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十六話 黒兎、知らぬ間に秘密結社に入ってたらしい
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師匠からこの世界の事を学びながら、リルとベルガドの街を散策したり、師匠やガンツさんだけじゃなく、マリアさんやパメラさんとも模擬戦をしたりと、穏やかとは言い難いが充実した日々を過ごしていた。
なんとなく、そうだと思っていたけど、やっぱりパメラさんとマリアさんは強かった。
確か聞いている二人のランクは、マリアさんがランク4、パメラさんはランク6だった筈だ。だけどマリアさんやパメラさんは、それぞれ現在のランクの限界近くまで成長しているんだと思う。
此処にランク7の師匠とランク6のガンツさん。何故この大都市とも言えない街に、こんなに高ランクの人が集まっているのか不思議だ。
しかもマリアさんやパメラさんの戦い方は、対人戦に慣れている人の動きだった。
「わぁー! ガンバレ! にぃにぃー!」
リルが教会の中庭で繰り広げられる模擬戦を観て、興奮して手足をバタつかせて俺を応援している。
「ハッ!」
「まっ、参りました!」
俺が縮地で一気に間合いを詰めてパメラさんの頸筋でグルカナイフを止める。
「うわぁ、パメラさんでも勝てないなら私が負けるのも当たり前ですね」
「良かったねマリア。いい練習相手が出来たんだ。しっかり鍛錬するんだよ」
パメラさんの前に模擬戦をして見学していたマリアさんがそう感想を言うと、師匠から意地悪そうな笑顔で毎日の練習相手が出来て良かったと言われ、マリアさんは嫌そうに顔をしかめている。
「ハァ、ハァ、シュートさんはお強いですね」
「いえいえ、パメラさんも凄いですよ。何回か、危なくもらいそうになりましたから」
パメラさんが汗を拭きながら息を整えて話し掛けてきた。
パメラさんも年齢不詳だけど、ランク6は伊達じゃない。何より戦い方が上手い。歩法と呼吸法を学べばもっと強くなるのは間違いない。
その急激に進化しているお手本みたいな人が近付いて来た。
「シュート、どうしてパメラには話し方が丁寧なんだい」
「師匠は出会いが行き倒れだからなぁ」
いい歳して頬お膨らませてムスッとしている師匠こそ、俺から技術を貪欲に吸収して、あと数ヶ月もすれば、実戦で通用するだけの魔力とオーラを併用しての戦いが出来るだろう。
しかも、中距離から遠距離戦がメインで、これまで近接戦闘は、高ランクの身体能力での力押しがせいぜいだった師匠が、ここの所メキメキと体術と杖術を上達させている。
トタトタトタと足音を立ててリルが走りより、俺の足に抱きつく。
「にぃにぃ、つよい!」
「ありがとうリル」
リルを抱き上げると、リルは持っていたタオルで俺の汗を拭いてくれた。
幾らナノマシンがあっても、師匠から始まり、ガンツさん、パメラさん、マリアさんの全員と続けて模擬戦をすれば汗もかく。
パメラさんとマリアさんが皆んなのお茶を淹れてくれている。
教会の中庭、どう見ても訓練所のような場所の隅に置かれたテーブルと椅子。そこに座って訓練後の雑談をしていた時、疑問に思った事を思い切って聞いてみた。
「なあ師匠、教会のシスターや司祭がこんなに強いのは普通なのか?」
「クックックッ、ランク6や4のシスターがそこらに居たら私でも怖いよ」
やっぱりこの教会が特別だったみたいだ。
普通の教会に所属するシスターや司祭は戦闘の技能は無いらしく、神聖(光)魔法が少し使える程度らしい。
その神聖魔法もシスターや司祭が全員使える訳じゃないと師匠は言う。
実際、シスターや司祭で神聖魔法が使えない人も多く、マリアさんも神聖魔法の適性はそれ程高くないそうだ。だいたいの神職の人達は、水属性の回復魔法を使うらしい。
全く回復魔法に適性がない人も多く、その代わりそんな人達は、薬師としてのスキルは高いらしい。
