獣人の世界で狐族専用の娼婦になりました

プラネットプラント

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第一章

赤みがかった金色の髪の男6

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 カナッペ(もどき)の一つを手にした赤みがかった金色の髪の男は一口齧る。
 作ったとはとても言えないものの、美穂は感想が気になって固唾を飲んでそれを見ていた。いくら空腹でも、家族や親戚でもない相手にねだって気にならない性格ではない。美味しいと言ってもらいたい。そうしてくれたら、料理をねだった罪悪感もなくなる。
 何度か咀嚼して飲み込み、いつもの笑顔で赤みがかった金色の髪の男は言った。

「うん。うまい」
「よかった~」

 具材を乗せただけの料理とは言えない料理でも、そう言ってもらえるのは嬉しい。

(これで気にせずに食べられる。)

 喜んでくれたので、美穂は気が楽になった。スープを食べていた時はお腹が空いていたのと、赤みがかった金色の髪の男からのお裾分けをもらえるタイミングを計っていたので気になっていなかったが、ようやく心置きなく食べることができる。
 美穂はカナッペ(もどき)を作った時に使用したフォークを構え、いざサラダへと狙いを定める。
 安心したせいか、早く食べたくてたまらない。

「美穂ちゃんが作ってくれたからね」

 残念ながら、赤みがかった金色の髪の男に話しかけられすぐには食べられなかった。

「乗せただけで、誰が作っても同じですよ?」

 美穂は愛想笑いをしながら、話さずに食べて欲しいと思った。そうすれば、美穂も残りの料理を食べられる。

「乗せただけでも、美味しく感じるものだよ。これを作る為に料理を頼んだんだろ? 自分用に見せかけて、ふるまう為だったなんて嬉しいよ」
「ははは・・・。ありがとうございます」

 本当はいつもお裾分けをしてもらっている赤みがかった金色の髪の男にねだるのが心苦しくて思い付いた今までのお礼だったが、あまりにも都合良く受け取ってもらって美穂はちょっと戸惑った。ここで開き直れないのが美穂の美穂らしいところである。

「フフフ。熱烈に歓迎してくれたし、僕が来るのがそんなに待ち遠しかったのかな?」

 この男が他の常連客のようにわかりやすい性格をしていたのなら迷わないのだが、ここで間違えて赤毛の男のようにからかうか、それとも見限って来てくれなくなるかわからず、美穂はすぐに返答できなかった。
 美穂が割り切って仕事をしているのなら、赤みがかった金色の髪の男の気に入るような言い訳の一つや二つをお世辞として言えただろう。
 だが、美穂は素の対応しかできないド素人だ。マニュアル接客しかできないファミレスのバイトに同僚たちのような対応は無理だった。
 ついでに赤みがかった金色の髪の男が少し首を傾げたおかげで美穂は色気に襲われて何も考えられなくなった。顔も真っ赤だ。

「あ、・・・う・・・、あぅ・・・」
「こんなに喜んでもらえるなら、これからは来る間隔をあけるのもいいかもしれないね」

 それに対して美穂は「はい」とも「いいえ」とも言えない。「はい」と言えば具無しスープ生活が長くなるだろうし、「いいえ」と言えば不意に色気を振りまかれて困る。
 頭が鈍くなった美穂はワタワタと視線を彷徨わせた。

「・・・」
「冗談だ。旅程は勝手に変えられないから。――でも、美穂ちゃんに歓迎されるのは捨てがたい」

 赤みがかった金色の髪の男が自己完結してくれて美穂は助かった。
 しかし、歓迎して欲しいと暗に匂わされて、美穂は少し困った。歓迎したくても、今日みたいに「待ってました!」とばかりの態度がとれるだろうかと。
 ・・・。
 ・・・。
 ・・・。

(とれるような気がする。明日はまともなご飯が食べられると思うなら、あの嫌味な男以外なら、歓迎できる。)

 赤毛の男はかなり嫌われているようだ。

「あなたなら、いつでも大歓迎です」

(あの男とは違うし。)

「冗談だ。今日みたいに喜んでくれるのは嬉しいけど、これからしばらくは普通でいいから、無理はしないで」

 言外の存在に気付いたのか、赤みがかった金色の髪の男は優しいことを言ってくれる。
 黒髪の男もそうだが、赤みがかった金色の髪の男のことも好きになれそうだ。どこかの赤毛の男とは大違いだ。

「わかりました~」

 機嫌良く元気に返事した美穂は残りの料理を美味しく食べ、赤みがかった金色の髪の男に美味しく食べられた。
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