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[赤い月]
43話
しおりを挟む風精霊が晴樹の頭の上で
囁く
「[澄んだ良い風だね~~っ♪︎]」
「[ここは好き~ッ!戻って来た~♪︎]」
晴樹 (スゲー-ッ!あの灯台)
「やっと、あの港へ戻って来たな~!!」
ロシーター
「フフッ…また人魚ちゃんに会えるねぇ‥♪︎」
その港は 要塞化した砦の横の入江に
造られていて海に突き出た巨大な長い
堤防と巨大な灯台があり‥碧く澄んだ海を望むことができた。
入江の港の横は砂浜が広がってる…。
馬車は、港へ到着し..サーシェが
「まだ、タラッサネーソス号は来ていないわね♪︎」
さざ波の引いては寄せる音が静けさの
中に響いている。
此処は自然の地形を利用する港である。
透明度の高い海…様々な珊瑚が群生し
海の中の透明度も素晴らしいのだ。
晴樹は(辺り一帯を‥見回す)
「えっと‥帆船は~まだだよねぇ!」
「オレは、砂浜へ行って来る!!」
風精霊は、楽しそうに周りを飛び回っている。
サーシェや晴樹、黒龍.鋼、ロシーターは
砂浜へ、皆は木陰で休んで海を眺めている。
エメラルドブルーの遠浅の広がる海と真っ白な砂浜、ほどよい気候で太陽は燦々と輝いている。
晴樹は辺り一帯を眺めて人魚を探している。
ロシーターがが海の方を見てから
指さして
「ほらっ、あそこ、あの人魚ちゃんでないの?」
海面から近くに来て晴樹たちを見つめる、その人魚は海面から顔を出して此方を気にしている。
晴樹(ん、?! 赤にオレンジ色が少し混ざった派手な鰭だ--!)
(たぶん‥キララだろうかなぁ?)
「おーいっ、キララちゃん♪︎」
晴樹‥の呼びかけに気がついたのだろうか、人魚は、晴樹を見つめ笑顔で近寄って来る。
海の浅い場所まで来て緋色の胴体を上手に使って上半身を海面からだす。
細いしなやかな腕と水掻きのある手のひら,張りがある豊かな美乳の胸に金色の髪の人魚のキララなのだ。
晴樹をじっと見てウインクしてくる。
「[あれ~~っ?]」
「[こんにちは、晴樹~っ♡]」
「[かなり久しぶりだねッ!]」
晴樹は、手を振って
「また、会ったね♡キララちゃん♪︎」
人魚キララ
「[嬉しい…また来てくれたんだね♡]」
「[でも、早く海から離れて…近いうちに海から災いが来るから…]」
晴樹は、笑顔でキララに答える。
「やぁ、キララちゃん♪︎」
「ああ、警告…ありがとうな!!」
「ここの浜に また戻って来たよ!」
人魚 キララ
「[えっと‥あのね!! 晴樹‥あの人たちは誰?!]」
「[海から災いの事を教えてあげて…]」
「[頭の上の小さな子は…精霊?!]」
晴樹は
「ん~えっと~キララ あの方たちはさ、
オレの仲間なんだよ!!」
「災い…、そう、わかったよ!」
「ああ、頭のは、風精霊だょ♪︎」
沖から‥やっと‥タラッサネーソス号が
静かに入港してきたようです。
サーシェとロシーター黒龍.鋼が
近寄って来てくれた。
「やあ、こんにちは、キララ♡」
「教えてくれて ありがとう。あらためて‥よろしくね。」
「晴樹‥船が到着したよ~♪︎」
人魚のキララ
「[ウフフッ、まあ、嬉しいわ♪︎]」
「[皆さん、挨拶‥ありがとう。]」
「[えっとねぇ~晴樹‥あの方たちは
人間ではないね…?!]」
その問いかけに 晴樹は強く頷きして
「ああ、サーシェは人間と少し異なる
姿だよね…アハハっ♪︎」
「コチラの方は人の姿だけれど‥黒龍だよ!!」
人魚キララ、軽く波しぶきを上げ‥綺麗な尻尾を振る。
「[ええ、その方が放つ気配が人間たちのと異なるから分かっていたょ♪︎]」
キララのアクアマリンのような吸い込まれるような色彩のブルーの瞳に魅了されている 晴樹。
「キララ‥あのね。オレは国へ帰らないといけなくなったんだ!!」
「海は繋がっているから、また、いつか、きっと…逢えるといいな♪︎」
サーシェが笑顔で
「へ~ッ!ぇ~♡そっか~うん♪︎」
「出逢い、また、きっとあるょ!」
人魚 キララ
「[え~~っ、少し淋しくなるね!!]」
「[晴樹とも、せっかく友達になれたのに…ね…悲しいねっ!]」
