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大人買いにも程がある2
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どの種族かもわからない状態の獣人族の女を買う事をハヌックに伝え、次の部屋へと案内される。
「次が最後の部屋なんですが……、少しワケありでして……」
ハヌックが言い澱む。
「ワケあり?」
「それが……、実はローラシア王国の騎士でして、ガウン帝国との戦争時に捕虜となったようですが…………」
「騎士なら捕虜交換か、金銭補償で解放されるんじゃないのか?」
普通、戦争で捕虜となった兵士や騎士は捕虜交換や金銭で解放される。特に身分の高い騎士や指揮官は貴族家の者が多いので、優先的に捕虜交換や金銭での解放がされる。
「そうですね。
捕虜を金銭で解放するのも、戦費の補充になりますから。
ですが、小遣い稼ぎに捕虜を奴隷商に横流しする輩も多いのです。本国には戦死したと書類をイジるくらいは簡単ですから」
何処にでも腐った奴等は居るんだな。
「ローラシア王国とゴンドワナ帝国の戦争なら、捕虜は人族の騎士か。それだけじゃそんなに問題はなさそうだが?」
「そうです。ただの騎士なら問題はなかったのでしょうが、それが男爵家の者となると少し話が違います」
それを聞いて思わず顔をしかめてしまう。
「それはやっかいだな。
……その騎士は仲間に嵌められたか」
「そうです。男爵家を疎ましく思う者が、罠にはめ帝国に騎士が捕虜となる様画策しました。その後、捕虜交換で戻れないよう、繋がりのある帝国の者に始末するように指示していたようです……が、お金が欲しかったのでしょうな」
なるほど、ローラシア王国の貴族家出身か、単純にローラシア王国に帰す訳にもいかないな。
見ないという選択肢はないので、取り敢えず部屋に入る事にする。
部屋には、金髪の髪が肩の所で不自然に切られた人族の女が座っていた。顔に大きな傷はあるが、とても美しい顔立ちをしている。簡素な服の上からでも、そのプロポーションの良さは伺える。だけど彼女の青い瞳が部屋に入った俺達に突き刺さる。
特にエルとイリアを見る目は侮蔑の色が滲む。
(あゝ、ローラシア王国は人族至上主義だったな)
エルはそこまでエルフの特長は濃くないが、イリアは兎人族なのは一目瞭然だものな。しかも獣人族のイリアが、奴隷ではなくこの場に居るのに気が付いているんだろう。
「伯爵様、彼女がジェシカ・ボードウィルです。顔の傷は騎士時代に負ったものだとか。騎士団では中隊長を勤めていたそうですが……」
「その優秀さが裏目にでたのですね」
ハヌックの説明にイリアが納得した様に言った。
「そういうことです奥様」
ハヌックがイリアの事を奥様と呼んだ瞬間、ジェシカの顔が驚愕に染まる。
あゝ、ハヌックに伯爵と呼ばれた俺が、獣人族のイリアを妻にしている事が信じられないんだろう。
ローラシア王国では、獣人族の女性を性奴隷にする事はあっても、妾にする事はあり得ないのだろう。ましてや妻としている俺の事をどう思ってるのかな……。
「俺はサーメイヤ王国のカイト・グラーフ・フォン・ドラークだ。少し話を聞かせて貰うけど構わないか?」
「!!!!」
俺の名を聞いてジェシカの身体がこわばる。
「さすが伯爵様ですな。その名はローラシア王国にも知られている様ですな」
怯えた青い顔をしているジェシカの態度に、俺が不思議に思っていると、その理由をハヌックが言う。なるほど、帝国との事は当然ローラシア王国にも伝わっているか。それでもそんなに怖がられると少し凹むんだけど……。
「私が第一夫人のエルレインよ。彼女が第三夫人のイリア。他にも第二夫人のエルフ族のルシエルと第四夫人で狐人族のコレットがいるわ」
「!!貴族なのに亜人を妻にしているのか!?」
エルが自己紹介すると、ジェシカが驚愕して叫ぶ。
「サーメイヤ王国は種族間差別は王法で禁じられているからな。ドラーク領に関して言えば人族の方が少ないからな」
「!!」
ローラシア王国やゴンドワナ帝国との違いに、ジェシカは驚くしかない。エルフの国であるサーリット王国や、ドワーフの国であるガウン王国などとは交易してはいるが、人族至上主義な事には変わりない。
ジェシカにとって様々な種族が混在して暮らす、ドラーク領は信じられないようだ。
「出来れば伯爵様に買って頂くとありがたいのですが」
「良いんじゃないカイト」
ハヌックもジェシカは早く売りたいみたいだ。エルが良いって言ってるしな。
