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12 列車を乗り換える、もしくは線路を新しく築く
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なぜ、そもそも僕は去年、ニュージーランドにいたのか。
もちろん僕がそれを選択したからではあるのだが、選択をするのにも理由は必要であるはずだ。特にそれが仕事を一度辞めて、海外に渡航したりする場合には。
人生において、僕は列車を乗り換える、もしくは線路を新しく築く、そのどちらかをしたかったのだ。
それほど28歳の頃の僕にはたくさんのことが起きた。いや、28歳の、という言い方は適切ではないかもしれない。きっとそれは質の悪い病のように何年も前から僕を少しずつ蝕んでいたのだろう。あるいはその病を加速させていたのは僕自身だったのかもしれない。
そして言うまでもなく僕はボロボロに傷ついていた。
選択はしたのではなく、せざるおえなかったのだと思う。とにかく僕はもう"そこ"にいるわけにはいかなかったのだ。
そのことに関しては後々ゆっくりと語っていこう。
今、思い出すべきなのは、兆候についてだ。泉を失ったあとの僕にはなにかが起こったか?そしてその前になにか兆候のようなものはあったか。
はっきりいうと、ニュージーランドで僕はたくさんの女の子とデートをした。
なぜ、そうなったのか?
僕の年齢の男で海外に勉強に来ているというのが、とても珍しいということが一つの理由になるかもしれない。
あくまで僕の持論だが、まともな29歳の男性は、とつぜん仕事を辞めて、海外に勉強をしにきたりしないものだ。
結婚をしているひとも少なくないだろうし、そうでなくても積み上げてきたキャリアが特定の会社にある場合が多いからだ。
しかし、女性はどうかというとそうでもない。
僕と似たような年齢の女性が、海外渡航を決心する例は世間に溢れているようだ。
これは僕の考えではなく、出会った女性たちから直に聞いた話しだが、彼女たちは結婚というイベントと、そのあとに訪れるであろう人生が姿を明確に現す前に、仕事のキャリアなんかよりも、とにかく貪欲に人生を楽しみたいのだそうだ。
僕と同じように、様々な形で傷を負い、なにかを失い、日本を飛びだしてきたものもいたし(やはりこのケースは多いようだった)、中には、他人からすれば幸福のように見える状況を自ら捨て去り、新しい人生を見つけにきたというものもいた。
何を伝えたいかというと、いずれにせよ、彼女たちはそれなりに成熟した大人の女性たちなのだ。
そして同時に、期待をバックパックにたっぷり詰め込んだ海外旅行の初心者でもある。
20歳そこそこの大学生の男の子や、英語ではディテールを伝えることが難しいキウイの男性たちでは(ニュージーランドでは現地の人々をキウイと呼ぶ)会話をもて余すことが多いというわけだ。
そんなわけで、僕はよく彼女たちとデートをした。
しかし、未来において、彼女たちのほとんどは、ただ僕を通り過ぎていくだけだろう。そして、僕も彼女たちを引き留めたりはしない。
解っているのだ。
悲しくても大抵のケースは僕らの親しさは一時的なものなのだ。
もちろん、未来に日本でまた再会できることもあるだろうし、それはとても素敵なことだと思う。
しかし、所詮は海外という共通の空間と時間を共有し、またそこから生まれる孤独感と戦うために作られた幻影に操られていることは否めない。
しかし、ニュージーランドのことを思い出すとき、僕の記憶の中にファミリーの知恵とアンナ以外で色褪せない女の子が一人だけいる。
彼女の名前は「優実」という。
僕の妹と同じ歳で、そして同じ名前だ。
ニュージーランドで同じベッドで寝たのは彼女だけだった。
もちろん僕がそれを選択したからではあるのだが、選択をするのにも理由は必要であるはずだ。特にそれが仕事を一度辞めて、海外に渡航したりする場合には。
人生において、僕は列車を乗り換える、もしくは線路を新しく築く、そのどちらかをしたかったのだ。
それほど28歳の頃の僕にはたくさんのことが起きた。いや、28歳の、という言い方は適切ではないかもしれない。きっとそれは質の悪い病のように何年も前から僕を少しずつ蝕んでいたのだろう。あるいはその病を加速させていたのは僕自身だったのかもしれない。
そして言うまでもなく僕はボロボロに傷ついていた。
選択はしたのではなく、せざるおえなかったのだと思う。とにかく僕はもう"そこ"にいるわけにはいかなかったのだ。
そのことに関しては後々ゆっくりと語っていこう。
今、思い出すべきなのは、兆候についてだ。泉を失ったあとの僕にはなにかが起こったか?そしてその前になにか兆候のようなものはあったか。
はっきりいうと、ニュージーランドで僕はたくさんの女の子とデートをした。
なぜ、そうなったのか?
僕の年齢の男で海外に勉強に来ているというのが、とても珍しいということが一つの理由になるかもしれない。
あくまで僕の持論だが、まともな29歳の男性は、とつぜん仕事を辞めて、海外に勉強をしにきたりしないものだ。
結婚をしているひとも少なくないだろうし、そうでなくても積み上げてきたキャリアが特定の会社にある場合が多いからだ。
しかし、女性はどうかというとそうでもない。
僕と似たような年齢の女性が、海外渡航を決心する例は世間に溢れているようだ。
これは僕の考えではなく、出会った女性たちから直に聞いた話しだが、彼女たちは結婚というイベントと、そのあとに訪れるであろう人生が姿を明確に現す前に、仕事のキャリアなんかよりも、とにかく貪欲に人生を楽しみたいのだそうだ。
僕と同じように、様々な形で傷を負い、なにかを失い、日本を飛びだしてきたものもいたし(やはりこのケースは多いようだった)、中には、他人からすれば幸福のように見える状況を自ら捨て去り、新しい人生を見つけにきたというものもいた。
何を伝えたいかというと、いずれにせよ、彼女たちはそれなりに成熟した大人の女性たちなのだ。
そして同時に、期待をバックパックにたっぷり詰め込んだ海外旅行の初心者でもある。
20歳そこそこの大学生の男の子や、英語ではディテールを伝えることが難しいキウイの男性たちでは(ニュージーランドでは現地の人々をキウイと呼ぶ)会話をもて余すことが多いというわけだ。
そんなわけで、僕はよく彼女たちとデートをした。
しかし、未来において、彼女たちのほとんどは、ただ僕を通り過ぎていくだけだろう。そして、僕も彼女たちを引き留めたりはしない。
解っているのだ。
悲しくても大抵のケースは僕らの親しさは一時的なものなのだ。
もちろん、未来に日本でまた再会できることもあるだろうし、それはとても素敵なことだと思う。
しかし、所詮は海外という共通の空間と時間を共有し、またそこから生まれる孤独感と戦うために作られた幻影に操られていることは否めない。
しかし、ニュージーランドのことを思い出すとき、僕の記憶の中にファミリーの知恵とアンナ以外で色褪せない女の子が一人だけいる。
彼女の名前は「優実」という。
僕の妹と同じ歳で、そして同じ名前だ。
ニュージーランドで同じベッドで寝たのは彼女だけだった。
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