心地……素晴らしいですわ。購入出来ないか聞いていただけません?」
「ふむ……確かに座り心地が抜群であるな」
豪華な室内にチェックインして寛ぐロマリア王と王妃は、その部屋の調度品の数々に見惚れ、ソファーやベッドの質の高さに驚いていた。
◆
ロマリア王達が聖域の宿泊施設に到着した次の日、バーキラ王国の王族、ボルトン辺境伯、ロックフォード伯爵が聖域に到着した。
「……おいおい、サイモン。聖域には、こんな豪華な宿泊施設があったのか?」
「……いえ、私が以前視察に来た時にはなかったはずです」
「陛下、素晴らしい建物ですわね。建物自体もですが、建物を飾る彫刻や装飾も王城よりも上じゃないかしら」
馬車を降りたバーキラ王と宰相のサイモンが驚き、王妃は建物の素晴らしさに目を輝かせて喜んでいる。
続いて、ボルトン辺境伯とロックフォード伯爵の一行が宿泊施設に入る。ロックフォード伯爵の娘エミリアと、その母親であるローズ夫人が黄色い声を上げる。
「きゃー! お母さま! 猫さんです! 猫さんがいます!」
「まあ! 何てかわいい!」
「ローズもエミリアも落ち着きなさい!」
ロックフォード伯爵は、はしゃぐ二人を叱りつける。
ローズ夫人とエミリアの視線の先にいたのは、宿泊施設のスタッフとして働いているケットシーだった。
「猫人族ではないですよね?」
「そうね。ほとんど猫ちゃんですものね」
「はぁ。ローズ、エミリア、あの子達はケットシー族だ。この大陸ではほとんど見る事が出来ない、稀少な種族なんだよ」
ロックフォード伯爵がそう言うと、ボルトン辺境伯も感心したように口にする。
「流石は聖域という事か。稀少な種族がいても不思議ではないのだろうな」
チェックインを済ませて、それぞれの部屋に案内されるボルトン辺境伯とロックフォード伯爵一行。
彼らは、自分達の屋敷よりも豪華な部屋に、驚くよりも呆れるのだった。
◆
せっかくの豪華な部屋に、落ち着かない者もいた。
「なぁ、マーサ。本当に俺達がこんな部屋に泊まってもいいのか?」
「タクミちゃんが案内してくれたんだから大丈夫だよ。食事もルームサービスなら、レストランでお偉いさんに会わなくて済むって言ってただろう」
ボード村のバンガとマーサである。
二人は迎えに来たタクミに聖域へ連れてこられ、宿泊施設の部屋にチェックインしたところだった。
王族や貴族用の部屋よりもグレードは低いのだが、それでも王都やボルトンの高級宿よりも豪華である。
ボード村から出た事のない二人には、何から何まで初めての体験だ。トイレやお風呂の使用方法は、タクミから説明された。
二人は座り心地のよすぎるソファーに座り、高級な茶葉の紅茶を飲み、気持ちを落ち着かせようと頑張っていた。
◆
バーキラ王国でも有数の商会となった、パペック商会のパペックとトーマスは、豪華な部屋にも流石に萎縮する事はなかった。
だが、それでも初めて見るゴシック様式の建物や芸術的な彫刻や装飾には、目を奪われていた。
「……トーマス、我が商会で扱えませんかね?」
「……見事な調度品や彫刻ですね。イルマ様だけではなく、ドワーフの名工が関わっているのではないでしょうか」
「……タクミ様はお忙しいから無理でしょうね。いや、少しくらいなら……ですが、我が商会のために無理は言えませんね……」
パペックは建物、彫刻、調度品を食い入るように見ながらぶつぶつと独り言を言い、ウロウロと宿泊施設の中を歩き回る。
「会頭、落ち着いてください。今回は、イルマ様の結婚式が目的です。その手のお話は後日にしてください」
「むっ、むぅ~、それもそうか。仕方ないな」
トーマスに諌められ、渋々自分達の部屋に引き揚げるパペック。
商魂逞しい彼が、結婚式が終わったあと、タクミに商談を持ちかけたのは言うまでないだろう。
5 結婚式 その3
