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[航海へ]
15話
しおりを挟む戦乙女神リアンダーが晴樹の肩に乗る風精霊をチラリ見して晴樹に
「(まだ‥、べったり…だねっ♪︎)」
「(すっかり気にいられたのだな♡)」
風精霊
「-------!!」
プイってよそむいて無視して晴樹の
胸の中に隠れてしまう。
やや‥苦笑いする晴樹だった。
「え、あ、はい、ですね~♪︎」
実は‥初めて風精霊の姿を見た晴樹は、その美しい可愛い姿に見惚れたのだった。
髪はもちろん、ぱっちりクリクリの瞳に、真っ白の肌、紅く濡れた唇、全てが可憐だった。
マストの見張りの乗組員が…
「右舷 遠方に!!数多の船影あり~
これは戦闘中と思われますが~~!?
ちょっとだけ注意されたし-----」
船長アリア
《あまり近寄ると不審がられてから
こちらに向って来るかも知れませぬ!》
サーシェ
「そう‥なら無視して急ぎましょうか…
このまま…静かにやり過ごして----
静かに通り抜けてしまいましょうか!」
ロシーターも眺めながら
「あまりこちらに接近されたら火矢で
こちらの帆を‥狙われるかもね!」
船長アリア
《こちらに接近させなければよしですな!ハッハッハ~ッ!》
ロシーターや船長アリアは、戦闘中の
船から‥パッと見て判断できるのだ。
この戦闘中の時代のだいたいの帆船の
交戦距離は300メートル前後であり、800メートルを超えると狙っても当た らず…
当たっても船体を撃ち抜けるだけの威力が残ってないと意味がないのである
ということを理解しているようだった。
黒龍.鋼
『ワシは出なくて良いかの~~?!
ハッハッハハッ~♪︎』
サーシェ
「-------------」「はい-----!!」
「ええ…その、大丈夫ですわ!」
晴樹(帆船同士の戦闘ははじめて見た…
内心…ワクワクする)は呟く
「例えば‥こちらに現代兵器とかが
搭載されてたらかなり面白いかも…」
その呟きを聞いていたサーシェ
「あら、この帆船にも搭載されているわよ!」
「よほどの事がない限り使わないけど…雷撃焦熱波砲」
晴樹(おッ、まさかあったのか?)
「な、やっぱり、マジあったのか!」
戦闘中であった帆船同士の集団から
外れた一隻がこちらに迫ってくる!
こちらの航路を‥前でふさぐ船影。
丸みを帯びた船体に 船首楼、船尾楼--
かなり丸いずんぐりしたフォルムだ。
近くなるにつれて…相手の帆船は
海上から目視できる距離になった。
その帆船の小太りの船長か軍上官なのだろうか、かまだわからないが…
「見たこともない--怪しい船め(奴ら)!
足を停めて調べてやる。追え~ッ!!」
船長アリア
《ん!信号旗なのか?あれはなんや?
あ、あ、停船せよっていうことか!」
メインマストの見張り
(こちらを追尾中..かなり接近中です‥
あ、いや!あれは!船が回頭~!!)
ギィ--ッ!見知らぬ船はこちらに
右舷の腹を見せたのだ。
船長アリアが見てて…(少し慌てる)
「至急~!取り舵、一杯------ッ!!」
「くそぅ、いきなりかよ~~!」
早く、急げ-ッ!急げ-ッ!叫び声。
晴樹
「えっ!え、なんだ!なんだ~!」
ドドドドドド-----ンッ!ザパッ-ッ!
ドドドドドド-ンッ!ザパッ-ッ!
敵帆船、[副官]ガラ・クレイは落ち着き
のある勇猛な男だった。
「何でいきなり、、砲撃命令を出すのですか?」
「旗艦の命令とは全く違うでないですか!!」
敵帆船.[船長]アレグロレガスト
小太りで上官にはごますり、我が儘天狗、強欲、腹黒、人使い荒い。
「う、うるさい!貴様は黙ってろ!」
「たった一隻で、なにができるんだ!」
敵帆船.[船長]アレグロレガスト
苛々して砲撃手に蹴りを何度か入れる!
「くそ、残念や、てめえらが的を
外しやがって…怒、、、おいーッ」
敵帆船.[船長]アレグロレガスト
「おい、次は必ずや外すなよ~!」
敵帆船、[副官]ガラ・クレイは
「ああ、まだまだ、かなり離れているでは
ないですか?」
「まったくもって弾のムダですよ!
