岐れ路

nejimakiusagi

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11 たまには手伝ってくれないかしら

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カエルが部屋を出たあと、僕は少し微睡んだ。

そして、ほんの少し...いや、大分淫らな夢をみた。

僕の働いているレストランのレセプションに"リオナ"という名前のロシア人女性スタッフがいる。金髪で背が高い絵に描いたような白人美女だ。
先にお伝えしておきたいのだが、僕はニュージーランドで暮らしていたときもそうだったのだが、ヨーロッパ系やアメリカ系を含めた白人の女性にあまり興味を示さない。

彼女たちが美しいのはよく理解ができる。仕草や笑顔もチャーミングでとても魅力的なのだろうと想像することもできる。
しかし、どういうわけかそこまで解っていても恋には落ちないし、性的な目でもあまり見ない。
きっと美しすぎて絵画やなにかの彫刻を眺めている感覚になってしまうのかもしれない。

それにも関わらず、僕の夢に現れたのはそのリオナだった。そして、それはあまりに現実味を帯びた奇妙な夢で、目覚めた僕を混乱させた。

僕はその夢の中でも仮眠をとっているようだった。そこはソファーやベッドではなく、会社の新人研修やサークル活動の合宿で使用するような、あまり高級感のないカーペット張りの大部屋だった。

最初は数人のレストラン・スタッフがそこで同時に仮眠をとっていたような気がするが、はっきりとした記憶はない。とにかく気がつくと、何枚かのブランケットと彼女と僕だけがその部屋にいた。

彼女は業務中と同じように黒のジャケットと膝上くらいまでのタイトなスカートを穿いて、横になっていた。

先程も申し上げたように、僕は彼女を性的な目で見たことはない。だから、そんな状況でも特に緊張したりすることなく、惰眠を貪ることに集中していた。(夢の中ではあるが...)

短い眠りから覚めたとき、彼女の身体は僕に密着していた。そして、あろうことが僕の指先は彼女の性器にスカートの下から滑り込まされていた。
そして、それはとても温かく、充分に湿っているようだった。

僕はとても驚き、混乱していた。
彼女は僕を見詰め、淫靡に「たまには手伝ってくれないかしら」と流暢な英語で...いや、それもはっきりしていない。日本語だったかもしれない。とにかく僕に囁いた。

僕は激しく勃起していた。そして、しばらく彼女の湿った性器を指で弄んだ。

彼女は意味ありげな微笑を浮かべ「ここまでにしておく?」と尋ねる。

しかし、その微笑に挑発の意味が込められていることは明らかで、その質問はただの儀礼の一種のように僕の耳に響いた。

僕らはブランケットを頭から被り、その行為を加速させていく。

僕は少しずつ理性を失っていき、足元にある自分のトート・バッグに手を伸ばす。そのバッグのポケットにあるポール・スミスの小銭入れの中に、避妊具とクスリが入っているのを知っているのだ。

しかし、彼女の長い腕が先にその小銭入れに伸びた。そして、それらを取り出すと「これが必要なんでしょ?」とまた微笑を浮かべる。

「なぜ、君がそのことを知っているんだ?」

それらが困惑を呼び戻し、僕を少し冷静にさせる。

なぜ、君が避妊具と...そして、そのクスリがそこにあることを知っているんだ?


...そこで僕は現実の世界に引き戻された。

あまりにリアルで、目覚めたときになにが起きたのか、すぐに理解できなかったほどだった。

そこで目覚めた淫夢をとくに残念だとも思わなかった。なぜなら、僕に彼女を抱きたいという欲求自体があまりないからだ。

しかし、それでもそれは穏やかな休日の僕の朝に、不安の波紋を広げたのは事実だ。

なにかが起きようとしているのかもしれない...。

リオナと、ではないにしてもなにかのサインが僕に届けられているのかもしれない。

泉と...彼女と教習所で初めて会い、初めて二人でビールを飲みにいくまでに、僕は何度か似たような夢をみている。

生々しく泉を...もしくは忘れてしまったが、他の誰かを犯す夢だ。

しかし、泉のときは、僕は彼女に関心を抱いていた。だから納得はできたのだ。

問題は僕が今、なにを求めているかということなのだ。

ただの性的欲求なのか、それとも心理の海底でなにかが蠢いているのか。

泉と離れたあとに、こんな経験があったか、記憶の糸を手繰り寄せてみる...ニュージーランドではなにかあっただろうか...?


















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