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義理の親子の会談
俺はサーメイヤ王国の行く末について、義理の父親であるバスターク辺境伯であるゴドウィン卿と話し合いをしていた。
「…………そうか、そこまで王都の状況は良くないか」
「はい、特にスラムの拡大は治安の面以外にも、悪影響が大きいかと…………」
俺はゴドウィン卿へ、王都のスラムの状況や、盗賊の増加、孤児院の不足と補助金の搾取など、現在王都で問題になり始めている事を報告した。義父も諜報部を持っているだろうから、現在のサーメイヤ王国の状況を把握しているだろうけど…………。
「各派閥も水面下で蠢動しているようだな」
「はい、中立派は静観ですが、国王派と貴族派の対立は激しくなってきています」
「ベルトルト公爵家か…………、今まで猫を被って大人しくしていたが、王が若年で与し易いと分かると、本性を現したか」
「他の王位継承権を持つ公爵家はどうなのですか?」
現在、サーメイヤ王国には5つの公爵家がある。
王弟モーティスの叛逆により、一家取り潰されたが、ベルトルト公爵家を筆頭にして、まだ五家が存在していた。
「ベルトルト公爵家以外は、特に取って代わる程の野心を見せてはいないな。ちょうど良い年齢の子息が居ないという事もあるだろうがな」
実際、ベルトルト公爵家以外にも、王位を継げる年齢の者は居るが、王弟やベルトルト公爵家を相手に、争ってまで王位を狙う人間は居ない。
「でも、ベルトルト公爵も王位を望んでいる訳ではないのですよね」
愚かな王弟モーティスと違い、ベルトルト公爵は、王位を簒奪する暴挙には出ないと俺は思っていた。
「ベルトルト公爵は、王を傀儡としたいのだろう」
「ですが、このままではサーメイヤ王国がいずれ立ち行かなくなるんじゃないですか?」
「王都周辺のスラムの拡大。ドラーク卿は随分と盗賊の討伐に熱心だそうだが、このままでは、いずれ王国中が荒れはてるのも時間の問題だな」
「ノーラン王太子を旗頭に立ちますか?」
クレモン王を退位に追い込み、王弟ノーラン王太子を王にすげ替える案もある。その場合、ベルトルト公爵家などの国王派の力を削ぐ事が大前提となる。
「……ノーラン様と一度秘密裏にお会いしなければならんな」
お義父さんが、考え込んでぼそりと言う。
当然、ノーラン様とお義父さんの会談が、国王派に漏れるのは絶対に避けなければならない。
「私的には、お義父さんを旗頭に、サーメイヤ王国丸ごと呑み込んだ方が、分かりやすくて良いんですがね」
「それは口に出してはイカン。
儂もそうだが、ドラーク卿も戦働きが得意だからな。だが、王国中を武力で呑み込んでも、その後の統治を考えれば、そう簡単にはいかん」
「ええ、分かってます。チョット言ってみただけですよ」
俺も戦争で蹴散らせばお終いなんて考えてない。ゴンドワナ帝国との戦争で、チラーノス辺境伯領の半分を統治しないとならなくなって、その苦労は身に染みている。辺境伯領半分でも大変なのに、国王派と貴族派を倒した後の領地を、中立派だけで統治するのは、大変の一言では済まない。
「儂の苦手な調略で、国王派と貴族派の貴族家を出来るだけ寝返らせねばな」
武官だけではなく、一国を運営する為には、王都に居る法衣貴族の文官も出来るだけ仲間に引き入れなければならない。
「優秀な武官や文官は、各派閥ともに囲い込んでいますからね。私の方でも王都の法衣貴族家を調査しておきます。その中で、優秀でこちらの陣営に加えられそうな人材に、ゴドウィン卿から調略をお願いします」
「あい分かった」
その後、俺とお義父さんで、ノーラン王太子を立てるプランと、クレモン王からベルトルト公爵を引き離し、立派な王となる様に支える。2つのプランを同時に進める事にした。
お義父さんの所と合同で、諜報部員を王都に大量に派遣し、各派閥間の情報収集にあたる事を決めた。
俺は、アレクシア王太后とロマーヌ王太后を通じて、国王派や貴族派の切り崩しが出来ないかチャレンジしてみる積もりだ。
