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三十五話 王都へ
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時は経ち、季節は巡り春が過ぎ、私やララ、マーテルとパティは十五歳になり、ノックスは十六歳で、この世界では一応成人とされる年齢となった。
まあ、一応法律的な成人という事で、まだまだ子供扱いされるのは変わらない。
この世界でも、大人とされるのは二十歳くらいだしね。ただ、貴族は結婚が早い傾向があるので、どうしても早熟にならざるを得ないのよね。
ただ、ルミエール領はこの世界では珍しく、結婚年齢が高くても焦る人が少ない。それは、領民を含めエルフやドワーフなどの長命種族の血が流れている者が多いから。それに加えて、ルミエール領に暮らす者の魔力量は多く、それは平民でもそう。パティなんか、他所の領なら立派な魔法使いと呼ばれるレベル。という訳で、魔力量が多いという事は、何時迄も若々しい人が多いの。
ララやマーテルは、結婚相手どうするのかしら。パティも、良い相手を見つけてあげないとね。
そして私とララ、マーテル、パティ、ノックスの何時ものメンバーに加え、十一歳になった双子の妹弟メルティアラとルードルフ、そしてアレクサンダーお父様とフローラお母様は、王都へと移動中である。
護衛の責任者がマーカスで、当然のようにジェスもいる。侍女としては、ユノスと私専属のリンジーの二人という少なさ。全体の人数も、伯爵家としては最小人数ではないかな。ノックスの父親で、騎士団長のがーらガーランドはお留守番だ。ルミエール領の守りの要だからね。
アレクお父様とフローラお母様、メルティとルードの乗った馬車と、使用人が乗る馬車。それと荷物を載せた馬車の三台。これは、伯爵家の遠出と考えれば、大変少ない編成だけど、ルミエール伯爵家にはマジックバッグが豊富に有るからね。全く問題はない。
先頭を安定のジェスの斥候。その後ろにお父様とお母様達の馬車を護るように、マーカスが率いる騎士達が続く。そして私達は、隊列の殿だ。
私達は、今回全員騎乗している。
伯爵令嬢が、遠出するのに馬車を使わないなんて、常識外れもいいところだけど、これが私達だけなら走ってるものね。まだ馬に乗っているだけいいじゃない。
隊列の最後尾を進んでいると、私が契約している聖属性の上級精霊ゴクウと、風属性の上級精霊ハヤテが話し掛けてきた。
『ユーリ。まだ遠いけど、後方から魔物の群れが近付いて来るよ』
『狼系だね。僕が見て来るよ』
「はぁ、ルミエール領を出ると途端にだね」
ゴクウとハヤテの話を聞いて、後方に察知範囲を拡げてみると、確かに近付いて来る反応がある。
ルミエール伯爵領は、ユースクリフ王国でも有数の強い魔物が棲息する地だけれど、街道近くに出没する事は少ない。巡回警備を徹底しているからね。
『どうする?』
『ここは、オレの出番じゃないか?』
『イフはダメよ。周りが火事になるわ』
『素材の事を考えれば、私だろう』
『僕でも大丈夫だけど、ここはゴレムスでいいんじゃない』
『ゴレムス、やっちゃえ』
ゴクウが「どうする」と聞いたのは、何の精霊魔法を使うのかという事。それに、真っ先に反応したのは、火の上級精霊イフ。ただ、直ぐに水の上級精霊ミズチに火事になると反対される。そこに手を挙げたのは土の上級精霊ゴレムスだ。確かに、土の精霊魔法なら周辺への被害も少ない。それは、風の精霊魔法でも同様だけど、ハヤテは今回はゴレムスに譲るようね。ルナは最初からやる気はないみたい。
私は正確に魔物の位置を特定すると、ゴレムスに魔力とイメージを渡す。
「アースパイル」
地面から鋭い石の杭が突き出し、魔物達を縫い付けた。
これがルミエール領だと、街道は石畳で整備されてあるから使えない魔法だけど、ルミエールを出ると舗装された街道なんて稀なのよね。その場合、水か風の精霊魔法を使えばいい話だけど。
「お嬢。回収して来る!」
「あっ、私も行きます!」
