15 / 62
観音寺騒動……六角家の終わり
しおりを挟む
永禄六年(1563年)三月 桑名城
源太郎は、前年度の事業計画の成果を確認し、今年度の事業計画を立てていた。
源太郎が、物心ついた頃から進めてきた事がある。それは、孤児や捨て子、戦で乱取りなどの犠牲になり、人買いに売られた者などから、大人は土地を与え農作業や、手に職のある者は職人に、寡婦にも機織りや縫製の仕事を斡旋する。もしくは嫁ぎ先を紹介する。
子供達は、孤児院を設立、住む場所と食事を与え、読み書き計算、礼儀や道徳を学ばせる。
将来、何に成りたいかを考えさせ、出来るだけ希望を叶える。
ある者は兵士に、ある者は農家に、ある者は職人に、またある者は商人に、道筋をつける手助けをしている。
中でも男の子は、兵士になりたがる者が多かった。その子達には、適正により工兵部隊、兵站部隊、弓兵部隊、槍兵部隊、衛生兵部隊のどこかに配属される。
兵士になる子達も、そうでない子達も、全員が例外なく、源太郎に対して、高い忠誠心を持っている。
どん底の環境から、暖かい住居と食事、清潔な環境を与えられ、本来なら選ぶ事の出来ない職業も自分で選べる。
そんな環境を与えてくれた源太郎に、感謝以上の想いを持つのは当然であろう。
故に、孤児院出身の兵士は皆精強な兵士で、なおかつ敗戦濃厚な状況でも決して逃げださない。
今や孤児院出身の者達は、軍事、農業、工業、職業の担い手になっている。
永禄六年(1563年)十月 桑名城
源太郎へ甲賀の望月家から北畠家に、火急の知らせがはいる。
「殿、観音寺城で騒動が起こりました」
甲賀五十三家望月家嫡男、望月三郎が六角家の異変を知らせて来た。
「三郎、報告を頼む」
源太郎が詳細を話すよう促す。
(確か観音寺騒動って、義治の馬鹿が重臣を殺した事件だったよな)
三郎の報告によると、六角義治が六角氏重臣の後藤賢豊を、観音寺城に招き謀殺する暴挙に及んだ。
謀殺された後藤賢豊は、先先代の定頼時代からの六角家中における功臣として人望も厚く、義治に家督を譲って隠居した義賢からの信任も厚く、「六角氏の両藤」と称されるほどの宿老である。奉行人としても、六角氏の当主代理として政務を執行できる権限を有していた。
そんな忠臣に対して行われたこの暴挙は、他の重臣や家臣達からの猛烈な反発を招くこととなり、とくに後藤氏と縁戚にあった永田景弘・三上恒安らは城内の邸宅を焼き払って所領に戻った。
「そこで、後藤高治殿より書状を預かってまいりました」
源太郎は、三郎が差し出した書状を開き一読する。
「「殿、書状には何と?」」
側に控える、新左衛門(大嶋親崇)と小次郎(芝山秀時)が聞いてくる。
「小次郎、出陣する。準備致せ」
後藤高治からの書状は、支援の要請だった。
後藤高治は、永田・三上らの他にも池田秀雄・平井定武・進藤賢盛と謀り北畠氏に支援を要請し挙兵に及んだ。
これは史実では六角氏と敵対関係にあった、浅井氏に支援要請していたが、浅井と北畠を秤にかけ、北畠氏に支援の要請をする事を決めたようだ。
更に付け加えるなら、源太郎は六角定頼の外孫にあたる。六角義賢は叔父、義治は従兄弟になる。どちらを頼るかなど、決まっていたかも知れない。
源太郎は、重種騎兵部隊、軽騎兵部隊、弓騎兵部隊で先行して出陣する。その後を、兵站部隊、鉄砲部隊、工兵部隊、槍兵部隊が続く、その数一万。
