夫が勇者に選ばれました

プラネットプラント

文字の大きさ
4 / 7

冒険者編~上~

しおりを挟む
 私が生まれ変わったのは、王女として殺された数日後でした。



 物心付いた頃には、国は変わり果ててました。

 まず、王太子だった兄弟ではなく、勇者だった夫が国王になっていました。

 勇者の留守中に不貞を働いていた王女と護衛騎士に襲われて返り討ちにし、そんな王家を信用できないと貴族たちが騒いで、勇者に王位が譲られたそうです。

 その結果、王のように浮気相手に熱を上げ、妻が出戻ることが当たり前になって、現状を王に訴えた者は不敬罪で処刑されました。王の真実の愛を侮辱した、という理由で。

 更に妻を殺したり、娼館に売り払う者すら出てきて、政略結婚は意味をなさなくなりました。

 その時点でようやく、貴族たちは自らの過ちに気付きましたが、王が勇者という最強の力の持ち主なので、実力行使もできませんでした。

 好色な浮気男から自分の姉妹や娘を守る方法は、未婚のまま実家住まいさせることだけになりました。



 庶民もまた浮気しなきゃ損とばかりに、浮気が流行りました。貴族よりも悲惨なのは、政略結婚ではなく、恋愛結婚だというのに子連れで家を追い出されることでした。

 女性たちの、女性たちによる、女性たちの為の事業が立ち上げられ、シングルマザーでも子育てできる環境ができました。

 その上、浮気男たちは浮気に忙しくて仕事を抜け出すようになっていて、真面目に働くのなら、女性でも構わなくなりました。

 そういうわけで、女性たちの職場も増えていったのです。



 王女に生まれても、浮気されて殺されたので、今回の私はお一人様として生きていくことにしました。



 職業は冒険者。

 夫はいなくても、勇者のせいでまた死ぬのはゴメンです。

 今度は殺されたくない、と自分の力を付ける為でした。



 王女の時は護衛騎士がいても、彼まで殺されてしまいました。夫が旅立つ前に離婚していたら、彼も死ぬことはなかったはずです。

 だから、自分の身は自分で守れるようにと、冒険者になったのです。



 自分でいうのもなんですが、私、強かったです。

 村人だった時に冒険者になっていたら、村に来た刺客を返り討ちにできるくらい、強かったです。

 貴族の時の刺客も返り討ちにできたかもしれません。

 王女の時は護衛騎士と共闘して、足手纏いにはならなかったはずです。



 そして、性懲りも無く、魔王が現れ、新たな勇者が選出されました。

 ちょっと、待って! 王勇者まだ現役でしょ!

 と、思いましたが、何故か、私が選ばれました。

 浮気に忙しい王と王妃がまた行けばいいでしょ!!

 本当にそう思いました。

 浮気から始まった王家は誰もが多情で、真実の愛って、なんだっけ?状態です。

 浮気者大勝利の国だけありますね。

 浮気者大勝利の国にしたのも、浮気して妻が邪魔になった王でしたね。

 なるようになったわけです。



 私が魔王討伐するのは、何か違うと思います。

 思うのですが、魔王を放置していると、魔物たちが強くなって、民が困ります。村人の時に見たランクCの魔物が、貴族の時にはランクAでしたからね。

 だから頑張って、――思ったより簡単に魔王、倒せました。浮気しながら倒せるはずです。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

さよなら私の愛しい人

ペン子
恋愛
由緒正しき大店の一人娘ミラは、結婚して3年となる夫エドモンに毛嫌いされている。二人は親によって決められた政略結婚だったが、ミラは彼を愛してしまったのだ。邪険に扱われる事に慣れてしまったある日、エドモンの口にした一言によって、崩壊寸前の心はいとも簡単に砕け散った。「お前のような役立たずは、死んでしまえ」そしてミラは、自らの最期に向けて動き出していく。 ※5月30日無事完結しました。応援ありがとうございます! ※小説家になろう様にも別名義で掲載してます。

【完結】妹が旦那様とキスしていたのを見たのが十日前

地鶏
恋愛
私、アリシア・ブルームは順風満帆な人生を送っていた。 あの日、私の婚約者であるライア様と私の妹が濃厚なキスを交わすあの場面をみるまでは……。 私の気持ちを裏切り、弄んだ二人を、私は許さない。 アリシア・ブルームの復讐が始まる。

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

「大嫌い」と結婚直前に婚約者に言われた私。

狼狼3
恋愛
婚約してから数年。 後少しで結婚というときに、婚約者から呼び出されて言われたことは 「大嫌い」だった。

〖完結〗愛しているから、あなたを愛していないフリをします。

藍川みいな
恋愛
ずっと大好きだった幼なじみの侯爵令息、ウォルシュ様。そんなウォルシュ様から、結婚をして欲しいと言われました。 但し、条件付きで。 「子を産めれば誰でもよかったのだが、やっぱり俺の事を分かってくれている君に頼みたい。愛のない結婚をしてくれ。」 彼は、私の気持ちを知りません。もしも、私が彼を愛している事を知られてしまったら捨てられてしまう。 だから、私は全力であなたを愛していないフリをします。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全7話で完結になります。

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

処理中です...