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第四章
第50話 VSエメラルドヒドラ
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黄色く輝く9本の雷の槍は、寸分違わず9つの頭に向かって突き進む。
しかし当たると思った瞬間すべての雷の槍は激しい爆発音と共に結界に阻まれ爆散してしまった。だが、それと同時に黒い炎を上げた一本の矢が一つの竜の頭に突き刺さり、激しく爆炎を上げる。
魔法特化の魔物だけあって魔法に対する防御力は高いようだ。だが、魔炎の矢は充分効く。実際、魔炎の矢が直撃した頭はまるで死んでしまったように垂れ下がりピクリとも動いていない。
「私たちも行きます!」
クラウディアさん達の声が響き、追撃とばかりに炎球と2本の矢がエメラルドヒドラに襲い掛かる。
『今のうちに中に斬り込むよ』
もちろんそのつもりだ。
レヴィの指示があったからというわけではないが、僕はクラウディアさん達の攻撃に合わせてエメラルドヒドラに突撃していく。そしてクラウディアさん達の攻撃に一瞬僕から意識がそれたヒドラの足元に滑り込み、その足を魔剣レヴィで深く斬り裂く。
僕はそのまま一気に走り抜けてヒドラの後ろに回り込む。ヒドラは「グガアアァァァ」と一つ叫び声を上げると僕の方に向き直る。そして8つの竜頭が同時僕に向け咆哮を上げる。
何かくる! あれはヤバい!!
僕は咄嗟に神盾イジスを前面に押し出し、見えない何かに備える。
神盾イジスを構えた次の瞬間、激しい衝撃が盾から伝わり、僕は足を引きずりながら10mほど後退させられる。ようやく止まったと思った瞬間、両足の太ももに突然激痛が走り血が噴き出す。
「うがぁぁぁああ!!」
予想していなかった痛みが突然襲い、思わず叫び声を上げてしまう。
『主よ、済まない。防ぎ切れなんだ』
イジスさんから謝罪の声が届く。
「い、いえ、防げなかったのは僕の所為です。それにこの程度の傷は問題ありません」
『クラウド! もう少し後退した方がいい!』
僕がイジスさんとやり取りをしていると、レヴィが後退するように声を掛けてくる。
「了解。一度後退して体勢を立て直します」
僕は足の怪我を回復魔法で治療をしながら後退してヒドラから距離を取る。
「クラウド様!! 大丈夫ですか!?」
クラウディアさんの僕を心配する声が響く。
「僕は大丈夫です。クラウディアさん達はしっかり距離を取って牽制を続けて下さい」
僕は素早く自分の無事を伝えると、そのまま指示を続けて出す。
俺の叫び声に反応したのか、ヒドラは俺に向け再び全ての竜頭が同時に咆哮を浴びせ掛けてくる。
先ほどの轍を踏まないよう神盾イジスを慎重に構える。続いて襲い掛かる衝撃。必死にこらえ今回はダメージを受けず乗り切る。
ヒドラの攻撃が止まるとすぐさま反撃の準備に移る。
「クイ!」
僕の掛け声で弓状態のクイが手元に現れる。
魔法攻撃は殆ど効かないとすると有効な攻撃手段は武器での直接攻撃か、クイでの長距離攻撃かになってくる。それこそ魔炎の矢を使えば一撃で頭の一つを戦闘不能に出来る事は実証済みだ。
早速クイを構えた僕が魔炎の矢の準備に掛かる。しかし、それを察知したヒドラは動きが止まった僕に向かい不可視の攻撃を撃ち込んで来た。
くそっ! 流石に溜めのいる魔炎の矢は簡単に使わせてもらえないか。
僕は不可視の攻撃を避けるようにその場から素早く移動する。
ガリガリガリィィ、と不快な音が響き先ほどまで僕がいた所に無数の爪痕のようなものが刻る。
うわぁ。今まであんな攻撃を喰らっていたのかよ。イジスさんがいなかったらとんでもない事になっていた気がする。
僕はそのまま足を止めず移動しながら魔法の矢を撃ち込んでいく。しかし、普通の魔法の矢では先ほど撃った雷の槍と同じようにヒドラに当たる前に結界に当たり爆散してしまった。
だめだ。この距離だとまともにダメージを与えられない。やっぱり距離を詰めて直接攻撃を仕掛けるしかないみたいだ。
「キーレ! アーレ! 闘鬼魔装!」
今回はアキーレさんの闘鬼魔装は使わずスピード重視で子猫ズの闘鬼魔装のみ使用する。
僕の足元が赤いオーラに包まれる。それを確認すると武器をクイからレヴィに持ち替え、一気にヒドラに向けて突撃を開始する。
今まで距離を取り左右に移動していた僕が突然方向転換をし、突撃してきた事でヒドラは一瞬対応が遅れる。
複数の竜頭から、散発的に攻撃があるが対応が遅れた攻撃など機動力強化中の僕には当たらない。
みるみる、僕とヒドラとの距離は縮まる。お互い間合いに入った瞬間ここぞとばかりに同時に攻撃に移る。ヒドラは僕に対し鋭い爪を持った太い腕を振り下ろし、僕は「オーラソード!」と叫びながら竜頭の一つに飛びかかる。
ヒドラの攻撃は僕が竜頭に向け飛びあがった事により空を斬る。僕は無防備になった竜頭の一つに向け赤い光を纏った魔剣レヴィを一閃し、そしてすぐさまヒドラの体を蹴りそのまま後方へ跳躍、再び距離を取る。
それと同時に巨大な肉の塊が落ちたような、ドズン!! という鈍い音が迷宮内に響き渡る。
そしてヒドラの頭が新たに1つ戦闘不能となった。
残る竜頭は7つ。決着の時は近い。
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黄色く輝く9本の雷の槍は、寸分違わず9つの頭に向かって突き進む。
しかし当たると思った瞬間すべての雷の槍は激しい爆発音と共に結界に阻まれ爆散してしまった。だが、それと同時に黒い炎を上げた一本の矢が一つの竜の頭に突き刺さり、激しく爆炎を上げる。
魔法特化の魔物だけあって魔法に対する防御力は高いようだ。だが、魔炎の矢は充分効く。実際、魔炎の矢が直撃した頭はまるで死んでしまったように垂れ下がりピクリとも動いていない。
「私たちも行きます!」
クラウディアさん達の声が響き、追撃とばかりに炎球と2本の矢がエメラルドヒドラに襲い掛かる。
『今のうちに中に斬り込むよ』
もちろんそのつもりだ。
レヴィの指示があったからというわけではないが、僕はクラウディアさん達の攻撃に合わせてエメラルドヒドラに突撃していく。そしてクラウディアさん達の攻撃に一瞬僕から意識がそれたヒドラの足元に滑り込み、その足を魔剣レヴィで深く斬り裂く。
僕はそのまま一気に走り抜けてヒドラの後ろに回り込む。ヒドラは「グガアアァァァ」と一つ叫び声を上げると僕の方に向き直る。そして8つの竜頭が同時僕に向け咆哮を上げる。
何かくる! あれはヤバい!!
僕は咄嗟に神盾イジスを前面に押し出し、見えない何かに備える。
神盾イジスを構えた次の瞬間、激しい衝撃が盾から伝わり、僕は足を引きずりながら10mほど後退させられる。ようやく止まったと思った瞬間、両足の太ももに突然激痛が走り血が噴き出す。
「うがぁぁぁああ!!」
予想していなかった痛みが突然襲い、思わず叫び声を上げてしまう。
『主よ、済まない。防ぎ切れなんだ』
イジスさんから謝罪の声が届く。
「い、いえ、防げなかったのは僕の所為です。それにこの程度の傷は問題ありません」
『クラウド! もう少し後退した方がいい!』
僕がイジスさんとやり取りをしていると、レヴィが後退するように声を掛けてくる。
「了解。一度後退して体勢を立て直します」
僕は足の怪我を回復魔法で治療をしながら後退してヒドラから距離を取る。
「クラウド様!! 大丈夫ですか!?」
クラウディアさんの僕を心配する声が響く。
「僕は大丈夫です。クラウディアさん達はしっかり距離を取って牽制を続けて下さい」
僕は素早く自分の無事を伝えると、そのまま指示を続けて出す。
俺の叫び声に反応したのか、ヒドラは俺に向け再び全ての竜頭が同時に咆哮を浴びせ掛けてくる。
先ほどの轍を踏まないよう神盾イジスを慎重に構える。続いて襲い掛かる衝撃。必死にこらえ今回はダメージを受けず乗り切る。
ヒドラの攻撃が止まるとすぐさま反撃の準備に移る。
「クイ!」
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魔法攻撃は殆ど効かないとすると有効な攻撃手段は武器での直接攻撃か、クイでの長距離攻撃かになってくる。それこそ魔炎の矢を使えば一撃で頭の一つを戦闘不能に出来る事は実証済みだ。
早速クイを構えた僕が魔炎の矢の準備に掛かる。しかし、それを察知したヒドラは動きが止まった僕に向かい不可視の攻撃を撃ち込んで来た。
くそっ! 流石に溜めのいる魔炎の矢は簡単に使わせてもらえないか。
僕は不可視の攻撃を避けるようにその場から素早く移動する。
ガリガリガリィィ、と不快な音が響き先ほどまで僕がいた所に無数の爪痕のようなものが刻る。
うわぁ。今まであんな攻撃を喰らっていたのかよ。イジスさんがいなかったらとんでもない事になっていた気がする。
僕はそのまま足を止めず移動しながら魔法の矢を撃ち込んでいく。しかし、普通の魔法の矢では先ほど撃った雷の槍と同じようにヒドラに当たる前に結界に当たり爆散してしまった。
だめだ。この距離だとまともにダメージを与えられない。やっぱり距離を詰めて直接攻撃を仕掛けるしかないみたいだ。
「キーレ! アーレ! 闘鬼魔装!」
今回はアキーレさんの闘鬼魔装は使わずスピード重視で子猫ズの闘鬼魔装のみ使用する。
僕の足元が赤いオーラに包まれる。それを確認すると武器をクイからレヴィに持ち替え、一気にヒドラに向けて突撃を開始する。
今まで距離を取り左右に移動していた僕が突然方向転換をし、突撃してきた事でヒドラは一瞬対応が遅れる。
複数の竜頭から、散発的に攻撃があるが対応が遅れた攻撃など機動力強化中の僕には当たらない。
みるみる、僕とヒドラとの距離は縮まる。お互い間合いに入った瞬間ここぞとばかりに同時に攻撃に移る。ヒドラは僕に対し鋭い爪を持った太い腕を振り下ろし、僕は「オーラソード!」と叫びながら竜頭の一つに飛びかかる。
ヒドラの攻撃は僕が竜頭に向け飛びあがった事により空を斬る。僕は無防備になった竜頭の一つに向け赤い光を纏った魔剣レヴィを一閃し、そしてすぐさまヒドラの体を蹴りそのまま後方へ跳躍、再び距離を取る。
それと同時に巨大な肉の塊が落ちたような、ドズン!! という鈍い音が迷宮内に響き渡る。
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