僕の装備は最強だけど自由過ぎる

丸瀬 浩玄

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第七章

第88話 邪神と邪剣

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大変遅くなり申し訳ありません。
お詫びというわけではありませんが、この度活動報告にキャラのイラストを投稿しております。
是非見て頂ければと思います。
また、ご報告ですが、「アルファポリス様」より今回書籍化のお話を頂きました。
出版社を聞いて分かっておられる方もいるとは思いますが、現状「なろう様」ではダイジェスト化が出来なくなっておりますので、誠に勝手ながら3月10日をめどに書籍化部分の3分の2を取り下げさせていただき、以降、アルファポリス様に本作は移行して投稿を続けて参ります。
打ち切りではなく、移行なので引き続き「アルファポリス様」の方で読んでいただけると嬉しいです。
********************************************

 ジルベルトたちに案内された場所は、独特な雰囲気を持った空間だった。

 造りからして、王城の謁見の間のような部屋のようだ。そしてその壁や床、天井に至るまで全てが、紫水晶のような妖艶な輝きを放っている。

 部屋の最奥、数段高くなった場所に、まさに王座に座る王のように、灰色の髪をした男が座っている。ジルベルトたちは部屋に入るなり、僕の背後で、その男に向け黙したまま跪いた。

 ……あれが邪神なのか? でも前に見たときは、十歳くらいの子供だったはず、今目の前の王座に座っている男は、二十歳前後に見える。ただ確かにその顔立ちは、以前対峙した邪神の面影があるように見える。

『セバスさん、目の前のあれは、邪神で間違いありませんか?』

『間違いございません。ただ……』

 ただ何? ちょっと、そんなところで言葉を止めないでよ。

『以前感じた邪神よりも、はるかに大きな力を感じます』

『……マジですか?』

『さすがに力のほどは測りかねますが、間違いございません』

 マジかー! 以前でさえ信じられないくらい強かったの、さらに強くなるってあり得ないよ。どうしよう……これ、勝てるんだろうか?

「やぁ、【黒の勇者】……だったっかな?」

 目の前までに進んだ僕に、邪神が以前よりも大人びた声で話しかけてきた。

「しばらく見ないうちに随分白くなったね。それじゃあ【黒の勇者】じゃなくて【白の勇者】じゃないか。それに……君から感じるそれ、神気だね。どうやってこの短期間で神格を得たか知らないけど、どうやら僕の前に立つだけの資格は得てきたみたいだね」

「はい、それなりの準備をしてきたつもりです」

 正直まだ不安でいっぱいだけど、ここまできたらやるしかないもんね。

「そうか、それは重畳。正直これを手に入れてから、周りが雑魚ばかり過ぎて、少々飽きてきたところだったんだ」

 そう言いって邪神は、王座に立てかけてあった、以前使っていた剣とは明らかに違う雰囲気を持つ、漆黒の大剣を軽く叩いた。

 あの剣は……。なんだろう、なんとも言えないけど、ただなんだかすごく嫌な感じがする。

『セバスさん、あの剣が何かわかりますか?』

『申し訳ありません。私の記憶にない剣でございます。ただ、私たちと同じ知性魔道具インテリジェンスアイテムだと思われます。……それも格上の』

『クラウド! あれ、ちょっと……違う、すごくすごくヤバイよ』

 普段のレヴィからは、想像できないくらいに動揺が伝わってくる。

『レヴィ、あの剣が何かわかるの?』

『う~、分かんない。でもあれが危険すぎるものだってのは体が感じてる。あれはたぶん――』

 レヴィが何かを言おうとした瞬間、岩を砕くような異様な音が謁見の間全体に響き渡る。音を辿り視線を向けるとそこには、王座に立てかけてあった漆黒の大剣を、王座に座ったまま、自身の目に突き刺した邪神の姿だった。

「これの正体が気になるんだよね? いいよ、教えてあげるよ」

 端正な顔には似合わない、ぞくりとするような嗤いを浮かべ、邪神は話し始めた。

「こいつの名は【邪剣ダークレイヴ】。君の持つ剣と同じ知性魔道具インテリジェンスアイテム、いや、邪神器イービルアイテムさ。しかも"本物"のね」

 ……邪神器イービルアイテムってなんだろう? それに本物って?

