不死王はスローライフを希望します

小狐丸

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4巻

4-2

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 四話 会談


 魔王ヴァンダードが乗る馬車の隊列に、国境付近から合流した馬車があった。
 馬車に乗っているのは、魔王国の第二王子、ダーヴィッドだ。
 現在、魔王国の難民の草原地帯への大規模な移送はいったん終了しているが、ダーヴィッドは今も定期的に魔王国と草原地帯を往復している。
 難民たちの中から不埒ふらちやからが出るのは、シグムンドを怒らせかねないのでまずい。そのためダーヴィッドは定期的に、移住後の難民の様子を確認しているのだ。
 草原地帯に行く途中にある最後の宿泊地で、久しぶりにダーヴィッドとヴァンダードは親子での会話をしている。

「父上、緊張されてるのですか?」
「ウッ……さすがにな」

 ヴァンダードはげんなりした表情で答えた。
 ダーヴィッドは、こんな父親を見たことがない。
 すかさずイグリスが、ヴァンダードにフォローを入れる。

「殿下、それは仕方ないですよ。セブール殿やリーファじょうですら、我らよりずっと格上なのに、その主人であるシグムンド殿となれば、我らでは測りきれませんからな」
「そうだぞダーヴィッド。相手は神話やお伽話とぎばなしで語られる古竜よりも上の存在だ。今までの行動から、理不尽に暴力を振るうような御人ごじんではないと思うが、一つ間違えれば魔王国など消し飛ぶのだぞ」
「まあ、確かにそうですね」

 ダーヴィッドはヴァンダードの言葉に頷きながら、シグムンドの城塞都市を守るゴーレムを思い出す。
 門を守る金属製のゴーレムだけでなく、都市内で農作業をしているウッドゴーレムですら、ダーヴィッドよりもはるかに強いのだから、ヴァンダードが緊張するのも仕方ないとダーヴィッドは考えた。
 武力面で魔王国トップに君臨くんりんするヴァンダードでも、門を守るゴーレムや、城塞都市内を巡回警備するゴーレムに勝てないんじゃないのかと感じるほど、シグムンドの所のゴーレムは強いのだ。
 シグムンドが作るゴーレムは、ダーヴィッドたちからすれば、だいぶおかしく感じられる。
 城塞都市内のゴーレムはもとより、門を守る普段動かないゴーレムも明らかに自我を持っている。
 錬金術師れんきんじゅつしや魔法使いが操るゴーレムに、普通自我など存在しない。シグムンドのゴーレム作りは、もう生命の創造みたいなものではとダーヴィッドは思っていた。
 それに、あの城塞都市付近には厄災やくさい級の魔物、グレートタイラントアシュラベアのアスラもいる。

「僕はあれ――アスラというとんでもない存在と邂逅かいこうしてますから、草原に竜が居座ってると聞いても父上よりショックは少なかったです。アスラを見ていない状態で、それらより格上のシグムンド殿に会うというのは、会見が二回目であろうと父上でもキツイのですね」

 そう呟くダーヴィッドに、イグリスが言う。

「そういえば殿下は、グレートタイラントアシュラベアを間近に見てましたな」
「ああ、亡くなったお祖父様が可愛く感じるレベルの存在なんて、この世にいないって思ったんだけどね……」
「しかしアスラを見た俺でも、竜にはビビりました。なので陛下が竜以上の存在であるシグムンド殿に緊張するのは当然でしょうね」

 無言のヴァンダードを横目に、そんな会話するイグリスとダーヴィッド。

「でも陛下。たぶん心配いりませんよ。シグムンド殿はジーラッド聖国の奴らと比べれば、はるかに穏やかで理性的ですから」
「僕はシグムンド殿には直接会ってませんが、今も我が国が頼りにしているセブール殿の主人なのですから、心配ないと思います」

