あの人は私を名前で呼ばない

某千尋

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独白と決心1 ※ゆうき視点

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 私がそれを自覚したのはいつだったのか。

 女の子の成長は早い。小学校中学年にもなれば、おなじみの話題は恋バナだった。
 誰が誰を好きだとか、誰と誰が付き合っているだとか。大人から見れば微笑ましい幼いやりとりでも、当人たちからしたら真剣そのもので、中には結婚まで思い描いている子すらいた。

 誰かが持ってきたアイドルが特集された雑誌。その日はいつものメンバーでそれを見ながら、誰がタイプかで盛り上がった。
 他のみんなはそれぞれアイドルの男の子を指差して、誰のどこが好みだのそんな話をしていた。私が最初に違和感を覚えたのはそのときだった。

 みんながアイドルの話で盛り上がる中、私が気になったのは、その雑誌のモデルの女の子だった。
 それも、人気があって一番目立つように載せられている華やかな子ではなく、小さく載せられている子に強く惹かれた。優しい笑顔が魅力的だった。

「ねえねえ!ゆうちゃんは誰がタイプなのー?」

 見ていたページを特集ページに戻され、アイドルを示された。私の好みの人が当然その中にいるはずだというように。
 私は勘の鋭い子供だった。だから、興味のないアイドルの中から、人気があって無難そうな男の子を指さした。

「あー!ゆうちゃんもまるくんが好きなんだね!やっぱまるくん人気だなあ」

 私の回答はお気に召したようで、その後の会話に私も溶け込むことができた。ほとんど相槌を打っていただけだけれど。
 この時の私の内心は言葉では言い表せられないくらい荒れ狂っていた。
 普通は、男の子が好きなはずなのに、私は女の子を魅力的だと思ってしまった。

 この時は、たまたまアイドルの中に自分の好みのタイプの子がいなかっただけで、女の子のことは、憧れとして興味を抱いたのだと、自分を納得させた。
 けれど、成長するに従って、自己が確立していくのに従って、そうではないことがわかった。

 私の恋愛対象は、女の子だった。
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