「お願いね」
ノックスとパティが、仕留めた魔物を回収しに行ってくれた。パティも馬の扱いが上手くなったものね。パティは、私達の中で一人平民だったから馬とは縁がなかったのだけれど、彼女は努力家なのよね。
魔物の処理はあったものの、それ以外は順調に行程は進む。問題は、スピードが遅い事だけど、これでもルミエール家の馬車だからまだマシで、これが他の貴族家ならもっとのんびりとしたスピードになる。
やがて馬車の隊列が野営地に到着し、皆んなで準備に取り掛かる。
普通の貴族は、ゆっくりと街や村を経由して目的地へ向かうので、滅多に野営はしないけれど、ルミエール家は普通じゃないからね。
直ぐにノックスとパティが戻って来る。
「さすがお嬢だな。綺麗に頭だけを貫いていたぜ」
「はい。あれなら買取も期待できそうです」
「パティ。この辺りの魔物なんて、そんなに値は付かないわよ」
「ええっ! そうなんですか?」
良いのか悪いのか、ルミエール領の魔物は強力らしい。まあ、マーサお婆ちゃんが暮らしていた森に比べれば、なんて事ないと思うのは私だけかな。そんな事もあって、この辺りの魔物なんて売ったところでしれてるのよね。
魔力溜まりみたいなマーサお婆ちゃんの家が在る森は別にして、この付近は魔力が薄いのか、魔物から採れる魔石も小さく質は良くない。逆に、質の良い魔石を手に入れ易いルミエール領は、魔道具を始め武器や防具も良い物が生産される。それでも、中央貴族から魔境と馬鹿にされているルミエール領に、移住しようとするのは、物作りに拘りのあるドワーフやエルフが多く、結果ルミエール領は平民でも魔力量が多いの。
因みに、精霊を介さず私自身でも同じ様な魔法は放てるけれど、どうしても私はガチンコが好みなのよね。これは前世が武術家だったから仕方ない。
ルミエール領と比べると、見劣りする街道を進む事暫く、やがて街道が広く整備された道へと変わる。王都が近い。
「流石に王都の近くは整備されてるみたいね」
「とはいえ、轍はあるし、馬車は大変そうよ」
「街道が石畳なんて、ルミエール領とシルフィード辺境伯領の一部くらいですもんね」
「ああ、領都は兎も角、ルミエールは小さな町でも道は石畳だからな。比べちゃダメだ」
馬車が二台すれ違う道幅になると、王都は直ぐだと分かる。
「ユーリちゃん。魔物の気配がまったくないね」
「マーテル、当たり前じゃない。王都近くに魔物が頻繁に出没したら大変でしょう」
マーテルが魔物の気配がまったくない事に首を傾げているけど、王都近くはこんなものらしい。農地が拡がり家もポツポツ観える。
あんなのルミエール領なら、魔物に襲ってくれと言ってるようなものだけど、王都付近は魔物が棲む森も少なく、あっても薪取りの為に作られた人工の林くらいだとお父様から聞いた。
ルミエール領の農村は、農地も外壁で囲われているからね。村や町単位で囲われている。王都付近みたいに、だだっ広い農地は無いしね。
逆に言うと、王都付近の人口を支えるには、この規模の農地が必要という事だ。まあ、それでも足りないから、地方から買ってるんだけどね。
「この辺って、王領なんだろう?」
「一部、公爵領もあるわ。習ったわよ。ノックスたら、覚えてないの?」
私達的には、のんびりと広大な農地の間を抜けている時に、ふとノックスが疑問に思ったのか聞いた。それに、ララが呆れた様子で冷たく言ったように、この辺りはほぼ王領だけど、一部公爵領もある。我が国の公爵家は、軍事的には無力だけど、権威だけはあるみたいだからね。
「いやっ、他領の貴族家の事を全部なんて覚えきれないぞ。なぁ、お嬢」
「私も人の事言えないけど、ノックスはもう少し勉強するべきね」
「むぅ……」
ノックスは馬鹿じゃない。実際、戦略などに関しては真面目に勉強しているからね。それに、国内外の貴族家なんて、大小合わせると幾つあるのってくらいだから、私も苦手な分野になる。
特に、ルミエール伯爵家は、武闘派貴族以外と関係が強くない。更に、私はこの歳までルミエール領に引き篭もってたからね。
