18 / 39
第一章
赤みがかった金色の髪の男6
しおりを挟む
カナッペ(もどき)の一つを手にした赤みがかった金色の髪の男は一口齧る。
作ったとはとても言えないものの、美穂は感想が気になって固唾を飲んでそれを見ていた。いくら空腹でも、家族や親戚でもない相手にねだって気にならない性格ではない。美味しいと言ってもらいたい。そうしてくれたら、料理をねだった罪悪感もなくなる。
何度か咀嚼して飲み込み、いつもの笑顔で赤みがかった金色の髪の男は言った。
「うん。うまい」
「よかった~」
具材を乗せただけの料理とは言えない料理でも、そう言ってもらえるのは嬉しい。
(これで気にせずに食べられる。)
喜んでくれたので、美穂は気が楽になった。スープを食べていた時はお腹が空いていたのと、赤みがかった金色の髪の男からのお裾分けをもらえるタイミングを計っていたので気になっていなかったが、ようやく心置きなく食べることができる。
美穂はカナッペ(もどき)を作った時に使用したフォークを構え、いざサラダへと狙いを定める。
安心したせいか、早く食べたくてたまらない。
「美穂ちゃんが作ってくれたからね」
残念ながら、赤みがかった金色の髪の男に話しかけられすぐには食べられなかった。
「乗せただけで、誰が作っても同じですよ?」
美穂は愛想笑いをしながら、話さずに食べて欲しいと思った。そうすれば、美穂も残りの料理を食べられる。
「乗せただけでも、美味しく感じるものだよ。これを作る為に料理を頼んだんだろ? 自分用に見せかけて、ふるまう為だったなんて嬉しいよ」
「ははは・・・。ありがとうございます」
本当はいつもお裾分けをしてもらっている赤みがかった金色の髪の男にねだるのが心苦しくて思い付いた今までのお礼だったが、あまりにも都合良く受け取ってもらって美穂はちょっと戸惑った。ここで開き直れないのが美穂の美穂らしいところである。
「フフフ。熱烈に歓迎してくれたし、僕が来るのがそんなに待ち遠しかったのかな?」
この男が他の常連客のようにわかりやすい性格をしていたのなら迷わないのだが、ここで間違えて赤毛の男のようにからかうか、それとも見限って来てくれなくなるかわからず、美穂はすぐに返答できなかった。
美穂が割り切って仕事をしているのなら、赤みがかった金色の髪の男の気に入るような言い訳の一つや二つをお世辞として言えただろう。
だが、美穂は素の対応しかできないド素人だ。マニュアル接客しかできないファミレスのバイトに同僚たちのような対応は無理だった。
ついでに赤みがかった金色の髪の男が少し首を傾げたおかげで美穂は色気に襲われて何も考えられなくなった。顔も真っ赤だ。
「あ、・・・う・・・、あぅ・・・」
「こんなに喜んでもらえるなら、これからは来る間隔をあけるのもいいかもしれないね」
それに対して美穂は「はい」とも「いいえ」とも言えない。「はい」と言えば具無しスープ生活が長くなるだろうし、「いいえ」と言えば不意に色気を振りまかれて困る。
頭が鈍くなった美穂はワタワタと視線を彷徨わせた。
「・・・」
「冗談だ。旅程は勝手に変えられないから。――でも、美穂ちゃんに歓迎されるのは捨てがたい」
赤みがかった金色の髪の男が自己完結してくれて美穂は助かった。
しかし、歓迎して欲しいと暗に匂わされて、美穂は少し困った。歓迎したくても、今日みたいに「待ってました!」とばかりの態度がとれるだろうかと。
・・・。
・・・。
・・・。
(とれるような気がする。明日はまともなご飯が食べられると思うなら、あの嫌味な男以外なら、歓迎できる。)
赤毛の男はかなり嫌われているようだ。
「あなたなら、いつでも大歓迎です」
(あの男とは違うし。)
「冗談だ。今日みたいに喜んでくれるのは嬉しいけど、これからしばらくは普通でいいから、無理はしないで」
言外の存在に気付いたのか、赤みがかった金色の髪の男は優しいことを言ってくれる。
黒髪の男もそうだが、赤みがかった金色の髪の男のことも好きになれそうだ。どこかの赤毛の男とは大違いだ。
「わかりました~」
機嫌良く元気に返事した美穂は残りの料理を美味しく食べ、赤みがかった金色の髪の男に美味しく食べられた。
作ったとはとても言えないものの、美穂は感想が気になって固唾を飲んでそれを見ていた。いくら空腹でも、家族や親戚でもない相手にねだって気にならない性格ではない。美味しいと言ってもらいたい。そうしてくれたら、料理をねだった罪悪感もなくなる。
何度か咀嚼して飲み込み、いつもの笑顔で赤みがかった金色の髪の男は言った。
「うん。うまい」
「よかった~」
具材を乗せただけの料理とは言えない料理でも、そう言ってもらえるのは嬉しい。
(これで気にせずに食べられる。)
