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一罰百戒 3
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王城内は逃げ出す者や、隠れる者、ただただ狼狽える者、まさにカオスだった。
「相手にするのはフォランバード王と六長老だけで良いから」
スーロベルデの案内で、王城の中を進んで行く。
途中、襲いかかる奴等も居るが、極力殺さない方針でエピルの糸で絡めとられている。
別の場所ではフーガとユーファンが斥候として露払いして行く。
やがて玉座の間にたどり着くと、豪華絢爛な玉座には、初老に見えるエルフが俺達を睨みつけながら座っていた。
エルフで初老に見えるって事は、相当歳は取っている筈だけど、その割には馬鹿過ぎる。
その初老のエルフ、フォランバード王の両脇にこちらも初老のエルフが六人立っている。こいつらが六長老なんだろう。一瞬、ルシエルを初めて見た時の惨状を思い出して殺気を放ってしまう。
「「「「「ひっ!」」」」」
俺の殺気を受けて、フォランバード王と六人の長老が腰砕けになる。
「ぶっ、無礼者!下賤な人族!獣人族が!我が城へ足を踏み入れるとは、城が穢れるわ!」
フォランバードが唾を飛ばして俺達に叫んでいる。どうやらこの愚王にとっては、エルフ以外の人族や獣人族などは差別の対象らしい。
ルシエルが蛆虫でも見るような冷たい目でフォランバードを見ている。
周りの長老達も一言も喋れない状態のようだ。それもそのはず、この六人の中にルシエルを嵌めて、挙げ句の果てに売り飛ばした奴が居るのだから、青い顔で震えるのもわかる気がする。
「何をしておる!スーロベルデ!貴様はサーリット王国の騎士団長ではないか!その狼藉者を叩き斬れーー!!」
年を取ってはいるが、イケメンなエルフが口から泡を飛ばしている姿は如何なの?と思ってしまう。みっともないよな。
「陛下、最早陛下と長老方に、この国の舵取りを任せておけません。
事もあろうことか、サーメイヤ王国の貴族であるドラーク伯爵の屋敷へ襲撃を企て、しかもその理由がドラーク卿とルシエル様との御子を拐かし、将来陛下の妃にしようなどと、国を守り王を守るが騎士の役目なれど、…………陛下は私が剣を捧げるに値しない!」
呆れた、あのクソ親父何百歳か知らんが、俺の可愛い娘を拐って嫁にするつもりだったのか。
「「「「「「…………………………」」」」」」
ほら、うちの連中がめっちゃ怒ってるよ。
ルシエルなんて見たことのない怖い顔してるよ。
「……カイト様、サクッと殺っちゃいましょう」
ほら、ルシエルの喋り方が何時もと違うし。
「あのおじいちゃんルキナが殺っていい?」
「ダメよルキナ。ママが代わりに殺っちゃうからね」
「イヤイヤ、ルキナもイリアも落ち着いて、あんなクズは俺に任せておいて。
それでフォランバード王、俺の家族に手を出した事についての弁明は有るのか?あるなら聞いておいてやるぞ」
フォランバード王のクズっぷりに、イリアやルキナまでがキレそうだったから、もう俺が終わらせる事にした。
「ルシエルが産んだ子がハイエルフなのは調べがついている!ハイエルフは、我がサーリット王国のモノに決まっておるわ!その方から差し出すなら許してやっても良いぞ!」
ドガァーーン!!
ぶちキレたルシエルが、風の魔法をぶっ放した。
そこはさすがにエルフの六長老、咄嗟に障壁を張って、かろうじて無事だったみたいだ。
「なっ、我を殺そうとしたな!
サーメイヤ王国は、サーリット王国と戦争するつもりか!」
ガクガクと震えるフォランバード王に対して、次の魔法の準備をするルシエル。ランカス、バルデスも武器を構える。フーガとユーファンは周りを警戒すし、エピルはわからぬように糸を部屋に張り巡らせる。
「あゝ、戦争?
この国が亡くなっても良いなら好きにしろよ。
この国自慢の結界が俺達に通じない状態で、どうやってお前達は戦うんだ。どこからその自信は出てくるんだ」
サーリット王国が他国からの干渉もなく、強気の外交をして来たのも、国を覆う強力な結界が有ればこそだと言うのに、この後に及んで、俺達にキレる神経は褒めたくなるよ。
俺は玉座に座るフォランバードに向かって歩いて近付いて行く。
ドガッ!ドガッ!ドガッ!ドガッ!ドガッ!ドガッ!ドガッー!!
フォランバードと六人の長老を殴り飛ばす。
余りに自然に近付いて来た俺に、殴られるまで呆然と見ている事しか出来なかったフォランバードと六人の長老は、死なないように手加減して殴った一撃で気を失う。
「スーロベルデ!後は大丈夫だな!」
「はっ、王弟閣下を盛り立て、サーリット王国を建て直してみせます」
「じゃあ、この馬鹿どもの後処理は任せた。
ルシエル、これで良いか?」
「はい、カイト様」
「さあ、家へ帰ろう」
「相手にするのはフォランバード王と六長老だけで良いから」
スーロベルデの案内で、王城の中を進んで行く。
途中、襲いかかる奴等も居るが、極力殺さない方針でエピルの糸で絡めとられている。
別の場所ではフーガとユーファンが斥候として露払いして行く。
やがて玉座の間にたどり着くと、豪華絢爛な玉座には、初老に見えるエルフが俺達を睨みつけながら座っていた。
エルフで初老に見えるって事は、相当歳は取っている筈だけど、その割には馬鹿過ぎる。
その初老のエルフ、フォランバード王の両脇にこちらも初老のエルフが六人立っている。こいつらが六長老なんだろう。一瞬、ルシエルを初めて見た時の惨状を思い出して殺気を放ってしまう。
「「「「「ひっ!」」」」」
俺の殺気を受けて、フォランバード王と六人の長老が腰砕けになる。
「ぶっ、無礼者!下賤な人族!獣人族が!我が城へ足を踏み入れるとは、城が穢れるわ!」
フォランバードが唾を飛ばして俺達に叫んでいる。どうやらこの愚王にとっては、エルフ以外の人族や獣人族などは差別の対象らしい。
ルシエルが蛆虫でも見るような冷たい目でフォランバードを見ている。
周りの長老達も一言も喋れない状態のようだ。それもそのはず、この六人の中にルシエルを嵌めて、挙げ句の果てに売り飛ばした奴が居るのだから、青い顔で震えるのもわかる気がする。
「何をしておる!スーロベルデ!貴様はサーリット王国の騎士団長ではないか!その狼藉者を叩き斬れーー!!」
年を取ってはいるが、イケメンなエルフが口から泡を飛ばしている姿は如何なの?と思ってしまう。みっともないよな。
「陛下、最早陛下と長老方に、この国の舵取りを任せておけません。
事もあろうことか、サーメイヤ王国の貴族であるドラーク伯爵の屋敷へ襲撃を企て、しかもその理由がドラーク卿とルシエル様との御子を拐かし、将来陛下の妃にしようなどと、国を守り王を守るが騎士の役目なれど、…………陛下は私が剣を捧げるに値しない!」
呆れた、あのクソ親父何百歳か知らんが、俺の可愛い娘を拐って嫁にするつもりだったのか。
「「「「「「…………………………」」」」」」
ほら、うちの連中がめっちゃ怒ってるよ。
ルシエルなんて見たことのない怖い顔してるよ。
「……カイト様、サクッと殺っちゃいましょう」
ほら、ルシエルの喋り方が何時もと違うし。
「あのおじいちゃんルキナが殺っていい?」
「ダメよルキナ。ママが代わりに殺っちゃうからね」
「イヤイヤ、ルキナもイリアも落ち着いて、あんなクズは俺に任せておいて。
それでフォランバード王、俺の家族に手を出した事についての弁明は有るのか?あるなら聞いておいてやるぞ」
フォランバード王のクズっぷりに、イリアやルキナまでがキレそうだったから、もう俺が終わらせる事にした。
「ルシエルが産んだ子がハイエルフなのは調べがついている!ハイエルフは、我がサーリット王国のモノに決まっておるわ!その方から差し出すなら許してやっても良いぞ!」
ドガァーーン!!
ぶちキレたルシエルが、風の魔法をぶっ放した。
そこはさすがにエルフの六長老、咄嗟に障壁を張って、かろうじて無事だったみたいだ。
「なっ、我を殺そうとしたな!
サーメイヤ王国は、サーリット王国と戦争するつもりか!」
ガクガクと震えるフォランバード王に対して、次の魔法の準備をするルシエル。ランカス、バルデスも武器を構える。フーガとユーファンは周りを警戒すし、エピルはわからぬように糸を部屋に張り巡らせる。
「あゝ、戦争?
この国が亡くなっても良いなら好きにしろよ。
この国自慢の結界が俺達に通じない状態で、どうやってお前達は戦うんだ。どこからその自信は出てくるんだ」
サーリット王国が他国からの干渉もなく、強気の外交をして来たのも、国を覆う強力な結界が有ればこそだと言うのに、この後に及んで、俺達にキレる神経は褒めたくなるよ。
俺は玉座に座るフォランバードに向かって歩いて近付いて行く。
ドガッ!ドガッ!ドガッ!ドガッ!ドガッ!ドガッ!ドガッー!!
フォランバードと六人の長老を殴り飛ばす。
余りに自然に近付いて来た俺に、殴られるまで呆然と見ている事しか出来なかったフォランバードと六人の長老は、死なないように手加減して殴った一撃で気を失う。
「スーロベルデ!後は大丈夫だな!」
「はっ、王弟閣下を盛り立て、サーリット王国を建て直してみせます」
「じゃあ、この馬鹿どもの後処理は任せた。
ルシエル、これで良いか?」
「はい、カイト様」
「さあ、家へ帰ろう」
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