バルディッシュを振り回して暴れるのが、俺の仕事なんだけどな。
「…………そうか、そこまで王都の状況は良くないか」
「はい、特にスラムの拡大は治安の面以外にも、悪影響が大きいかと…………」
俺はゴドウィン卿へ、王都のスラムの状況や、盗賊の増加、孤児院の不足と補助金の搾取など、現在王都で問題になり始めている事を報告した。義父も諜報部を持っているだろうから、現在のサーメイヤ王国の状況を把握しているだろうけど…………。
「各派閥も水面下で蠢動しているようだな」
「はい、中立派は静観ですが、国王派と貴族派の対立は激しくなってきています」
「ベルトルト公爵家か…………、今まで猫を被って大人しくしていたが、王が若年で与し易いと分かると、本性を現したか」
「他の王位継承権を持つ公爵家はどうなのですか?」
現在、サーメイヤ王国には5つの公爵家がある。
王弟モーティスの叛逆により、一家取り潰されたが、ベルトルト公爵家を筆頭にして、まだ五家が存在していた。
「ベルトルト公爵家以外は、特に取って代わる程の野心を見せてはいないな。ちょうど良い年齢の子息が居ないという事もあるだろうがな」
実際、ベルトルト公爵家以外にも、王位を継げる年齢の者は居るが、王弟やベルトルト公爵家を相手に、争ってまで王位を狙う人間は居ない。
「でも、ベルトルト公爵も王位を望んでいる訳ではないのですよね」
愚かな王弟モーティスと違い、ベルトルト公爵は、王位を簒奪する暴挙には出ないと俺は思っていた。
「ベルトルト公爵は、王を傀儡としたいのだろう」
「ですが、このままではサーメイヤ王国がいずれ立ち行かなくなるんじゃないですか?」
「王都周辺のスラムの拡大。ドラーク卿は随分と盗賊の討伐に熱心だそうだが、このままでは、いずれ王国中が荒れはてるのも時間の問題だな」
「ノーラン王太子を旗頭に立ちますか?」
クレモン王を退位に追い込み、王弟ノーラン王太子を王にすげ替える案もある。その場合、ベルトルト公爵家などの国王派の力を削ぐ事が大前提となる。
「……ノーラン様と一度秘密裏にお会いしなければならんな」
お義父さんが、考え込んでぼそりと言う。
当然、ノーラン様とお義父さんの会談が、国王派に漏れるのは絶対に避けなければならない。
「私的には、お義父さんを旗頭に、サーメイヤ王国丸ごと呑み込んだ方が、分かりやすくて良いんですがね」
「それは口に出してはイカン。
儂もそうだが、ドラーク卿も戦働きが得意だからな。だが、王国中を武力で呑み込んでも、その後の統治を考えれば、そう簡単にはいかん」
「ええ、分かってます。チョット言ってみただけですよ」
俺も戦争で蹴散らせばお終いなんて考えてない。ゴンドワナ帝国との戦争で、チラーノス辺境伯領の半分を統治しないとならなくなって、その苦労は身に染みている。辺境伯領半分でも大変なのに、国王派と貴族派を倒した後の領地を、中立派だけで統治するのは、大変の一言では済まない。
「儂の苦手な調略で、国王派と貴族派の貴族家を出来るだけ寝返らせねばな」
武官だけではなく、一国を運営する為には、王都に居る法衣貴族の文官も出来るだけ仲間に引き入れなければならない。
「優秀な武官や文官は、各派閥ともに囲い込んでいますからね。私の方でも王都の法衣貴族家を調査しておきます。その中で、優秀でこちらの陣営に加えられそうな人材に、ゴドウィン卿から調略をお願いします」
「あい分かった」
その後、俺とお義父さんで、ノーラン王太子を立てるプランと、クレモン王からベルトルト公爵を引き離し、立派な王となる様に支える。2つのプランを同時に進める事にした。
お義父さんの所と合同で、諜報部員を王都に大量に派遣し、各派閥間の情報収集にあたる事を決めた。
俺は、アレクシア王太后とロマーヌ王太后を通じて、国王派や貴族派の切り崩しが出来ないかチャレンジしてみる積もりだ。
バルディッシュを振り回して暴れるのが、俺の仕事なんだけどな。
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