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十話 土蜘蛛の神印の力
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僕達が、盗賊に待ち伏せされている場所に差し掛かった時、問答無用で矢が降り注いできた。
「ドンドン矢を放て! 奴等の装備を売れば、暫く遊んで暮らせるぞぉ!」
僕はローブのフードを目深に被り立ち止まる。アグニは腕を組み仁王立ち、インドラは槍を肩に担いで含み笑いをしていた。
僕のローブは布地から特別製で、そこにイグニートが付与魔法で強化されているので、鉄の鏃を付けた矢の雨如き何程のものでもない。
当然、アグニ、ヴァルナ、インドラには、鉄の鏃如きでは擦り傷も付ける事は叶わない。例え傷を付ける事が出来たとしても、立ち所に治るだろうけど。
矢の雨が収まった時、何時の間にか姿を消したヴァルナが、林の中からゆっくりと歩いて戻って来た。林の中に居た弓兵を殲滅し終えて戻って来たんだ。
「ヒャハハハハッ! ハリネズミになりやがれ! って、んあっ!? 何ともないだとぉ!?」
奇襲が成功したと勘違いした盗賊達が、ゾロゾロと包囲するように出て来た。男達は、例の如く汚れた革鎧に手入れの行き届いていない剣や斧を手に、今にも襲いかかろうと構えているが、その技量はお世辞にも熟達したものではなさそうだ。
矢が大量に降り注いだのに、怪我の一つもした様子も見せず平然と立つ僕達に、そこで初めて襲った相手が尋常じゃないと動揺し始めた盗賊達。そんな間抜けな盗賊達を見逃す筈もなく、僕は土蜘蛛の神印を解放し、地獄の力が襲いかかる。
「土蜘蛛よ、地獄の刃で仇なすものを縫い付けろ! 剣山刀樹!!」
僕達を包囲する盗賊の足元に、突然地面から突き出た鋼鉄の剣や刀が、刃の林を作り上げる。
「「「ギャアァァァァァァ!!」」」
僕達を包囲していた盗賊の半数が身体を剣山に貫かれ即死し、串刺になっても即死出来なかった男達の絶叫が響く。
僕が「剣山刀樹」を解除すると、鋼鉄の刃がキラキラと霧散して魔素に還る。
「問答無用で矢を射たんだ。殺されても文句ねえよな」
インドラが作業のように、生き残った盗賊達を龍牙槍で始末していく。
「我が主人に矢を放ったお前達は、そのこと一つだけで万死に値する。罪を悔いて逝け!」
アグニが龍牙大剣を横薙ぎに一振りすると、数人の身体が鎧ごと纏めて上下に二つになる。
アグニが振るう龍牙大剣は、柄まで入れると1メートル80センチの長さがあり、身幅も柄元は15センチある。アグニの2メートルを超える巨体と、スパルトイ故の怪力、高いレベル故の並外れた身体能力があっての大剣と言える。
「ここに居るのが全部のようです」
「ご苦労様、死体は一箇所に纏めて置いてくれる?」
「分かりました」
ロングソードを片手に、反対の手で弓兵の死体を引きずって来たヴァルナが報告する。ヴァルナは、弓兵を殲滅した後、見張りや斥候が居ないか周辺の確認をしていた。
「さて、お前達のアジトは何処にある? 仲間は他に居るのか?」
僕は一人だけアジトの場所を聞く為に、生かされた男の首に、バスタードソードを突き付け尋問する。
「グゥワァ! 助けてくれぇ!」
「そんな事聞いていないんだけどね」
「ギャアァァァァーー!!」
男の太腿に剣を突き刺し抉る。
男がアジトの場所を吐いたのは直ぐの事だった。
「金目のものは回収、死体はシグ様が空けた穴に捨てておきました」
「主人、コイツらの馬車が残されていたぞ。丁度いいから貰っておこう。どうせ盗んだ物だろうしな」
