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「はぁ~っ、ぷにっぷに。やわらかぁーい。可愛い。たべちゃいたい。だめかな、いやいいよね。いただきます。」
「ぅーあーうーー~っ!」
目の前には有り得ないほどのハイライトが入れられたスカイブルーの世界と、それを囲む太陽のような色のカーテンだけ。
身体は左右に揺さぶられ、微塵の優しさも感じない。
温もりを感じるのは俺の顔に添えられた小さな両手だけで、俺を見るそいつの目線は温かさどころではなく大変熱い。
目と目を合わせてはいお座りをしてからもう小一時間ほどになる。
この状況になったのだって不本意だし、今でも訳が分からない。とりあえず、今までのことをサラッと、撫でるだけ撫でてみよう。
それで、諄いようだけど、これまでの経緯を話してあげよう。
誰に?
❏ ◪ ❒ ❏ ◪ ❒
ぱちんと一瞬き。本当に過度な比喩でもなくその間だった。
そんな僅かともいえぬ時間の間に俺を取り巻く環境は全てが取り変わっていて、俺には何が何だか理解出来ていなかった。
「ふみぇ……?」
周りを見渡しても、ふわふわひらひら飛ぶ精霊だけで、他は緑でいっぱい。
緑っていったってぼやーっとしか見えていないから色で判断しただけだ。それにさっき庭って言ってたし。
それを判断したってぐるぐるでどっくんどっくんなってる胸は落ち着いてくれない。本当はここで泣き出したい。ちょっと油断したら涙が出てきそうだ。
こんなことになったのもずぇーんぶ!精霊のせい!だし!
『わーい出てこれた~!わーい!』
『あわあ、連れてきちゃった!連れてきちゃった!』
『おそとどうー?いいでしょー?』
『あっちだよあっち。クイナがあるのあっちー!』
普段なら聞き分けられる精霊さんたちの声がどんどん重なって気持ち悪くなってくる。
こういう時ってどうやって落ち着くんだろう。寝る?いや、今の俺じゃ絶対寝れない。
身体は泣きたいよー叫びたいよーって悲鳴をあげてるわけで、ぐらぐら精神は普段の状態に、上手く戻ってくれない。
「ふ、んんう、うー……」
『どうしたの?おしめ?』
『おなかすいたの?』
『のどかわいた?』
『おみずこっちよー』
『うーん、なんかちょっとぶさいく』
うっさいわ!赤ん坊なんて大抵ブッサイクだ!
なんてことをいってると、少し落ち着いた気がする。
やだな、最近精神年齢がどんどん身体年齢に引っ張られつつある。
前世の俺はもうすぐ魔法使いだったから、ほんの少し恥が出る。
泣き虫は俺の柄じゃない。こんな俺はペチンペチンだ!
よしっ!
『おやおやーどこ行くの~』
『そっちに行きたいの~?』
『えーぼくあっちに行きたいー』
『あっちの方がおいしいのあるよー』
えっ、美味しいのあっち?
少しチクチクと掌に刺さるが、ちょっとの冒険心がこんにちはしてきた俺は、くんっと手を伸ばしてハイハイの形で人生の第一歩を踏み出そうと———……した。
しただけだ。そもそも俺、生後3ヶ月だった。
ハイハイなんてできないし、ちょっと身をよじれるかなーくらいだった。
…………となるとヤバくない?え、ここから動けない?
ひやりと気分の悪い汗が背中に流れた気がした。
つまり俺はここから数センチも動けない。そこまで身体が発達していない。
今は一体何時だろうか、ずっとここに居ると身体が冷えて風邪をひいてもおかしくない。そもそもベッドに戻れるかさえ怪しい。
でもここは庭だ。自分の家だし……ってあれ、何でここが自分の家だと言えるんだ?
