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”はな”を探していた。
陰陽寮の法師に連れ攫われた”はな”。
どんな時も一緒だった、”はな”。
”はな”を探して、
人とぶつかることもなくて、
人が儂を避けるように歩いていることにも気付かないで、京(みやこ)中を歩きまわった。
”はな”
”はな”
どこにいる?
昼も夜も関係なくて
陰陽寮やら、尊(たっと)い家の周りを探して
川や山にも行って
それでも、”はな”は見つからない。
”はな”
”はな”
どこにいる?
儂の家族はどこにいる?
「ここにいるよ! ”はな”はここにいるよ!」
その声に振り向けば、一人の姫が立っていた。見たこともないくらい美しい姫だった。着てるものも光っているようだった。
どんなに美しくても、”はな”じゃない。
”はな”は”はな”。
儂だけの”はな”。
ええとこの姫と言えど、儂の”はな”のふりをするのは赦せない。
「嘘、吐くな、ワレ! ワレは”はな”やないやないか!」
儂の叫びに姫は身体を震わせる。
怖がらせるのも、悪ふざけをした罰だ。
立ち尽くす姫に近寄る。
見れば見るほど美しい姫だ。一人でこんなところにいたら、すぐに人攫いに攫われてしまいそうな容姿。艶々とした衣。
姫を担ぎ上げ、京(みやこ)の外れに向かって走り出す。
こんなとこに一人でいたのが悪い。
”はな”のふりをしたのが悪い。
人攫いに攫われるところにいるのが悪い。
儂は理由を付けて姫を攫った。
儂はこれでも人攫いをしたのは初めてだ。
定職がないにしても、食べ物は自分で採ったり、日雇いの仕事をしたりして生きてきた。
衣も髪も、姫自身も高く売れそうだった。
京(みやこ)の警備をしている検非違使たちも近寄らない羅生門にまで連れ来た。他の人攫いもどうせ来る場所だ。
儂は羅生門にはまだ入ったことがない。
ここは泥棒や人殺しが隠れている場所。とうとう、人を攫った儂もここに来ることになった。
羅生門の内側の階段から二階に上がる。
誰にも詮索されなかった。羅生門で誰に会っても、誰もが脛に傷を持つ身で詮索も何もなかっただろうが。
姫を床に降ろす。
日のほとんど入らない羅生門の二階は薄暗かった。いくら美しい姫と言っても、この明るさでは顔も見えない。
手に触れた衣も姫の肌もとても滑らかだった。
既に人攫いに堕ちた身。
これ以上、堕ちてもなんともない。
”はな”を失くした儂はただの獣だった。
姫の制止する声に耳を貸さず、その身の柔らかさを堪能した。
初めて触れる女子(おなご)の乳房を舐めしゃぶり、姫の哀れな声に身を熱くした。
肉付きの良い足をつかんで女の味を賞味した時は畜生道に堕ちたと思った。
儂の下で啼き続ける姫を何度も何度も穢し、心まで獣になった。
姫に興味を失った儂はまた”はな”を探して、京(みやこ)を歩く。
その後を姫がついてくる。
儂は夜は羅生門で姫を犯し、昼は”はな”を探して京(みやこ)を歩くようになった。
姫はされるままに犯された。
それがどれくらい続いたのか。
儂は羅生門ではなく、”はな”と一緒に雨露を凌いだ場所で姫を抱くようになった。
それでも、儂は”はな”を探し続けた。
陰陽寮の法師に連れ攫われた”はな”。
どんな時も一緒だった、”はな”。
”はな”を探して、
人とぶつかることもなくて、
人が儂を避けるように歩いていることにも気付かないで、京(みやこ)中を歩きまわった。
”はな”
”はな”
どこにいる?
昼も夜も関係なくて
陰陽寮やら、尊(たっと)い家の周りを探して
川や山にも行って
それでも、”はな”は見つからない。
”はな”
”はな”
どこにいる?
儂の家族はどこにいる?
「ここにいるよ! ”はな”はここにいるよ!」
その声に振り向けば、一人の姫が立っていた。見たこともないくらい美しい姫だった。着てるものも光っているようだった。
どんなに美しくても、”はな”じゃない。
”はな”は”はな”。
儂だけの”はな”。
ええとこの姫と言えど、儂の”はな”のふりをするのは赦せない。
「嘘、吐くな、ワレ! ワレは”はな”やないやないか!」
儂の叫びに姫は身体を震わせる。
怖がらせるのも、悪ふざけをした罰だ。
立ち尽くす姫に近寄る。
見れば見るほど美しい姫だ。一人でこんなところにいたら、すぐに人攫いに攫われてしまいそうな容姿。艶々とした衣。
姫を担ぎ上げ、京(みやこ)の外れに向かって走り出す。
こんなとこに一人でいたのが悪い。
”はな”のふりをしたのが悪い。
人攫いに攫われるところにいるのが悪い。
儂は理由を付けて姫を攫った。
儂はこれでも人攫いをしたのは初めてだ。
定職がないにしても、食べ物は自分で採ったり、日雇いの仕事をしたりして生きてきた。
衣も髪も、姫自身も高く売れそうだった。
京(みやこ)の警備をしている検非違使たちも近寄らない羅生門にまで連れ来た。他の人攫いもどうせ来る場所だ。
儂は羅生門にはまだ入ったことがない。
ここは泥棒や人殺しが隠れている場所。とうとう、人を攫った儂もここに来ることになった。
羅生門の内側の階段から二階に上がる。
誰にも詮索されなかった。羅生門で誰に会っても、誰もが脛に傷を持つ身で詮索も何もなかっただろうが。
姫を床に降ろす。
日のほとんど入らない羅生門の二階は薄暗かった。いくら美しい姫と言っても、この明るさでは顔も見えない。
手に触れた衣も姫の肌もとても滑らかだった。
既に人攫いに堕ちた身。
これ以上、堕ちてもなんともない。
”はな”を失くした儂はただの獣だった。
姫の制止する声に耳を貸さず、その身の柔らかさを堪能した。
初めて触れる女子(おなご)の乳房を舐めしゃぶり、姫の哀れな声に身を熱くした。
肉付きの良い足をつかんで女の味を賞味した時は畜生道に堕ちたと思った。
儂の下で啼き続ける姫を何度も何度も穢し、心まで獣になった。
姫に興味を失った儂はまた”はな”を探して、京(みやこ)を歩く。
その後を姫がついてくる。
儂は夜は羅生門で姫を犯し、昼は”はな”を探して京(みやこ)を歩くようになった。
姫はされるままに犯された。
それがどれくらい続いたのか。
儂は羅生門ではなく、”はな”と一緒に雨露を凌いだ場所で姫を抱くようになった。
それでも、儂は”はな”を探し続けた。
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