「坊、一走りアジトを潰して来ようか?」
「いや、アジトには皆んなで行こう。馬車も有り難く使わせて貰おう。要らなくなったら売ればいいからね」
盗賊達の使っていた馬は、馬車を引く二頭を除いて逃げ出していた。
「盗賊のクセにマシな馬車だな。誰か馭者出来る?」
「私が馭者をしましょう」
盗賊が使っていた馬車は、商人から奪った物なのか、造りもしっかりとした良い馬車だった。
ヴァルナに馭者を任せて、盗賊のアジトへ向かう。あの男の話が本当なら、アジトには三人の留守番が居るだけだ。
まぁ、何人居ても変わらないんだけどね。
盗賊達のアジトは、襲撃を受けた場所から然程遠くない林の奥に隠れるように建てられた大きめの小屋だった。
留守番役の三人をサクッと斃して、小屋の中を探索する。
「捕まった人は居ないみたいだな」
「今は、でしょうね」
「だろうね」
全部の部屋をくまなく探し、お金や商隊から奪った物を物色していく。
「うーん、酒は飲みたいが、骨だからなぁ」
インドラが残念そうに、ワインのボトルを眺めている。
小屋には、金貨や銀貨などのお金の他、干し肉や小麦、ポーション類やワイン、宝石や装飾品、それと嬉しいのが塩の壺が大量にあったのと、希少な香辛料を見つけた。
「はぁ、料理出来る仲間が欲しいな」
「私達は食事の必要がありませんからね」
ヴァルナ達が持って来た物を、必要だと思う物から片っ端に収納していく。
ここまで幾つもの盗賊や山賊を潰し、アジトを襲った僕達の懐は暖かい。大金持ちとは言えないけど、小金持ち位にはなったかな。
「さて、次の街はカペラだったかな」
国境の街ペルディーダと港町パルミナの中間に位置する街がカペラだ。ペルディーダが他の国から攻められた時、後詰めの街という役目の街で、ペルディーダに次いで兵士の数が多い街だと聞いた。
回収出来る物は全て回収出来たので、ヴァルナの馭者で次の街を目指して街道を走り始める。
「ドンドン矢を放て! 奴等の装備を売れば、暫く遊んで暮らせるぞぉ!」
僕はローブのフードを目深に被り立ち止まる。アグニは腕を組み仁王立ち、インドラは槍を肩に担いで含み笑いをしていた。
僕のローブは布地から特別製で、そこにイグニートが付与魔法で強化されているので、鉄の鏃を付けた矢の雨如き何程のものでもない。
当然、アグニ、ヴァルナ、インドラには、鉄の鏃如きでは擦り傷も付ける事は叶わない。例え傷を付ける事が出来たとしても、立ち所に治るだろうけど。
矢の雨が収まった時、何時の間にか姿を消したヴァルナが、林の中からゆっくりと歩いて戻って来た。林の中に居た弓兵を殲滅し終えて戻って来たんだ。
「ヒャハハハハッ! ハリネズミになりやがれ! って、んあっ!? 何ともないだとぉ!?」
奇襲が成功したと勘違いした盗賊達が、ゾロゾロと包囲するように出て来た。男達は、例の如く汚れた革鎧に手入れの行き届いていない剣や斧を手に、今にも襲いかかろうと構えているが、その技量はお世辞にも熟達したものではなさそうだ。
矢が大量に降り注いだのに、怪我の一つもした様子も見せず平然と立つ僕達に、そこで初めて襲った相手が尋常じゃないと動揺し始めた盗賊達。そんな間抜けな盗賊達を見逃す筈もなく、僕は土蜘蛛の神印を解放し、地獄の力が襲いかかる。
「土蜘蛛よ、地獄の刃で仇なすものを縫い付けろ! 剣山刀樹!!」
僕達を包囲する盗賊の足元に、突然地面から突き出た鋼鉄の剣や刀が、刃の林を作り上げる。
「「「ギャアァァァァァァ!!」」」
僕達を包囲していた盗賊の半数が身体を剣山に貫かれ即死し、串刺になっても即死出来なかった男達の絶叫が響く。
