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 土に埋められている身体が動いた。
 ?
 ”はな”はここにいるのに、どうして”はな”はあそこで土の中から頭だけ出しているの?
 頭だけ出している?
 頭だけ転がっている?



「何故だ?! 何故、犬神が憑かん?! 戻って来い!」


 言われても、”はな”にはわからない。
 これであの人のところに戻れる。




 あの人はどこ?



 ”はな”はあの人の匂いを探す。
 鳥を獲った森。
 魚を獲った川。
 あの人と暮らした場所。


 あの人はどこ?
 あの人はどこにいるの?

 ”はな”の頭を撫でてくれたあの人の温かい手はどこ?
 ”はな”の名前を呼んでくれた口はどこ?

 あの人の匂いはするのに手は温かくなくて
 あの人の口は動かなくて

 京(みやこ)中を走り回ってあの人を探す。
 ”はな”を連れて行った人たちを見つけては、あの人のことを聞く。
 それでもあの人は見つからない。

 会いたいよ。
 会いたいよ。

 あの人だ! やっと見つけた!

 駆け寄る”はな”に気付かないあの人。

「ここにいるよ! ”はな”はここにいる!」

 期待した表情で”はな”を見たあの人は、顔を曇らせる。

「嘘、吐くな、ワレ! ワレは”はな”やないやないか!」
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