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灯火の朱(あか) 暗闇の焔(ほむら)
⑥
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「殺したい、訳じゃない」
恭は固い声で答えた。
目を見開いたのは、忍と魔物。
≪何故?私は涼汰郎を殺したのに≫
「俺はもう、涼汰郎じゃないって言っただろ?俺がお前に求めてるのは、謝罪だ。俺にじゃないぞ」
恭は青ざめていた表情が元に戻っている。
話しをしているうちに、冷静になって来たんだろう。
魔物は再度瞠目する。この人は、あの頃と同じだ。全てを慈しみ、全てを包み込み、全てに優しい。
≪何故、あなたはそんなに優しいのだ……≫
だから、夢を見たのだ。この人をただ一人の男として愛したいのだと。でも、叶うことではなかった。
守龍として、全てを愛さなければならないのは、自分の方だった。ただ一人を愛しては、いけなかった。そこから、綻びた。
「お前が望むことは、返せない。それは優しいからじゃない。もう、思い出してるんだろ?」
≪人と海を守る者としての、責務をおえと言われたな。わかっていたのに、私はそれを聞かなかった≫
静かに話す魔物。
忍は恭の元へと歩く。
「君は良いのか?アレをそのままにして。例えこの結界内から出られないとしても、アレはもう魔物だ」
歩み寄りながら、忍は恭に声をかける。
「良いとか悪いとかではないんです。ただ、俺は……誰も殺したくはないだけだ。優しいんじゃない。臆病なだけだ」
忍を見つめた恭は、静かに言葉を紡いだ。
誰かを殺した上で生きることを、恐れているのだと。たとえそれが魔物であったとしても。
「俺には魔物を縛るだけの力を、今はまだ持っていない。でも、あなたなら出来るでしょう?」
すがるような、懇願するような目だと、忍は恭を見ながら思う。
「君は……本当に変わらない」
苦笑した忍は、魔物に向き直る。
「それで?彼の願いはわかったのか?」
謝罪を求めると言ったのだ、恭は。それが成されなければ、たとえ彼が望んだとしても、忍は魔物を滅する。
恭が出来ないというならば、自分がやる。その思いで魔物に向く。
≪謝罪はする。涼汰郎が求めているのは、あなたに謝罪をしろ、ということだろう。前世も今世も、私はあなたに危害を加えた。だが……≫
涼汰郎が許すと言えど、涼汰郎以外に縛られたくはないのだ。
「彼が力を持てば、またお前を自身の式として扱うだろうな。ただ、今の状態でお前を放置することが出来ないというだけだ。聞き分けろ」
人の使役として下れば、魔物も排除はされない。
だが、今の状態のままでは、排除しなければならない魔物なのだ。
≪すまなかった。本来なら許されることではないとわかっている。それでも、今世での涼汰郎の傍にいることを、許してはくれないか?≫
忍の言葉に従ったのか、魔物は忍に頭を下げた。
「なら、今は私がお前を縛ろう。柳この名を覚えているか?」
笑った忍が、彼の名を呼ぶ。その瞬間、強い負のオーラは、光に包まれ闇色を消し去る。
「……覚えている……忘れるなど、出来ぬ名前……」
ハラハラと魔物否、すでにもう魔物ではなくなったモノが流す涙。
完全に思い出したのだろう。すべての出来ごとを。
「私は今年度卒業する。それまでに柳を迎えに来てやって。柳、お前はしばらくは私と共にいろ」
忍は恭へと言葉をかける。元魔物には、命令を下す。
恭が力を付ける間、柳の存在が邪魔にならないように。
「今の守龍、これで許せるか?」
青海への問いかけ。彼は次代の守龍として、知っていたはずだ。だから忍は聞いた。
「許すのは恭であり、あなただ。だから私は、二人が下した決断を止めなかった」
恭と忍が会話している時も、忍が柳を縛った時も、静観していた青海。
思うことは有っただろう。けれど彼は何も言わなかった。
「知っているかもしれないが、私は今は桐生忍だ。よろしく」
そこにいる全員へと。恭には笑顔を見せて。
「泉恭史郎。恭と呼んでいただけたら」