大聖堂に、招待客と聖域の住人が一様に揃っている。彼らは、主役の登場を今か今かと待っていた。
彼らは皆、大聖堂の外観に圧倒されたあと建物内に足を踏み入れ、ステンドグラスに囲まれた荘厳な内観に更に圧倒されていた。
バーキラ王国の王妃が王にねだる。
「……陛下、王都の教会もお願い出来ないかしら?」
「い、いや、費用が……」
これほどの教会を建てようとすると、その費用はとんでもない事になる。実際には、タクミが石材や木材などを元に魔法で錬成したのでお金はかかっていない。しかし、普通に作れば簡単には頷けない額になるだろう。
その後、招待客達がそれぞれの席に着く。
大聖堂には、多種多様な種族が勢揃いしている。
ボルトン辺境伯とロックフォード伯爵が声を潜めて話す。
「ボルトン卿、あれは魔族ではないのか?」
「ロックフォード卿、向こうには白い翼のある種族もいるぞ」
魔大陸からの招待客であるフラール女王、有翼人族のバルカンとバルザックの姿があった。
ちなみに、稀少種族である人魚族も出席している。だが、人化している状態では人族と見分けがつかない。
出席者でなくても、ヴァイオリンなどの楽器の演奏者としてエルフや獣人族がおり、この空間には、この世界に存在するあらゆる種族が揃っていた。
聖域の東にある街、バロルに豪華な馬車が続々と集まってくる。
ユグル王国の国王、王妃、宰相のバルザ様が、護衛の騎士とともにバロルに入っていった。国家の重要人物が総出で国を空ける事になるんだけど、エルフの国には長老衆というのがいるので大丈夫なのだそうだ。
ダンテさんとフリージアさんは、直接聖域に来る予定なんだけど、ダーフィはどうなるのかな……
ロマリア王国からは、ユグル王国と同じように国王と王妃、宰相のドレッド様が護衛の近衛騎士を連れてやって来た。バーキラ王国も同様で国王と王妃、宰相のサイモン様、更にボルトン辺境伯とロックフォード伯爵が家族を連れてバロルに入る。
パペックさん達とかバラックさん達とかが来ているかはわからない。各国の国王達は大勢なのでわかりやすいんだけど。
ここで、ちょっとしたトラブルが発生した。招待状を送っていない貴族や豪商が集まり始めたのだ。その中に、以前ソフィアを狙っていたホーディア伯爵がいるようだ。何か問題を起こさないか、僕よりもユグル王国の国王やバルザ様がピリピリしていた。
各国の招待者達はバロルで休息を取ったあと、聖域の出島にある宿泊施設に移動する事になっている。
時を同じくして、聖域の西の港に、アキュロスの女王フラールと側近の鬼人族リュカさんが到着したと連絡が入った。フラール女王のお供はリュカさん一人のみらしい。
宿泊施設の中では、エルフや人魚族の人達が忙しく動き回り、出迎えの準備をしてくれている。
なお、式には聖域のみんなが参加する予定だ。
ケットシーのマッボ・ポポロ夫婦、ミリ・ララ姉妹。
猫人族の兄妹のワッパとサラ。
人族の姉妹コレットとシロナ。
エルフで果樹園の管理をお任せしている親子、母のメルティーさんと姉のメラニーと妹のマロリー。
西の村で漁業と製塩業を任せている人魚族のフルーナさん。
当然、ドガンボさんを始めとするドワーフ達も出席する。
あとで色々言われるだろうけど、有翼人族も出席予定だ。ちょっと前に天空島からベールクト、バルカンさん、バルザックさんが到着し、出島の宿泊施設ではなく僕達の屋敷に泊まっている。
◆
バロルの高級宿の一室で、エルフの種族特性である端整な容姿は何処へ行った? と問い詰めたくなるほど醜く太った豚のようなエルフが怒鳴っている。
「おい! どういう事だ! 伯爵たる儂が招待されんなんて! 何とかしろ!」
ユグル王国貴族、ホーディア伯爵である。
最近始まった聖域との交易の益を得ようと、彼は様々な手を使っていたが、当然上手くいっていない。また、事あるごとに聖域へ侵入しようとしていたが、成功した試しはなかった。
エルフでありながら精霊に見放された彼が、聖域の結界を抜けられるわけがないのだ……
「クソッ! ソフィアは儂の物になるべき女だ! 人族などには勿体ないわ! 国王やミーミル王女は気でも触れたか?」
「…………」
王族への暴言を吐くホーディア伯爵に、部下達は距離を取り出す。
これまで彼は、金とコネの力で好き勝手にしてきた。だが、とうとう誰も庇いきれなくなっていた。今では宰相のバルザ指揮のもと、ホーディア伯爵がしてきた不正や犯罪行為の証拠集めが行われているのだ。
だが、それを知らぬは、誠実さを母の胎内に忘れてきたと陰口される本人のみだった。
邪な考えを持って集まってきたのは、ホーディア伯爵だけではない。
強欲な商会、盗賊、闇ギルドも聖域を目指していた。
ただし、バーキラ王国、ロマリア王国、ユグル王国の三ヶ国の王族が集結するとあって、三ヶ国は合同で治安維持の部隊を編成している。それによって大量の悪人が捕縛されていった。あまりに大量の捕縛者が出たため、その一部は、タクミが作った城塞都市ウェッジフォートへ送られている。
このように、ただの平民であるタクミの結婚式は、好むと好まざるとにかかわらず、多くの人々の注目を集めるのだった。
◆
質素な馬車が、未開地に出来たばかりの真新しい街道を走っている。
ユグル王国の下級貴族、シルフィード家の馬車だ。
「…………」
馬車の中には、シルフィード家当主のダンテ、妻のフリージア、それと固い表情で一言も話す事なく押し黙る青年がいる。姉のソフィアにプライドをへし折られた、弟のダーフィである。
ダンテがダーフィに声をかける。
「ダーフィ、くれぐれも態度には気を付けるのだぞ。挙式にはフォルセルティ王のみならず、王妃様やバルザ宰相も出席なさるのだ。この間のような態度は許されんぞ」
「…………」
先日のソフィアとの諍いのあと、ダンテはダーフィに繰り返し態度を改めるように言った。肝心のダーフィに、その言葉は一切届いていなかったが。
ダーフィは今、懐に短剣を忍ばせている。しかも、その刃には毒が塗られていた。
(これで傷さえ付ければ……)
ダーフィの頭の中には、それしかなかった。
ターゲットはタクミ。姉が失って一番悲しみ苦しむ対象は、タクミだと考えたのだ。
(聖域の中なら、姉も奴の護衛に付きっきりという事はないだろう。ましてや結婚式だ。花嫁は準備に忙しい……)
ダーフィは間違いに気付いていない。
彼は、タクミが戦えないと思い込んでいた。多くのステータスでダーフィを大きく上回っているというのに。
それだけでなく、大精霊を始めとする精霊達が、聖域の中での暴挙を許すはずがなかった。だが、精霊の声が聞こえないダーフィが、それに思い至る事はない。
やがて聖域を囲う防壁が見えてきた。
「……これは凄いな」
「……ええ。何て立派な防壁なんでしょう。王城の物よりも立派かもしれないわ」
「…………」
結界に阻まれ、中の様子が覗えなかった聖域が徐々に明らかになっていく。
なお、張り巡らされた防壁と堀は、聖域の防備が鉄壁である事を示すために、敢えて見えるようになっていた。
馬車が街道に沿って、真っすぐ進んでいく。
聖域は精霊に認められた者しか入れないと認知されているが、未だに強引に入ろうとする者はあとを絶たない。今も、我も我もと有象無象が集まってきている。
結界の境い目までたどり着くと、奇妙な光景が目に入ってきた。結界を越えて中に入ったはずの馬車が、方向を変えて出ていくのだ。
これは、聖域の入り口に仕掛けられている特別な結界「試しの門」。不適切な者を押し返す結界になっているのである。
その様子を横目に見つつ、シルフィード家の馬車は結界を越えていく。
何事もなく通り抜けたかに思えたが、実は大精霊によるチェックを受けていた。
