2 / 17
敵さんとの一日目
イケメン恐怖症になった理由
しおりを挟む
魔法少女ができることはマジカルステッキから必殺技を出すことと飛行能力ぐらいしかない。身体能力の強化とか、他の能力があってもいいはずなのに、何故かそれぐらいしかない。
今まで戦ってきた相手は出会ってすぐ必殺技で倒してきていたからなんとかなったけど、必殺技の効かない相手にどうしろっていうのよ?!
こんな時は――マスコット!
正義の味方のお供のマスコット”うっとー”になんとかしてもらおう!
と思って、あたりを見たけど、毎日ドーナツをあげなきゃいけない手乗りサイズの猫のマスコットがいない。
なんで? マスコットって魔法少女の傍で戦いを見守っているもんじゃないの?!
その代わり、敵さんがさっきより近付いて来ている。
いやー!!
来ないでー!!
イケメン恐怖症じゃないけど今は無理ー!!
これ以上近付かれるとイケメン恐怖症になりそう・・・。
そうだ。逃げよう。
必殺技が効かなかったから、ここは逃げるしかない。
逃亡手段は魔法少女が持ってる飛行能力でどうにかしよう。自慢じゃないけど、体育1の身体能力しかない私が逃げ切るにはそれしかない。
で、飛んでみたけど、歩くよりは早いけど走るより遅いスピード。
・・・。
なんで?
もしかして、飛ぶ速さは私の歩く速さとか走る速さが基準だったの?
そんな速さだったから、足場のない空に逃げてそこから遠くに逃げるほうがいい。
ということで、一生懸命に上昇するんだけど・・・敵さんの身体能力を考えてなかった。
必殺技が効かない敵さんは空中で二段階ジャンプして、すぐ側の雑居ビル(戦っていた場所は街中)の壁面を駆け上がって来る。
「!!」
無理でしょ!!
相手のほうが身体能力高すぎなんですけど!
アナタはどこの魔人なの?! ってレベルなんですけど!!
なんで正義の味方に選ばれたのが、私より運動神経のいい人間じゃなかったの?!
なんで私なの?!
ドラマでビルからビルに飛び移っているアクションスターとかいるけど、そのレベルの人じゃないと無理だよ!!
「遅かったな」
全速力で飛んだのに、雑居ビルの屋上から敵さんに見下ろされている。
「・・・っ!」
ひぃぃぃぃぃ!
怖くて声が出ない。
声は出なくても横にも移動できるから今度は横に移動した。
そうしたら、敵さんはスタントマンのようにひらりと軽やかに隣りのビルに飛び移る。
「!!」
そこ、二階分ぐらいの高低差合ったよね?!
飛び越せない距離がないと駄目なのかと思って、ビルとビルの間に車が通れるような細い道のある所まで行っても、敵さんは話でもしているようにのんびり歩いて来て、ひょいと飛び越してしまう。
「!!」
距離じゃなかったのか・・・。
敵さんは空中で二段階ジャンプして垂直な壁を駆け上がれるから、高低差や車一台分の幅のジャンプなんか障害にならないらしい。
じゃ、じゃあ。右に行くように見せかけて、左に行く。
って、フェイントをかけても駄目だ。敵さんが歩いていても、気付くのと方向転換が速いし、飛び移るスピードも身体能力の高さを反映して簡単に先回りされてしまう。
「次は?」
左右が駄目でも、車同士が通り抜けられる道を挟んだ真向いへの移動にはついてこられないと思ったら、余裕の笑みでそっちのビルに飛び移られた。
イケメンの笑顔なのに恐怖から寒気がしてくる。
敵さんに追いかけまわされて、とうとうイケメン恐怖症になったかもしれない。
無理だ。敵さんがスペックが違いすぎて逃げられる気がしない(勝てる気なんかとっくにない)。
「気はすんだか?」
「・・・」
こうなったら、最後の手段。やっても成功するかどうかわからないけど、やってみないとわからない。
「今よ、”うっとー”!」
「?!」
はったりでもあの役立たずなマスコットを呼んで敵さんが気を反らした隙に、少しでも遠くに逃げようと上空に飛ぶ。速度は遅くても壁がなかったら、空中で二段階ジャンプされても追い付かれない。あとは敵さんが諦めるまで遠くに行って、降りればそれで逃亡成功。
うん。完璧。
・・・と思っていました。さっきまで。
街中からとっくに離れて、住宅街を越えて、幹線道路沿いに隣りの県に入ったけど、敵さん(身体能力が高いから視力も7.0あるかもしれない)は諦めてくれません。
アナタはどこのホッケーマスク男なの?!
敵さんがいくらイケメンでも、こんなにしつこいストーカーだったら、私がイケメン恐怖症になっても仕方ないよね。
「”うっとー”、出て来て助けてよう!」
私が叫んでも魔法少女を見守っているはずのマスコットは姿を見せない。
私が敵さんに勝てないと思って逃げたのか、”うっとー”。
サポートせずになんで逃げてんのよー!!