それに対して、碌に手元に手勢を持たない六角義治は、観音寺城が既に丸裸になっていることに気づく。
観音寺城は、重臣の護る各曲輪が機能して始めて、防御力を発揮する。しかも、万全の体制であっても、観音寺城は難攻不落の城ではない。今まで、幾度となく敗れると、甲賀に逃げ込む事を繰り返して来たのが六角氏である。
源太郎率いる北畠精鋭軍団が、後藤・永田・三上・池田・平井・進藤の軍を引き連れ、観音寺城へ向け進軍する。この軍勢を前にして、恐怖にかられて義治は観音寺城を逃げ出し、蒲生郡日野城主・蒲生賢秀を頼って落ち延びようとする。箕作城に居た義賢も甲賀郡の三雲氏のもとに逃亡したのだが、ここで義賢に思いもよらぬ事態が起こる。
既に甲賀の大半は、北畠氏に臣従していたのだから。
六角義賢・義治親子はもとに捕らえられた。
観音寺城、箕作城、和田山城を戦闘らしき戦闘なしに接収していく。
ここで源太郎の前に伊賀崎道順が現れる。
「殿、浅井備前守、兵を挙げたもようです。その数、八千。短時間で良く集めたと思います。
浅井備前守は、六角氏に攻め落とされた佐和山城の奪還と、あわよくば観音寺城近くまで領地を拡げるつもりかと」
道順の報告を聞いて、源太郎が呆れる。
「浅井備前守は狂犬か何かか?兵数の差がわかってないのか?」
北畠家一万、六角家一万の計二万の兵に、浅井備前守は八千の兵で勝つつもりのようだ。
「我等の倍以上の兵を、半分以下の寡兵でもって撃破した野良田がある故、自信があるのでしょう」
そう源太郎に言ったのは平井加賀守だ。
「これは加賀守殿、余り時間がありませんが、急ぎ軍議を致しましょう」
北畠家からは源太郎のほか、大宮景連・島左近・芝山秀時が軍議に参加する。六角家側からは、平井定武・後藤高治・永田景弘・三上恒安・池田秀雄・進藤賢盛が参加した。
甲賀五十三家は、捕縛した六角義賢を観音寺城へ移送しながら合流する為、進軍中である。
先ずこの軍議で、六角家の今後をどうするかという話になった。
「こうなっては、左中将殿に治めて頂くしかないと思うが、皆はどうか?」
平井加賀守が、六角家家臣に問いかける。
「某も異論はござらん。左中将殿は定頼公の孫でもあるゆえ」
進藤賢盛も異論はないようだ。
「六角の血すじは、義秀殿も居られる。南近江は左中将殿に治めて頂くのが、領民の為にも良いだろう。わしはもう六角家に仕える気にはなれん」
池田伊予守が言い切る。
「では、北畠が南近江を治めるに足るかの判断材料に、浅井長政を蹴散らして来ますか」
源太郎が立ち上がり、北畠精鋭の騎馬部隊のみで出陣する事を告げる。
平井定武や進藤賢盛が、戦目付代わりに着いてくる。
早速、騎馬部隊三千が佐和山へ向け進軍する。
源太郎達は、佐和山城を抜け鎌刃城手前で、浅井軍と対峙する。
北畠軍の数が少ないと見ると、浅井軍の前線が動き出す。
その時、北畠軍から弓騎兵が突撃をかける。弓騎兵が素早く射程距離まで近づくと、連続して矢を射かけて引き返す。
弓騎兵が浅井軍の前線中央を、集中して矢を射かけたため、僅かに中央が乱れる。
そこにいつの間にか駆けだしていた源太郎達が、浅井軍中央へ突撃する。
源太郎は馬から飛び降りると、長柄槍の槍衾に突っ込み、バルデッィシュを一振りする。
バッキャッァー!!