ハッハハハッ!」
敵帆船.[船長]アレグロレガスト
「-------チッ!----クソが…!」
晴樹、砲撃の波しぶきを‥見て
「あら、砲弾も流線型ではないから
空気抵抗も大きく、全然当たらないやん! 」
サーシェは少しムッとしている。
「一方的に敵視し砲撃してくるとわ!」
「いきなり---バカなのかな?!」
船長アリア
《逃げますかな!?ただワシは少し
逃げるほど臆病やないですがな!》
《こちらも1番、2番、3番、4番
の砲門開け~~~ッッ!》
《いつでも撃てるようにしとけ~ッ!》
敵帆船.[船長]アレグロレガスト
「砲門~砲撃用意!次、迷わず放てよ!」
サーシェ
「風上に上がりあの船を‥航行不能に
して、そのまま逃げるわよ!」
肩に乗る風精霊が晴樹の耳元で何やら囁く。
「風精霊が矢を風で操ってくれるってさ!」
船長アリア
《おーッ、了解いたしましたわい♪︎》
《よし風上に、素早く切り返しだー。
敵船の舳先へ出ろ~》
風上をとれば、風下へ向かうならば、
どのような角度もある程度--可能だったのだが-
船長アリアはサーシェへ
《今なら、あの船に飛び移り乗り込め
ますぞ!》
《さあ一気に乗り込み制圧しますかな~
ウハハハハッ!》
《お前たち弓手は火矢で帆を‥狙え~ッ!楯も用意しろ-ッ!》
《弓手は奴らが変な動き見せたらな~
必ず迷わず放てよ!!》
晴樹の乗る帆船にかぶせ、風を遮り----
《~敵帆船の目標はマストだ!》
オオオッッ~ッ!!と威勢のよい大声
空に響きわたる。
戦乙女神リアンダー(見ていて思わず我慢ならず?)
「(おー、ワレも参戦してくるわ!)」
船長アリア、乗組員の一人に
《おい、あの甲板の砲台の奴ら2人と
マストの帆を‥火矢で射ぬけ-ッ!》
戦乙女神リアンダーは剣を抜いて飛翔して敵帆船へ素早く飛び乗る。
敵帆船.[船長]アレグロレガスト
「なぬ、そ、空を舞うとは-------!
奇妙キテレツな奴め~!!」
「なんや..これは怪しき異様な奴め!」
素早く敵船に向かって弓手の乗組員らは、弓をひき放ち射る!
風精霊の加護を受けて力を込めて放たれた火矢は帆に命中し火の勢いが、なんと熾烈なのだろうか。
敵船の乗組員の数名らが戦乙女神リアンダーに狂気あふれた真剣な顔で襲って来る。
「ここより我々は後はないぞ------!
ここを必ずや死守しろ----!!」
「我ら海兵の誇りを‥今こそみせる
ときぞ~ッ!!」
戦乙女神リアンダーは甲板に仁王立ちになって周囲に
集る一人一人の顔つきを‥睨む。
「(大将はおらぬのか!誰だ~ッ!
誰だ~~~お前か?!)」
敵帆船、[副官]ガラ・クレイ
「ガハハハハハハハハハ、あの女‥奴はただ者
ではないぞ~ッ!」
------彼は、素早く剣を抜く----!
剣を抜いて〝上段構え〟のポーズを
取り、両サイドを剣で鋭く振りこむのであった。
キィィィ-------ッ!キィィィ-ン!
戦乙女神リアンダー
「(よい斬り込みだな…行くぞ!)」
敵帆船、[副官]ガラ・クレイ
「むう、その雷をまとう剣はまさか……?!」
ワルキューレ
「(フッ----ワレのこの剣の一撃をよくぞ…しのいだな~!)」
叫びながら剣を持って向かって来る
海兵らの、肩や腕の骨を‥砕き払う。
「(これが戦いだ!こちらには、勇ましい奴らは、おらぬのか!)」
敵帆船、[副官]ガラ・クレイの…
喉元に剣先のを突き立てて睨み付ける..ワルキューレだった。
「(貴方の負けです!降参してください。)」
敵帆船、[副官]ガラ・クレイ
「ぬうッ…女なのに…クソぅぅ!」
「でも..やはり、人では勝てぬのか!
ハッハッハッ!」
「それにしても、改めてよく見れば…
貴女は美しいな~。」
戦乙女神リアンダーはお辞儀し
「(武人たる者に男も女もないぞ!)」
「(その言葉に感謝します♪︎)」
他の海兵たちの後ろに隠れてから..
こそこそ隙をうかがってる男…それが
敵帆船.[船長]アレグロレガスト
「ふん!見なれぬ!不気味な奴め!
お前らよ~何処から来たのだ!」
戦乙女神リアンダーは、剣を突き付け…
「(貴様!!男だろうが…)」
「(たんなるひ弱な~ 醜悪生き物 しか見えん!)」
敵帆船.[船長]アレグロレガスト
「ふん!好きにせい。お前の…
勝手にせい!ガハハハハッッ」
それを聞いたワルキューレは一発強く
気合い込めて頭にゴツンと拳で殴る。
戦乙女神リアンダーは両手で剣を甲板を突き刺すのであった。
「(一切の邪魔する者の克服を我に語りたまえ!叡知と勝利とを我に与えたまえ!)」
「(テンプレントル、エトレ~シャル…
…眠りの波動~)」
すると、帆船全体に光りが広がりして
包まれシーンとした静寂だけが残った----
敵船の全ての乗組員たちは、ことごとく麻痺したみたいに熟睡してしまっている。
戦乙女神リアンダー
「(さあ撤収するか!痺れている、あの船の奴らは、そのうち目を醒ますだろうよ!)」
サーシェが船長アリアに
「さあ無視して、迅速に逃げますよ!」
船長アリア
《あ、まあ、その了解しました~!》
《霧を発生させて姿隠して飛びますな!》
タラッサ・ネーソス号は濃霧を発して
帆走するのであった。
霧のトンネルを抜けて新たな海域へ出現。
舳先の甲板で、夜空を‥ぼんやりと眺めてる晴樹、星空の下、航海は続く-----
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