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三十四話 ユーリ武術大会へ
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その日、アレクお父様から意外なお話をされた。
「えっと、私が王都へ行くのですか?」
「うん。次の大会がユーリ在学中の最後の大会になるだろう? 最後くらいは出場して欲しいと、我が領都の学園から嘆願があってね」
二年に一度、開催される学園対抗武術大会。それに参加するって事? 驚く私にアレクお父様が苦笑いする。
「ユーリの後輩や先輩達が、一度はユーリ達に出場して欲しいと願ってるんだよ」
「私達が出ると、勝負にならないと思いますけど……」
「そうなんだけどね」
同級生や先輩後輩達が、私達に出場して欲しいという気持ちも分からなくはない。
ローディンお兄様が卒業してから、上位を独占しているルミエール伯爵領とシルフィード辺境伯領の代表。だけど、皆んなは本当にルミエール領の学園最強を差し置いてって気持ちになるのだそうだ。
「ルミエール領の子供達は、ユーリの教え子だからね。師を誇りたいんだろうね」
「でも、お父様。私、お披露目は致しましたが、アレがあってから社交の場には出ていません。アガートラムの事もありますし、王都に行っても大丈夫でしょうか?」
アレクお父様の言う事も分かる。だけど、私は貴族令嬢としてのマナーは継続して習ってはいたけど、パーティーやお茶会の類いには、誘拐事件以来不参加だ。今更、結婚相手を探す気なんて、さらっさらないし、王都なんて一生行かなくても大丈夫なんだけどな。
「その辺は、もう大丈夫だと思うよ。周辺全てが敵になったとしても、ルミエールは簡単に跳ね返せるだろう?」
「そうかもしれないですけど、領民に迷惑は掛けたくないですから」
「だから余計にだよ。ユーリが、自分達の手に負えないと分からせる必要があると思ってね。ルミエールを敵視する勢力にね」
ガドウィンお祖父様が、常勝将軍。サーシャお祖母様が、賢者を継ぐ者。アレクお父様が、剣聖。フローラお母様が、ルミエールの聖女。そこに、学園時代負け無しのローディンお兄様。シルフィード辺境伯家と縁戚で絆は強い。もう、十分じゃないかな。
ただ、アレクお父様は、今度の学園対抗武術大会を、ダメ押しのパフォーマンスにしたいみたい。
「まぁ、諦めない奴らはいるだろうけどね。例えば、教会とか」
「大会への出場は分かりましたけど、私が目立つと教会は絶対何か言ってくるでしょうね」
「それはもう仕方ないさ。奴らは言葉が通じないからね」
アレクお父様の話によると、もともと王家はルミエール伯爵家に不干渉なのだとか。何それ。そんなんでいいの? と思った私に、お父様が言うには、ユースクリフ王国をあげてルミエール家に敵対したとしても、受ける被害が割に合わないかららしい。
「あれ? それって、この国に居る意味あります?」
「あるさ。僕達ルミエール家は、これ以上の領地を必要としていないからね。面倒な中央の貴族を纏めて統治するなんて絶対御免だよ。まあ、ユーリがしたいなら反対はしないけどね」
「絶対に嫌です!」
「だろう?」
「よ~く、分かりました」
碌でもない貴族連中の相手なんかお断りだ。
ルミエール伯爵領は、代々の当主やその家臣達の努力により、日本人だった私から見ても奇跡の地だと思う。
領主は、領民を大切にしているし、確かに魔物は多く強力? らしいけど、領内は豊かで産業も発達している。治安はすこぶる良いし、領民からの支持も高く、家臣とその関係者の忠誠も驚くほど高い。
ぶっちゃけ、今よりも領地を拡げて要らぬ苦労なんてしたくない。
「それに、ユーリも十五歳になり、来年は成人だ。ルミエール領にだけ閉じ籠もってるのは勿体ないと思わないかい?」
「……確かに。私が領を出たのは、ジルベールお祖父様の所、シルフィード辺境伯領か、マーサお婆ちゃんのお墓参りに森へ行ったくらいですものね」
実際、中央の高位貴族の令嬢は、避暑地に出掛ける程度。国内でも余り動く事は少ない。逆に、地方の領地持ち貴族は、定期的に王都と行き来するかな。
