姫犬神と狂おしき慕情~主様関西弁バージョン~

プラネットプラント

文字の大きさ
3 / 6

3

しおりを挟む
 ”はな”を探していた。
 陰陽寮の法師に連れ攫われた”はな”。
 どんな時も一緒だった、”はな”。

 ”はな”を探して、
 人とぶつかることもなくて、
 人が儂を避けるように歩いていることにも気付かないで、京(みやこ)中を歩きまわった。

 ”はな”
 ”はな”
 どこにいる?

 昼も夜も関係なくて
 陰陽寮やら、尊(たっと)い家の周りを探して
 川や山にも行って
 それでも、”はな”は見つからない。

 ”はな”
 ”はな”
 どこにいる?
 儂の家族はどこにいる?

「ここにいるよ! ”はな”はここにいるよ!」

 その声に振り向けば、一人の姫が立っていた。見たこともないくらい美しい姫だった。着てるものも光っているようだった。
 どんなに美しくても、”はな”じゃない。
 ”はな”は”はな”。
 儂だけの”はな”。

 ええとこの姫と言えど、儂の”はな”のふりをするのは赦せない。

「嘘、吐くな、ワレ! ワレは”はな”やないやないか!」

 儂の叫びに姫は身体を震わせる。
 怖がらせるのも、悪ふざけをした罰だ。
 立ち尽くす姫に近寄る。
 見れば見るほど美しい姫だ。一人でこんなところにいたら、すぐに人攫いに攫われてしまいそうな容姿。艶々とした衣。

 姫を担ぎ上げ、京(みやこ)の外れに向かって走り出す。

 こんなとこに一人でいたのが悪い。
 ”はな”のふりをしたのが悪い。
 人攫いに攫われるところにいるのが悪い。

 儂は理由を付けて姫を攫った。

 儂はこれでも人攫いをしたのは初めてだ。
 定職がないにしても、食べ物は自分で採ったり、日雇いの仕事をしたりして生きてきた。

 衣も髪も、姫自身も高く売れそうだった。
 京(みやこ)の警備をしている検非違使たちも近寄らない羅生門にまで連れ来た。他の人攫いもどうせ来る場所だ。
 儂は羅生門にはまだ入ったことがない。
 ここは泥棒や人殺しが隠れている場所。とうとう、人を攫った儂もここに来ることになった。
 羅生門の内側の階段から二階に上がる。
 誰にも詮索されなかった。羅生門で誰に会っても、誰もが脛に傷を持つ身で詮索も何もなかっただろうが。

 姫を床に降ろす。
 日のほとんど入らない羅生門の二階は薄暗かった。いくら美しい姫と言っても、この明るさでは顔も見えない。
 手に触れた衣も姫の肌もとても滑らかだった。

 既に人攫いに堕ちた身。
 これ以上、堕ちてもなんともない。
 ”はな”を失くした儂はただの獣だった。

 姫の制止する声に耳を貸さず、その身の柔らかさを堪能した。
 初めて触れる女子(おなご)の乳房を舐めしゃぶり、姫の哀れな声に身を熱くした。
 肉付きの良い足をつかんで女の味を賞味した時は畜生道に堕ちたと思った。
 儂の下で啼き続ける姫を何度も何度も穢し、心まで獣になった。

 姫に興味を失った儂はまた”はな”を探して、京(みやこ)を歩く。
 その後を姫がついてくる。
 儂は夜は羅生門で姫を犯し、昼は”はな”を探して京(みやこ)を歩くようになった。
 姫はされるままに犯された。
 それがどれくらい続いたのか。
 儂は羅生門ではなく、”はな”と一緒に雨露を凌いだ場所で姫を抱くようになった。
 それでも、儂は”はな”を探し続けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

真面目な王子様と私の話

谷絵 ちぐり
恋愛
 婚約者として王子と顔合わせをした時に自分が小説の世界に転生したと気づいたエレーナ。  小説の中での自分の役どころは、婚約解消されてしまう台詞がたった一言の令嬢だった。  真面目で堅物と評される王子に小説通り婚約解消されることを信じて可もなく不可もなくな関係をエレーナは築こうとするが…。 ※Rシーンはあっさりです。 ※別サイトにも掲載しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

淫紋付きランジェリーパーティーへようこそ~麗人辺境伯、婿殿の逆襲の罠にハメられる

柿崎まつる
恋愛
ローテ辺境伯領から最重要機密を盗んだ男が潜んだ先は、ある紳士社交倶楽部の夜会会場。女辺境伯とその夫は夜会に潜入するが、なんとそこはランジェリーパーティーだった! ※辺境伯は女です ムーンライトノベルズに掲載済みです。

初体験の話

東雲
恋愛
筋金入りの年上好きな私の 誰にも言えない17歳の初体験の話。

義兄様と庭の秘密

結城鹿島
恋愛
もうすぐ親の決めた相手と結婚しなければならない千代子。けれど、心を占めるのは美しい義理の兄のこと。ある日、「いっそ、どこかへ逃げてしまいたい……」と零した千代子に対し、返ってきた言葉は「……そうしたいなら、そうする?」だった。

処理中です...