忍と柳に、今世での名を告げた恭。忍は笑ったまま頷いた。
「私も、呼んで良いのか?」
柳は少しだけ戸惑っているようだ。
自分は許されないことをした自覚があるから、だから良いのか、と。
「涼汰郎の名は、もう呼ぶな」
「恭、私に敬語はいらないぞ。変な気分になるからな」
柳に返答した恭に次いで、恭へと忍は言う。
「でも、やはり今は……」
恭自身、どこか違和感もあっただろう。先に彼女と話しをした時は、敬語が抜けてしまった記憶もあるが。
「気にするな。この学校で、年功序列など気にする人間はそんなにいない」
教師に対しても、気安く話しかける生徒は多い。
そこへ年功序列を言い、キツク縛る教師もいない。
「では、またな。私は本来なら男子寮に入ってはいけないから。柳行くよ」
彼女は颯爽とその場を後にする。
「変わらないのはあなたもだ」
ポツリ呟いた恭の言葉は、彼女には届いただろうか。
「結局、俺たちはいらなかったね」
ラミュエールは苦笑して、中条へと言う。
「何も無かったことが、良いことでしょう」
中条は答えて、静かにその場を後にして行く。
恭を守護している龍神を見て、弟を少しだけ思い出した。弟もまた、守龍を式神にしていたな、と。
前に会った時は、ただ単に龍神として見ただけだったが。そうか、守龍だったか、と。
弟の式神もまた、穏やかで優しい龍神だった。守龍とは、総じて優しい存在なのだろう。人と海を守護するのだから。
「にしても、魔物の闇色のオーラが、一瞬にして変わるとはね。名前ってすごいねぇ」
縛られた瞬間に変わったあの魔物のオーラ。
「縛る人間により、ですよ。悪を根源にしている人間であれば、闇色は濃くなります」
中条はラミュエールに解説をする。
「へぇ、そういうものなのか。俺の周りで、そういう精霊を使役するっていう人間いなかったから、知らなかったよ。そうか、そうなるのか」
うんうん頷いているラミュエール。
朝のこの出来ごとで、大幅に時間が押していることを、彼は気付いているだろうか、と中条は考える。
「はぁ、びっくりした」
渦中に在りつつ、何も発言はしなかった圭吾。
居ただけで彼らとの関わりはないので、沈黙を貫いていた。
「恭、大丈夫か?負のオーラって、ヤバいんだろ?」
あの魔物のオーラは、恭にとってヤバいものではなかったか、と。
「あ、あぁ。少し怠い。でももう学校始まるだろ」
一部始終見ていたのに、変わらない圭吾に、恭は少し拍子抜けする。
前世だの今世だの、意味不明の話しをしていた自覚はある。
「保健室で休む?良二に言っとくけど。それなら大丈夫じゃないのか?あと何人か先生いたし」
食堂内、出入り口にいた教師たちに気付いていた圭吾。
中条とラミュエールは、もっと自分たちの近くに、突然現れたから驚いてしばらく見つめてしまったほどだ。
「いたのか。俺たちが食堂に来た時にいた生徒が、動けなくなってるのは知ってたが」
その後に来たのは、忍と教頭にしか気付いていなかった恭。
「中条先生とラミュエール先生なんか、もっと近くに突然出現したけど。あれって、どっちかの先生の力なのかなぁ」
霊能力者の力には疎い圭吾。超能力者の中には、瞬間移動する人間も居ることは知っているが。
「知らん。保健室で休んでから、授業出る。担任には保健室から連絡行くだろうから、大丈夫だろうけど、一応良二見付けて言っといてくれ」
結局軽い食事も、もう食欲は失せている恭。
コーヒーの苦みに顔をしかめるが、とりあえず今は飲み物が欲しかった。
圭吾はことが終わってから、食べ進めていたが。
「ん。わかった。食べられなかった分、タッパーか何かに入れてもらって、保健室に後から持ってく。先行ってて良いよ」
ほとんど食べてない状態では、気分が戻った時に空腹になるだろう。と圭吾の世話焼きが発揮される。
「頼む」
それだけ言って、恭は青海を連れて食堂から去って行った。
机の上の水が、衝撃的なことが有ったという事実を物語っている。
圭吾は静かにその水を布巾で拭いて、食堂の厨房の人に恭の残した分を、持って行けるように出来ないかと頼みに行った。