「じゃあ、エルとルシエル辺りで面倒見てくれる」
「任せておいて。しっかり躾とくから」
エルのその言葉を聞いて、エルを睨みつけているジェシカだが、取り敢えず購入する事に決めた。
「次が最後の部屋なんですが……、少しワケありでして……」
ハヌックが言い澱む。
「ワケあり?」
「それが……、実はローラシア王国の騎士でして、ガウン帝国との戦争時に捕虜となったようですが…………」
「騎士なら捕虜交換か、金銭補償で解放されるんじゃないのか?」
普通、戦争で捕虜となった兵士や騎士は捕虜交換や金銭で解放される。特に身分の高い騎士や指揮官は貴族家の者が多いので、優先的に捕虜交換や金銭での解放がされる。
「そうですね。
捕虜を金銭で解放するのも、戦費の補充になりますから。
ですが、小遣い稼ぎに捕虜を奴隷商に横流しする輩も多いのです。本国には戦死したと書類をイジるくらいは簡単ですから」
何処にでも腐った奴等は居るんだな。
「ローラシア王国とゴンドワナ帝国の戦争なら、捕虜は人族の騎士か。それだけじゃそんなに問題はなさそうだが?」
「そうです。ただの騎士なら問題はなかったのでしょうが、それが男爵家の者となると少し話が違います」
それを聞いて思わず顔をしかめてしまう。
「それはやっかいだな。
……その騎士は仲間に嵌められたか」
「そうです。男爵家を疎ましく思う者が、罠にはめ帝国に騎士が捕虜となる様画策しました。その後、捕虜交換で戻れないよう、繋がりのある帝国の者に始末するように指示していたようです……が、お金が欲しかったのでしょうな」
なるほど、ローラシア王国の貴族家出身か、単純にローラシア王国に帰す訳にもいかないな。
見ないという選択肢はないので、取り敢えず部屋に入る事にする。
部屋には、金髪の髪が肩の所で不自然に切られた人族の女が座っていた。顔に大きな傷はあるが、とても美しい顔立ちをしている。簡素な服の上からでも、そのプロポーションの良さは伺える。だけど彼女の青い瞳が部屋に入った俺達に突き刺さる。
特にエルとイリアを見る目は侮蔑の色が滲む。
(あゝ、ローラシア王国は人族至上主義だったな)
エルはそこまでエルフの特長は濃くないが、イリアは兎人族なのは一目瞭然だものな。しかも獣人族のイリアが、奴隷ではなくこの場に居るのに気が付いているんだろう。
「伯爵様、彼女がジェシカ・ボードウィルです。顔の傷は騎士時代に負ったものだとか。騎士団では中隊長を勤めていたそうですが……」
「その優秀さが裏目にでたのですね」
ハヌックの説明にイリアが納得した様に言った。
「そういうことです奥様」
ハヌックがイリアの事を奥様と呼んだ瞬間、ジェシカの顔が驚愕に染まる。
あゝ、ハヌックに伯爵と呼ばれた俺が、獣人族のイリアを妻にしている事が信じられないんだろう。
ローラシア王国では、獣人族の女性を性奴隷にする事はあっても、妾にする事はあり得ないのだろう。ましてや妻としている俺の事をどう思ってるのかな……。
「俺はサーメイヤ王国のカイト・グラーフ・フォン・ドラークだ。少し話を聞かせて貰うけど構わないか?」
「!!!!」
俺の名を聞いてジェシカの身体がこわばる。
「さすが伯爵様ですな。その名はローラシア王国にも知られている様ですな」
怯えた青い顔をしているジェシカの態度に、俺が不思議に思っていると、その理由をハヌックが言う。なるほど、帝国との事は当然ローラシア王国にも伝わっているか。それでもそんなに怖がられると少し凹むんだけど……。
「私が第一夫人のエルレインよ。彼女が第三夫人のイリア。他にも第二夫人のエルフ族のルシエルと第四夫人で狐人族のコレットがいるわ」
「!!貴族なのに亜人を妻にしているのか!?」
エルが自己紹介すると、ジェシカが驚愕して叫ぶ。
「サーメイヤ王国は種族間差別は王法で禁じられているからな。ドラーク領に関して言えば人族の方が少ないからな」
「!!」
ローラシア王国やゴンドワナ帝国との違いに、ジェシカは驚くしかない。エルフの国であるサーリット王国や、ドワーフの国であるガウン王国などとは交易してはいるが、人族至上主義な事には変わりない。
ジェシカにとって様々な種族が混在して暮らす、ドラーク領は信じられないようだ。
「出来れば伯爵様に買って頂くとありがたいのですが」
「良いんじゃないカイト」
ハヌックもジェシカは早く売りたいみたいだ。エルが良いって言ってるしな。
「じゃあ、エルとルシエル辺りで面倒見てくれる」
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