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敵さんとの一日目
死にかけた理由
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答えが怖くて敵さんの顔も見られなかったし、声も出なかった。
「大丈夫だ。お前の命も奪う気はない」
「へ?」
聞き間違えたかと思った。
「お前の命は保証する」
アラサーでも殺さないでくれるらしい。
よかった~。
でも、どうなるんだろう? 好きな男の子のところに全裸で放り出すことはやめさせたから、やらないだろうし?
子どもだけそういうことをしないってことで、アラサーはするってこと?
好きな相手もいないから、さっきのやめさせたことも私にはできないだろうし、どうなんだろ?
「とりあえず、お礼を言っておく。ありがとう」
「お前は俺のものにする」
「・・・?」
今なんて言った?
「お前は俺のものにする」
「?!!!」
ぜんっ然、事態はよくならなかった!!!
「えっと・・・、レイプは魂の殺人だって理解しているよね? 理解したから、そんなことをしないって決めたんだよね?」
初めてが地球の男どころか人型をしているかどうかもわからない謎の生物?である敵さんになるかもしれないことを全力で避けたい。
中学生を助ける為に説得したことを今度は私にも当てはめて説得することにした。
敵さんは頭もいいし、すぐにわかってくれると思う。
「それなら簡単な話だ。受け入れられるようにすればいい」
「!!」
敵さんは笑顔で言った。なんか背後が黒い気がする。
当の私はというと、イケメン恐怖症なのにイケメンの笑顔を間近(30センチ以内)で見てしまって、状態異常になっ(フリーズし)た。
その間に顔が無理矢理上げられてキスされた。
初心者には難易度が高すぎるキスで酸欠で死ぬかと思った。おかげでフリーズした思考能力も戻って来る。
敵さんの胸を手で突っぱねたり、肩や頭を叩いたりして思いっきり抵抗したら、やっとやめてくれた。
「死ぬ! 死んじゃう! 初心者相手になんてことするのよ! 呼吸できないじゃない!」
魂の叫びだった。必殺技も効かない敵さん相手に無謀だということも忘れていた。今はお姫様抱っこという、自分じゃ、身動き取れない状況なのも忘れていた。ついでに剥き出しの背中や何もつけていない膝裏とその上下の部分を敵さんが腕がまわっていて、素手でしっかりと支えられているのも忘れていた。この時の私の状況はまな板の上で料理されかかった鯉がビチビチ跳ねて料理人に体当たりしているようなものだった。でも、そんなことは頭から吹っ飛んでいた。
だって、そうでしょ?
酸欠で死にかかったんだよ?
それがファーストキス(28歳でファーストキスなのはツッコミいらないから)だったんだよ?
ない。
絶対ない。
これ、カウントに入れない。
だけど、これがファーストキスなのは事実で・・・28年間待ったファーストキスで死にかけるってのはない!
そうだ。
頭を撫でた仔犬に顔を舐められたことがあるから、そういうことにしておこう。
犬に舐められてもノーカン。
これはキスじゃないよー。言ってて自分が虚しいけど。
「挨拶しただけで死ぬとか大袈裟だな」
「挨拶って。あのキスのどこが挨拶よ?!」
何も考えずに言ったことのダメージが自分にも跳ね返ってくる。あれをキスだったと無意識に考えていたことで頭がズキリと痛んだ。
「人間には親しい人間や親しくなりたい初対面の人間との挨拶でそうやる文化があるのだろう?」
「どこの文化よ、それ! ・・・とりあえず、28年生きて来たけどそんな文化とは出会ったおぼえないわ。あったとしても、特殊な文化よ。そんな文化はほとんどないから。キス自体、さっきのが初めての私に聞かないで」
言ってから気付いた。
自爆してしまった・・・。自分からファーストキスだって言っちゃったよ・・・。
このまま地面に潜ってブラジルまで行ってしまいたい。
「そんなに落ち込むな」
「知らない相手から挨拶代わりにキスされて、それがファーストキスだったら、落ち込まないほうがおかしいわよ!」
ああ、もう! 常識を知らないこの地球外生命体にイラつく!
「山田 桃子(トウコ)28歳。名前がモモコではなく、トウコなのをネタにされて明るい人気者になれなかったと考えている。勤務先は池袋にある会社。最寄駅は埼玉の××。好きな色はエメラルドグリーン。嫌いな色はモーブ。好きな食べ物は椎茸。嫌いな食べ物はたらこ。休日は家事をして過ごしている。趣味はキッチンハーブの栽培。いつかスイートベイの盆栽を作りたいと本とwebをチェックしている」
「?!!」
あ”あ”ー!! な、なんで、そんなこと知ってるの?! それも桃子(モモコ)じゃなくて桃子(トウコ)って読むことをことあるごとにからかわれて、気にしているのをなんで知ってるの?!
教えたつもりもないし、なんで?! どうして?!
私の個人情報がどこから流出したのかわからない。
以前、戦って勝った時に家まで後を着けられた?
いや、変身を解いたら元いた場所に転送されるからそれはない。
でも、その時に身体にGPSみたいなものを付けられていたら?
それはあり得る。地球外の技術で何か取り付けられていてもおかしくない。
「これだけ知っていれば、知らない相手ではない」
んな、馬鹿な。
敵さんが私の名前や勤め先や最寄り駅とか好きな物を知っていても、私が敵さんのことを知らないんじゃ、意味がない。
「私があなたのことを知らないから、挨拶代わりにキスされたくないの!」
でも、私は敵さんのことを知らないのに、敵さんが私のこと知っているのって、それ、ストーカーっていうんじゃない?
そのストーカーにあなたのことが知りたいって言うのって、おかしくない?
