ボッチを解消する方法?~そうだ、異世界から召喚しよう!~

月暈シボ

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第二十一話

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「そういうことか・・・」
 薄暗い地下通路を進むヒロキは、後ろから語られるイサリアの推測に頷いた。
「先程も言ったがあくまでも私の見解の一つだけどな。・・・貴族の当主ともなれば、ある程度の魔法力と帝国への実績を求められる。明確に定められてはいないが、帝国士官として最低でも一期五年を務めなくてはならない。五大公家の当主なら二期十年は欲しいところだ。だから当主を目指すならミゴール昇格とその後の任官は避けて通れない。エリザが攫われたのはミゴール昇格への妨害だろう。制限時間まで地下のどこかに監禁するのだ。誰が犯人にせよエリザをころ・・・物理的に消してしまっては大きな禍根が残る。だが、試験の妨害ならば致命的な対立や抗争は控えられるし、ミゴールに昇格しなくてはその先の任官もないからな。エリザが試験中に姿を消したのは、こういった裏事情なのではないかと思う・・・」
「物理的に消すって・・・いや、昇格試験は来年も受けられるんだろう?毎年邪魔をする気のなのか?」
「もちろん、ここまでする者がその可能性を配慮していないわけがない。これは警告も兼ねているのだろう。ミゴールの昇格を諦めないならば、次は・・・ということだ」
「まじか・・・やはり貴族ってのは、どこでもやばいな・・・。イサリアのリゼート家もこんなにドロドロしているのか?」
「まさか!リゼート家の当主選定はこんなことにはならない。資格のある者同士での決闘で選定するからな。リゼート家の家訓は〝炎の如く素早く〟だ!」
「・・・脳筋な一族だな・・・」
 照明役として先頭を歩むヒロキはイサリアの説明に対して小さく本音を呟く。
 彼らとクロリスは姿を消したエリザの捜索を開始していた。広大な地下迷宮の中で彼女の存在を探し当てるのは難しい仕事に思えたが、この世界には魔法が存在する。
 エリザのパートナーであるクロリスがエリザの持ち物である髪留めについて詳しい形を覚えていたため、そのありかを探し出す〝探知〟の魔法で方向を知ることが出来た。その導きに従いヒロキ達は地下を歩んでいる。
 本来なら会話を避けて慎重に進むのが正しいのだろうが、ヒロキとイサリアはエリザ失踪の原因を解明しようと意見を交わす。第三者との対決も予想されるだけに、その背景を掴んでおく必要があった。

「聞こえているぞ、ヒロキ。ノウキンの意味はわからないが、我がリゼート家が侮辱されているような気がするな」
「心に思った言葉を口にしただけだ・・・褒めてはいないが馬鹿にはしていない。それより、もしその推測が正しくならエリザさんを攫った奴、もしくは奴らをどうする?」
 イサリアの疑念を軽くあしらいながらヒロキは本題に戻る。これまでの会話はこれを問うための布石のようなものだった。
「うむ・・・普通にエリザを解放するよう要求する。よほど馬鹿でない限り他のミーレに発覚した時点で手を引くだろう。まして、私はリゼートだ。リゼート家を軽い気持ちで敵に回す者はいない。それにエリザを攫った時点で脅しは成立している。あの負けず嫌いがどう判断するかは不明だが、今回の昇格試験での妨害はそこで終了となるだろう」
「まあ、そうだよな・・・」
「もっとも、敵の品性に期待するわけにはいかないぞ。証拠隠滅とばかりの私達に襲ってくる可能性もある。その時は戦うしかないな!」
 戦いへの覚悟を口にするイサリアにヒロキは頼もしさと同時に不安を覚えた。彼女の言葉は正論ではあったが、あの〝魔弾〟が人間に放たれると思うと恐ろしさが湧いてくる。彼女は決して残忍な人間ではないが、中途半端なことをするはずがない。
 なんとか人間同士の戦いにならないことを祈るしかなかった。場合によっては自分が敵かイサリアを説得する必要が出て来るだろう。

「エリザを助けたいけど・・・人間同士で戦うのは出来るだけ避けたいな・・・」
 それまで聞き役となっていたクロリスが会話に加わる。彼女も魔術士で帝国士官を目指すミーレではあるが、考え方はヒロキに近いようだ。エリザの安否は大事だが、それによって戦いなることは望んでいないのだ。
「うむ、そもそもエリザが失踪した理由はまだ不確かだ。念のために最悪の事態を想定しただけに過ぎない」
「うん、そうだね・・・。でもさっきから話を聞いていると、イサリアとヒロキ君はすごく仲がいいね。実は二人は付き合っているとか?」
 クロリスから問い掛けられる質問にヒロキはドキリとする。男女としてイサリアと付き合っているつもりはなかったが、他人からはそう見えるのかもしれない。頭の中で自分達の関係に相応しい言葉を探すが、どうも思いつかない。契約者か・・・協力者か・・・友人か・・・彼はイサリアがなんて答えるのか気になった。
「・・・クロリスからはそう見えるのか?!私達は・・・いや!今は私達のことよりエリザだ!今一度〝探知〟を頼む!移動している可能性もあるからな!」
「うん、ごめん。ちょっと気になっただけだから・・・」
 それは急な話題の切り替えではあったが、クロリスも状況を思い出したのだろう。自分の杖を胸に当てて呪文を唱える。
「やっぱり、この先からエリザの気配を感じる。あの髪留めは私がエリザにプレゼントした物だから間違えるはずないわ!」
「わかった。ではこれからは改めて慎重に進むとしよう!」
 先程の質問の答えは気にはなったが、第三者への対応がはっきりしたこともありヒロキはイサリアの指示に頷いた。今この場で最優先すべきはエリザの安否で間違いない。
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