そんな引き篭もりの私の代わりに、メルティとルードが大変そうだけどね。姉としては、貴族としての仕事を押し付けてるみたいで申し訳ない気持ちで一杯だ。
まあ、一応法律的な成人という事で、まだまだ子供扱いされるのは変わらない。
この世界でも、大人とされるのは二十歳くらいだしね。ただ、貴族は結婚が早い傾向があるので、どうしても早熟にならざるを得ないのよね。
ただ、ルミエール領はこの世界では珍しく、結婚年齢が高くても焦る人が少ない。それは、領民を含めエルフやドワーフなどの長命種族の血が流れている者が多いから。それに加えて、ルミエール領に暮らす者の魔力量は多く、それは平民でもそう。パティなんか、他所の領なら立派な魔法使いと呼ばれるレベル。という訳で、魔力量が多いという事は、何時迄も若々しい人が多いの。
ララやマーテルは、結婚相手どうするのかしら。パティも、良い相手を見つけてあげないとね。
そして私とララ、マーテル、パティ、ノックスの何時ものメンバーに加え、十一歳になった双子の妹弟メルティアラとルードルフ、そしてアレクサンダーお父様とフローラお母様は、王都へと移動中である。
護衛の責任者がマーカスで、当然のようにジェスもいる。侍女としては、ユノスと私専属のリンジーの二人という少なさ。全体の人数も、伯爵家としては最小人数ではないかな。ノックスの父親で、騎士団長のがーらガーランドはお留守番だ。ルミエール領の守りの要だからね。
アレクお父様とフローラお母様、メルティとルードの乗った馬車と、使用人が乗る馬車。それと荷物を載せた馬車の三台。これは、伯爵家の遠出と考えれば、大変少ない編成だけど、ルミエール伯爵家にはマジックバッグが豊富に有るからね。全く問題はない。
先頭を安定のジェスの斥候。その後ろにお父様とお母様達の馬車を護るように、マーカスが率いる騎士達が続く。そして私達は、隊列の殿だ。
私達は、今回全員騎乗している。
伯爵令嬢が、遠出するのに馬車を使わないなんて、常識外れもいいところだけど、これが私達だけなら走ってるものね。まだ馬に乗っているだけいいじゃない。
隊列の最後尾を進んでいると、私が契約している聖属性の上級精霊ゴクウと、風属性の上級精霊ハヤテが話し掛けてきた。
『ユーリ。まだ遠いけど、後方から魔物の群れが近付いて来るよ』
『狼系だね。僕が見て来るよ』
「はぁ、ルミエール領を出ると途端にだね」
ゴクウとハヤテの話を聞いて、後方に察知範囲を拡げてみると、確かに近付いて来る反応がある。
ルミエール伯爵領は、ユースクリフ王国でも有数の強い魔物が棲息する地だけれど、街道近くに出没する事は少ない。巡回警備を徹底しているからね。
『どうする?』
『ここは、オレの出番じゃないか?』
『イフはダメよ。周りが火事になるわ』
『素材の事を考えれば、私だろう』
『僕でも大丈夫だけど、ここはゴレムスでいいんじゃない』
『ゴレムス、やっちゃえ』
ゴクウが「どうする」と聞いたのは、何の精霊魔法を使うのかという事。それに、真っ先に反応したのは、火の上級精霊イフ。ただ、直ぐに水の上級精霊ミズチに火事になると反対される。そこに手を挙げたのは土の上級精霊ゴレムスだ。確かに、土の精霊魔法なら周辺への被害も少ない。それは、風の精霊魔法でも同様だけど、ハヤテは今回はゴレムスに譲るようね。ルナは最初からやる気はないみたい。
私は正確に魔物の位置を特定すると、ゴレムスに魔力とイメージを渡す。
「アースパイル」
地面から鋭い石の杭が突き出し、魔物達を縫い付けた。
これがルミエール領だと、街道は石畳で整備されてあるから使えない魔法だけど、ルミエールを出ると舗装された街道なんて稀なのよね。その場合、水か風の精霊魔法を使えばいい話だけど。
「お嬢。回収して来る!」
「あっ、私も行きます!」
「お願いね」
ノックスとパティが、仕留めた魔物を回収しに行ってくれた。パティも馬の扱いが上手くなったものね。パティは、私達の中で一人平民だったから馬とは縁がなかったのだけれど、彼女は努力家なのよね。