 イグリスとダーヴィッドが、ヴァンダードに適当な励ましの言葉を掛ける。

「う、うむ……」

 さっきまで緊張して当然と言っていたのに、今度は無責任に心配ないと言われ、ヴァンダードは反応に困ってしまった。
 それはさておき、ヴァンダードは感心していた。どちらかといえば文官向きで、魔王国では軽く扱われがちだったダーヴィッドが、少し見ないうちにたくましくなったからだ。
 イグリスは語らう親子二人を、嬉しそうに見守っていた。
 魔王国では、国で最強の存在が王になる風習がある。
 現時点では、第一王子のバーグも、第二王子のダーヴィッドも、魔王にふさわしいとは言えない。
 ダーヴィッドの方は少し逞しくなったとはいえ、まだまだヴァンダードやイグリスはおろか、文官のアバドンや宰相のデモリスにさえ実力で遠く及ばないのだ。
 ただヴァンダードの種族は、魔族の中でも長寿ちょうじゅだ。時間はたくさんある。
 ダーヴィッドに死ぬ気で鍛錬たんれんさせれば、数十年後には魔王になれるのではとイグリスは思ったのだった。
 悲報。ダーヴィッド、数十年にわたりスパルタで鍛えられることが決定したもよう。




 ◇


 魔王がわざわざ俺――シグムンドに会いに来るらしいと分かって、迎賓館を作った次の日。
 今日はいよいよ、その魔王との会談当日だ。
 何か準備が必要かセブールに聞いてみたら「必要ございません」って言うだけだった。
 ところで今日の俺は普段の服じゃなく、装備品を身に着けている。
 前回はリーファと、人間そっくりのオートマタであるブラン、ノワールが仕立てた服を着て魔王に会った。
 でも今回はブランやノワールに、この装備がいいと着せられたんだ。デザインが俺にふさわしいんだって。
 確かに、ちょっと吸血鬼っぽい威圧感があるかもな。
 服の上下とコートは、俺が昔攻略したダンジョン、深淵の迷宮の最下層で入手したものだ。深淵の迷宮でドロップしたんだから、神話級に近いアイテムと言えるだろう。
 それはさておき、今日ここには、俺、セブール、リーファの三人以外に、他の眷属たちも来ている。
 こちらが三人では魔王国に比べてあまりにも人数が少ないとセブールが言うので、普段はどちらか一人が必ず森の拠点にいるブランとノワールや、あまり草原地帯まで来ることの少ないゴーレムのクグノチまで参加している。
 この世界では会談の際に両陣営の人数を揃えないと格式が損なわれるらしく、それを防ぐためにわざわざ来たらしい。
 まあ、これだけいても人数を同数くらいにするのは無理なんだけどな。
 向こうはなんといっても魔王だ。護衛や身の回りの世話をする人間を合わせると、お忍びといえど大人数になる。

「この人数では、まだ少なく感じますな」

 セブールがそう文句を言った。
 人数を揃えないと格式が保てないルールのこと、えらく気にしてるな。
 森で引き篭もり生活をしてた俺にとっては、これで十分に大人数だと感じられるんだが。
 ダンジョンにもぐってたのを入れれば、百年どころの単位じゃなくボッチだったんだ。ずいぶんと人が増えたとしみじみと思う。まあ、ほとんどは俺が作ったゴーレムやオートマタなんだけどさ。

「いやセブール、もうこのくらいでいいって」
「いえ、旦那様ならもっと使用人や護衛がいてしかるべきです。人間の眷属を増やしては?」

 俺とセブールが話していると、リーファも会話に加わる。

「でもお祖父様、人間の眷属を作っても、森で使うのは難しいと思います。ご主人様の眷属となっても、もとが普通の人間では……」

 リーファは人を増やすのに賛成だけど、うちで働くのは普通の人間では難しいという意見らしい。
 手っ取り早く人間を眷属にしても、俺が完璧に安全確保した上でパワーレベリングしないと深淵の森じゃ生き残れないから、リーファの言う通りかもな。
 それに、誰彼なしに眷属にするのはなぁ。
 俺的には何百人でも眷属にするだけの余裕はあるが、なんのきずなもない人間を眷属にとは思えない。
 俺の血と魔力を分け与えて作る「血の眷属」なら人数の制限はもっとゆるいんだが、そっちは俺的にもっとハードルが高い。
 血の眷属にすると、吸血鬼の最上種であるバンパイアロードの亜種であるエレボロスに、種族を変化させしまうからな。しかもそのせいで、不死まではいかないが不老になる。