ダーフィが懐に忍ばせていた毒が塗られた短剣が、いつの間にか消えていたのである。外して置いてあったダーフィの剣もその姿を消している。
結界を通り抜けた事にホッとするダーフィが、そうした異変に気付くのはもう少しあとの事だった――
結界を通り抜け、少し走ると堅固な門が見えてきた。
門の両脇には、2メートル50センチの全身鎧を着込んだようなゴーレムがおり、仁王立ちして門を護っている。
さっきの結界を通り抜けた馬車は少なく、シルフィード家の順番が来るまで時間はかからなかった。
ふと遠くに見えた、出島にある豪華な宿泊施設に、ダンテが声を上げる。
「……これは、あそこに滞在するのか?」
「いえ、私達はここじゃないわ」
「?」
フリージアはダンテの言葉を否定すると、更に続ける。
「この先の門を抜けて、聖域の中心部にあるタクミさんの屋敷にお世話になるそうよ」
「……精霊が知らせてくれたのか?」
「あなたも落ち着いていれば聞こえたはずよ。深呼吸でもしたらどう?」
フリージアに言われ、顔を赤くするダンテ。
同じく精霊の声が聞こえていなかったダーフィは、自分が平静ではなかったから精霊の声が聞こえなかったのだと勘違いする。
警備ゴーレムのチェックを抜け、出島を通って聖域に入る。
ダンテ達の目に、巨大な精霊樹が見えてきた。
ダンテとダーフィが呆然として精霊樹を見上げる。
「「…………」」
「……何て清浄な空気なんでしょう」
フリージアは聖域の空気を吸い込み、その心地よさを堪能する。
精霊を見る事が出来るエルフにとって、聖域は奇跡の土地だった。聖域の中心部へ延びる道を馬車で進みつつ、彼らは声を上げる。
「……何て精霊の数だ」
「……世界樹周辺と比べても多いわ」
「…………」
もともとこの土地は、濃い魔素が漂う魔境だった。それにもかかわらず、土地は浄化され、豊かな緑に溢れている。精霊の泉からは、清らかな水が渾々と湧き出ていた。
ここは精霊が集まってくるだけの場所ではない。今では、新しい精霊の生まれる地となっているのだ。
精霊を見て感動するダンテとフリージアを尻目に、ダーフィは一人焦っていた。
彼はこの時になって初めて、精霊を見られなくなっている事、その声すら聞けなくなっている事に気付いたのだ。
(ど、どういう事だ! 何故なんだ!)
表情には出さないようにしているが、背中には冷たい汗が流れ、身体は震えていた。
それからダーフィは、懐の短剣がなくなっている事に気付いた。それが意味するのは、精霊が自分を監視しているという事である。
ダーフィは怯えながら、頭を振って考えを巡らす。
(剣や短剣が使えなくても、魔法による不意打ちがある……)
そう思い至った時、体内で魔力が練れない事に気が付き、ダーフィは愕然とする。なお、これはシルフィード家の名の由来となった大精霊、シルフが一時的に封じたためである。
ダーフィの混乱をよそに、シルフィード家の馬車は更に進んでいく。
この世界ではなかったであろうレベルの大聖堂や音楽堂といった建築物を見て、ダンテとフリージアは、あんぐりと口を開けていた。
「……精霊の泉に精霊樹……ここは楽園なのか?」
「泉に映る精霊樹が幻想的で素敵ですね」
やがてタクミの屋敷に到着した。
馬車からダンテとフリージアが降り、あとから悄然とした様子のダーフィが降りた。
迎えに出てきたタクミ、ソフィア、そして何故かその場にいた神々しい存在を見て、三人は思わずその場に両膝をつき、祈り始めてしまった。
◇
シルフに、ダンテさんとフリージアさんの馬車がもうすぐ到着すると教えてもらったので、僕、タクミとソフィアは屋敷の外で出迎える事にした。
「ソフィアの弟君、悪さしようとしてたから、魔力を封じておいたわよ」
「シルフ様、申し訳ございません」
ダーフィが何か仕掛けようとしていたみたいだとシルフから教えられ、ソフィアが謝る。