食堂の人間も能力者である。
だから、圭吾の頼みは快く了承され、さらには恭の心配もされてしまった。
恭は固い声で答えた。
目を見開いたのは、忍と魔物。
≪何故?私は涼汰郎を殺したのに≫
「俺はもう、涼汰郎じゃないって言っただろ?俺がお前に求めてるのは、謝罪だ。俺にじゃないぞ」
恭は青ざめていた表情が元に戻っている。
話しをしているうちに、冷静になって来たんだろう。
魔物は再度瞠目する。この人は、あの頃と同じだ。全てを慈しみ、全てを包み込み、全てに優しい。
≪何故、あなたはそんなに優しいのだ……≫
だから、夢を見たのだ。この人をただ一人の男として愛したいのだと。でも、叶うことではなかった。
守龍として、全てを愛さなければならないのは、自分の方だった。ただ一人を愛しては、いけなかった。そこから、綻びた。
「お前が望むことは、返せない。それは優しいからじゃない。もう、思い出してるんだろ?」
≪人と海を守る者としての、責務をおえと言われたな。わかっていたのに、私はそれを聞かなかった≫
静かに話す魔物。
忍は恭の元へと歩く。
「君は良いのか?アレをそのままにして。例えこの結界内から出られないとしても、アレはもう魔物だ」
歩み寄りながら、忍は恭に声をかける。
「良いとか悪いとかではないんです。ただ、俺は……誰も殺したくはないだけだ。優しいんじゃない。臆病なだけだ」
忍を見つめた恭は、静かに言葉を紡いだ。
誰かを殺した上で生きることを、恐れているのだと。たとえそれが魔物であったとしても。
「俺には魔物を縛るだけの力を、今はまだ持っていない。でも、あなたなら出来るでしょう?」
すがるような、懇願するような目だと、忍は恭を見ながら思う。
「君は……本当に変わらない」
苦笑した忍は、魔物に向き直る。
「それで?彼の願いはわかったのか?」
謝罪を求めると言ったのだ、恭は。それが成されなければ、たとえ彼が望んだとしても、忍は魔物を滅する。
恭が出来ないというならば、自分がやる。その思いで魔物に向く。
≪謝罪はする。涼汰郎が求めているのは、あなたに謝罪をしろ、ということだろう。前世も今世も、私はあなたに危害を加えた。だが……≫
涼汰郎が許すと言えど、涼汰郎以外に縛られたくはないのだ。
「彼が力を持てば、またお前を自身の式として扱うだろうな。ただ、今の状態でお前を放置することが出来ないというだけだ。聞き分けろ」
人の使役として下れば、魔物も排除はされない。
だが、今の状態のままでは、排除しなければならない魔物なのだ。
≪すまなかった。本来なら許されることではないとわかっている。それでも、今世での涼汰郎の傍にいることを、許してはくれないか?≫
忍の言葉に従ったのか、魔物は忍に頭を下げた。
「なら、今は私がお前を縛ろう。柳この名を覚えているか?」
笑った忍が、彼の名を呼ぶ。その瞬間、強い負のオーラは、光に包まれ闇色を消し去る。
「……覚えている……忘れるなど、出来ぬ名前……」
ハラハラと魔物否、すでにもう魔物ではなくなったモノが流す涙。
完全に思い出したのだろう。すべての出来ごとを。
「私は今年度卒業する。それまでに柳を迎えに来てやって。柳、お前はしばらくは私と共にいろ」
忍は恭へと言葉をかける。元魔物には、命令を下す。
恭が力を付ける間、柳の存在が邪魔にならないように。
「今の守龍、これで許せるか?」
青海への問いかけ。彼は次代の守龍として、知っていたはずだ。だから忍は聞いた。
「許すのは恭であり、あなただ。だから私は、二人が下した決断を止めなかった」
恭と忍が会話している時も、忍が柳を縛った時も、静観していた青海。
思うことは有っただろう。けれど彼は何も言わなかった。
「知っているかもしれないが、私は今は桐生忍だ。よろしく」
そこにいる全員へと。恭には笑顔を見せて。
「泉恭史郎。恭と呼んでいただけたら」
忍と柳に、今世での名を告げた恭。忍は笑ったまま頷いた。
「私も、呼んで良いのか?」
柳は少しだけ戸惑っているようだ。
自分は許されないことをした自覚があるから、だから良いのか、と。
「涼汰郎の名は、もう呼ぶな」