喜んでくれたので、美穂は気が楽になった。スープを食べていた時はお腹が空いていたのと、赤みがかった金色の髪の男からのお裾分けをもらえるタイミングを計っていたので気になっていなかったが、ようやく心置きなく食べることができる。
美穂はカナッペ(もどき)を作った時に使用したフォークを構え、いざサラダへと狙いを定める。
安心したせいか、早く食べたくてたまらない。
「美穂ちゃんが作ってくれたからね」
残念ながら、赤みがかった金色の髪の男に話しかけられすぐには食べられなかった。
「乗せただけで、誰が作っても同じですよ?」
美穂は愛想笑いをしながら、話さずに食べて欲しいと思った。そうすれば、美穂も残りの料理を食べられる。
「乗せただけでも、美味しく感じるものだよ。これを作る為に料理を頼んだんだろ? 自分用に見せかけて、ふるまう為だったなんて嬉しいよ」
「ははは・・・。ありがとうございます」
本当はいつもお裾分けをしてもらっている赤みがかった金色の髪の男にねだるのが心苦しくて思い付いた今までのお礼だったが、あまりにも都合良く受け取ってもらって美穂はちょっと戸惑った。ここで開き直れないのが美穂の美穂らしいところである。
「フフフ。熱烈に歓迎してくれたし、僕が来るのがそんなに待ち遠しかったのかな?」
この男が他の常連客のようにわかりやすい性格をしていたのなら迷わないのだが、ここで間違えて赤毛の男のようにからかうか、それとも見限って来てくれなくなるかわからず、美穂はすぐに返答できなかった。
美穂が割り切って仕事をしているのなら、赤みがかった金色の髪の男の気に入るような言い訳の一つや二つをお世辞として言えただろう。
だが、美穂は素の対応しかできないド素人だ。マニュアル接客しかできないファミレスのバイトに同僚たちのような対応は無理だった。
ついでに赤みがかった金色の髪の男が少し首を傾げたおかげで美穂は色気に襲われて何も考えられなくなった。顔も真っ赤だ。
「あ、・・・う・・・、あぅ・・・」
「こんなに喜んでもらえるなら、これからは来る間隔をあけるのもいいかもしれないね」
それに対して美穂は「はい」とも「いいえ」とも言えない。「はい」と言えば具無しスープ生活が長くなるだろうし、「いいえ」と言えば不意に色気を振りまかれて困る。
頭が鈍くなった美穂はワタワタと視線を彷徨わせた。
「・・・」
「冗談だ。旅程は勝手に変えられないから。――でも、美穂ちゃんに歓迎されるのは捨てがたい」
赤みがかった金色の髪の男が自己完結してくれて美穂は助かった。
しかし、歓迎して欲しいと暗に匂わされて、美穂は少し困った。歓迎したくても、今日みたいに「待ってました!」とばかりの態度がとれるだろうかと。
・・・。
・・・。
・・・。
(とれるような気がする。明日はまともなご飯が食べられると思うなら、あの嫌味な男以外なら、歓迎できる。)
赤毛の男はかなり嫌われているようだ。
「あなたなら、いつでも大歓迎です」
(あの男とは違うし。)
「冗談だ。今日みたいに喜んでくれるのは嬉しいけど、これからしばらくは普通でいいから、無理はしないで」
言外の存在に気付いたのか、赤みがかった金色の髪の男は優しいことを言ってくれる。
黒髪の男もそうだが、赤みがかった金色の髪の男のことも好きになれそうだ。どこかの赤毛の男とは大違いだ。
「わかりました~」
機嫌良く元気に返事した美穂は残りの料理を美味しく食べ、赤みがかった金色の髪の男に美味しく食べられた。
10
あなたにおすすめの小説
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
下賜されまして ~戦場の餓鬼と呼ばれた軍人との甘い日々~
星森
恋愛
王宮から突然嫁がされた18歳の少女・ソフィアは、冷たい風の吹く屋敷へと降り立つ。迎えたのは、無愛想で人嫌いな騎士爵グラッド・エルグレイム。金貨の袋を渡され「好きにしろ」と言われた彼女は、侍女も使用人もいない屋敷で孤独な生活を始める。
王宮での優雅な日々とは一転、自分の髪を切り、服を整え、料理を学びながら、ソフィアは少しずつ「夫人」としての自立を模索していく。だが、辻馬車での盗難事件や料理の失敗、そして過労による倒れ込みなど、試練は次々と彼女を襲う。
そんな中、無口なグラッドの態度にも少しずつ変化が現れ始める。謝罪とも言えない金貨の袋、静かな気遣い、そして彼女の倒れた姿に見せた焦り。距離のあった二人の間に、わずかな波紋が広がっていく。
これは、王宮の寵姫から孤独な夫人へと変わる少女が、自らの手で居場所を築いていく物語。冷たい屋敷に灯る、静かな希望の光。
⚠️本作はAIとの共同製作です。
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる