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敵さんとの一日目

魔法(偽)少女になった理由

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 正義の味方に選ばれたのはいいけど、忙しいとか面倒臭いとかいうものじゃなくて問題は別にあった。
 それはコスチューム。
 古今東西を問わない魔法少女の膝上20センチ以上のスカートなんか問題じゃないくらい、そのコスチュームには問題があった。

 ビキニの水着なんか手に取るのも恥ずかしくてワンピースかタンキニしか買わないのに、正義の味方のコスチュームは下着同然だった。上は3/4カップブラなんか目じゃない1/2カップブラ。大事なところを申し訳程度に隠しているシロモノである。下はこの際ハイレグでも歓迎したくなるGストリング(俗にいう、ひもぱん。ただし、紐まで金属製)。

 露出度高すぎ!!
 なんでハイレグアーマーやビキニアーマーより露出度が高いのよー!!

 マスコットの趣味?!
 誰の趣味?!
 どう考えても、特撮の女幹部のコスチュームでしょ!!

 って、ことでマスコットに泣きついて違うコスチュームにしてもらったら、何故か中学生にまで若返って魔法少女をすることになってしまった。

 いやー!!
 元に戻してー!!
 でも、ひもぱんアーマーは勘弁してー!!

 戦う時だけだけどさ!
 つまり、変身した時だけだけさ!

 もう、ヤダ。
 アラサーのこの歳でミニなのは、見かけは若返ってるけど、精神に大ダメージが来る。

 恋愛経験だって若返った見かけレベルだからって、無理だよ!
 中の人の精神年齢、考えてよ!

 ああ、もう!
 なんでこんなことに!
 こんなことになるんだったら、正義の味方なんかに選ばれたくなかった!!
 なんで現役女子高生とか、私よりもっと若い子が選ばれなかったの?!
 若くなくても自分が美人だって自信持ってる人とか、もっとふさわしい人いたでしょ?!
 なんで私なの?!

 私、山田 桃子(モモコではなく、トウコ)28歳。現実逃避したいお年頃(吐血)。

「戦闘中に考え事とはいい度胸だな」

 今、マジカルステッキから出てくる必殺技すら効かなかった敵さん(イケメン)に睨まれています。

「・・・」

『お兄ちゃんカッコイイね、このイケメーン』って言ったら、見逃してもらえないかな。
 見逃してもらえないか。

 絶体絶命のピーンチ!!





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