「リーファ、眷属にするにあたって、もとの力量は考えなくとも大丈夫です。ミルーラ嬢やララーナ嬢の守護をするシロとクロは、もともとはただの子猫こねこですよ」
「それもそうですね。でも、できればブランやノワールみたいに、ご主人様のお力で生み出された存在の方がいいと思います」

 セブールとリーファが、勝手にどんな眷属がいいか語り合っている。
 けどそもそも俺は、人数増やさなくていいんだが。

「ま、まあ、とりあえずこの件は会談が終わったら考えるよ」
「私は、少し知り合いを当たってみましょう」

 眷属はもういいっていう俺の気持ちを分かってないみたいで、セブールは魔王国から眷属候補を探す気のようだ。
 まあセブールは魔王国の中枢ちゅうすうで長く働いてきただけに、有能な人材とのコネがあるんだろう。
 ただ、森の拠点での仕事を受けてもらうのは難しそうだ。会ってすぐに俺の眷属になんか、なりたくないだろうし。
 そうこうしているうちに、俺の魔法による広域探知に、ここに近付く魔王の馬車の隊列が引っかかった。

「魔王ヴァンダードは、第二王子のダーヴィッドと一緒に来たみたいだな。イグリスとラギアさんもいる」

 俺から遅れること少し、セブールとリーファも彼らを探知したようだ。

「陛下の護衛ですから、イグリス殿とラギアが率いる精鋭を連れてきたようですな」
「お母さんもご苦労様ね。この前来てたばかりなのに」
「いえリーファ。ラギアは娘に会えるのですから、喜んでいるでしょう」

 全然関係ない話だけど、俺はもっと探知範囲を広げることは可能だ。それこそこの大陸どころか、オオ爺サマたちの故郷の南の大陸まで広げたって負担はない。ただ広げすぎると察知できるものが膨大ぼうだいになるので、わずらわしいからめったにしない。
 それはさておき、出迎えをしなきゃな。
 俺はリーファとセブールに魔王たちの案内をお願いする。

「じゃあ段取り通りよろしく」
「はい。かしこまりました」
「はい。では、私はクグノチと向かいます」

 ところで今回、迎賓館にはわざわざ円卓を用意したんだ。どちらが上座かみざだとか、決めるの面倒だしな。
 セブールやリーファたちの認識では、俺が下座しもざなんて考えられないらしいけど……俺はどっちでもいいからめないようにしたい。
 さて、魔王と二度目のご対面といこうか。


 ◇


 魔王ヴァンダードはイグリスとラギアをともない、城塞都市にある迎賓館のような建物へと到着していた。
 魔王たちが今いる迎賓館もだが、到着した直後にチェックインした宿も、魔王が宿泊してもなんら問題ない立派なものだった。
 そしてこの迎賓館は、大きさは小さいものの、魔王国にはない格式の高い建物だと魔王国一行には感じられる。ちなみに部屋にある円卓も、ヴァンダードたちは初めて目にするものだった。
 魔王国では、ただただ無駄に巨大な魔王城を見れば分かるように、建造物に芸術的なセンスは望めない。それは脳筋のうきんな者が多く、性格が大雑把という魔族の気質のためだ。
 ヴァンダードたちが迎賓館に感心しつつ、しばらく待機していると、彼らがいる部屋にシグムンドがやって来た。
 シグムンドを目にして、ヴァンダードはその背中に大量の汗をかく。
 自分の父親であり絶対的な強者だった先代魔王バールが羽虫と思えるほど、恐ろしい存在感を持つ超越者がそこにいたからだ。
 前回会った時以上の存在感をシグムンドから感じ、ひざまずきたくなる衝動を必死に抑えるヴァンダード。
 ヴァンダードにとって不運なことに、今日のシグムンドは神話級のアイテムをたくさん装備している。
 シグムンドの完璧な魔力操作により、彼から漏れ出す魔力で周囲が圧倒されることはない。
 だがシグムンドの存在感は、古竜を超えるレベルだ。だから、ヴァンダードが神を前にしたのと近しい気持ちになるのも仕方ないのだった。



