アラサー魔法(偽)少女の受難の日々~そのうち、愛もあるよ。~

プラネットプラント

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敵さんとの一日目

謙虚になった理由

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 悪い時に悪いことは重なるもので、必殺技の効かない身体能力の高い敵さん(イケメン)から逃げきろうと地上200メートル(いつまでも諦めない敵さんとその高さに下を見るのが怖くなった)を飛んでいたはずなのに、なんだか高度が下がってどんどん地上が近くなってくる。
 幹線道路沿いで交通量も多い場所だけど、今はそれを考えなくてもいいことだけが気休めだった。

 魔法少女になっている時はその周辺は風景をそのままに無人の別空間になっているのだ。これは私が使おうとして使っている能力じゃなくて、一般市民自身の建物や家財に被害が出ないようにされている工夫なのだ。だから、いくらそこで戦って建物や止めてあった車を壊しても、現実では被害はない。
 その配慮の欠片でもコスチュームに欲しかった。

 この無人の別空間化機能がなかったら、いくら正義感に溢れる善良な市民である私でも正義の味方にはなれなかった。
 だって、悪役の女幹部のコスチュームじゃなくても、魔法少女姿(外見は中学生の時のまま)で人目のある場所で戦える?
 そんなことしてたら、スマホで画像や動画撮られてその日のうちに動画投稿サイトやSNSで世界デビューしてしまう。それで身元を特定されて、そんな状態で職場で働ける?
 無理でしょ!

 そんなこんなで、幹線道路沿いの場所で降下しても、私が車にはねられる危険性はない。
 私にある危険性と言えば、諦めてくれない敵さんくらい。

 にしても、なんで高度が下がっているのかわからない。
 横移動はしているけど上昇はできなかった。

 ・・・。

 結果、私は飛行能力を失って地上に降り立つことになる。ただし、地上に足は着かなかった。高度がどんどん下がってきて、待ち構えていた敵さんの腕の中にそれはもう、すっぽりと収まってしまって。

「・・・アリガトウゴザイマス。降ろしてくれませんか?」
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