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[航海へ]

14話

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舳先の甲板で、今夜は心地よい風が吹くな~と夜空を‥ぼんやりと眺めてる晴樹だ!
星空の下、神々たちも混じって宴は続く--
もう少ししたら夜明け前のマジックアワーの時間だろう!

宴もたけなわだったが、いつの間か宴
も終わってしまっている…。
神や他女神たちは帰り、ただひとり戦乙女神リアンダーワルキューレが、晴樹の守護のため残っているようだった。
ロシーターが晴樹を指差し
「あなた、頭に何を引っつけてるの?」
戦乙女神リアンダーワルキューレも笑顔で晴樹に
「(ええ‥、それ‥べったり…だねっ♪︎)」
「(あっ!首筋に隠れた…わ!)」

えっ?なに何って顔する晴樹なのだ。
「ん、、俺?べったり?え?」
「え?なに?取って~お願い~ッ!」

ロシーターは、晴樹の頭後にギュッと
抱きつきひっしにしがみついている
小さな女の子を‥、ひょいと軽く掴んで引っ剥がす。
そして、ロシーターが晴樹に見せた。
「え…その~ッ!…それはなに?」

それはギャアギャアと半泣きで喚く
〈離してょ~私のもの…ここは好き…
居心地好い、好き♪︎離れない~♡〉

戦乙女神リアンダーワルキューレ..笑いながら
「(憑依 =べったり=好き=晴樹さん…、なんだね!アハハッ!)」
「(晴樹、それは風精霊シルフなんだよ!悪くないから可愛がってやりなょ!)」
ロシーターは、ニヤニヤして風精霊シルフを‥晴樹へ戻すことにした。

オオルリボシヤンマような羽根を‥
羽ばたかせ晴樹の肩に乗る風精霊シルフ
〈ここはアタイだけの場所っ…♡〉
その様子を見てた晴樹は賑やかに
「まあでも…可愛いから良いか~!」
「さっき心地よい風をくれていたのは
君だねっ!」

風精霊シルフは、笑い声を弾ませながら そして、小さな身体で晴樹の首をぎゅっと抱きしめてきた。
〈えへへへ~ッ!そうょ♡〉

波しぶきが帆船の船首に飛び散りて虹を 
潮風 が海の香りを運んでくる。
高い空、 空に流れゆくる雲たち。

果てしない水平線の向こうの空には、
大海原の上に美しく旗のようにたなびいている雲に落日が輝いている。

船長アリアが空を眺め晴樹に
《今夜の月はすがすがしく、あってほしいものだよ。》
《旗雲は旗のように横に長くたなびく雲。 海神がもつ旗というとか!》

晴樹は帆船のともから静かな
水平線を眺めて
「夕日にかかる豊旗雲が綺麗やね~
良い感じホントに幻想的なんだ!」

「ああ、大きな太陽が海に消えてゆく。」
「この船なんて.. あの沈む大きな夕陽
に比べたら ちっぽけなんだなぁ…」

帆船の甲板は夕陽に照らされて薄紅色
に染まる...ただただ夕陽の空を眺めている .。

船長アリアが 晴樹 にたずねる
《ほう!晴樹殿はたいへん 珍しい剣
を持っておりますなぁ~?》
「ああこの剣ですか?見てみますか?!」 
かなり喜ぶ---船長アリアなのだ。
「おおー-ッ!!これはありがとう。
素晴らしい!素晴らしい剣だ!」

戦乙女神リアンダーワルキューレ
「(その剣には、魂が宿っているな-
ほんと、力強い剣だな~!!)」

黒龍   鋼 はがね
『おーい…それは、神剣やぞ~~!
ワシの体内にあったものなのだ---!!』
『ハッハッハ!そのつるぎは肉体あるものも斬れるが…』
『その剣の持つ力は、そもそも断ち斬るものが異なるからの…』
いしを持つからこそだがあの曲魂まがつひを斬れる。』

晴樹の持つ その剣は…神剣であり
黒い艶のある鞘、鞘には7つの煌めく
宝石が星座のように並び 龍の彫刻が…
刃身も太く黒光りしている、そして刃文  はもんは燃えるように波うち赤く輝く---!!!

晴樹
「んっ鋼殿、曲魂まがつひって何ですか?」
黒龍.鋼はがね
『変質した魂、邪悪、魔などのことだな!』

時空間を一気に飛ぶぞ~
タラッサネーソス号の舳先辺りから…
やがて にわかに霧が立ち込めてきて帆船を周りから すっぽりと隠すように包んでゆく。
 
晴樹は心にある疑問をおもむろに口
にしてサーシェにたずねる。
「不思議だよね~この帆船は…」
「俺からは、わからないことだらけ…」

サーシェが横で甲板を軽く叩きながら
晴樹へ
「この船の甲板も全ての材質もだけど、時の流れが固定停止してるからね。」

「その理由は…この船の最大の核となるメイン部分には-時空間を渡る為の動力 装置…」
「その動力装置のエネルギーの源は…ね
私の文明の遺産テクノロジーの緋緋金生魂鉱  オリハルコンが使われているのよ!」