まあ、引き篭もりのルミエール伯爵家は、王都はガドウィンお祖父様とサーシャお祖母様にお任せしっぱなし。たまーに、アレクお父様とローディンお兄様が行くくらい。フローラお母様なんて、王都に居ると教会がうるさいからって滅多に行かない。
うん。国の統治なんて無理だね。
「ああ、あと王都で一度パーティーを主催するからね。ユーリも出席するんだよ」
「えっ!? 私がですか?」
「大丈夫。伯爵家が主催するものだから、招待している中で、うちよりも格上はシルフィード辺境伯の所とロックウェル侯爵くらいだから」
「……まあ、お母様の実家とエリザベスお義姉様のご実家ですものね」
アレクお父様が言うには、主に国内の武闘派が集まるパーティーらしい。エリザベスお義姉様のご実家、ロックウェル侯爵家はバリバリの文官肌だけどね。
でもうちがパーティーを主催するなんて珍しい。
「みんなユーリに会いたいみたいだね」
「えっ! 私にですか?」
「ああ、知る人ぞ知るルミエール最強の武神だからね。武闘派連中の憧れみたいだよ」
「なっ、何時からそんな話になってるのですか!」
どうやらパーティーの目的は、私にあるようだ。剣聖として名高いお父様じゃなしに、私に会いたいというのは、ルミエール家と比較的仲の良い家なのだろう。ただ、領に引き篭もっている私の噂がそれ程知られているのは、おそらくガドウィンお祖父様辺りが原因じゃないかと思う。
「父上やお義父さん達が自慢しているしね。それに、ここ数年のルミエール伯爵家やシルフィード辺境伯家の戦力アップに、気付いている者は多いさ」
「はぁ、お祖父様……」
ガドウィンお祖父様もサーシャお祖母様も孫バカだからなぁ。今も王都の屋敷には、お祖父様とお祖母様を慕って会いに来る武闘派貴族が多いそうで、その度に孫自慢をしているんだって。
ガドウィンお祖父様とサーシャお祖母様は、私がこの世界用にアレンジした套路で、ユーリ式魔力操作と呼吸法をするようになってから、凄く元気になって若返ってるのよね。お陰で少し暴走気味な気がする。
「でも、武闘派の貴族って、脳筋過ぎると思うの」
「仕方ないよ。僕達もそうだけど、武門の家は力こそ全てだからね」
「まぁ、そうですけど……」
「心配しなくても、そんなに堅苦しいパーティーにはならないから。下手すると、ドレスすら必要ないかもしれない」
「……えっと、パーティーですよね?」
「そうなんだけどねぇ」
アレクお父様が、おかしな事を言っている。こんな私でも、貴族令嬢がパーティーに参加するのにドレスを着ないなんて有り得ない事くらい分かる。だって、七歳までは普通の貴族令嬢だったからね。
「いや、あー、その、つまりだね」
「もしかして、手合わせを望まれるとか?」
「ハハッ、流石ユーリだね。でも大丈夫だよ。強者へのリスペクトも、人一倍強い人達だから」
「全然大丈夫そうに思えないのですが……」
なんの事はない。私が何時も訓練場で、騎士団やルミエール家の家人達、オマケにお父様やお祖父様とやってる事だ。
時間無制限の掛かり稽古。
勿論、私一人対全員。
もう溜め息しか出ない。
「ああ、ユーリ達は大会では魔法は禁止だよ」
「えっ、一定以上のダメージはカットされる結界があるのでは?」
「あんなの、ユーリやララ辺りの魔法に対応できる訳ないじゃない。確実に人死にが出るよ」
「ハハッ……使えないですね」
私が溜め息を吐いていると、アレクお父様から大会での魔法禁止を申し渡された。確か大会では、一定以上のダメージが生徒に通らないよう結界が張られてある筈と私が言うと、私やララの魔法には対応不可みたい。ユースクリフ王国の宮廷魔術師も使えないわね。
「ああ、勿論、ユーリ以下今回のメンバーは、物理も手加減は必須だからね」
「まぁ、魔法がダメなんですから、当然物理攻撃も手加減が必要ですよね」
「まあ、そっちは手加減も慣れているし、問題ないだろう?」
「……ノックスが少し心配ですけど、多分大丈夫です」