「恭、私に敬語はいらないぞ。変な気分になるからな」
柳に返答した恭に次いで、恭へと忍は言う。
「でも、やはり今は……」
恭自身、どこか違和感もあっただろう。先に彼女と話しをした時は、敬語が抜けてしまった記憶もあるが。
「気にするな。この学校で、年功序列など気にする人間はそんなにいない」
教師に対しても、気安く話しかける生徒は多い。
そこへ年功序列を言い、キツク縛る教師もいない。
「では、またな。私は本来なら男子寮に入ってはいけないから。柳行くよ」
彼女は颯爽とその場を後にする。
「変わらないのはあなたもだ」
ポツリ呟いた恭の言葉は、彼女には届いただろうか。
「結局、俺たちはいらなかったね」
ラミュエールは苦笑して、中条へと言う。
「何も無かったことが、良いことでしょう」
中条は答えて、静かにその場を後にして行く。
恭を守護している龍神を見て、弟を少しだけ思い出した。弟もまた、守龍を式神にしていたな、と。
前に会った時は、ただ単に龍神として見ただけだったが。そうか、守龍だったか、と。
弟の式神もまた、穏やかで優しい龍神だった。守龍とは、総じて優しい存在なのだろう。人と海を守護するのだから。
「にしても、魔物の闇色のオーラが、一瞬にして変わるとはね。名前ってすごいねぇ」
縛られた瞬間に変わったあの魔物のオーラ。
「縛る人間により、ですよ。悪を根源にしている人間であれば、闇色は濃くなります」
中条はラミュエールに解説をする。
「へぇ、そういうものなのか。俺の周りで、そういう精霊を使役するっていう人間いなかったから、知らなかったよ。そうか、そうなるのか」
うんうん頷いているラミュエール。
朝のこの出来ごとで、大幅に時間が押していることを、彼は気付いているだろうか、と中条は考える。
「はぁ、びっくりした」
渦中に在りつつ、何も発言はしなかった圭吾。
居ただけで彼らとの関わりはないので、沈黙を貫いていた。
「恭、大丈夫か?負のオーラって、ヤバいんだろ?」
あの魔物のオーラは、恭にとってヤバいものではなかったか、と。
「あ、あぁ。少し怠い。でももう学校始まるだろ」
一部始終見ていたのに、変わらない圭吾に、恭は少し拍子抜けする。
前世だの今世だの、意味不明の話しをしていた自覚はある。
「保健室で休む?良二に言っとくけど。それなら大丈夫じゃないのか?あと何人か先生いたし」
食堂内、出入り口にいた教師たちに気付いていた圭吾。
中条とラミュエールは、もっと自分たちの近くに、突然現れたから驚いてしばらく見つめてしまったほどだ。
「いたのか。俺たちが食堂に来た時にいた生徒が、動けなくなってるのは知ってたが」
その後に来たのは、忍と教頭にしか気付いていなかった恭。
「中条先生とラミュエール先生なんか、もっと近くに突然出現したけど。あれって、どっちかの先生の力なのかなぁ」
霊能力者の力には疎い圭吾。超能力者の中には、瞬間移動する人間も居ることは知っているが。
「知らん。保健室で休んでから、授業出る。担任には保健室から連絡行くだろうから、大丈夫だろうけど、一応良二見付けて言っといてくれ」
結局軽い食事も、もう食欲は失せている恭。
コーヒーの苦みに顔をしかめるが、とりあえず今は飲み物が欲しかった。
圭吾はことが終わってから、食べ進めていたが。
「ん。わかった。食べられなかった分、タッパーか何かに入れてもらって、保健室に後から持ってく。先行ってて良いよ」
ほとんど食べてない状態では、気分が戻った時に空腹になるだろう。と圭吾の世話焼きが発揮される。
「頼む」
それだけ言って、恭は青海を連れて食堂から去って行った。
机の上の水が、衝撃的なことが有ったという事実を物語っている。
圭吾は静かにその水を布巾で拭いて、食堂の厨房の人に恭の残した分を、持って行けるように出来ないかと頼みに行った。
食堂の人間も能力者である。
だから、圭吾の頼みは快く了承され、さらには恭の心配もされてしまった。
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