 晴樹 _(オリハルコンって‥あのアトランティスのかなぁ!)
「えぇぇぇぇっと!何だって?」

続けて サーシェは晴樹に話してくる。
緋緋金生魂鉱  オリハルコン、あれには様々な特性があるのだけど…
時空間の境界に干渉する波動もその一つ」
「あとは、肉体の再生、肉体の分解と
、かりそめの器を与えるとかあるのです。」
それを知った..晴樹は
「うーん-なんとなく理解できるような?」
「素晴らしいやないの‥エネルギーを
うまく操れば文明は飛躍的に伸びるね!」

それを聞いたサーシェは、少しだけ
厳しい顔と悲しみを‥湛えた瞳で答えた。
「---そ--そうね--でもね…晴樹」
「あれは---、ただ、諸刃の剣なの…」

人体や物質を別の座標‥別の空間‥別の
時代の場所などに送るためにはその境界の隔たりを‥破らないといけない。

その破った際の膨大なエネルギーを‥
浴びて変質や崩壊を防ぐためには、
その対象にとどまらず あらゆる物質や・魂などをもシールドで保護する必要がある。
それらを可能にしているものが…
緋緋金生魂鉱  オリハルコンの持つ様々な特性や波動なのだった。

サーシェから..それらを聞いた晴樹は
何も言えず、ただ空と海を‥眺めている。

乗組員の一人が晴樹を連れて展望台へ…メインマストの高い展望台の場所から眺める景色は素晴らしく雅やかだ。

聞こえなかった音が耳に届く。
空の高いところでこすれる仲間を呼ぶ
海鳥たち の声。
気づかなかった色彩に見とれる、刻々と 変化していく空の景色が素晴らしい…。

マストの見張りの乗組員が、海上に何かを発見し警鐘の鐘を鳴す。
「左舷3時の方向に、歪み、裂け目の穴-------っ!」
共に展望台から見ている 晴樹
「えっとあれが…裂け目なのですか?」

船長アリアは単眼望遠鏡で覗きて
甲板のサーシェに
《あれが、裂け目なのですか…ほんと
初めて目にするわい!》
《船首を風上よりやや外して航行して、裂け目から離れるぞ~!》
「次元の裂け目は、軽い次元震が発生
した後かもね!」
「この先で悪影響が出てなければ良いけど…」
展望台から降りて来てた晴樹はサーシェに
「あれが、次元震だって‥?」
サーシェ
「たとえばですが、左舷の海の向こう
には、また別の時の流れがあったりします。」
「だけれど、次元震だけはちょっとだけ別問題よ!」

晴樹(むう、難しくかなり複雑だなぁ~もっと理解力が欲しいものだ)
「オレは、普通は見えない壁をかなり
越えてやっ てきたんですね?」

船長アリア
《この航路は、晴樹の時代から遥か
過去へ繋ぐ道としているからな♪︎》
《確かに この先行き着く時代は、晴樹
の時代から見たら遥か過去となるのだが…》
サーシェ
「二つの次元を繋ぐ道として固定して
いるものを--、無理に横から無理やり
拡げようとすると次元震が発生してしまう。」
「逆もしかり、他の次元で何らかの事故や何かしらの原因が発生しすると裂け
目が、、」

晴樹、(ものすごい悪い低い確率だけれど、、たまたまこちらと裂け目で繋がってしまったのだろうか?)
「な、なんとなくだけど想像はできるかな!」

戦乙女神リアンダーワルキューレ
「(次元震は、時空間の接点がねじ切れてしまうことで起こる現象だよ!)」 
「(たとえばだけれど、原因として魔法…大規模召喚魔法の失敗!)」

サーシェは、頷きながら
「そうねぇ~考えられる原因としては、私の文明と似たオーバーテクノロジー
かもしれない!」
「もしくは魔法かなぁ!」
「この二つは共通性と、わりと相互関係あるからね。」

戦乙女神リアンダーワルキューレが 晴樹へ
「(晴樹さんの存在する世界は、肉体あるものが生きる物質世界、その他の世界には精神世界も沢山あるわ!)」

「(もちろん同心円状に重なり合い隔たり、境界が無いか薄い世界もある、それが霊界と呼ばれている。)」
「(ただ霊界も広いから全てではないわ!)」
「(そんな世界は、普段は強固な隔たりがあるのですが事故や何かしらの原因が次元震が発生すると…)」

「(境界に裂け目が、その影響が現実世界、つまり物質世界にまで及ぶ事があるのよ!)」

晴樹はみんなからの話しを‥聞いて一人
海を‥眺めている。
(やっぱり、俺からは、難しく‥頭の中で話し纏めるまで時間かかるな~~ッ!)


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※物語上では魔法と魔術を混同させる
場合があります。


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