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源太郎鎧に拘る
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永禄元年(1558年)十二月 桑名城
小氷河期のこの時代、冬の寒さは厳しいが、伊勢や尾張は比較的温暖な気候である。
史実ではそれもあり、尾張と美濃を支配した、織田信長が大軍を維持する事が出来たのだが。
桑名城周辺の砦や、支城の整理と改修も進んでいる。特に、揖斐川の治水工事は源太郎が積極的に土魔法で推し進めた。
急ピッチで築城と城下町の開発が進む桑名で、源太郎は工房に籠り、自分用の鎧を作っていた。
源太郎が造る鎧なので、当然普通の鎧になる訳がない。前世で散々見て来た、ファンタジー世界の鎧の影響が色濃く出ていた。
兜と鎧はオリハルコン合金製で、赤龍の鱗が貼られている。そのデザインは既に南蛮鎧の範疇を超え異世界風になっている。
袖とショルダーアーマーが融合した様な、肩装甲。重なる装甲の縁取りの金のモールは、ヒヒイロカネが使われている。
籠手もどちらかと言えばガントレット風だ。
兜も日本風でも南蛮風でもない、龍の顔が造形されて、龍の鼻先と頭横から角が突き出ている。
その姿は、特撮ヒーローに近いかもしれない。
「うわぁ、歌舞伎ましたねぇ~」
源太郎が出来上がった鎧を前に、シルエットを確認していると、大之丞(大宮景連)、小次郎(芝山秀時)、新左衛門(大嶋親崇)が工房に入って来た。
「当然、私達の分も造ってくれますよね。私の縁取りは銀でお願いします」
「若が、三本角だったら、私は一本角で良いです」
小次郎と新左衛門がそれぞれに注文をつける。
「お前達図々しいぞ、源太郎様を何だと思ってるんだ。それで私は二本角で、縁取りは黒でお願いします」
「いや、大之丞もいるのかよ」
「当然です。どうせ騎馬部隊の大将や馬廻りには造られる積もりでしょう」
「まあ造るけど。もう少し簡単にした物にするけどね。ただ大之丞達の分は目立たないと駄目だから、兜の造形や角の形や色、鎧の細かな造形は特色がでるようにするから」
「まあ鎧で誰か分からないと。これはある意味、恐怖と力の象徴みたいなものですから」
確かに、ゴテゴテした大鎧の姿形では無く、源太郎が造る鎧のシルエットは、有機的ですらある。
「まあ、威圧感がある方が良いよな。っと、それで皆んなして何か用か」
大之丞達が工房に来た理由を聞く。
「あゝそうでした。我等も源太郎様のバルデッィシュの様な、鎧を物ともせず断ち斬れる得物がと思いまして……」
(うん、まあ欲しくなるよね。あんなの反則だもんね)
「あゝまぁ良いか。それで何が良い?」
造る武器の種類を聞く。
「私は大身槍でお願いします」(大之丞)
「私は十文字槍でお願いします」(新左衛門町)
「私は片鎌槍でお願いします」(小次郎)
「俺はスコーピオンってヤツで」
「私は薙刀でお願いします」
「うん?増えてないか?って、佐助と小南か。まぁ良いけど、小南の薙刀は組み立て式にした方が良いよな」
何時の間にか、佐助と小南が工房に入って来ていた。
「鎧もカッコイイな」
佐助が出来上がった源太郎の鎧を、羨ましそうに見ている。
「戦場に出る時用に、兜、籠手、胴鎧、脛当てを動きを阻害しない様に造ろうか?」
佐助がガバッと源太郎を見る。
「本当か!」
「色を黒っぽい色にして、出来るだけ軽く、籠手に仕掛けでも付けるか……」
「忍び部隊の中でも、戦闘部隊の部隊長用に造って頂ければ皆も喜ぶと思います」
小南も乗り気みたいだ。
「分かった、冬の間に造って置くよ」
春までに、皆んなの装備を造る事になった。多分、春に必要になりそうだから丁度良いか。
出来上がった源太郎の鎧が、
赤龍の具足一式
・重量軽減
・硬化
・靭性強化
・耐腐蝕
・温度調節
・自動修復
・サイズ自動調整
・体力強化
のエンチャントが掛けられている。
小南や佐助には、
黒龍の軽鎧一式
・重量軽減
・硬化
・靭性強化
・耐腐蝕
・温度調節
・自動修復
