召喚術士は魔物と踊る

小狐丸

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買い物と情報収集

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 迷宮都市に来て、借りる事になった家に必要な物を買う為に、ボルデルの街を見て歩いた。
 家具屋や食器類を売る店は、商業ギルドで場所を聞いてあった。

「先ず布団とソファーを買いに行こうか」

「その次は食器を買いましょう」

「そうだな、それで食料を買い込んでパーティーでもするか」

「パーティーってなに?」

 ルルが首をかしげる。

「美味しい料理を食べたりするんだよ」

「皆んなが出逢えた事に感謝してお祝いかな」

「ルル、美味しいの好き!」

「よし、買い物が済んだら、今日は屋台で食べ物を色々買って帰ろう」

「「やったー!」」

 ミミとルルが喜んでバンザイしている。ムサシはそれを見れただけで満足だった。



 最初に訪れた家具屋で、リビングに置くローテーブルとソファーを購入する。あと人数分の布団と枕を購入、カーテンも発注する。

 次に雑貨屋でキッチン用品や歯ブラシやタオルやパジャマを購入する。

 食器類は専門店で、人数分よりも多めに揃えておく。

「お兄ちゃん!串肉が食べたい!」

「よーし!好きなもの全部買っちゃうぞー!」

 ルルが屋台の串肉を食べたがったので、多めに購入し、他の屋台も廻って行く。
 どんどん目に付く料理を買って、市場で果物も買っておく。

 この世界にも、クッキーのような焼き菓子類が有ったので、色々買っていく。
 ただ、砂糖を使うお菓子は高価で、裕福な商人や貴族向けのようだ。

 ついでに砂糖や蜂蜜を購入しておく。

「お兄ちゃん、砂糖ってなに?」

 ルルは砂糖を知らないようだ。確かにかなり高価な物だった。

「とても甘いものだよ」

「甘いの?ルル、甘いの楽しみだな~」

 ミミとルルの今までの生活の中には、甘い物は無かったのだろう。砂糖という贅沢品を買う環境に育っていない姉妹には、砂糖の味が想像出来ないのだろう。

 ここはテンプレのプリンを作ってみるか。クッキーやスポンジケーキなんて作った事はないが、プリン位なら作れるかもしれない。当然ムサシはプリンなど作った事はない。だけど作り方は想像出来る。

「何かお菓子を作ってみようか」

「お菓子?さっき買ったクッキーみたいなの?」

「また違うのだけどね。ルルとミミも作るの手伝ってくれる?」

「「うん!」」

 元気良く返事するミミとルルに、ムサシとアンナは微笑む。

「じゃあ家に帰ろう」

 ミミとルルの手を取り家路を急ぐ。




 鍵を開けて家に入る。

「私はお掃除するね」

「私もお手伝いします」「ルルも!」

 アンナの後をミミとルルが追いかける。

 ムサシはベッドにマジックバッグから取り出した、シーツ、布団、枕をセットして行く。
 食器棚に、食器を並べて行く。キッチンにもフライパンや包丁などのキッチン用具を収納して行く。
 お風呂に石鹸などのバス用品も配置する。

 その時、行くノックの音が聞こえ、ムサシが出ると、家具屋がソファーとローテーブルを持って来た。

「ここに置いて下さい」

 リビングにソファーを配置して貰う。
 あと窓のサイズを計測して貰い、カーテンを発注する。

「じゃあお願いします」

「出来上がり次第お届けします」

 家具屋が帰って直ぐに、アンナ達がリビングに入って来た。

「定期的に掃除されてたみたい。案外綺麗だったわ」

「じゃあお菓子を作ろうか」

「「うん!」」

 皆んなでキッチンへ移動すると、ムサシはマジックバッグから材料を取り出す。
 玉子とミルクと砂糖を混ぜる。
 少し舐めて味を確かめて、濾してから器に入れて、沸かしたお湯に浸けて蓋をして湯煎する。

「おっ、固まってるな」

 出来上がったプリンを、魔導冷蔵庫に入れて冷やしておく。

「お兄ちゃん、直ぐに食べれないの?」

 直ぐに食べれると思っていたルルが、悲しそうにムサシの顔を見て聞く。

「冷たい方が美味しいよ。冷えるのを待つ間に、屋台で買った物を食べようか」

「うん、食べる!」

 アンナと手分けして、ダイニングのテーブルに、屋台で買った、串焼きやスープ、内臓を煮たモツ煮の様な物や肉まんの様な物などを並べていく。
 果汁を水で割った、果実水をコップに入れていく。

「さぁ、皆んな食べようか」

「「は~い!」」

『フランも食べる』

 夢中で料理にかぶりつくミミとルル。
 ムサシがふと横を見ると、アンナも必死で串焼きにかぶりついている。
 フランはムサシに串焼きを貰い、体の中に取り込んで溶解している。

 テーブルの上の料理が粗方片付いた頃、そろそろデザートだけど、食べれるのかとムサシは思ったが、アンナのデザートは別腹と言う主張に負けて、冷蔵庫にプリンを取りに行く。

「はい、どうぞ、召し上がれ」

 皆んなの前にプリンを一つずつ配りスプーンを渡す。

「「「……………………」」」

 黙々とスプーンを口に運ぶ三人。

「「「おいし~~い~!!」」」

『おいし~い!』

 蕩けた顔でプリンを絶賛する三人と一匹。
 

 ミミとルルの笑顔が見れて、ムサシはプリンを作って良かったと思った。
 アンナにしても、ヒューイとドルジと辛い別れを先日経験したばかりだ。無理して明るく振舞っていたのが、分かっていたムサシは、心からの笑顔にホッとするのだった。

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