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【13】新生活(7)
しおりを挟むメリッサと暮らすようになり、まずは家の中を綺麗に整理整頓をすることから始めた。
よく洗って天日干しにした薬草は、それぞれ種類ごとに瓶にいれ、名前をラベリングし、棚に整列する。見た目はどれも似通っていてフラミーニアには違いがよくわからない。メリッサは香りで種類を判別しているようだった。
衣類、食料品、食器、文房具、本など同じカテゴリーのもの同士を纏める。
生活でよく使うものは使用用途を踏まえ、使いやすいように一から部屋を模様替えして配置を変えた。
部屋を綺麗にしたことで、山になっていた荷物の中からは大量の本が出てきた。半分は薬学に関するもので、もう半分は一般生活に関するものだった。
フラミーニアはそれらの本を毎日読み耽り、またメリッサから教えを乞いながら少しずつ知識を増やしていった。
古く焦げついた本しか手元になかったフラミーニアはひたすら本に没頭した。自分の知らない最新の知識を学ぶことが出来て、ただただ楽しかった。
メリッサには飲み込みが早いと褒められた。毎日新しいことを知る日々はとても充実していた。
一般知識も増えたが、特に料理に関してはかなり上達したと思う。味覚がないメリッサのために舌触りや風味を良くしようと、日々熱心に取り組んだ。下茹でをしてみたり、具材を擦り下ろしてみたり、ハーブとの組み合わせを考えてみたり。
そのうち簡単なものならレシピ本無しで作れるくらいにまでになった。
失った髪は一年経ってやっと肩につく長さまで伸びた。生えてきた髪は以前とは異なる真っ黒な色。
魔力を宿していた頃は、銀髪で淡いエメラルドのような瞳だった。まるで妖精のような出立ちだったが、それと比較すると今の容姿は悪魔と比喩しても遜色ないほどだった。
でもそれは公爵家の檻から抜け出せたように感じて。新しい自分になれた気がして、フラミーニアはこの色合いが嫌いではなかった。
この頃から、フラミーニアはメリッサから指導を受けながら薬草についても勉強を始めた。
【嗅覚覚醒】の常時魔法を有しているメリッサは、薬草の香りで調合の配分を決めていく。
到底凡人のフラミーニアでは不可能な能力だ。したがって一つ一つ地道に分量を測り、調合するという独自のやり方を模索していった。
簡単な薬でも作れるようになれば、きっと独り立ちしたときに役に立つだろうと、メリッサの温かな計らいだった。
メリッサの作る薬は強力だ。
何も知らなかった頃はその高い効能に全く気が付かなかったが、勉強を始めた今、メリッサの凄さがよくわかる。
同じ環境で育てた薬草でも生えていた場所や鮮度の違いによってその成分の濃度が多少変わってくる。【嗅覚覚醒】を行使してその成分量を的確に把握し、精度の高い薬を完成させるのだ。
薬草の中には過剰摂取すると体にとって毒になるものも多い。メリッサの【嗅覚覚醒】の能力を遺憾なく発揮できるのがこの仕事だった。
「薬師は私の天職よ」
そう言って意気揚々と薬草を摘むメリッサは美しく、眩しかった。
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☆毒草名は作者が勝手につけたものです。
表紙 Bee様に描いていただきました
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