一振りで突き出せれた槍の穂先が弾け飛ぶ。返す一振りで、浅井兵が弾き飛ばされ道が開ける。
横では、大之丞や新左衛門が槍衾を弾き飛ばしていた。
そこへ左近、小次郎、慶次が騎馬突撃で浅井兵を蹂躙していく。
源太郎達も騎乗すると後に続く。
源太郎達、重種騎馬部隊が前線を喰い破る。その後を、軽騎兵部隊が広げていく。
瞬く間に前線が紙のように破られ、紅い龍馬を駆る紅い鬼が、浅井兵を蹂躙する。
追い討ちに、弓騎兵が源太郎達を援護する矢を放ち、浅井軍の雑兵達は恐怖の余り、叫んで逃げ出す。
ある者は矢に射られ、ある者は馬に弾き飛ばされ、またある者はバルデッィシュの一振りで、頸と胴が泣き別れる。
浅井長政はその光景を呆然と眺めていた。
前線が破られ、次々と兵が弾け跳ぶ。
笹竜胆紋の旗が翻り、浅井軍の中央が紅い波に呑まれていく。
そこに禍々しい馬鎧を纏った巨大な馬を駆る、これもまたこの世の物とは思えぬ鎧を着た武者が近づいて来る。
「させるかぁーー!!」
猛将遠藤直経が長政を護るように飛び出し、異形の武者に襲いかかる。
ブンッ! バキャ! ドスッ!
直経の繰り返した槍を、見た事もない得物の一振りで弾くと、次の瞬間、直経の背中から銀の刃が突き出ていた。
異形の武者は、直経を突き刺したまま、片手で得物を振ると、直経が五間(約9m)程飛ばされていく。地面に落ちた直経は、ピクリとも動かなかった。
「北畠左近衛中将具房、推参!」
その言葉で我に返った長政が激昂して襲いかかる。
「きさまーーーー!!」
長政の意識はそこで永遠に途切れる。
この戦いで、浅井長政、遠藤直経、今村氏直、月ヶ瀬忠清、三田村国貞、堀秀村と多くの浅井側武将が討ち取られる。
浅井家は急遽、隠居していた浅井久政が復帰し、混乱する家内を治めようとする。
北畠軍は佐和山城を確保した所で進軍を止め、六角領内の仕置きを優先させた。
いまだ北畠氏に抵抗する勢力が各地にある為、臣従か交戦かを迫り、早期に領内を纏める必要があった。
北畠軍が参戦して僅か二日掛からず、南近江の名門六角氏はその支配を終える。
源太郎は、前年度の事業計画の成果を確認し、今年度の事業計画を立てていた。
源太郎が、物心ついた頃から進めてきた事がある。それは、孤児や捨て子、戦で乱取りなどの犠牲になり、人買いに売られた者などから、大人は土地を与え農作業や、手に職のある者は職人に、寡婦にも機織りや縫製の仕事を斡旋する。もしくは嫁ぎ先を紹介する。
子供達は、孤児院を設立、住む場所と食事を与え、読み書き計算、礼儀や道徳を学ばせる。
将来、何に成りたいかを考えさせ、出来るだけ希望を叶える。
ある者は兵士に、ある者は農家に、ある者は職人に、またある者は商人に、道筋をつける手助けをしている。
中でも男の子は、兵士になりたがる者が多かった。その子達には、適正により工兵部隊、兵站部隊、弓兵部隊、槍兵部隊、衛生兵部隊のどこかに配属される。
兵士になる子達も、そうでない子達も、全員が例外なく、源太郎に対して、高い忠誠心を持っている。
どん底の環境から、暖かい住居と食事、清潔な環境を与えられ、本来なら選ぶ事の出来ない職業も自分で選べる。
そんな環境を与えてくれた源太郎に、感謝以上の想いを持つのは当然であろう。
故に、孤児院出身の兵士は皆精強な兵士で、なおかつ敗戦濃厚な状況でも決して逃げださない。
今や孤児院出身の者達は、軍事、農業、工業、職業の担い手になっている。
永禄六年(1563年)十月 桑名城
源太郎へ甲賀の望月家から北畠家に、火急の知らせがはいる。
「殿、観音寺城で騒動が起こりました」