そう。手加減が必要なのは魔法も物理も一緒。当然、私もララも魔力操作の訓練は怠っていないので、魔法のコントロールは万全だけど、多分魔法を有りにすると一歩も動く事なく勝負が決まるからでしょうね。まあ、それは物理でも余り変わらないと思うけど……
「まぁ、今回は、理不尽の塊というものが存在するんだって、世間に知らしめるのが目的だからね。その結果、国内外にルミエールに手を出すなと釘を刺せればいいかな」
「理不尽の塊って……まぁ、そうですね。メルティやルードは、もう大丈夫だとは思いますが、ライアンはまだ小さくて自衛できる年齢じゃありませんし、私の時みたいに馬鹿が出てこないよう釘を刺すのは賛成です」
アレクお父様が、何気に理不尽の塊なんて言ってるけど、それはともかくローディンお兄様のところの嫡男ライアンはまだ自衛可能な年齢じゃない。危険はないに越した事はない。
さて、王都へ行くにあたって、用意なんて必要ないのよね。貧乏性なのか、だいたいの物はマジックバッグに入っているしね。
ああ、私もマジックバッグは作れるようになった。それまでは、お父様やお母様の私物か、ルミエール伯爵家で所有していた物と、私がマーサお婆ちゃんから受け継いだ物くらいだったのが、ララ達は勿論、騎士団や執事長のセドリックや侍女長のカサンドラ、メルティやルードにも作ってあげた。
こんなにマジックバッグが、普通の鞄と同じ様に使われているのは、ルミエールだけでしょうね。
王都って、どんな所かな。楽しみでもあるわね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この度、作者著作の「いずれ最強の錬金術師?」のアニメ化が決定しました。
初回放送はいかがでしたでしょうか。
楽しんでいただければ幸いなのですが。
次回の放送も楽しんで頂けると嬉しいです。
それと「いずれ最強の錬金術師?」の17巻が12月中旬に発売されます。書店で手に取って頂ければ幸いです。
あとコミック版の「いずれ最強の錬金術師?」8巻が、12月16日より順次発売予定です。
また、コミック版の「いずれ最強の錬金術師?」1巻~7巻の増刷されます。
12月中頃には、お近くの書店に並ぶと思いますので手に取って頂ければ幸いです。
「えっと、私が王都へ行くのですか?」
「うん。次の大会がユーリ在学中の最後の大会になるだろう? 最後くらいは出場して欲しいと、我が領都の学園から嘆願があってね」
二年に一度、開催される学園対抗武術大会。それに参加するって事? 驚く私にアレクお父様が苦笑いする。
「ユーリの後輩や先輩達が、一度はユーリ達に出場して欲しいと願ってるんだよ」
「私達が出ると、勝負にならないと思いますけど……」
「そうなんだけどね」
同級生や先輩後輩達が、私達に出場して欲しいという気持ちも分からなくはない。
ローディンお兄様が卒業してから、上位を独占しているルミエール伯爵領とシルフィード辺境伯領の代表。だけど、皆んなは本当にルミエール領の学園最強を差し置いてって気持ちになるのだそうだ。
「ルミエール領の子供達は、ユーリの教え子だからね。師を誇りたいんだろうね」
「でも、お父様。私、お披露目は致しましたが、アレがあってから社交の場には出ていません。アガートラムの事もありますし、王都に行っても大丈夫でしょうか?」
アレクお父様の言う事も分かる。だけど、私は貴族令嬢としてのマナーは継続して習ってはいたけど、パーティーやお茶会の類いには、誘拐事件以来不参加だ。今更、結婚相手を探す気なんて、さらっさらないし、王都なんて一生行かなくても大丈夫なんだけどな。
「その辺は、もう大丈夫だと思うよ。周辺全てが敵になったとしても、ルミエールは簡単に跳ね返せるだろう?」
「そうかもしれないですけど、領民に迷惑は掛けたくないですから」
「だから余計にだよ。ユーリが、自分達の手に負えないと分からせる必要があると思ってね。ルミエールを敵視する勢力にね」
ガドウィンお祖父様が、常勝将軍。サーシャお祖母様が、賢者を継ぐ者。アレクお父様が、剣聖。フローラお母様が、ルミエールの聖女。そこに、学園時代負け無しのローディンお兄様。シルフィード辺境伯家と縁戚で絆は強い。もう、十分じゃないかな。
