幸せを見付けたので、お姉様に婚約者を差し上げます。

プラネットプラント

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翌日の用意

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 その日のうちにミラー家に届くように、朝食後すぐに出席の返事を書いて筆頭執事に渡した。

 これで今日は自由時間。
 マナーの授業は月に一度で、ダンスの授業は週に一度。
 踊らなくては動きが悪くなるダンスと違って、マナーはフェルナンドとの婚約前に集中的に勉強したので、定期的に忘れていないかテストを受けているようなものだ。
 淑女の教養として修めるべきなのは、音楽と絵画と刺繍。どれか一つできればいい。
 音楽は楽器が弾けなくても、歌が歌えなくても、音を聞く耳や作曲家やその背景がわかればそれでいい。
 絵画は絵が描けなくても、モチーフが暗示しているものや描かれた時代や画家がわかればそれでいい。
 刺繍は下絵に沿ってできればそれでいい。むしろ、時間の手慰みでも構わない。殿方に刺繍を刺した手巾(ハンカチ)をプレゼントする、なんてことは騎士がいた時代まで。今では誰にも上げることもないまま、受け継がれている風習。
 音楽と絵画はどっちか一つをプロレベルにできれば、それだけで求婚者ができるが、知識だけなら両方なければいけない。
 そして、プロレベルにできても、趣味に留めて、お金をもらってはいけない。

 だから、婚約がさっさと決まったわたしは、音楽と絵画の授業などしていない。
 刺繍は刺繍する姿もマナーの一部だったので、学べた。
 ただ、それだけ。
 お姉様と違って、やることのないわたしは食事以外は日がな一日、刺繍をしている。

 明日、出かけるので、水色の外出用のドレスを出して、着れるように状態を確認。埃を払ったり、皴になっていれば、アイロンをかけたり、やることは多い。
 アクセサリーも、と考えて、リボンも探す。
 ミナが言うように、普段着落ちできるくらいに着古したドレスだから、リボンだけでも良いものを選ばなくちゃ。

 ・・・。
 ・・・。
 ・・・。

 リボンだけはいくつもあるけど、ほとんど、布として非常に年季が入っている。買ってもらった記憶はないが、子どもの頃のお姉様のお下がりドレスだった記憶がある。大きくなってサイズが合わなくなって、ミナに相談したら、彼女が作ってくれたリボンが大半だ。
 あとはお姉様が気まぐれにくれたリボン。フェルナンドと会う時や、社交の場に付けていくのはこれだ。
 ミラー夫人と会うのに、お姉様がくれたリボンでいいんだろうか?
 社交の場で付けていたリボンしかないが、気付かれない?
 フェルナンドなら、会う時にどんなリボンを付けていても気にしていないようなので、ここ数年はお下がりドレスリボンだ。まだ気付かれていない。
 リボンはお姉様がくれた青いリボンに自分で薔薇の刺繍を刺したものにした。
 これなら、ミラー夫人に非礼にはならないだろう。
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