出迎えに出た僕とソフィアの横には、シルフ、ウィンディーネ、ドリュアスが並んでいるんだけど、これだとダンテさん達が緊張しちゃうんじゃないだろうか。
「一応、何も出来ないように精霊達が見張っているし、あとは放置で大丈夫だと思うわ」
「本人も心が折れてるみたいだしね」
ウィンディーネとドリュアスがそう言うって事は、ダーフィの心が折れるほど、何かしたんだろうな。
早速現れたダンテさん達は、いきなり土下座し出してしまった。シルフ、ウィンディーネ、ドリュアスが呆れたように言う。
「いつまでも頭を下げてちゃ話も出来ないじゃない」
「そうよ。それに私達が偉そうにしているみたいよね」
「ふふっ、楽にしてもいいのですよ」
ダンテさんがガチガチになりながら声を発する。
「は、はい。大精霊様にお会い出来て。光栄の極みでございます」
「…………」
一方、ダンテさんの横のダーフィは石像にでもなったのかというように固まっていた。これじゃ埒が明かないので、僕はソフィアに相談する。
「ソフィア、ミーミル様に来てもらう?」
「そうですね。ミーミル様にシルフ様達との緩衝材になっていただければ、父上や母上も少しは気が楽になるかもしれませんね」
その後、ダンテさん達をなんとか屋敷の中へ連れていき、御者を務めていた人と侍女の二人は、それぞれの部屋で休んでもらう。
その間、ソフィアにミーミル様を呼びに行ってもらったんだけど――
結果、ダンテさん達の緊張が増しただけだったな。
そういえばミーミル様って、ユグル王国の王女だったよ。自国の王女と同席なんて緊張するのも当たり前か。
4 結婚式 その2
防壁と堀に囲まれた、聖域の出島に足を踏み入れたロマリア王族達が、一様に目を見開く。
「……ドレッド、以前視察に来た時とは、まったく様子が違うな」
「……そ、そうですな」
「陛下、あれが滞在する場所なのですね? とても素敵な建物ではないですか」
ロマリア王と宰相のドレッドが、以前行われた三ヶ国での視察時にはなかった、隔離された土地と宿泊施設を見て驚く。王妃は純粋に嬉しそうにしていた。
なお、隔離された場所だという事で、招待された王族や貴族達は、身の回りの世話をする侍女や護衛の騎士を連れてくるのを許されている。
タクミやドワーフ達によって細かな部分までこだわって作られた宿泊施設は、王族といえど溜息を吐くほど見事だった。
「陛下、このソファーの座り心地……素晴らしいですわ。購入出来ないか聞いていただけません?」
「ふむ……確かに座り心地が抜群であるな」
豪華な室内にチェックインして寛ぐロマリア王と王妃は、その部屋の調度品の数々に見惚れ、ソファーやベッドの質の高さに驚いていた。
◆
ロマリア王達が聖域の宿泊施設に到着した次の日、バーキラ王国の王族、ボルトン辺境伯、ロックフォード伯爵が聖域に到着した。
「……おいおい、サイモン。聖域には、こんな豪華な宿泊施設があったのか?」
「……いえ、私が以前視察に来た時にはなかったはずです」
「陛下、素晴らしい建物ですわね。建物自体もですが、建物を飾る彫刻や装飾も王城よりも上じゃないかしら」
馬車を降りたバーキラ王と宰相のサイモンが驚き、王妃は建物の素晴らしさに目を輝かせて喜んでいる。
続いて、ボルトン辺境伯とロックフォード伯爵の一行が宿泊施設に入る。ロックフォード伯爵の娘エミリアと、その母親であるローズ夫人が黄色い声を上げる。
「きゃー! お母さま! 猫さんです! 猫さんがいます!」
「まあ! 何てかわいい!」
「ローズもエミリアも落ち着きなさい!」
ロックフォード伯爵は、はしゃぐ二人を叱りつける。
ローズ夫人とエミリアの視線の先にいたのは、宿泊施設のスタッフとして働いているケットシーだった。
「猫人族ではないですよね?」
「そうね。ほとんど猫ちゃんですものね」