というか、敵さん、そろそろ諦めてーーー!!!
今まで戦ってきた相手は出会ってすぐ必殺技で倒してきていたからなんとかなったけど、必殺技の効かない相手にどうしろっていうのよ?!
こんな時は――マスコット!
正義の味方のお供のマスコット”うっとー”になんとかしてもらおう!
と思って、あたりを見たけど、毎日ドーナツをあげなきゃいけない手乗りサイズの猫のマスコットがいない。
なんで? マスコットって魔法少女の傍で戦いを見守っているもんじゃないの?!
その代わり、敵さんがさっきより近付いて来ている。
いやー!!
来ないでー!!
イケメン恐怖症じゃないけど今は無理ー!!
これ以上近付かれるとイケメン恐怖症になりそう・・・。
そうだ。逃げよう。
必殺技が効かなかったから、ここは逃げるしかない。
逃亡手段は魔法少女が持ってる飛行能力でどうにかしよう。自慢じゃないけど、体育1の身体能力しかない私が逃げ切るにはそれしかない。
で、飛んでみたけど、歩くよりは早いけど走るより遅いスピード。
・・・。
なんで?
もしかして、飛ぶ速さは私の歩く速さとか走る速さが基準だったの?
そんな速さだったから、足場のない空に逃げてそこから遠くに逃げるほうがいい。
ということで、一生懸命に上昇するんだけど・・・敵さんの身体能力を考えてなかった。
必殺技が効かない敵さんは空中で二段階ジャンプして、すぐ側の雑居ビル(戦っていた場所は街中)の壁面を駆け上がって来る。
「!!」
無理でしょ!!
相手のほうが身体能力高すぎなんですけど!
アナタはどこの魔人なの?! ってレベルなんですけど!!
なんで正義の味方に選ばれたのが、私より運動神経のいい人間じゃなかったの?!
なんで私なの?!
ドラマでビルからビルに飛び移っているアクションスターとかいるけど、そのレベルの人じゃないと無理だよ!!
「遅かったな」
全速力で飛んだのに、雑居ビルの屋上から敵さんに見下ろされている。
「・・・っ!」
ひぃぃぃぃぃ!
怖くて声が出ない。
声は出なくても横にも移動できるから今度は横に移動した。
そうしたら、敵さんはスタントマンのようにひらりと軽やかに隣りのビルに飛び移る。
「!!」
そこ、二階分ぐらいの高低差合ったよね?!
飛び越せない距離がないと駄目なのかと思って、ビルとビルの間に車が通れるような細い道のある所まで行っても、敵さんは話でもしているようにのんびり歩いて来て、ひょいと飛び越してしまう。
「!!」
距離じゃなかったのか・・・。
敵さんは空中で二段階ジャンプして垂直な壁を駆け上がれるから、高低差や車一台分の幅のジャンプなんか障害にならないらしい。
じゃ、じゃあ。右に行くように見せかけて、左に行く。
って、フェイントをかけても駄目だ。敵さんが歩いていても、気付くのと方向転換が速いし、飛び移るスピードも身体能力の高さを反映して簡単に先回りされてしまう。
「次は?」
左右が駄目でも、車同士が通り抜けられる道を挟んだ真向いへの移動にはついてこられないと思ったら、余裕の笑みでそっちのビルに飛び移られた。
イケメンの笑顔なのに恐怖から寒気がしてくる。
敵さんに追いかけまわされて、とうとうイケメン恐怖症になったかもしれない。
無理だ。敵さんがスペックが違いすぎて逃げられる気がしない(勝てる気なんかとっくにない)。
「気はすんだか?」
「・・・」
こうなったら、最後の手段。やっても成功するかどうかわからないけど、やってみないとわからない。
「今よ、”うっとー”!」
「?!」
はったりでもあの役立たずなマスコットを呼んで敵さんが気を反らした隙に、少しでも遠くに逃げようと上空に飛ぶ。速度は遅くても壁がなかったら、空中で二段階ジャンプされても追い付かれない。あとは敵さんが諦めるまで遠くに行って、降りればそれで逃亡成功。
うん。完璧。
・・・と思っていました。さっきまで。
街中からとっくに離れて、住宅街を越えて、幹線道路沿いに隣りの県に入ったけど、敵さん(身体能力が高いから視力も7.0あるかもしれない)は諦めてくれません。
アナタはどこのホッケーマスク男なの?!
敵さんがいくらイケメンでも、こんなにしつこいストーカーだったら、私がイケメン恐怖症になっても仕方ないよね。
「”うっとー”、出て来て助けてよう!」
私が叫んでも魔法少女を見守っているはずのマスコットは姿を見せない。
私が敵さんに勝てないと思って逃げたのか、”うっとー”。
サポートせずになんで逃げてんのよー!!
というか、敵さん、そろそろ諦めてーーー!!!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
25
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる