聖女はクソです

ぷりん

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 心配していたことが手紙のおかげで1つずつ解決していく。
 そしてそれは喜ばしいことだ。

 「好きな服も着て、美味しいものも食べて・・・自分がやりたいように生きていいと」

 だけど前に進もうとすると、頭が後ろを振り返る。
 
 「そうだったんですね。お金のことは僕の手紙にも書いてありましたから理解してます。エミリアがそれを望むのなら、僕はそれを手助けするまでです」

 そして触れている箇所全部から感じる温もりが、心を突き刺して痛くなる。

 「・・・すいま・・・せん」
 「何に対しての謝罪でしょうか。僕はエミリアが幸せであればそれでいいです。貴方は何も悪いことはしてないのだから謝らないでください」
 「・・・・」
 
 あぁ…もぅ

 「エミリア」
 「・・・っ“」
 「泣かないで、顔を上げてください」
 
 腰から手を離したリクールは、私の頬にそっと触れた。
 
 温かい、優しいその手に包まれた私は、目を瞑ってすがるように彼の手の上から自分の手を重ね、恐る恐る顔を上げ彼を見つめた。

 「・・・ごめんな・・・さい」
 「エミリア」

 好きなんだ。
 好きになってしまった。
 私は彼のことを好きになってしまったんだ。

 「どうしたらいいか・・分からなくて」
 「・・・・」
 
 頬を伝う涙がリクールの手に当たってしまう。
 顔を見られたくなかったのに、こんなに近くで見つめあって、もう気持ちが溢れて仕方がない。

 「エミリア」
 
 優しく名前を呼んでくれるたびにドキドキして、明確な「好きです」のたったひと言を言いたくて言えない自分がもどかしい。

 「今日は貴方の誕生日です。本来は貴方を祝うべき日ですが、全部パーシーに持っていかれましたね。亡くなった人には勝てませんから」
 「・・・・」
 「でも、これだけは言わせてください」

 リクールは、私の頬を伝って零れ落ちた涙を親指で拭き取って切なそうに笑った。 

 「僕は貴方のことが好きです」


 伏せた睫毛でオッドアイの瞳が一瞬見えなくなったと思ったら、急に光沢がかかった水色の光が私とリクールの周りを取り囲む。

 「ずっと貴方に言いたかった」
 「・・・・」
 

 水色の光がしばらく漂ってから、最後は星のくずのように消え去っていくまでさして時間は流れていない。だけど全ての光が消えて、また部屋に暗さが戻った時、右手の指に違和感を感じた。

 「エミリア、誕生日おめでとうございます。変な輩に悪さされないように僕の魔力を込めて作っています。どこに行ってもこれがあなたを守ってくれるはずです」
 「・・・・っ」
 
 ずっと言いたかったって何?
 
 「・・・き」
 
 いつから?

 リクールがくれたものが指輪だと気付くまでに時間はかからなかった。
 だけど、気の利いたお礼の言葉なんて思いつくわけもなく。
 ただ、泣いて、溢れ出た想いを口にした。


 「私も・・・っ貴方が好き」
 

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