「じゃあ、パメラさんとマリアさんが特別なのか?」
「……パメラとマリアが特別と言うより、私をトップとした結社が特別なのさ」
「結社?」
「シュートがしてきたのと同じような仕事をする結社さ」
「……どうりで……俺を弟子にするわけだ」
俺がして来た事と言うと、ジジイの無茶な指示で、犯罪組織を潰してた事だろう。まあ、私刑だな。それを神職の師匠達がしているって……
それから師匠から聞かされた話は、めちゃくちゃな話だった。
秘密結社「ブラッディ ロータス」
血染めの蓮華……教会の聖女と呼ばれる司祭がトップの組織の名前として、それはどうなんだろう。
因みに、蓮の花はこの世界でも神聖なものらしい。
「ブラッディロータス」の構成人数は現在七人。
この教会の三人とガンツさん、ザーレさんとバルカさんの六人に、俺の知らない一人を入れて七人だそうだ。まあ、俺はザーレさんとバルカさんにもまだ会ってないんだけどな。
師匠がブラッディロータスの設立動機を話しだす。
「この世界は理不尽に溢れているからね。全てではないが、多くの権力者は民を虐げ搾取する事しか考えていない。それは貴族でも商人でも変わらない」
「そういった理不尽から民を神に代わって救うのが儂らの役目じゃ」
ガンツさんは教会の人間ではない。ブラッディロータスの構成員が教会の人間という訳じゃないそうだ。
ガンツさんは、師匠と昔からの仲間で、義憤に駆られて師匠とガンツさん、バルカさん、パメラさんの四人でブラッディロータスを結成した。
このブラッディロータスを立ち上げた四人、バルカさんは長寿種族のエルフ。師匠もエルフの血が混じっている。ガンツさんもドワーフだから、エルフと変わらないくらい長生きする種族で、パメラさんも師匠と同じくらいらしい。
何が言いたいかというと、俺が思ってる以上にブラッディロータスは、歴史のある組織だという事だ。まあ、それでも設立は百年も前の話じゃない。
「それこそ犯罪組織や裏の人間には、名前を聞いただけで怖れられるくらいには、大陸中に名は知られているのさ」
「屑の始末から戦争への介入まで、ワシらの仕事の幅は広いぞ」
ブラッディロータスの活動は多岐に渡るらしいが、戦争への介入って話が大き過ぎる。
「いや、七人で戦争への介入って……」
「シュートの感覚なら信じられないだろうがね、ランク7の私とランク6のガンツ、ザーレ、バルカ、パメラに、もうすぐランク5になりそうなランク4のマリア、これだけ揃えば、一国でも相手取る事は可能なのさ」
「出鱈目だな」
数の暴力を跳ね返す個の力なんて、この世界は随分と愉快な世界みたいだ。
「シュートの世界と、この世界とは人口も統治機構も何もかも違うからね。戦争と言っても兵士の数はねっ……。しかもこの世界には魔力がある。シュートの居た世界のように人種しか居ない世界とは違う。様々な種族が居るしね。比較するのは難しいさ」
師匠が俺の世界と言ったように、パメラさんやマリアさん、ガンツさんにも俺の事情は話してある。勿論、成り行きで助け出したユミルさんやフランソワーズさん、ルルースさんには話していない。
師匠が言うには、西と東の大陸どちらにも言えるのだが、大国と呼ばれる国でもこの世界の国の総人口はしれているらしい。
この西の大陸の大きさは、聞いた話から推測するに、正確ではないがオーストラリアの2.5倍以上ある感じだけど、そこに住む人の数は、2000万人程度だと言う。
まぁ、この人口の数字は大陸を旅してきた師匠たちの推測値らしいので、正確ではなくざっくりとしたものだ。
人間の数が少ないので、地球での大戦のような大規模な戦争にはならないという事らしい。
大国でも一つの戦場に、一万の軍勢を集めるのは難しいそうだ。
「そんな兵士の中でランク4か5がほんの一握り、ほとんどの兵士はランク2か3さ。私たちなら数の暴力をひっくり返す事が可能なのさ」
