ゲームの悪役令息の(死ぬ予定の)弟に転生したけど俺は必死に生き残ります!

チョコレートを食べたい

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ホンモノの世界

17.ワクワクドキドキお茶会でびゅー!

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 一歳の誕生日が過ぎ、オシャレを忘れていた自然たちがせっせと春物のお洋服を下ろし始めた頃。
 同時に俺も日本で言う桜色のレースに包まれてスパンコールではない本物の宝石が耳に頭上に衣装にとこれでもかというほど付けられている。

 今日は去年の冬に父様と約束していた王家主催の非公式お茶会の日。
 なんでも父親たちが学生の頃の同級生だった数名の貴族がたまたま偶然王都に集まるということでお茶会を開くことになったらしい。
 父様は学生の頃所謂陰キャ風だったらしくあまり友人と呼べる者が居なかったらしいが見た目だけは大変麗しく麗しの貴公子だとか精霊の愛し子だとか色々言われていたのだとか。
 そんな話を馬車の移動中、父様からではなく何故かラーナ兄様から聞いていた。
 何故父様の昔話をラーナ兄様が知っているのだろうとは思ったが、語っているその姿がまるで前世の推しを語る自分を見ているようで何も言わないことにした。

 前に寝ていて全く見ることが出来なかった王宮の外見はゲームで見たものそのままだった。
 表彰台のように高さの違う塔のテッペンには濃紺の生地に二つの星が記された国旗が三つ立っていて、真ん中のものだけ他のものより一回り大きい。


「おしろだあ~……」
『おいしいものあるかな~』
『わたしくっきーが食べたい!』
『ぼくはあのおっきな木でねたいなあ』


 おおきな木?

 確かに王宮の周りを見渡せばそれらしきものがあった。たしかに大きい。流石に王宮と比べると小さいが、俺の家くらいの大きさがある。

 目を細めてその木に注目してみると、木の上で跳ねている……跳ねている?あんな所に精霊が大量にいる!?

 ほえほえと変な声を出しながら驚いていると、馬車が動きを止めた。どうやら王宮に着いたらしい。
 外から誰かの声が聞こえると、父様が俺を抱き上げ立ち上がり、外から開かれた扉を潜った。

 門番の横に立つ男の人が道案内をしてくれるようで、父様の胸を握り締めるままに案内される。
 辿り着いた先は庭がよく見渡すことができる東屋で、そこには沢山のティーポットとケーキスタンドが立たされていた。
 用意されているお皿は全てまだ未使用で太陽の光が反射していて目に優しくない。


『あたし木の上の子にあいにいってくる!』
『ぼくもいく~』
『わたしはキッチンに行くー!』
『またねイーヒャ~』

 
 口々に行き先を教えてくれる精霊さんに手を振る。

 父様もラーナ兄様も自分の席の前に立ったが座る気配は無い。
 続々と後から来る人たちも座る気配は見られなかった。

 うーん?王族主催のお茶会だから来るまで座っちゃダメだとか?
 俺はずっと抱っこされてるだけだから痛くないけど、父様たちは足が痛くならないのか?

 頭を上げて確認するけど、心配するも何も何も表情に出さず二人とも凍りついていて今から出てくるものがアイスケーキになりそうだ。

 体感で恐らく15分ほど。
 それくらい経つと、部屋に入ってきた執事さんが「ブーアファルト殿下とフアハトクロー殿下がお入りになられます。」と淡々と伝えてきた。

 なんだ、まるまる様のおなーりーとかしないのか。

 なんて何故かしょんぼりしていると、大きな扉から仰々しく二人の男の子が入ってきた。
 一人はクローと同じ金髪に濃紫の瞳の背が高い男の子。その男の子の左後ろを歩いてくるのがクローだった。

 クローだ!クロー!わあもう半年以上ぶりだ。

 少し背が伸びたような伸びていないような彼は以前と変わらず飄々とした笑みを浮かべている。
 カチリと目が会うと、心底嬉しそうに瞳だけで笑い手を振ってくれたような気がした。


「本日は遥々お集まり頂きありがとうございます。ティーン王国第一王子のブーアファルト・ドゥーウィン・ティールです。」
「同じく第二王子のフアハトクロー・シー・ティールです。陛下は本日多忙の為、数刻ほど遅れますが、皆様は先にこのお茶会を楽しんで頂けたらと思います。」
「どうぞごゆるりとお寛ぎください。では、皆様どうぞ席に。」


 ブーアファルト殿下の言葉を合図に、一斉に席の前に立っていた者全てが自分の席に座った。
 あまり慣れないその光景に驚いて身体を大きく揺らしてしまうが、誰も俺の方は見ずにブーアファルト殿下ばかり見ている。

 ラーナ兄様に次ぐ二人目のゲーム攻略対象者のブーアファルト殿下。愛称はブーア。
 初対面の彼は穏和な性格に見えるが、実際は俺様な暴君である。
 猫を被るのが一流過ぎるせいでその性格を知っているのは弟のクローとブーアファルト殿下の右腕をしていたコスタ公爵家の長男、そしてゲームの主人公だけだ。

 ただその猫かぶりの時の彼はカリスマのその一言を体を表している人間そのものだ。
 次期王として王太子の時から期待を一身に受けるブーアファルト殿下を悩ませるものはううんと何だっけな。

 んまあそんなことはどうでもいいだろう!何だって今日ここに来たのは他でもない———


「本日は社交デビュー前の方も参加可能とさせて頂いております。閣下たちはもう既に御知り合いの仲でしょうが、お子様たちは初対面の方々も居るでしょう。」
「では来賓の皆様、お菓子を食べながら自己紹介でも致しましょうか。」


 そう!推しに会うためなのだからな!

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