魔物の処理はあったものの、それ以外は順調に行程は進む。問題は、スピードが遅い事だけど、これでもルミエール家の馬車だからまだマシで、これが他の貴族家ならもっとのんびりとしたスピードになる。
やがて馬車の隊列が野営地に到着し、皆んなで準備に取り掛かる。
普通の貴族は、ゆっくりと街や村を経由して目的地へ向かうので、滅多に野営はしないけれど、ルミエール家は普通じゃないからね。
直ぐにノックスとパティが戻って来る。
「さすがお嬢だな。綺麗に頭だけを貫いていたぜ」
「はい。あれなら買取も期待できそうです」
「パティ。この辺りの魔物なんて、そんなに値は付かないわよ」
「ええっ! そうなんですか?」
良いのか悪いのか、ルミエール領の魔物は強力らしい。まあ、マーサお婆ちゃんが暮らしていた森に比べれば、なんて事ないと思うのは私だけかな。そんな事もあって、この辺りの魔物なんて売ったところでしれてるのよね。
魔力溜まりみたいなマーサお婆ちゃんの家が在る森は別にして、この付近は魔力が薄いのか、魔物から採れる魔石も小さく質は良くない。逆に、質の良い魔石を手に入れ易いルミエール領は、魔道具を始め武器や防具も良い物が生産される。それでも、中央貴族から魔境と馬鹿にされているルミエール領に、移住しようとするのは、物作りに拘りのあるドワーフやエルフが多く、結果ルミエール領は平民でも魔力量が多いの。
因みに、精霊を介さず私自身でも同じ様な魔法は放てるけれど、どうしても私はガチンコが好みなのよね。これは前世が武術家だったから仕方ない。
ルミエール領と比べると、見劣りする街道を進む事暫く、やがて街道が広く整備された道へと変わる。王都が近い。
「流石に王都の近くは整備されてるみたいね」
「とはいえ、轍はあるし、馬車は大変そうよ」
「街道が石畳なんて、ルミエール領とシルフィード辺境伯領の一部くらいですもんね」
「ああ、領都は兎も角、ルミエールは小さな町でも道は石畳だからな。比べちゃダメだ」
馬車が二台すれ違う道幅になると、王都は直ぐだと分かる。
「ユーリちゃん。魔物の気配がまったくないね」
「マーテル、当たり前じゃない。王都近くに魔物が頻繁に出没したら大変でしょう」
マーテルが魔物の気配がまったくない事に首を傾げているけど、王都近くはこんなものらしい。農地が拡がり家もポツポツ観える。
あんなのルミエール領なら、魔物に襲ってくれと言ってるようなものだけど、王都付近は魔物が棲む森も少なく、あっても薪取りの為に作られた人工の林くらいだとお父様から聞いた。
ルミエール領の農村は、農地も外壁で囲われているからね。村や町単位で囲われている。王都付近みたいに、だだっ広い農地は無いしね。
逆に言うと、王都付近の人口を支えるには、この規模の農地が必要という事だ。まあ、それでも足りないから、地方から買ってるんだけどね。
「この辺って、王領なんだろう?」
「一部、公爵領もあるわ。習ったわよ。ノックスたら、覚えてないの?」
私達的には、のんびりと広大な農地の間を抜けている時に、ふとノックスが疑問に思ったのか聞いた。それに、ララが呆れた様子で冷たく言ったように、この辺りはほぼ王領だけど、一部公爵領もある。我が国の公爵家は、軍事的には無力だけど、権威だけはあるみたいだからね。
「いやっ、他領の貴族家の事を全部なんて覚えきれないぞ。なぁ、お嬢」
「私も人の事言えないけど、ノックスはもう少し勉強するべきね」
「むぅ……」
ノックスは馬鹿じゃない。実際、戦略などに関しては真面目に勉強しているからね。それに、国内外の貴族家なんて、大小合わせると幾つあるのってくらいだから、私も苦手な分野になる。
特に、ルミエール伯爵家は、武闘派貴族以外と関係が強くない。更に、私はこの歳までルミエール領に引き篭もってたからね。
そんな引き篭もりの私の代わりに、メルティとルードが大変そうだけどね。姉としては、貴族としての仕事を押し付けてるみたいで申し訳ない気持ちで一杯だ。
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