「本当、とんでもないな」
この世界では俺の常識は通用しないみたいだな。
そこで俺は気になっていた事を師匠に聞く。
「ひょっとして、師匠の教会に孤児院がないのは?」
「そうだね。ないとは思うが、私の教会を狙う馬鹿が居ないとは言えないからね」
「やっぱりか……」
師匠やブラッディーロータスに力があればあるほど、恨まれる事もあるだろうし、妬まれる事もあるだろう。敵対する存在は必ず出て来る。そうなると、一番に狙われるのが弱い子供達だ。
俺は、今も膝の上でパメラさんがくれたクッキーを美味しそうに食べるリルを見る。
「心配しなくて大丈夫さ。リル一人なら皆んなで護れる」
「そうですよシュート君。今は私かマリアのどちらかが教会の留守を護ってますからね」
俺の視線から考えている事が分かったのか、師匠とパメラさんが大丈夫だと言ってくれる。
「こんな辺境の街にブラッディロータスの拠点があるなんて誰も思わないしね」
「敵対組織は粗方潰しましたものね」
師匠がベルガドの街を拠点にしているのにも理由があったみたいだ。それよりパメラさんの発言が怖い。優しそうな見た目とのギャップが激しい。
「それにこの教会にはな、儂とバルカ特性の魔導具が設置してある。教会の居住区には認められた者しか入れん」
「なる程」
ガンツさんの説明で、この教会に着いた時、魔力の登録をさせられた意味がやっと分かった。
「じゃあ、俺は八枚目の蓮の花弁か」
「ほぅ、良い表現じゃな」
「まぁ、兎に角、シュートの装備を整えるのが先決さね」
「その後に、ユミルさんやフランソワーズさん、ルルースさんの問題解決だな」
俺がそう言うと、師匠がニヤリと口角を上げ頷いた。
やっぱり、フランソワーズさん達の問題を放っておく気はなかったみたいだ。
当分退屈とは無縁みたいだな。楽しくなりそうだ。
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『いずれ最強の錬金術師?』のコミック版6巻が、7月19日より順次書店にて発売予定です。
お手に取って頂けると嬉しいです。
よろしくお願いします。
なんとなく、そうだと思っていたけど、やっぱりパメラさんとマリアさんは強かった。
確か聞いている二人のランクは、マリアさんがランク4、パメラさんはランク6だった筈だ。だけどマリアさんやパメラさんは、それぞれ現在のランクの限界近くまで成長しているんだと思う。
此処にランク7の師匠とランク6のガンツさん。何故この大都市とも言えない街に、こんなに高ランクの人が集まっているのか不思議だ。
しかもマリアさんやパメラさんの戦い方は、対人戦に慣れている人の動きだった。
「わぁー! ガンバレ! にぃにぃー!」
リルが教会の中庭で繰り広げられる模擬戦を観て、興奮して手足をバタつかせて俺を応援している。
「ハッ!」
「まっ、参りました!」
俺が縮地で一気に間合いを詰めてパメラさんの頸筋でグルカナイフを止める。
「うわぁ、パメラさんでも勝てないなら私が負けるのも当たり前ですね」
「良かったねマリア。いい練習相手が出来たんだ。しっかり鍛錬するんだよ」
パメラさんの前に模擬戦をして見学していたマリアさんがそう感想を言うと、師匠から意地悪そうな笑顔で毎日の練習相手が出来て良かったと言われ、マリアさんは嫌そうに顔をしかめている。
「ハァ、ハァ、シュートさんはお強いですね」
「いえいえ、パメラさんも凄いですよ。何回か、危なくもらいそうになりましたから」
パメラさんが汗を拭きながら息を整えて話し掛けてきた。
パメラさんも年齢不詳だけど、ランク6は伊達じゃない。何より戦い方が上手い。歩法と呼吸法を学べばもっと強くなるのは間違いない。
その急激に進化しているお手本みたいな人が近付いて来た。
「シュート、どうしてパメラには話し方が丁寧なんだい」
「師匠は出会いが行き倒れだからなぁ」