「はぁ。ローズ、エミリア、あの子達はケットシー族だ。この大陸ではほとんど見る事が出来ない、稀少な種族なんだよ」
ロックフォード伯爵がそう言うと、ボルトン辺境伯も感心したように口にする。
「流石は聖域という事か。稀少な種族がいても不思議ではないのだろうな」
チェックインを済ませて、それぞれの部屋に案内されるボルトン辺境伯とロックフォード伯爵一行。
彼らは、自分達の屋敷よりも豪華な部屋に、驚くよりも呆れるのだった。
◆
せっかくの豪華な部屋に、落ち着かない者もいた。
「なぁ、マーサ。本当に俺達がこんな部屋に泊まってもいいのか?」
「タクミちゃんが案内してくれたんだから大丈夫だよ。食事もルームサービスなら、レストランでお偉いさんに会わなくて済むって言ってただろう」
ボード村のバンガとマーサである。
二人は迎えに来たタクミに聖域へ連れてこられ、宿泊施設の部屋にチェックインしたところだった。
王族や貴族用の部屋よりもグレードは低いのだが、それでも王都やボルトンの高級宿よりも豪華である。
ボード村から出た事のない二人には、何から何まで初めての体験だ。トイレやお風呂の使用方法は、タクミから説明された。
二人は座り心地のよすぎるソファーに座り、高級な茶葉の紅茶を飲み、気持ちを落ち着かせようと頑張っていた。
◆
バーキラ王国でも有数の商会となった、パペック商会のパペックとトーマスは、豪華な部屋にも流石に萎縮する事はなかった。
だが、それでも初めて見るゴシック様式の建物や芸術的な彫刻や装飾には、目を奪われていた。
「……トーマス、我が商会で扱えませんかね?」
「……見事な調度品や彫刻ですね。イルマ様だけではなく、ドワーフの名工が関わっているのではないでしょうか」
「……タクミ様はお忙しいから無理でしょうね。いや、少しくらいなら……ですが、我が商会のために無理は言えませんね……」
パペックは建物、彫刻、調度品を食い入るように見ながらぶつぶつと独り言を言い、ウロウロと宿泊施設の中を歩き回る。
「会頭、落ち着いてください。今回は、イルマ様の結婚式が目的です。その手のお話は後日にしてください」
「むっ、むぅ~、それもそうか。仕方ないな」
トーマスに諌められ、渋々自分達の部屋に引き揚げるパペック。
商魂逞しい彼が、結婚式が終わったあと、タクミに商談を持ちかけたのは言うまでないだろう。
5 結婚式 その3
大聖堂に、招待客と聖域の住人が一様に揃っている。彼らは、主役の登場を今か今かと待っていた。
彼らは皆、大聖堂の外観に圧倒されたあと建物内に足を踏み入れ、ステンドグラスに囲まれた荘厳な内観に更に圧倒されていた。
バーキラ王国の王妃が王にねだる。
「……陛下、王都の教会もお願い出来ないかしら?」
「い、いや、費用が……」
これほどの教会を建てようとすると、その費用はとんでもない事になる。実際には、タクミが石材や木材などを元に魔法で錬成したのでお金はかかっていない。しかし、普通に作れば簡単には頷けない額になるだろう。
その後、招待客達がそれぞれの席に着く。
大聖堂には、多種多様な種族が勢揃いしている。
ボルトン辺境伯とロックフォード伯爵が声を潜めて話す。
「ボルトン卿、あれは魔族ではないのか?」
「ロックフォード卿、向こうには白い翼のある種族もいるぞ」
魔大陸からの招待客であるフラール女王、有翼人族のバルカンとバルザックの姿があった。
ちなみに、稀少種族である人魚族も出席している。だが、人化している状態では人族と見分けがつかない。
出席者でなくても、ヴァイオリンなどの楽器の演奏者としてエルフや獣人族がおり、この空間には、この世界に存在するあらゆる種族が揃っていた。
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