 五話 ひとまず顔合わせ


 俺――シグムンドは、魔王ヴァンダード、イグリス、ラギアさん、それと護衛が二人いる部屋で、魔王国との会談を始めた。
 魔王の護衛がありえないくらい少ないのは、お忍びでの来訪ということもあるが、お互いの陣営の人数を揃えないと格式が保てないルールがあるから俺に気をつかったんだろうな。
 その魔王は相変わらず、俺のイメージする魔王そのままな「ザ・魔王」って雰囲気で、会うのが二度目にもかかわらず、思わずテンションが上がったよ。
 もちろん、それを顔には出さないけどな。ポーカーフェースは得意なんだぜ。
 おっと、魔王の顔から血の気が引いて、引きつってる? 俺の魔力操作は完璧なはずだけどな。
 その時、セブールから念話が届く。

(旦那様。魔力を控えるだけではなく、ごく軽く気配を抑えていただけませんか)
(ほんの少しでいいのか?)
(はい)

 セブールに言われた通り、ほんの少し気配を抑えてみる。
 すると、魔王は落ち着いたみたいだった。
 もともと俺は魔力を抑えているし、気配も極力抑えている。そうしないと周りに対する影響が大きいからな。
 ただミルやララたちは俺の眷属になったから、魔力や気配から悪い影響は受けないみたいだ。それに孤児院の子供たちや教会のシスターたちも、俺がここまで抑えなくても平気だ。
 そんなことを思っていると、セブールが推測ですがと前置きしつつ教えてくれた。

(おそらく、旦那様が庇護ひごする者たちと、そうでない者たちとの立場の違いなのでしょう)
(ふーん。そんなのが影響するのか)

 それにしたって、前に魔王と森の近くで会談した時は、こんなにおびえてなかったと思うんだけどな。
 けどそういえば、今日は深淵の迷宮で手に入れた装備を身に着けているから、そのせいもあるかもしれないな。何度か顔を合わせているイグリスも、なんか緊張しているみたいだし。
 俺がボンヤリとそんなことを考えていると、魔王が口を開く。

「シグムンド殿、突然の会談に応じていただき申し訳ない」

 そして驚いたことに、魔王自ら俺に礼を述べてきた。
 これにはセブールも、ほんの一瞬驚いた様子を見せる。魔王国側がものすごく下手したてに出ているのが分かるからな。
 まあでも、魔王自らこんな所まで足を運んで会談を望んでるんだ。このくらいかしこまるのは普通なのか? 前回は、どちらかといえば対等な感じだったんだがな。
 でも俺は前世も今世も平民なので、不敬かもしれないが普通にしゃべらせてもらう。堅苦しいのは苦手だ。

「遠い所、わざわざありがとうございます。話があれば、こちから出向きましたよ」

 こうしてお互い簡単に挨拶を済ませたところで、魔王が本題に入る。

「今回、我が自ら来たのは、この草原地帯に飛来した古竜がきっかけではあるが、この機会にシグムンド殿と話し合おうと考えたためだ。我は深淵の森を含め、この草原地帯をシグムンド殿の治める土地と定めたいと考えている」