晴樹は、砂浜に地図を描いてキララに
自分の生まれた住んでいる場所を教えている。
「あ、やっと‥港へ船が来たから‥もう
行くね♪︎」
キララは船のところに見送りに来てくれるようだ。
水平線の遥か彼方の空に流れてゆく雲を眺めてサーシェは、晴樹へ
「明日の夜は〝赤い満月〟だから、明日には 大陸から離れないといけませんよ!!」
サーシェはやや悲しそうな表情で晴樹を
見つめる。
「どうかいつ迄も元気でね!!」
「最後まで私たちの事を忘れないで
私たちと過ごしたことを…」
「私は まだやることがあるから‥一旦は、此処でお別れ…です。」
晴樹は この別れがどこか淋しく感じたのだろうか 瞳にやや涙を溜めていた。
「ええ、永遠に忘れないから…」
と返事を返したのであった
これがサーシェと晴樹‥ここの大陸での最後の会話になるのか…。
「いつか、またねぇ~っ!!」
そう言い残すと…サーシェは馬車に乗り やがて馬車は見えなくなりました。
港では船員たちが、ボートを用意して待っていてくれてる。
「やあ 皆さん、お帰りなさい~♪」
タラッサネーソス号では他船員や
船長アリアやゼンダと戦乙女神リアンダーも笑顔で手を振っている。
《おおーい!晴樹殿、お帰り~♪》
遠くで海のさざ波の音だけが静かに響き渡っている。
晴樹は赤い月を見て
「嫌な感じの赤い月だなぁ…」
甲板から人魚 キララに手を振っている。
船長アリア
《あの大陸は..もう余り時間がありませんから…》
《やや沖へ出ましょうか!!》
晴樹は寂しそうにうなずきして
「ええ、もう…サハスラブジャさんや
エルザさんにも会わずに行っちゃうの…か!!」
「あと、サレンちゃんにも…」
ロシーターは
「皆さん…と沢山 思い出が出来たねっ♪︎」
「でも、見れるところまで目に焼きつけていて…晴樹‥!!」
晴樹は静かに頷き一言だけ口に
「ああ、-----うん。」
大陸では、至る所で暗闇に閃光が光り
走りして夜の空が赤く色づきます。
黒龍.鋼が
『やれやれ、始まったかのぉ~』
晴樹はぼんやりと赤い満月を見上げて
「ああ、血のような…滲む…」
と、ただ呟き 大陸を眺めて瞳には涙を
堪えている。
戦乙女神リアンダー
「[晴樹さん。急いで大陸から離れますよ!! 船長、錨をあげて…]」
静けさの中に船長アリアの声が響きわたります。
《ああ、了解~~しましたぞ!!》
《おお~開帆~♪錨をあげろ~!》
晴樹を乗せた.タラッサネーソス号は、ゆっくりと大陸を遠ざかるのであった。
夜空に浮かぶ大きな大きな赤い満月。
月が地平線に近づいた際に夜空の月は、
まるで不吉の予兆のようにも見えます。
山火事や火山の噴火などによって大気中にちりが増える、あるいは水蒸気などが多くなると、月の光が散乱されて、赤い光だけが‥晴樹たちの目に届くことでより赤く不気味に見えるのだ。
幾筋もの稲妻が雲を引き裂いて、暗い夜空を明るませていた。
黒龍.鋼が晴樹に伝える。
『あの門の外からなら影響を受けずに
最後まで見れるだろうよ!!』
『そこからは、大陸の方をしっかりと
見ておくのぢゃぞ!!』
大陸をゆっくりと遠ざかる晴樹を乗せた帆船…
夜空には赤く輝く血がにじむような月が出ている。
黒龍.鋼が晴樹へ伝える。
『かなり…キツくなるかも知れぬがの~霊視でしっかり見ておけ!!』
『霊視で視つめるというのはなぁ~、
その場面の苦しみ、心残り、感情がドッと一気に流れ込んでくる!』
『己の心の許容量がたえられなくなったら遮断するのだゾ!!』
晴樹…息をととのえ頷きして覚悟を決め
帆船の上から大陸を視る景色は…異常な地獄絵図の世界だった。
晴樹は大陸を心静かに見つめているが
「ダメだ!! ああ…これは…」
「ことばがでない…」
橙色から赤く輝く閃光は大陸の全てを
包み昼間とかわらぬ明るさである。
大陸では逃げ惑う数多の人間の惨劇。
それは 目を覆いたくなるような、むごたらしい出来事だった。
それはもしかしたら、晴樹が日常で想像することができないような、非常に凄惨な現場。
そういった現場を直視したら、トラウマになってしまうような惨劇です--!!