言ってから、そんな疑問が頭に浮かんだ。
「大丈夫だ。お前の命も奪う気はない」
「へ?」
聞き間違えたかと思った。
「お前の命は保証する」
アラサーでも殺さないでくれるらしい。
よかった~。
でも、どうなるんだろう? 好きな男の子のところに全裸で放り出すことはやめさせたから、やらないだろうし?
子どもだけそういうことをしないってことで、アラサーはするってこと?
好きな相手もいないから、さっきのやめさせたことも私にはできないだろうし、どうなんだろ?
「とりあえず、お礼を言っておく。ありがとう」
「お前は俺のものにする」
「・・・?」
今なんて言った?
「お前は俺のものにする」
「?!!!」
ぜんっ然、事態はよくならなかった!!!
「えっと・・・、レイプは魂の殺人だって理解しているよね? 理解したから、そんなことをしないって決めたんだよね?」
初めてが地球の男どころか人型をしているかどうかもわからない謎の生物?である敵さんになるかもしれないことを全力で避けたい。
中学生を助ける為に説得したことを今度は私にも当てはめて説得することにした。
敵さんは頭もいいし、すぐにわかってくれると思う。
「それなら簡単な話だ。受け入れられるようにすればいい」
「!!」
敵さんは笑顔で言った。なんか背後が黒い気がする。
当の私はというと、イケメン恐怖症なのにイケメンの笑顔を間近(30センチ以内)で見てしまって、状態異常になっ(フリーズし)た。
その間に顔が無理矢理上げられてキスされた。
初心者には難易度が高すぎるキスで酸欠で死ぬかと思った。おかげでフリーズした思考能力も戻って来る。
敵さんの胸を手で突っぱねたり、肩や頭を叩いたりして思いっきり抵抗したら、やっとやめてくれた。
「死ぬ! 死んじゃう! 初心者相手になんてことするのよ! 呼吸できないじゃない!」
魂の叫びだった。必殺技も効かない敵さん相手に無謀だということも忘れていた。今はお姫様抱っこという、自分じゃ、身動き取れない状況なのも忘れていた。ついでに剥き出しの背中や何もつけていない膝裏とその上下の部分を敵さんが腕がまわっていて、素手でしっかりと支えられているのも忘れていた。この時の私の状況はまな板の上で料理されかかった鯉がビチビチ跳ねて料理人に体当たりしているようなものだった。でも、そんなことは頭から吹っ飛んでいた。
だって、そうでしょ?
酸欠で死にかかったんだよ?
それがファーストキス(28歳でファーストキスなのはツッコミいらないから)だったんだよ?
ない。
絶対ない。
これ、カウントに入れない。
だけど、これがファーストキスなのは事実で・・・28年間待ったファーストキスで死にかけるってのはない!
そうだ。
頭を撫でた仔犬に顔を舐められたことがあるから、そういうことにしておこう。
犬に舐められてもノーカン。
これはキスじゃないよー。言ってて自分が虚しいけど。
「挨拶しただけで死ぬとか大袈裟だな」
「挨拶って。あのキスのどこが挨拶よ?!」
何も考えずに言ったことのダメージが自分にも跳ね返ってくる。あれをキスだったと無意識に考えていたことで頭がズキリと痛んだ。
「人間には親しい人間や親しくなりたい初対面の人間との挨拶でそうやる文化があるのだろう?」
「どこの文化よ、それ! ・・・とりあえず、28年生きて来たけどそんな文化とは出会ったおぼえないわ。あったとしても、特殊な文化よ。そんな文化はほとんどないから。キス自体、さっきのが初めての私に聞かないで」
言ってから気付いた。
自爆してしまった・・・。自分からファーストキスだって言っちゃったよ・・・。
このまま地面に潜ってブラジルまで行ってしまいたい。
「そんなに落ち込むな」
「知らない相手から挨拶代わりにキスされて、それがファーストキスだったら、落ち込まないほうがおかしいわよ!」
ああ、もう! 常識を知らないこの地球外生命体にイラつく!
「山田 桃子(トウコ)28歳。名前がモモコではなく、トウコなのをネタにされて明るい人気者になれなかったと考えている。勤務先は池袋にある会社。最寄駅は埼玉の××。好きな色はエメラルドグリーン。嫌いな色はモーブ。好きな食べ物は椎茸。嫌いな食べ物はたらこ。休日は家事をして過ごしている。趣味はキッチンハーブの栽培。いつかスイートベイの盆栽を作りたいと本とwebをチェックしている」
「?!!」
あ”あ”ー!! な、なんで、そんなこと知ってるの?! それも桃子(モモコ)じゃなくて桃子(トウコ)って読むことをことあるごとにからかわれて、気にしているのをなんで知ってるの?!
教えたつもりもないし、なんで?! どうして?!
私の個人情報がどこから流出したのかわからない。
以前、戦って勝った時に家まで後を着けられた?
いや、変身を解いたら元いた場所に転送されるからそれはない。
でも、その時に身体にGPSみたいなものを付けられていたら?
それはあり得る。地球外の技術で何か取り付けられていてもおかしくない。
「これだけ知っていれば、知らない相手ではない」
んな、馬鹿な。
敵さんが私の名前や勤め先や最寄り駅とか好きな物を知っていても、私が敵さんのことを知らないんじゃ、意味がない。
「私があなたのことを知らないから、挨拶代わりにキスされたくないの!」
でも、私は敵さんのことを知らないのに、敵さんが私のこと知っているのって、それ、ストーカーっていうんじゃない?
そのストーカーにあなたのことが知りたいって言うのって、おかしくない?
言ってから、そんな疑問が頭に浮かんだ。
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