 つまり、魔王国という国家の立場として、大陸の東側が俺の領土だと認めるってことか。結構思いきった話だな。
 イグリスたちも、ヴァンダードの発言に驚いてるみたいだ。

「ほぉ、森はともかく、草原地帯もでございますか?」

 セブールも、少し眉を上げて驚いている。

「セブール、そなたなら分かると思うが、深淵の森は魔族だとしても足を踏み入れることは叶わぬ土地だ。その深淵の森から近いこの草原地帯も、シグムンド殿が開拓しなければ定住できる土地ではなかった。このような城塞都市を築くなど、魔王国はもちろんとして、どこの国でもなしえない。シグムンド以外はなしえないのだから、シグムンド殿の治める地と考えるほかないだろう」
「ですが旦那様は、国王どころか領主ですらございませんぞ」
「魔王国を含めた大陸西側の諸国が力を合わせても、シグムンド殿の勢力には敵わぬ。なら深淵の森と草原はシグムンド殿の土地であると定め、友好的な関係を築くことを目指すのが、為政者いせいしゃとしての務めだと我は思う」

 大陸西方で、最大の版図はんとほこる魔王国が下手に出すぎな気がするのは俺だけだろうか。
 結局、この日の会談は顔合わせと、魔王国側の要望を聞いてお開きとなった。
 俺たちから魔王国への注文はない。魔王国であれ、西方諸国や遊牧民ゆうぼくみんであれ、森の拠点近くを荒らしたり、この草原地帯に俺が作った城塞都市や城へちょっかいをかけたりしなければ、俺としてはどうぞご自由にって感じなんだ。
 ただ、セブールやリーファは、また少し考えていることが違うようで、この際、魔王国が認めた深淵の森と草原地帯を俺たちの縄張なわばりとして、聖国を除く西方諸国にも認めさせるつもりらしい。
 まあ、その辺は二人にお任せだ。
 こうして簡単な顔合わせ程度の会談が終わった後、セブールが明日の予定を伝えてくる。

「ヴァンダード殿たちがオオ爺サマへの挨拶を済ませた後、彼らには草原地帯の視察をしていただく予定です」
「俺は行かなくてもいいのか?」
「はい。向こうも旦那様が側にいると、気が休まらないと思いますので」
「まあ、確かに緊張してたもんな。仕方ないか」
「その後の細かな話し合いは、私にお任せください」
「とりあえず、何か困ったことがあったら念話で知らせてくれればいいよ」

 細かい話ってなんだ? と思ったけど、魔王国から何やら他にもお願いがあるらしい。
 魔王国からは、ここの孤児院や教会を運営する人手を派遣してもらったこともあるし、西方諸国連合からの移民の取りまとめも頼んでいる。
 だからよほど無茶なことでなければ、別に構わない。
 いやでも、一応現時点で確認しておくか。

「ところで、お願いってのはなんなんだ?」
「おそらく、深淵の森外縁部での素材採取や、魔物討伐の許可。それに加え、森の中心部で採取できる薬草や魔物素材の取引のお願いでしょうな。森の中心部では、我々以外が活動するのは難しゅうございます。ですので、魔王国は我らとの交易をお望みかと」
「俺たちに迷惑がかからなければ、自由にすればいいんじゃないか?」

 眷属たちのパワーレベリングをしたので、魔物素材は山ほどストックがある。
 俺に限定しても、空間収納と影収納の両方に、大量の魔物素材やダンジョンで手に入れたアイテムが入っているから、在庫処分ができるならありがたい。
 ちなみに空間収納は内部の時間が止まっている代わりに生物がしまえなくて、影収納は内部の時間が止まってない代わりに生物がしまえるという魔法だ。

「まあでも、とにかくセブールに任せるよ」
「承知いたしました。あまりランクの高い魔物素材を渡すのは考えものですしな」

 深淵の森じゃないと手に入れることができない素材で、自力では手に入れることが無理めなものは、加減しながら取引を提示した方がいいよな。お世話になったにしても、あまり高ランクなものを譲る義理はない。
 その辺のさじ加減は、セブールに丸投げだ。
 だけど、オオ爺サマとの面会だけは立ち合おうかな。
 さっき俺がいない方がいいとは言われたし、古竜という存在が魔王国にやられるとも思えないけど、古竜たちがうちのお客人……もといお客竜である以上、何かあったら困るしさ。


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