『セバスさん、邪神が言っている邪神器イービルアイテムや"本物"って意味、分かりますか?』

邪神器イービルアイテムに関しては存じております。あれは我々神器セイクリッドアイテムとは対極にあるもの。言わば闇側の神器でございます。ただ、"本物"の意味は分かりかねます。申し訳ございません』

 セバスさんでも"本物"の意味分からないのか……。そう言えば、さっきレヴィか何か言おうとしていたよな。

『レヴィは何か分かる?』

『うん、たぶんだけど……、あれはあいつが言う通り、"本物"の神器なんだよ』

 いや、だからその"本物"の神器の意味が分からないだけど……

『つまりあれは、ボクたちのように神が創った武具じゃなく、邪神が天神様と戦った時に使った剣。神が戦いに用いるために創られた、まさに神のための武器。だからこそ"本物"の神器なんだよ』

 ……それって、格上とかそういったレベルの話じゃないじゃないか。

『でもそれなら不思議ね。前回邪神と戦った時は、あんな剣、持っていなかったはずだわ』

 そう言ったのはアキーレさんだ。

『キーレも知らなの。でも凄く嫌なの』

『アーレも知らなのです。アレは危険なのです』

 アキーレさんに続き、キーレとアーレも知らないと言ってきた。

『確かに前回、エルザ様と戦った邪神が持っていた剣は、あれと似てはいましたがまったくの別物。前回の時にあれを使われていたならば、邪神を倒すことは叶わなかったやもしれません』

『うむ、あの剣から感じる尋常ならざる邪気、確かに以前の拙者ならば受けきることは出来なかったやもしれぬ』

 えーっと、セバスさんとイジスさんの話をまとめると、これはちょっと状況的にヤバすぎるのでは? 出直した方がいい気がしてきたんだけど……

 ちなみに前回不参加のクイは、『分かりませんが、確かになんとも言えぬ異様な気配を感じます』とみんなの意見に追従するようにな意見を言ってきた。

「君の剣の言う通り、この【邪剣ダークレイヴ】は、僕が天神と戦ったときに使っていた剣だよ」

 君の剣の言う通り? もしかして僕ら念話が聞こえていたのか? 邪神はそんな僕の疑問など関係ないとばかりに、そのまま話を続ける。

「実わね、前回もこの剣を使おうとしたんだけど、どうやら魂の欠片が小さかった所為で、僕のことを主として認識してくれなかったんだよ。まったく生意気だろ。でも今回は無事、主と認識してくれたみたいで、おかげで随分と力を取り戻せた。この前の状態のままだったら、正直今の君に負けていたかもしれなかったから、ホント助かったよ」

 剣の柄を握ったまま、僕を見下ろし邪神は再び嗤う。それは、話の内容と相まって僕の全身から冷や汗を吹き出させた。

「さて、長話もなんだし、お互い目的を果たそうじゃないか。【黒の勇者】、いや……【天神の使徒】クラウドよ」

 そう言うと邪神は王座からゆっくりと立ち上がり、眼前に突き刺さった【邪剣ダークレイヴ】抜く。そして振り押すように僕にその切っ先を向けた。

 僕はそれに応えるように、一つ唾を飲み込むと神剣となったレヴィの柄に手をかけゆっくりと引き抜くと、邪神を見据え正眼に構えたのだった。

************************************************
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
引き続き「アルファポリス様」の方で読んでいただけると嬉しいです。
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感想 4

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みんなの感想(4件)

八神 風
2017.04.22 八神 風

ご都合能力の方が面白いけど更新停止ですか?ブクマ削除するか判断したいのでコメント載せて下さい!僕の装備は精神的に受付拒否なので今後のブクマリストに残すかも決めたいです!

解除
デニス
2017.03.31 デニス

第1章はたいてい書籍化されたらダイジェストって形でのせてくれるんじゃないの?
ここでは削除してるの?2章から読みたいって思う人はいないよね。

解除
れん
2017.03.30 れん

せめて、試し読みを残してください……いきなり2章では登場人物も流れもどんな世界なのかも解らず読めないです……。

解除

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