甲賀五十三家望月家嫡男、望月三郎が六角家の異変を知らせて来た。
「三郎、報告を頼む」
源太郎が詳細を話すよう促す。
(確か観音寺騒動って、義治の馬鹿が重臣を殺した事件だったよな)
三郎の報告によると、六角義治が六角氏重臣の後藤賢豊を、観音寺城に招き謀殺する暴挙に及んだ。
謀殺された後藤賢豊は、先先代の定頼時代からの六角家中における功臣として人望も厚く、義治に家督を譲って隠居した義賢からの信任も厚く、「六角氏の両藤」と称されるほどの宿老である。奉行人としても、六角氏の当主代理として政務を執行できる権限を有していた。
そんな忠臣に対して行われたこの暴挙は、他の重臣や家臣達からの猛烈な反発を招くこととなり、とくに後藤氏と縁戚にあった永田景弘・三上恒安らは城内の邸宅を焼き払って所領に戻った。
「そこで、後藤高治殿より書状を預かってまいりました」
源太郎は、三郎が差し出した書状を開き一読する。
「「殿、書状には何と?」」
側に控える、新左衛門(大嶋親崇)と小次郎(芝山秀時)が聞いてくる。
「小次郎、出陣する。準備致せ」
後藤高治からの書状は、支援の要請だった。
後藤高治は、永田・三上らの他にも池田秀雄・平井定武・進藤賢盛と謀り北畠氏に支援を要請し挙兵に及んだ。
これは史実では六角氏と敵対関係にあった、浅井氏に支援要請していたが、浅井と北畠を秤にかけ、北畠氏に支援の要請をする事を決めたようだ。
更に付け加えるなら、源太郎は六角定頼の外孫にあたる。六角義賢は叔父、義治は従兄弟になる。どちらを頼るかなど、決まっていたかも知れない。
源太郎は、重種騎兵部隊、軽騎兵部隊、弓騎兵部隊で先行して出陣する。その後を、兵站部隊、鉄砲部隊、工兵部隊、槍兵部隊が続く、その数一万。
それに対して、碌に手元に手勢を持たない六角義治は、観音寺城が既に丸裸になっていることに気づく。
観音寺城は、重臣の護る各曲輪が機能して始めて、防御力を発揮する。しかも、万全の体制であっても、観音寺城は難攻不落の城ではない。今まで、幾度となく敗れると、甲賀に逃げ込む事を繰り返して来たのが六角氏である。
源太郎率いる北畠精鋭軍団が、後藤・永田・三上・池田・平井・進藤の軍を引き連れ、観音寺城へ向け進軍する。この軍勢を前にして、恐怖にかられて義治は観音寺城を逃げ出し、蒲生郡日野城主・蒲生賢秀を頼って落ち延びようとする。箕作城に居た義賢も甲賀郡の三雲氏のもとに逃亡したのだが、ここで義賢に思いもよらぬ事態が起こる。
既に甲賀の大半は、北畠氏に臣従していたのだから。
六角義賢・義治親子はもとに捕らえられた。
観音寺城、箕作城、和田山城を戦闘らしき戦闘なしに接収していく。
ここで源太郎の前に伊賀崎道順が現れる。
「殿、浅井備前守、兵を挙げたもようです。その数、八千。短時間で良く集めたと思います。
浅井備前守は、六角氏に攻め落とされた佐和山城の奪還と、あわよくば観音寺城近くまで領地を拡げるつもりかと」
道順の報告を聞いて、源太郎が呆れる。
「浅井備前守は狂犬か何かか?兵数の差がわかってないのか?」
北畠家一万、六角家一万の計二万の兵に、浅井備前守は八千の兵で勝つつもりのようだ。
「我等の倍以上の兵を、半分以下の寡兵でもって撃破した野良田がある故、自信があるのでしょう」
そう源太郎に言ったのは平井加賀守だ。
「これは加賀守殿、余り時間がありませんが、急ぎ軍議を致しましょう」
北畠家からは源太郎のほか、大宮景連・島左近・芝山秀時が軍議に参加する。六角家側からは、平井定武・後藤高治・永田景弘・三上恒安・池田秀雄・進藤賢盛が参加した。
甲賀五十三家は、捕縛した六角義賢を観音寺城へ移送しながら合流する為、進軍中である。