そんな惨事に遭遇すること、そういった状況を見ることは人生の中でもまずないであろう。
そして衝撃波だろうか、山の木々や建物が激しくゆれて瞬時に炎があがる。
大陸の至る所の大地で、まるで核が炸裂したかのような、その橙色から真っ赤な雷の閃光の中央は、真っ黒く渦巻いていて暴風を呼び込みして
山々や木々や大地や岩や建造物などが橙色から真っ赤な閃光に包まれたら瞬時に中に吸い込まれるような感じで蒸発してしまうのだ…
それは..凄まじいエネルギーの波。
これは、まるでブラックホールのようだった。
神殿の建築物の壁を橙色から赤い閃光が突き抜けて走り抜け 中にいる椅子に
座った女性の身体が次第に溶けて崩れ
落ちてゆく〝滅びの光り〟。
それは【エルザ】なのだろう!!
その〝滅びの光り〟は、核爆発の閃光と その後に生ずる放射能障害なのではないようだった。
晴樹は何も喋らず、夜空が赤く染まっている大陸の方を見つめていた。
霊視で見つけたサハスラブジャの
姿は神殿で一心不乱に祈りを捧げているような感じの その時、北の山脈を越えて巨大なうねる波が到来してから…
まるで蝋燭の灯火がフッと消えた如し
視界が真っ暗になって見えなくなってしまった。
「…あの大地は…」
霊視している晴樹の心へと自分たちの
行いを後悔いとも懺悔するようなメッセージが入ってきた。
「我々がいけなかったのだ!」
「我々は大きな過ちを犯した。
人間には まだまだ早すぎた。」
晴樹は夜の風にあたりながら星を眺めて(星空は綺麗なのに…!!)
「心に伝わってきたメッセージで分かったことは、緋緋金生魂鉱 の脅威と…その失敗!!」
ようやく タラッサネーソス号は、
太古の痕跡記憶の門の近くまでやって来た。
海上から高く遥かなる空の上、雲を貫くまで伸びる荘厳で絢爛なる金色の門なのだ。
太古の痕跡記憶の門から外に出たタラッサネーソス号。
船長アリア
《よし、ここで…停泊…帆をたため~ぇ!!》
《門の外なら影響はないからな♪︎》
かって そこは雄大な山脈と豊かなる
大地に囲まれ豊かな食物と高度な文化に彩られた、この世の楽園。
まさにユートピアであった
彼らは、山から石を切り出して
住まいを刻み安全だと考えていた。
ある日、北の山から巨大な力の神の一声が彼らを襲ったのだ。
彼らが特別の知識と技術で営んでいた
ことは何も役に立たなかった。
そして 眩しい太陽が一万個集まったほどの明るい光りと煙と炎が
からみあった光り輝く柱が大地から
そそり立った。
生きとし生きる動物、都市、住民、文明のすべては無と化し終焉のときは訪れた…。
大陸は波のようにうねり、火柱が夜空を染め上げた。
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