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モンタニョーラ、雪の山々
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ロープを切るべきか、どうか。そんな顔で彼女は声に詰まっていた。目の前には、プロポーズの返答を待つ男がいて、まわりのテーブルには好奇の目が隠れていた。
彼女はワイングラスを持ち、飲んだ。時間を少し通過させた。そのつもりだったが、少しも気持ちは変わらなかった。
ごめんなさい。
その言葉が何度も頭から口までやってきて、引っ込んだ。
「だめか」
彼の方が先に空気に耐えられなくなって言った。
「ごめんなさい」彼に引っ張られるように、正直に続けた。「まだ、そのつもりはないの」
「もう、付き合って5年だけど、そうか」
そう。もうすぐ35歳になる。でも、違う。そうなの。
彼女は自分に半分呆れ、悲しくなり、それでも自分を捨てることはできなかった。
「もし、嫌なら、私のこと見捨てていいから」
「きみは、いつもそんな感じだね。大事なことは僕に決めさせる」
「ごめんなさい」
「謝らなくていいよ。僕らは別れるまでは、一心同体だから。バディみたいに」
そう。バディみたいに。彼女も思った。
自分たちは今、どこかで遭難していて、足を滑らせている。宙に浮き、どちらかがロープを切らなければならない。切らなければ、助からない。でも、ロープを切ったら、どちらかが落ちていく。そして、どちらが落ちていくかわからない。ここは雪山じゃないし、滑落もしていないし、生命の危機もない。
彼女は刹那にそう感じ、そのイメージの行き場を探した。ワイングラスを持ち上げ、飲んだ。何も起こらないのを、知っているのに。
ウエイターはまだやってこない。メニューに載っていた『モンタニョーラ、雪の山々』という名前のデザートもやってこない。
彼女はワイングラスを持ち、飲んだ。時間を少し通過させた。そのつもりだったが、少しも気持ちは変わらなかった。
ごめんなさい。
その言葉が何度も頭から口までやってきて、引っ込んだ。
「だめか」
彼の方が先に空気に耐えられなくなって言った。
「ごめんなさい」彼に引っ張られるように、正直に続けた。「まだ、そのつもりはないの」
「もう、付き合って5年だけど、そうか」
そう。もうすぐ35歳になる。でも、違う。そうなの。
彼女は自分に半分呆れ、悲しくなり、それでも自分を捨てることはできなかった。
「もし、嫌なら、私のこと見捨てていいから」
「きみは、いつもそんな感じだね。大事なことは僕に決めさせる」
「ごめんなさい」
「謝らなくていいよ。僕らは別れるまでは、一心同体だから。バディみたいに」
そう。バディみたいに。彼女も思った。
自分たちは今、どこかで遭難していて、足を滑らせている。宙に浮き、どちらかがロープを切らなければならない。切らなければ、助からない。でも、ロープを切ったら、どちらかが落ちていく。そして、どちらが落ちていくかわからない。ここは雪山じゃないし、滑落もしていないし、生命の危機もない。
彼女は刹那にそう感じ、そのイメージの行き場を探した。ワイングラスを持ち上げ、飲んだ。何も起こらないのを、知っているのに。
ウエイターはまだやってこない。メニューに載っていた『モンタニョーラ、雪の山々』という名前のデザートもやってこない。
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