いずれ最強の錬金術師?

小狐丸

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七話 違い過ぎる実力

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 入学から二日目。本格的に授業がスタートする。

「エトワール、春香、フローラ、おはよう!」
「お、おはよう」
「あっ、サティとシャルル。おはよう!」
「おはよう!」
「おっはよう!」

 エトワール達に声を掛けたのは、同じクラスのサティとシャルル。

 エトワールと春香、フローラも笑顔で挨拶を交わす。

 そこに慌てて教室に入って来た二人。

「ま、間に合った。あ、おはよう皆んな」
「待ってよユークス。あ、おはよう」

 パペック商会会頭のパペックの孫ユークスと、王都の中堅商会の次男ルディだ。



 それぞれ決められた席に着くと、早速授業の話になる。ユークスがエトワール達に聞く。

「確かエトワール達は魔法や武術の授業を取らないんだったよね」
「それがねぇ」
「一回だけ受けて欲しいって頼まれちゃったんだよね」
「そうそう」
「えっ!? 誰に?」

 昨日、学ぶべき授業がないと言っていたエトワールが、ユークスの問いに微妙な顔をし、春香が魔法や武術の授業を一度だけ受けて欲しいと頼まれたと言う。

 驚くユークスが、誰から頼まれたのか聞くと、驚きの学園長から頼まれたと言う。

「えっと、どうしてそうなったのか、怖くて聞きたくないんだけど」
「サティちゃん。怖いってどういう事?」
「それをこれから聞くんじゃない」

 エトワールは、興味津々のサティに昨日あった事を話す。

 だいたいエトワール達三姉妹で、この手の話をするのはエトワールの役目だ。

「何よそれ! トリアリアの貴族って、馬鹿なの!」
「お、落ち着いてサティちゃん」

 昨日の顛末をエトワールから聞いたサティが立ち上がって怒り、それをシャルルがなだめる。

「でもエトワールさん達に、正気とは思えないね」
「エトワールさん達にってのは分からないけど、よくそんな人を留学させたよね」

 パペックの孫であるユークスは、祖父であるパペックからタクミの武勇伝を含め色々と聞いている。それだけに、そのタクミの娘達に喧嘩どころか、奴隷にしてやる発言が信じられなかった。

 ルディの家は、王都に店を持つ商会だが、パペック商会の先に居るタクミをよく知らない。ルディの父親なら少しは知っているかもしれないが、息子にまで情報共有は出来ていないようだ。

「学園の中には、録画機能の付いた監視カメラの魔導具が有るの知らないんだろうな」
「何処が悪いのか分からない感じだったから、監視カメラが有っても無かっても一緒だったと思うわよ」

 ユークスは、この学園の至る所に録画機能付き監視カメラの魔導具が設置されているのを知っていた。当然だ。パペック商会が扱っているのだから。

 ただエトワールは、ハジンの言動から根本的な問題だと思っていた。あの手の子供を、この国に留学させた方に問題があるのだ。せめて最低限のこちらの情報とルールを教えておくべきだ。

 商人の息子だけあり、ルディの興味は監視カメラの魔導具に移る。

「その魔導具ってユークスの所で扱っている商品だろう? 少しは家の商会にも回してくれって父さんが言ってたよ」
「お祖父ちゃんがイルマ様の魔導具を他の商会に回すなんてないだろうな」
「えっ!? イルマ様?」

 魔導具の話の中で、ユークスの口からイルマとエトワール達の姓が出ると、ルディは困惑の声を上げる。

「何だ。ルディ、知らなかったのか? エトワールさん達のお父さんが、パペック商会躍進の原動力になった魔導具の製作者だよ」
「「「ええぇぇぇぇーー!!」」」

 ユークスから聞かされ叫んだのは、ルディだけじゃなく、サティとシャルルも一緒だった。

「凄い! 超お金持ちじゃない!」
「サティちゃん、そこじゃないと思うよ」

 エトワール達が、タクミの娘だと知って最初の一言が間違ってるとシャルルに突っ込まれるサティ。実際、大陸の富が集まり過ぎるのに苦労しているタクミを知っているエトワールは苦笑いするしかない。

 更に話を聞こうとサティがしようとした時、学園のチャイムが鳴り、授業の始まりを告げる。

「あっ、もう授業の時間ね。仕方ない。話はまた後でね」
「まだするんだ」

 残念と話を切り上げるサティ。だが続きはまた後でするみたいだとユークス達が呆れ顔になる。普通科は今日も平和な時間が流れていた。







エトワール視点

 パパの話で皆んなが驚いてたけど、私達からしたら娘に激甘なパパだ。

 でもパパが一番強くて凄いって、聖域の皆んなが知っている。

 それで授業だけど、学科はやっぱり簡単過ぎて退屈でしかなかったわ。こんなレベルでバーキラ王国大丈夫かしら。まあ、私達はバーキラ王国の国民じゃないから関係ないんだけどね。