ただ、アレクお父様は、今度の学園対抗武術大会を、ダメ押しのパフォーマンスにしたいみたい。
「まぁ、諦めない奴らはいるだろうけどね。例えば、教会とか」
「大会への出場は分かりましたけど、私が目立つと教会は絶対何か言ってくるでしょうね」
「それはもう仕方ないさ。奴らは言葉が通じないからね」
アレクお父様の話によると、もともと王家はルミエール伯爵家に不干渉なのだとか。何それ。そんなんでいいの? と思った私に、お父様が言うには、ユースクリフ王国をあげてルミエール家に敵対したとしても、受ける被害が割に合わないかららしい。
「あれ? それって、この国に居る意味あります?」
「あるさ。僕達ルミエール家は、これ以上の領地を必要としていないからね。面倒な中央の貴族を纏めて統治するなんて絶対御免だよ。まあ、ユーリがしたいなら反対はしないけどね」
「絶対に嫌です!」
「だろう?」
「よ~く、分かりました」
碌でもない貴族連中の相手なんかお断りだ。
ルミエール伯爵領は、代々の当主やその家臣達の努力により、日本人だった私から見ても奇跡の地だと思う。
領主は、領民を大切にしているし、確かに魔物は多く強力? らしいけど、領内は豊かで産業も発達している。治安はすこぶる良いし、領民からの支持も高く、家臣とその関係者の忠誠も驚くほど高い。
ぶっちゃけ、今よりも領地を拡げて要らぬ苦労なんてしたくない。
「それに、ユーリも十五歳になり、来年は成人だ。ルミエール領にだけ閉じ籠もってるのは勿体ないと思わないかい?」
「……確かに。私が領を出たのは、ジルベールお祖父様の所、シルフィード辺境伯領か、マーサお婆ちゃんのお墓参りに森へ行ったくらいですものね」
実際、中央の高位貴族の令嬢は、避暑地に出掛ける程度。国内でも余り動く事は少ない。逆に、地方の領地持ち貴族は、定期的に王都と行き来するかな。
まあ、引き篭もりのルミエール伯爵家は、王都はガドウィンお祖父様とサーシャお祖母様にお任せしっぱなし。たまーに、アレクお父様とローディンお兄様が行くくらい。フローラお母様なんて、王都に居ると教会がうるさいからって滅多に行かない。
うん。国の統治なんて無理だね。
「ああ、あと王都で一度パーティーを主催するからね。ユーリも出席するんだよ」
「えっ!? 私がですか?」
「大丈夫。伯爵家が主催するものだから、招待している中で、うちよりも格上はシルフィード辺境伯の所とロックウェル侯爵くらいだから」
「……まあ、お母様の実家とエリザベスお義姉様のご実家ですものね」
アレクお父様が言うには、主に国内の武闘派が集まるパーティーらしい。エリザベスお義姉様のご実家、ロックウェル侯爵家はバリバリの文官肌だけどね。
でもうちがパーティーを主催するなんて珍しい。
「みんなユーリに会いたいみたいだね」
「えっ! 私にですか?」
「ああ、知る人ぞ知るルミエール最強の武神だからね。武闘派連中の憧れみたいだよ」
「なっ、何時からそんな話になってるのですか!」
どうやらパーティーの目的は、私にあるようだ。剣聖として名高いお父様じゃなしに、私に会いたいというのは、ルミエール家と比較的仲の良い家なのだろう。ただ、領に引き篭もっている私の噂がそれ程知られているのは、おそらくガドウィンお祖父様辺りが原因じゃないかと思う。
「父上やお義父さん達が自慢しているしね。それに、ここ数年のルミエール伯爵家やシルフィード辺境伯家の戦力アップに、気付いている者は多いさ」
「はぁ、お祖父様……」
ガドウィンお祖父様もサーシャお祖母様も孫バカだからなぁ。今も王都の屋敷には、お祖父様とお祖母様を慕って会いに来る武闘派貴族が多いそうで、その度に孫自慢をしているんだって。
ガドウィンお祖父様とサーシャお祖母様は、私がこの世界用にアレンジした套路で、ユーリ式魔力操作と呼吸法をするようになってから、凄く元気になって若返ってるのよね。お陰で少し暴走気味な気がする。
「でも、武闘派の貴族って、脳筋過ぎると思うの」
「仕方ないよ。僕達もそうだけど、武門の家は力こそ全てだからね」
「まぁ、そうですけど……」