精霊たちは決してここが自分の家など言ってはいない。
もしここが庭ではなく森だったら。もしここが他の人の家の庭だったら。もし今が夕方だったら。
やばい。
やばいやばいやばいやばい。
サバイバル能力なんて、俺、
「あれ、赤ちゃん?」
ない。
「ふぇ……」
「あ、」
「ふぇえええぇぇ~~ッ」
「え、えええっ!?ええ!?泣いちゃ、ああえっと」
誰!?人!?精霊!?それともまだあったことの無い何か!?
堰き止めてた全部と混乱と恐怖が全部出てきて元々ほぼ見えてない目が涙のせいで全く見えなくなってしまった。
その何かが慌てているような気もするが、こちらはそれ以上に慌てているのだ。
もう少し落ち着くまで待って欲しい、と思った途端、ふわりと身体が浮く感覚がした。
例えるならハレーナさんが俺を持ち上げたような、いや違う!もっと不安定!怖い!
「痛、いたい。暴れないで!」
「ぃみゃあぁ~!あーう~!」
暴れないなんて無理!降ろせ今すぐ迅速的かつ安全的に!
そんな俺の願いなんてふみゃふみゃ語しか話せないから全然通じない。
下手なあやし方に不満と恐怖で足元踏ん張るしかない。でも踏ん張るってったって踏ん張るところなんてない!
「落ち着いて~ほらーほらー」
「殿下、!?何を為さっているんですか!?」
少しずつぼやけていくのは視界だけに収まらず頭まで及んでいた。
下手に身体を揺らしているからだろう。
なんだか遠くから、少し大人びたような声が聴こえる。恐らく俺を抱っこしている人の付き人でも来たのだろう。
でもゴメン、俺には全然認識できないんだ。
またふわりと別の浮遊感を体感して、不安定さが解消された。やっとハレーナさんみたいな安心感を得られた。
が、それでも少しずつ意識が遠のいていく。
恐らく、泣きすぎて酸欠になっているのだろう。そう認識したって身体は勝手に泣きやもうとしても止まってくれない。
駄目だ。無理だこれ。
どうか次に目を開いた時にはあのふわふわベッドに戻っていますように。
「ぅーあーうーー~っ!」
目の前には有り得ないほどのハイライトが入れられたスカイブルーの世界と、それを囲む太陽のような色のカーテンだけ。
身体は左右に揺さぶられ、微塵の優しさも感じない。
温もりを感じるのは俺の顔に添えられた小さな両手だけで、俺を見るそいつの目線は温かさどころではなく大変熱い。
目と目を合わせてはいお座りをしてからもう小一時間ほどになる。
この状況になったのだって不本意だし、今でも訳が分からない。とりあえず、今までのことをサラッと、撫でるだけ撫でてみよう。
それで、諄いようだけど、これまでの経緯を話してあげよう。
誰に?
❏ ◪ ❒ ❏ ◪ ❒
ぱちんと一瞬き。本当に過度な比喩でもなくその間だった。
そんな僅かともいえぬ時間の間に俺を取り巻く環境は全てが取り変わっていて、俺には何が何だか理解出来ていなかった。
「ふみぇ……?」
周りを見渡しても、ふわふわひらひら飛ぶ精霊だけで、他は緑でいっぱい。
緑っていったってぼやーっとしか見えていないから色で判断しただけだ。それにさっき庭って言ってたし。
それを判断したってぐるぐるでどっくんどっくんなってる胸は落ち着いてくれない。本当はここで泣き出したい。ちょっと油断したら涙が出てきそうだ。
こんなことになったのもずぇーんぶ!精霊のせい!だし!