いい歳して頬お膨らませてムスッとしている師匠こそ、俺から技術を貪欲に吸収して、あと数ヶ月もすれば、実戦で通用するだけの魔力とオーラを併用しての戦いが出来るだろう。
しかも、中距離から遠距離戦がメインで、これまで近接戦闘は、高ランクの身体能力での力押しがせいぜいだった師匠が、ここの所メキメキと体術と杖術を上達させている。
トタトタトタと足音を立ててリルが走りより、俺の足に抱きつく。
「にぃにぃ、つよい!」
「ありがとうリル」
リルを抱き上げると、リルは持っていたタオルで俺の汗を拭いてくれた。
幾らナノマシンがあっても、師匠から始まり、ガンツさん、パメラさん、マリアさんの全員と続けて模擬戦をすれば汗もかく。
パメラさんとマリアさんが皆んなのお茶を淹れてくれている。
教会の中庭、どう見ても訓練所のような場所の隅に置かれたテーブルと椅子。そこに座って訓練後の雑談をしていた時、疑問に思った事を思い切って聞いてみた。
「なあ師匠、教会のシスターや司祭がこんなに強いのは普通なのか?」
「クックックッ、ランク6や4のシスターがそこらに居たら私でも怖いよ」
やっぱりこの教会が特別だったみたいだ。
普通の教会に所属するシスターや司祭は戦闘の技能は無いらしく、神聖(光)魔法が少し使える程度らしい。
その神聖魔法もシスターや司祭が全員使える訳じゃないと師匠は言う。
実際、シスターや司祭で神聖魔法が使えない人も多く、マリアさんも神聖魔法の適性はそれ程高くないそうだ。だいたいの神職の人達は、水属性の回復魔法を使うらしい。
全く回復魔法に適性がない人も多く、その代わりそんな人達は、薬師としてのスキルは高いらしい。
「じゃあ、パメラさんとマリアさんが特別なのか?」
「……パメラとマリアが特別と言うより、私をトップとした結社が特別なのさ」
「結社?」
「シュートがしてきたのと同じような仕事をする結社さ」
「……どうりで……俺を弟子にするわけだ」
俺がして来た事と言うと、ジジイの無茶な指示で、犯罪組織を潰してた事だろう。まあ、私刑だな。それを神職の師匠達がしているって……
それから師匠から聞かされた話は、めちゃくちゃな話だった。
秘密結社「ブラッディ ロータス」
血染めの蓮華……教会の聖女と呼ばれる司祭がトップの組織の名前として、それはどうなんだろう。
因みに、蓮の花はこの世界でも神聖なものらしい。
「ブラッディロータス」の構成人数は現在七人。
この教会の三人とガンツさん、ザーレさんとバルカさんの六人に、俺の知らない一人を入れて七人だそうだ。まあ、俺はザーレさんとバルカさんにもまだ会ってないんだけどな。
師匠がブラッディロータスの設立動機を話しだす。
「この世界は理不尽に溢れているからね。全てではないが、多くの権力者は民を虐げ搾取する事しか考えていない。それは貴族でも商人でも変わらない」
「そういった理不尽から民を神に代わって救うのが儂らの役目じゃ」
ガンツさんは教会の人間ではない。ブラッディロータスの構成員が教会の人間という訳じゃないそうだ。
ガンツさんは、師匠と昔からの仲間で、義憤に駆られて師匠とガンツさん、バルカさん、パメラさんの四人でブラッディロータスを結成した。
このブラッディロータスを立ち上げた四人、バルカさんは長寿種族のエルフ。師匠もエルフの血が混じっている。ガンツさんもドワーフだから、エルフと変わらないくらい長生きする種族で、パメラさんも師匠と同じくらいらしい。
何が言いたいかというと、俺が思ってる以上にブラッディロータスは、歴史のある組織だという事だ。まあ、それでも設立は百年も前の話じゃない。
「それこそ犯罪組織や裏の人間には、名前を聞いただけで怖れられるくらいには、大陸中に名は知られているのさ」
「屑の始末から戦争への介入まで、ワシらの仕事の幅は広いぞ」
ブラッディロータスの活動は多岐に渡るらしいが、戦争への介入って話が大き過ぎる。
「いや、七人で戦争への介入って……」