「はぁ、やっと武術の実技だねお姉ちゃん」
「フローラ、やり過ぎはダメよ。皆んなとはレベルもスキルも違い過ぎるんだから」
「ぶぅ~、分かってるよ」

 武術の実技授業の為に、闘技場に向かう私達だけど、教室でストレスが溜まってたフローラがウキウキしているので、一応釘を刺しておく。

 実技の授業は、普通科だけじゃなく他の科と合同だから、あまり目立つのもね。



 闘技場で私達普通科の授業は、それぞれの得意な武器を持って、武術教師と打ち合い、アドバイスをもらいながら技術アップに努めるというもの。

 ……どの教師も私達姉妹に近付かないのはどうかと思うわ。

「自習って、もう教師失格だと思うのは私だけかしら」
「だよね。確かに、どの先生も弱そうだけど……」
「うーん。体を一杯動かせるとおもったのに~」

 私の愚痴に春香とフローラも不満を漏らす。

 こうなったら近衛騎士団の人達と訓練できないかしら。

「仕方ないわね。三人で模擬戦しましょう」
「どういう設定にする?」

 私が春香とフローラに三人で模擬戦をしようと誘うと、春香からどんな設定でするか聞かれ少し考える。

 私達の中で、身体能力が一番高いのはフローラだけど、春香はその差を技術で埋める。私はと言うと、流石に身体能力では春香にも勝てない。ただ、魔力での身体強化技術は私が頭一つ抜けている。春香は良い意味でオールラウンダーだから隙が無い。

「三人同時にしましょうか」
「うん。それがいいかも」
「やった。面白そう」

 有利不利はあるけど、三人が入り乱れての乱戦なら良い勝負が出来そう。

 それぞれに模擬戦用の武器を取り出す。

 私は自分の身長よりも少し長い棒。魔法使いタイプの私は、パパから杖術と棒術、槍術を学んだ。この棒の長さは、パパが私専用に造ってくれた長杖に合わせてある。

 春香は、マリアママの得意武器と同じ槍。オールラウンダーの春香は、パパに剣術や体術も習っているけど、やっぱり基本使うのは槍が多い。

 そしてフローラは、マーニママみたいに多彩な武器と体術が持ち味。今手にしているのは二本の短剣。今日は手数で勝負する気らしい。聖域じゃ、大きな刃物のオバケみたいなのを振り回してた時もあったわね。



 一旦、三人が等間隔に距離を取り、そして突然加速し模擬戦が開始される。


 模擬戦だから全力っていう訳じゃないし、魔法も使わないけれど、大きな怪我をしないギリギリの加減。私達三姉妹、何時も一緒に過ごしたからこそ出来るレベルの訓練。

 だんだんと模擬戦へと集中していく。

 勿論、それでも周囲に気を配るのは忘れない。家のママは、そういうところ厳しいから。

 でも私に限定すれば、不意打ちはほぼ通用しない。そんな時には精霊が教えてくれるから。

 フローラは、別の意味で不意打ちに強い。兎人族ならではの耳の良さと、獣人族ならではの五感を潜り抜けての不意打ちは難しい。

 そんな中、種族的に平凡だと言われる人族の春香は、パパとマリアママから受け継いだ才能を努力で磨き、まだ子供と呼べる歳で高いレベルで武術を身に付けた。



 カンカンと甲高い音が闘技場に響く。

 不規則に鳴る攻防をあらわす音が、だんだんと激しくなっていく。

 私達姉妹三人での模擬戦は久しぶりだけど、そこは同じ歳の姉妹だけあり、息はぴったり合っているわ。

 聖域では、パパやママ達みたいな私達よりも強い相手ばかりと訓練してたけど、たまには姉妹でするのも楽しいわね。

「そこ!」

 カンッ!

「甘い!」

 ガッ!

「ヤァ!」

 カカンッ!

 フローラがドンドンのりのりになってくるのが分かる。よっぽどストレス溜まってたのかしら。

 確かに王都では、聖域みたいに駆け回るなんて無理だものね。

 フローラは、姉妹一番の元気っ子だから、聖域では森を草原を山を海岸を駆け回り飛び回ってた子だから。

 春香も槍捌きは流石ね。

 パパに似てオールラウンダーの春香だけど、マリアママ直伝の槍が一番得意のような気がする。

 でも、私だって簡単に負けないわよ。




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