『わーい出てこれた~!わーい!』
『あわあ、連れてきちゃった!連れてきちゃった!』
『おそとどうー?いいでしょー?』
『あっちだよあっち。クイナがあるのあっちー!』
普段なら聞き分けられる精霊さんたちの声がどんどん重なって気持ち悪くなってくる。
こういう時ってどうやって落ち着くんだろう。寝る?いや、今の俺じゃ絶対寝れない。
身体は泣きたいよー叫びたいよーって悲鳴をあげてるわけで、ぐらぐら精神は普段の状態に、上手く戻ってくれない。
「ふ、んんう、うー……」
『どうしたの?おしめ?』
『おなかすいたの?』
『のどかわいた?』
『おみずこっちよー』
『うーん、なんかちょっとぶさいく』
うっさいわ!赤ん坊なんて大抵ブッサイクだ!
なんてことをいってると、少し落ち着いた気がする。
やだな、最近精神年齢がどんどん身体年齢に引っ張られつつある。
前世の俺はもうすぐ魔法使いだったから、ほんの少し恥が出る。
泣き虫は俺の柄じゃない。こんな俺はペチンペチンだ!
よしっ!
『おやおやーどこ行くの~』
『そっちに行きたいの~?』
『えーぼくあっちに行きたいー』
『あっちの方がおいしいのあるよー』
えっ、美味しいのあっち?
少しチクチクと掌に刺さるが、ちょっとの冒険心がこんにちはしてきた俺は、くんっと手を伸ばしてハイハイの形で人生の第一歩を踏み出そうと———……した。
しただけだ。そもそも俺、生後3ヶ月だった。
ハイハイなんてできないし、ちょっと身をよじれるかなーくらいだった。
…………となるとヤバくない?え、ここから動けない?
ひやりと気分の悪い汗が背中に流れた気がした。
つまり俺はここから数センチも動けない。そこまで身体が発達していない。
今は一体何時だろうか、ずっとここに居ると身体が冷えて風邪をひいてもおかしくない。そもそもベッドに戻れるかさえ怪しい。
でもここは庭だ。自分の家だし……ってあれ、何でここが自分の家だと言えるんだ?
精霊たちは決してここが自分の家など言ってはいない。
もしここが庭ではなく森だったら。もしここが他の人の家の庭だったら。もし今が夕方だったら。
やばい。
やばいやばいやばいやばい。
サバイバル能力なんて、俺、
「あれ、赤ちゃん?」
ない。
「ふぇ……」
「あ、」
「ふぇえええぇぇ~~ッ」
「え、えええっ!?ええ!?泣いちゃ、ああえっと」
誰!?人!?精霊!?それともまだあったことの無い何か!?
堰き止めてた全部と混乱と恐怖が全部出てきて元々ほぼ見えてない目が涙のせいで全く見えなくなってしまった。
その何かが慌てているような気もするが、こちらはそれ以上に慌てているのだ。
もう少し落ち着くまで待って欲しい、と思った途端、ふわりと身体が浮く感覚がした。
例えるならハレーナさんが俺を持ち上げたような、いや違う!もっと不安定!怖い!
「痛、いたい。暴れないで!」
「ぃみゃあぁ~!あーう~!」
暴れないなんて無理!降ろせ今すぐ迅速的かつ安全的に!
そんな俺の願いなんてふみゃふみゃ語しか話せないから全然通じない。
下手なあやし方に不満と恐怖で足元踏ん張るしかない。でも踏ん張るってったって踏ん張るところなんてない!
「落ち着いて~ほらーほらー」
「殿下、!?何を為さっているんですか!?」
少しずつぼやけていくのは視界だけに収まらず頭まで及んでいた。
下手に身体を揺らしているからだろう。
なんだか遠くから、少し大人びたような声が聴こえる。恐らく俺を抱っこしている人の付き人でも来たのだろう。
でもゴメン、俺には全然認識できないんだ。
またふわりと別の浮遊感を体感して、不安定さが解消された。やっとハレーナさんみたいな安心感を得られた。
が、それでも少しずつ意識が遠のいていく。
恐らく、泣きすぎて酸欠になっているのだろう。そう認識したって身体は勝手に泣きやもうとしても止まってくれない。
駄目だ。無理だこれ。
どうか次に目を開いた時にはあのふわふわベッドに戻っていますように。
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