・サイズ自動調整
・体力強化
・認識阻害
のエンチャントが掛けられている。
忍び専用装備という事で、極力軽く動きを阻害しない様に、音が鳴らない様に造った。
大将用の鎧は、龍の鱗は使わずに塗装で済ませた。さすがに全軍の鎧に貼る鱗は無い。
素材も鋼鉄がベースだ。これもオリハルコン合金がそんなに多くの在庫は無い。
侍大将の具足一式
・重量軽減
・硬化
・靭性強化
・耐腐蝕
・温度調節
・体力強化
のエンチャントが掛けられている。
一般兵の具足一式
・重量軽減
・硬化
・靭性強化
・温度調節
・体力強化
のエンチャントが掛けられている。
侍大将用と一般兵用の鎧は、防具職人が造った鎧に、源太郎がエンチャントだけまとめて掛けている。
体力強化のエンチャントは、有効だと思ったので、馬鎧にも追加で掛けた。
馬鎧も追加で造っておいた。
騎馬部隊の馬鎧
・重量軽減
・硬化
・靭性強化
・温度調節
・体力強化
のエンチャントが掛けられている。
素材は、鋼鉄と革を使用している。鞍や鎧は職人に任せ、馬鎧は源太郎が造る。
これも一般兵用は、龍の鱗は使わない。
赤龍の馬鎧と赤龍の具足装備の騎馬部隊であれば、槍衾に突っ込んで行っても、キズすら付かないだろう。槍衾には突っ込んで行きはしないけど。
装備の製作と卜伝師匠との鍛錬と街道整備、河川の治水工事、港湾設備整備を魔法で行い。水軍用の大砲と榴弾製作、野砲の製作と、戦が無くても源太郎は、フル回転で働いていた。
そんな忙しくも充実した日々を、過ごしていた源太郎だが、水面下で自身の婚姻話が進んでいるとは、夢にも思っていなかった。
源太郎は、数えで十二歳。前世の感覚で言えば、結婚など考えもしない年齢である。
だが、この時代の婚姻は、政略結婚である。故に夫も妻も十二歳など珍しくも無い。
ただ源太郎の場合の様な、村上源氏の流れを汲む名門、北畠家嫡男ともなると相手が難しいのも事実だった。
しかも源太郎は、史実と違い、どこに出しても恥ずかしくない益荒男であり、政でも伊勢を発展させ続けている。
官位官職も直ぐに受領するだろう。
そんな源太郎の背景も関係なく、意外と簡単に源太郎の婚姻話は纏まるのだった。
小氷河期のこの時代、冬の寒さは厳しいが、伊勢や尾張は比較的温暖な気候である。
史実ではそれもあり、尾張と美濃を支配した、織田信長が大軍を維持する事が出来たのだが。
桑名城周辺の砦や、支城の整理と改修も進んでいる。特に、揖斐川の治水工事は源太郎が積極的に土魔法で推し進めた。
急ピッチで築城と城下町の開発が進む桑名で、源太郎は工房に籠り、自分用の鎧を作っていた。
源太郎が造る鎧なので、当然普通の鎧になる訳がない。前世で散々見て来た、ファンタジー世界の鎧の影響が色濃く出ていた。
兜と鎧はオリハルコン合金製で、赤龍の鱗が貼られている。そのデザインは既に南蛮鎧の範疇を超え異世界風になっている。
袖とショルダーアーマーが融合した様な、肩装甲。重なる装甲の縁取りの金のモールは、ヒヒイロカネが使われている。
籠手もどちらかと言えばガントレット風だ。
兜も日本風でも南蛮風でもない、龍の顔が造形されて、龍の鼻先と頭横から角が突き出ている。
その姿は、特撮ヒーローに近いかもしれない。
「うわぁ、歌舞伎ましたねぇ~」
源太郎が出来上がった鎧を前に、シルエットを確認していると、大之丞(大宮景連)、小次郎(芝山秀時)、新左衛門(大嶋親崇)が工房に入って来た。
「当然、私達の分も造ってくれますよね。私の縁取りは銀でお願いします」
「若が、三本角だったら、私は一本角で良いです」
小次郎と新左衛門がそれぞれに注文をつける。
「お前達図々しいぞ、源太郎様を何だと思ってるんだ。それで私は二本角で、縁取りは黒でお願いします」
「いや、大之丞もいるのかよ」
「当然です。どうせ騎馬部隊の大将や馬廻りには造られる積もりでしょう」
「まあ造るけど。もう少し簡単にした物にするけどね。ただ大之丞達の分は目立たないと駄目だから、兜の造形や角の形や色、鎧の細かな造形は特色がでるようにするから」