先ずこの軍議で、六角家の今後をどうするかという話になった。
「こうなっては、左中将殿に治めて頂くしかないと思うが、皆はどうか?」
平井加賀守が、六角家家臣に問いかける。
「某も異論はござらん。左中将殿は定頼公の孫でもあるゆえ」
進藤賢盛も異論はないようだ。
「六角の血すじは、義秀殿も居られる。南近江は左中将殿に治めて頂くのが、領民の為にも良いだろう。わしはもう六角家に仕える気にはなれん」
池田伊予守が言い切る。
「では、北畠が南近江を治めるに足るかの判断材料に、浅井長政を蹴散らして来ますか」
源太郎が立ち上がり、北畠精鋭の騎馬部隊のみで出陣する事を告げる。
平井定武や進藤賢盛が、戦目付代わりに着いてくる。
早速、騎馬部隊三千が佐和山へ向け進軍する。
源太郎達は、佐和山城を抜け鎌刃城手前で、浅井軍と対峙する。
北畠軍の数が少ないと見ると、浅井軍の前線が動き出す。
その時、北畠軍から弓騎兵が突撃をかける。弓騎兵が素早く射程距離まで近づくと、連続して矢を射かけて引き返す。
弓騎兵が浅井軍の前線中央を、集中して矢を射かけたため、僅かに中央が乱れる。
そこにいつの間にか駆けだしていた源太郎達が、浅井軍中央へ突撃する。
源太郎は馬から飛び降りると、長柄槍の槍衾に突っ込み、バルデッィシュを一振りする。
バッキャッァー!!
一振りで突き出せれた槍の穂先が弾け飛ぶ。返す一振りで、浅井兵が弾き飛ばされ道が開ける。
横では、大之丞や新左衛門が槍衾を弾き飛ばしていた。
そこへ左近、小次郎、慶次が騎馬突撃で浅井兵を蹂躙していく。
源太郎達も騎乗すると後に続く。
源太郎達、重種騎馬部隊が前線を喰い破る。その後を、軽騎兵部隊が広げていく。
瞬く間に前線が紙のように破られ、紅い龍馬を駆る紅い鬼が、浅井兵を蹂躙する。
追い討ちに、弓騎兵が源太郎達を援護する矢を放ち、浅井軍の雑兵達は恐怖の余り、叫んで逃げ出す。
ある者は矢に射られ、ある者は馬に弾き飛ばされ、またある者はバルデッィシュの一振りで、頸と胴が泣き別れる。
浅井長政はその光景を呆然と眺めていた。
前線が破られ、次々と兵が弾け跳ぶ。
笹竜胆紋の旗が翻り、浅井軍の中央が紅い波に呑まれていく。
そこに禍々しい馬鎧を纏った巨大な馬を駆る、これもまたこの世の物とは思えぬ鎧を着た武者が近づいて来る。
「させるかぁーー!!」
猛将遠藤直経が長政を護るように飛び出し、異形の武者に襲いかかる。
ブンッ! バキャ! ドスッ!
直経の繰り返した槍を、見た事もない得物の一振りで弾くと、次の瞬間、直経の背中から銀の刃が突き出ていた。
異形の武者は、直経を突き刺したまま、片手で得物を振ると、直経が五間(約9m)程飛ばされていく。地面に落ちた直経は、ピクリとも動かなかった。
「北畠左近衛中将具房、推参!」
その言葉で我に返った長政が激昂して襲いかかる。
「きさまーーーー!!」
長政の意識はそこで永遠に途切れる。
この戦いで、浅井長政、遠藤直経、今村氏直、月ヶ瀬忠清、三田村国貞、堀秀村と多くの浅井側武将が討ち取られる。
浅井家は急遽、隠居していた浅井久政が復帰し、混乱する家内を治めようとする。
北畠軍は佐和山城を確保した所で進軍を止め、六角領内の仕置きを優先させた。
いまだ北畠氏に抵抗する勢力が各地にある為、臣従か交戦かを迫り、早期に領内を纏める必要があった。
北畠軍が参戦して僅か二日掛からず、南近江の名門六角氏はその支配を終える。
60
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる