異世界立志伝

小狐丸

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穏やかな日

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 サーリット王国とのいざこざは、結局フォロンバード王が退位、六長老の制度を廃止、王弟が即位の後に、サーメイヤ王国との和平条約を締結といった流れになった。

 あの後、サーリット王国を覆う巨大な結界を、俺とルシエルの二人で張り直し、結界内に入り込むだ魔物をランカス達が駆除して行った。
 これは何時でも攻めようと思えば攻める事は簡単なんだと分からせる為の無言の圧力。二度とうちの子達にちょっかいを出す気を起こさなくする為の示威行為。
 これで、もともと数の少ないエルフが喧嘩を仕掛ける事もないだろう。

 屋敷に帰って、ルシエルとイリアは子供達の元へ直行していた。エルや乳母がいるとはいえ、長い時間側に居ないとダメだよな。

 一先ず安心できる状況になったからか、エピル達の子供欲しいプレッシャーが強くなった。

 そのうち、アラクネ、ラミア、ハーピーの赤ちゃんが屋敷を賑わすんだろう。うん、我ながら節操ないね。



 サーリット王国との喧嘩も終わった事だし、帝国から割譲した領地の開発も進めないと。

 相変わらずゴンドワナ帝国とローラシア王国の小競り合いは続いている。




「旧チラーノス辺境伯領の上下水道とトイレの浄化魔導具の普及はどうなってる?」

 俺が留守にする事が多いので、内政の取りまとめはエルがしてくれている。

「まだ三割くらいね。一応、大きな街から進めてるんだけど、農村部も始めなきゃって思ってたところなの」

 未開地を開拓して拓いた領地と、旧チラーノス辺境伯の領地だった土地が、橋を架けた事により繋がり、発展するスピードが上がったけど、何せ人員が足りない。時間が足りない。

 俺が魔法で人間重機となって馬車馬の如く働いているけど、エルやルシエルが子育てがあるので、以前程開発スピードが上がらない。
 ちなみに貴族の子息息女は基本的に、自分で子育てはしないらしいが、ドラーク伯爵家は例外だろう。何せ、イリアは獣人族だしルシエルはエルフだ。人族の常識は当てはまらない。そうなるとエルも自分で育てたくなるという事だ。

「俺ももっと工事に行かないとダメか」

「頑張ってねカイト」

 うん、うちの正妻は人使いが荒いな。





 サーリット王国から帰って来て一月が過ぎた。

 その間に変わった事は、先ずコレットが妊娠中だと分かった。

 エピル達も非常に激しい。

 うん、平和だな。

 そんな時、フーガが報告に現れた。

「どうした?緊急か?」

「いえ、調節我が国には関係ありませんが、以前カイト様に挑んで来た獅子人族のシバ率いる獣人族の集団ですが、ここのところ静かにしていましたが、最近また活動を始めたようです」

 ああ、居たな跳ねっ返りの男が。

「またゴンドワナ帝国で暴れているのか?」

 闇雲に暴れるだけじゃ何も変わらないんだけどな。

「いえ、今回はローラシア王国でも活動をしているようです。前回とは違い、ただ暴れるだけじゃなく、ゴンドワナ帝国・ローラシア王国の両国で獣人族の救済をしているようです」

「へえ、やっと多少は考える様になったか」

「副官のディーガという虎人族の男から私の方に接触があり、戦えない獣人族をドラーク伯爵領で保護して欲しいとの事です」

「副官は優秀そうな男だったよな。

 いいよ、他の流民と同じく、保護して自分達で暮らしていける様にサポートしてあげてくれる」

「了解しました」

 頭を下げてフーガが出て行った。

 獅子人族のシバか、頑張ってるみたいだな。
 確か虎人族のディーガとかいったか、優秀な副官タイプの男だったから大丈夫だろう。
 出来ればうちに来てくれると助かるんだけどな。

「パパーー!あそぼーー!!」

 ルフトに跨ったルキナが俺を見つけてやって来た。

「よし、一緒に遊ぼうかルキナ!」

 ここの所ずっと忙しくて遊んであげれなかったからな。

「何して遊ぶ?」

「パパと狩りに行くーー!!」

 遊びが狩りって、何か育て方間違えたかな。

「……分かった、狩りに行こうか」

 丁度良いか、オウカのパワーレベリングを兼ねて一狩り行くか。

 結局、エピル、ラヴィン、フィーネのパワーレベリングも兼ねて狩りをする事になり、結構な大人数で魔物の領域へ出掛ける事になった。

 これが遊びと認識しているルキナの将来が少し不安になる今日この頃だった。


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