「シュートの感覚なら信じられないだろうがね、ランク7の私とランク6のガンツ、ザーレ、バルカ、パメラに、もうすぐランク5になりそうなランク4のマリア、これだけ揃えば、一国でも相手取る事は可能なのさ」
「出鱈目だな」
数の暴力を跳ね返す個の力なんて、この世界は随分と愉快な世界みたいだ。
「シュートの世界と、この世界とは人口も統治機構も何もかも違うからね。戦争と言っても兵士の数はねっ……。しかもこの世界には魔力がある。シュートの居た世界のように人種しか居ない世界とは違う。様々な種族が居るしね。比較するのは難しいさ」
師匠が俺の世界と言ったように、パメラさんやマリアさん、ガンツさんにも俺の事情は話してある。勿論、成り行きで助け出したユミルさんやフランソワーズさん、ルルースさんには話していない。
師匠が言うには、西と東の大陸どちらにも言えるのだが、大国と呼ばれる国でもこの世界の国の総人口はしれているらしい。
この西の大陸の大きさは、聞いた話から推測するに、正確ではないがオーストラリアの2.5倍以上ある感じだけど、そこに住む人の数は、2000万人程度だと言う。
まぁ、この人口の数字は大陸を旅してきた師匠たちの推測値らしいので、正確ではなくざっくりとしたものだ。
人間の数が少ないので、地球での大戦のような大規模な戦争にはならないという事らしい。
大国でも一つの戦場に、一万の軍勢を集めるのは難しいそうだ。
「そんな兵士の中でランク4か5がほんの一握り、ほとんどの兵士はランク2か3さ。私たちなら数の暴力をひっくり返す事が可能なのさ」
「本当、とんでもないな」
この世界では俺の常識は通用しないみたいだな。
そこで俺は気になっていた事を師匠に聞く。
「ひょっとして、師匠の教会に孤児院がないのは?」
「そうだね。ないとは思うが、私の教会を狙う馬鹿が居ないとは言えないからね」
「やっぱりか……」
師匠やブラッディーロータスに力があればあるほど、恨まれる事もあるだろうし、妬まれる事もあるだろう。敵対する存在は必ず出て来る。そうなると、一番に狙われるのが弱い子供達だ。
俺は、今も膝の上でパメラさんがくれたクッキーを美味しそうに食べるリルを見る。
「心配しなくて大丈夫さ。リル一人なら皆んなで護れる」
「そうですよシュート君。今は私かマリアのどちらかが教会の留守を護ってますからね」
俺の視線から考えている事が分かったのか、師匠とパメラさんが大丈夫だと言ってくれる。
「こんな辺境の街にブラッディロータスの拠点があるなんて誰も思わないしね」
「敵対組織は粗方潰しましたものね」
師匠がベルガドの街を拠点にしているのにも理由があったみたいだ。それよりパメラさんの発言が怖い。優しそうな見た目とのギャップが激しい。
「それにこの教会にはな、儂とバルカ特性の魔導具が設置してある。教会の居住区には認められた者しか入れん」
「なる程」
ガンツさんの説明で、この教会に着いた時、魔力の登録をさせられた意味がやっと分かった。
「じゃあ、俺は八枚目の蓮の花弁か」
「ほぅ、良い表現じゃな」
「まぁ、兎に角、シュートの装備を整えるのが先決さね」
「その後に、ユミルさんやフランソワーズさん、ルルースさんの問題解決だな」
俺がそう言うと、師匠がニヤリと口角を上げ頷いた。
やっぱり、フランソワーズさん達の問題を放っておく気はなかったみたいだ。
当分退屈とは無縁みたいだな。楽しくなりそうだ。
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『いずれ最強の錬金術師?』のコミック版6巻が、7月19日より順次書店にて発売予定です。
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よろしくお願いします。
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