「まあ鎧で誰か分からないと。これはある意味、恐怖と力の象徴みたいなものですから」
確かに、ゴテゴテした大鎧の姿形では無く、源太郎が造る鎧のシルエットは、有機的ですらある。
「まあ、威圧感がある方が良いよな。っと、それで皆んなして何か用か」
大之丞達が工房に来た理由を聞く。
「あゝそうでした。我等も源太郎様のバルデッィシュの様な、鎧を物ともせず断ち斬れる得物がと思いまして……」
(うん、まあ欲しくなるよね。あんなの反則だもんね)
「あゝまぁ良いか。それで何が良い?」
造る武器の種類を聞く。
「私は大身槍でお願いします」(大之丞)
「私は十文字槍でお願いします」(新左衛門町)
「私は片鎌槍でお願いします」(小次郎)
「俺はスコーピオンってヤツで」
「私は薙刀でお願いします」
「うん?増えてないか?って、佐助と小南か。まぁ良いけど、小南の薙刀は組み立て式にした方が良いよな」
何時の間にか、佐助と小南が工房に入って来ていた。
「鎧もカッコイイな」
佐助が出来上がった源太郎の鎧を、羨ましそうに見ている。
「戦場に出る時用に、兜、籠手、胴鎧、脛当てを動きを阻害しない様に造ろうか?」
佐助がガバッと源太郎を見る。
「本当か!」
「色を黒っぽい色にして、出来るだけ軽く、籠手に仕掛けでも付けるか……」
「忍び部隊の中でも、戦闘部隊の部隊長用に造って頂ければ皆も喜ぶと思います」
小南も乗り気みたいだ。
「分かった、冬の間に造って置くよ」
春までに、皆んなの装備を造る事になった。多分、春に必要になりそうだから丁度良いか。
出来上がった源太郎の鎧が、
赤龍の具足一式
・重量軽減
・硬化
・靭性強化
・耐腐蝕
・温度調節
・自動修復
・サイズ自動調整
・体力強化
のエンチャントが掛けられている。
小南や佐助には、
黒龍の軽鎧一式
・重量軽減
・硬化
・靭性強化
・耐腐蝕
・温度調節
・自動修復
・サイズ自動調整
・体力強化
・認識阻害
のエンチャントが掛けられている。
忍び専用装備という事で、極力軽く動きを阻害しない様に、音が鳴らない様に造った。
大将用の鎧は、龍の鱗は使わずに塗装で済ませた。さすがに全軍の鎧に貼る鱗は無い。
素材も鋼鉄がベースだ。これもオリハルコン合金がそんなに多くの在庫は無い。
侍大将の具足一式
・重量軽減
・硬化
・靭性強化
・耐腐蝕
・温度調節
・体力強化
のエンチャントが掛けられている。
一般兵の具足一式
・重量軽減
・硬化
・靭性強化
・温度調節
・体力強化
のエンチャントが掛けられている。
侍大将用と一般兵用の鎧は、防具職人が造った鎧に、源太郎がエンチャントだけまとめて掛けている。
体力強化のエンチャントは、有効だと思ったので、馬鎧にも追加で掛けた。
馬鎧も追加で造っておいた。
騎馬部隊の馬鎧
・重量軽減
・硬化
・靭性強化
・温度調節
・体力強化
のエンチャントが掛けられている。
素材は、鋼鉄と革を使用している。鞍や鎧は職人に任せ、馬鎧は源太郎が造る。
これも一般兵用は、龍の鱗は使わない。
赤龍の馬鎧と赤龍の具足装備の騎馬部隊であれば、槍衾に突っ込んで行っても、キズすら付かないだろう。槍衾には突っ込んで行きはしないけど。
装備の製作と卜伝師匠との鍛錬と街道整備、河川の治水工事、港湾設備整備を魔法で行い。水軍用の大砲と榴弾製作、野砲の製作と、戦が無くても源太郎は、フル回転で働いていた。
そんな忙しくも充実した日々を、過ごしていた源太郎だが、水面下で自身の婚姻話が進んでいるとは、夢にも思っていなかった。
源太郎は、数えで十二歳。前世の感覚で言えば、結婚など考えもしない年齢である。
だが、この時代の婚姻は、政略結婚である。故に夫も妻も十二歳など珍しくも無い。
ただ源太郎の場合の様な、村上源氏の流れを汲む名門、北畠家嫡男ともなると相手が難しいのも事実だった。
しかも源太郎は、史実と違い、どこに出しても恥ずかしくない益荒男であり、政でも伊勢を発展させ続けている。
官位官職も直ぐに受領するだろう。
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