僕が「剣山刀樹」を解除すると、鋼鉄の刃がキラキラと霧散して魔素に還る。
「問答無用で矢を射たんだ。殺されても文句ねえよな」
インドラが作業のように、生き残った盗賊達を龍牙槍で始末していく。
「我が主人に矢を放ったお前達は、そのこと一つだけで万死に値する。罪を悔いて逝け!」
アグニが龍牙大剣を横薙ぎに一振りすると、数人の身体が鎧ごと纏めて上下に二つになる。
アグニが振るう龍牙大剣は、柄まで入れると1メートル80センチの長さがあり、身幅も柄元は15センチある。アグニの2メートルを超える巨体と、スパルトイ故の怪力、高いレベル故の並外れた身体能力があっての大剣と言える。
「ここに居るのが全部のようです」
「ご苦労様、死体は一箇所に纏めて置いてくれる?」
「分かりました」
ロングソードを片手に、反対の手で弓兵の死体を引きずって来たヴァルナが報告する。ヴァルナは、弓兵を殲滅した後、見張りや斥候が居ないか周辺の確認をしていた。
「さて、お前達のアジトは何処にある? 仲間は他に居るのか?」
僕は一人だけアジトの場所を聞く為に、生かされた男の首に、バスタードソードを突き付け尋問する。
「グゥワァ! 助けてくれぇ!」
「そんな事聞いていないんだけどね」
「ギャアァァァァーー!!」
男の太腿に剣を突き刺し抉る。
男がアジトの場所を吐いたのは直ぐの事だった。
「金目のものは回収、死体はシグ様が空けた穴に捨てておきました」
「主人、コイツらの馬車が残されていたぞ。丁度いいから貰っておこう。どうせ盗んだ物だろうしな」
「坊、一走りアジトを潰して来ようか?」
「いや、アジトには皆んなで行こう。馬車も有り難く使わせて貰おう。要らなくなったら売ればいいからね」
盗賊達の使っていた馬は、馬車を引く二頭を除いて逃げ出していた。
「盗賊のクセにマシな馬車だな。誰か馭者出来る?」
「私が馭者をしましょう」
盗賊が使っていた馬車は、商人から奪った物なのか、造りもしっかりとした良い馬車だった。
ヴァルナに馭者を任せて、盗賊のアジトへ向かう。あの男の話が本当なら、アジトには三人の留守番が居るだけだ。
まぁ、何人居ても変わらないんだけどね。
盗賊達のアジトは、襲撃を受けた場所から然程遠くない林の奥に隠れるように建てられた大きめの小屋だった。
留守番役の三人をサクッと斃して、小屋の中を探索する。
「捕まった人は居ないみたいだな」
「今は、でしょうね」
「だろうね」
全部の部屋をくまなく探し、お金や商隊から奪った物を物色していく。
「うーん、酒は飲みたいが、骨だからなぁ」
インドラが残念そうに、ワインのボトルを眺めている。
小屋には、金貨や銀貨などのお金の他、干し肉や小麦、ポーション類やワイン、宝石や装飾品、それと嬉しいのが塩の壺が大量にあったのと、希少な香辛料を見つけた。
「はぁ、料理出来る仲間が欲しいな」
「私達は食事の必要がありませんからね」
ヴァルナ達が持って来た物を、必要だと思う物から片っ端に収納していく。
ここまで幾つもの盗賊や山賊を潰し、アジトを襲った僕達の懐は暖かい。大金持ちとは言えないけど、小金持ち位にはなったかな。
「さて、次の街はカペラだったかな」
国境の街ペルディーダと港町パルミナの中間に位置する街がカペラだ。ペルディーダが他の国から攻められた時、後詰めの街という役目の街で、ペルディーダに次いで兵士の数が多い街だと聞いた。
回収出来る物は全て回収出来たので、ヴァルナの馭者で次の街を目指して街道を走り始める。
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