「心配しなくても、そんなに堅苦しいパーティーにはならないから。下手すると、ドレスすら必要ないかもしれない」
「……えっと、パーティーですよね?」
「そうなんだけどねぇ」
アレクお父様が、おかしな事を言っている。こんな私でも、貴族令嬢がパーティーに参加するのにドレスを着ないなんて有り得ない事くらい分かる。だって、七歳までは普通の貴族令嬢だったからね。
「いや、あー、その、つまりだね」
「もしかして、手合わせを望まれるとか?」
「ハハッ、流石ユーリだね。でも大丈夫だよ。強者へのリスペクトも、人一倍強い人達だから」
「全然大丈夫そうに思えないのですが……」
なんの事はない。私が何時も訓練場で、騎士団やルミエール家の家人達、オマケにお父様やお祖父様とやってる事だ。
時間無制限の掛かり稽古。
勿論、私一人対全員。
もう溜め息しか出ない。
「ああ、ユーリ達は大会では魔法は禁止だよ」
「えっ、一定以上のダメージはカットされる結界があるのでは?」
「あんなの、ユーリやララ辺りの魔法に対応できる訳ないじゃない。確実に人死にが出るよ」
「ハハッ……使えないですね」
私が溜め息を吐いていると、アレクお父様から大会での魔法禁止を申し渡された。確か大会では、一定以上のダメージが生徒に通らないよう結界が張られてある筈と私が言うと、私やララの魔法には対応不可みたい。ユースクリフ王国の宮廷魔術師も使えないわね。
「ああ、勿論、ユーリ以下今回のメンバーは、物理も手加減は必須だからね」
「まぁ、魔法がダメなんですから、当然物理攻撃も手加減が必要ですよね」
「まあ、そっちは手加減も慣れているし、問題ないだろう?」
「……ノックスが少し心配ですけど、多分大丈夫です」
そう。手加減が必要なのは魔法も物理も一緒。当然、私もララも魔力操作の訓練は怠っていないので、魔法のコントロールは万全だけど、多分魔法を有りにすると一歩も動く事なく勝負が決まるからでしょうね。まあ、それは物理でも余り変わらないと思うけど……
「まぁ、今回は、理不尽の塊というものが存在するんだって、世間に知らしめるのが目的だからね。その結果、国内外にルミエールに手を出すなと釘を刺せればいいかな」
「理不尽の塊って……まぁ、そうですね。メルティやルードは、もう大丈夫だとは思いますが、ライアンはまだ小さくて自衛できる年齢じゃありませんし、私の時みたいに馬鹿が出てこないよう釘を刺すのは賛成です」
アレクお父様が、何気に理不尽の塊なんて言ってるけど、それはともかくローディンお兄様のところの嫡男ライアンはまだ自衛可能な年齢じゃない。危険はないに越した事はない。
さて、王都へ行くにあたって、用意なんて必要ないのよね。貧乏性なのか、だいたいの物はマジックバッグに入っているしね。
ああ、私もマジックバッグは作れるようになった。それまでは、お父様やお母様の私物か、ルミエール伯爵家で所有していた物と、私がマーサお婆ちゃんから受け継いだ物くらいだったのが、ララ達は勿論、騎士団や執事長のセドリックや侍女長のカサンドラ、メルティやルードにも作ってあげた。
こんなにマジックバッグが、普通の鞄と同じ様に使われているのは、ルミエールだけでしょうね。
王都って、どんな所かな。楽しみでもあるわね。
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この度、作者著作の「いずれ最強の錬金術師?」のアニメ化が決定しました。
初回放送はいかがでしたでしょうか。
楽しんでいただければ幸いなのですが。
次回の放送も楽しんで頂けると嬉しいです。
それと「いずれ最強の錬金術師?」の17巻が12月中旬に発売されます。書店で手に取って頂ければ幸いです。
あとコミック版の「いずれ最強の錬金術師?」8巻が、12月16日より順次発売予定です。
また、コミック版の「いずれ最強の錬金術師?」1巻~7巻の増刷されます。
12月中頃には、お近くの書店に並ぶと思いますので手に取って頂ければ幸いです。
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