5 / 37
独り暮らしと独りゴト
好きになったらその人がタイプ
しおりを挟む
好きになったらその人がタイプ
なーんてのは、可愛いコやイケメンがいってサマになるもんだ。
盛り上がる男女を横目にビールジョッキに入ったコーラを一口あおる。
居酒屋メニューは好きだ。
お酒を飲むと頭痛がするため、めったに居酒屋など酒が出る場には出ない。
というか、そもそもよく知らない人と食事なんかしたくない。
だが定時を少し過ぎたあたりで、既に私服に着替えた先輩に肩を掴まれれば、それを振り払えるほど人間が強くない。
諦めてトボトボついてきたのは私が弱いからだ。
「えー、タイプー?
やだー、聞いてどーするのー?
私のこと狙っちゃう感じー?」
おー、こんなこと言う芸人さんいたなー。
総勢10人ほどの集まりの中、キレイ所要員の彼女は同期の清水さん。
終業後だというのに、崩れないメイクとふんわり巻髪は形状記憶合金ではないかと疑いたくなるほど朝と変わらない。
1人隣を挟んだ斜め前、前左右と男性に囲まれてきゃらきゃらと笑う。
「いや、だってこんなにかわいーのにフリーなんだもん、聞きたいよねー?」
こくこく頷く男性陣。
因みに男性7人、女性3人。
清水さんは5人の男性に囲まれている。
先輩は先輩の同期の男性とその友人(?)と話している。
2つのグループの間に挟まれた私は、コーラと『山盛りカリカリポテト』なる皿いっぱいの揚げた芋をつまみながら空気になる。
「タイプなんてわかんないよー。
好きになったらのその人がタイプだしー」
あー、清水さん。
この間言ってた細マッチョじゃなかったんですか?
自分より背が高くてー、とか言ってましたが清水さん、確か貴方165とかですよね?
ヒール履きたいからそれ以上が好ましいとか聞いたけど。
清水さんのキレイ系な顔立ちだとやっぱり様になるよな。
コーラを一口嚥下して、ポテトを食べる食べる。
「今は彼氏より仕事かなー」
「エー、若いのにもったいないよー、今度またこうやって飲もうよ」
副音声は『2人で』かな?
勝手な想像にニヤける顔をジョッキを傾けることで隠す。
ん?
「あ、ポテト食べます?」
ジョッキを下げると隣の男性が顔だけ向けている。
さっきからポテト食べすぎて、唇が塩辛い気がする。
そそ、と幾分減った皿を動かして取りやすいように移動すると苦笑された。
「いや、いいよ」
芋臭いって思われたのかな?
口の中から熱くなった顔を冷やしたくて、つい小さくなった氷を吸い込むようにコーラを含む。
チラリとスマホの時計を見ると、既に8時を回ってる。
コーラとポテトで1時間。
こんなんで腹を満たすには物足りない。
かと言ってがっつり食べるほど肝は座っていない。
はぁー。
氷のおかげて冷たい吐息が漏れた。
また、チラリと隣の男性が目を向けてくる。
「退屈?」
ええ、そりゃーもう。
「そんなことないですよ」
「へー」
興味ないなら聞くなよ、とは大人だから言わない。
「男いないの?」
直球だな!
「モテナイんで」
わかりきったこと聞くなよー
「なんで眼鏡なの?」
「視力悪いんで」
「コンタクトは?」
「異物混入は無理です」
なんだこれ、新手の拷問か?
非リア充への洗礼か?
正しい回答がわからない。
目がくるくるまわりそう!
助けて、先輩!
そういえば、先輩は我が子じゃなくても谷に突き落とすタイプの人だった。
なーんてのは、可愛いコやイケメンがいってサマになるもんだ。
盛り上がる男女を横目にビールジョッキに入ったコーラを一口あおる。
居酒屋メニューは好きだ。
お酒を飲むと頭痛がするため、めったに居酒屋など酒が出る場には出ない。
というか、そもそもよく知らない人と食事なんかしたくない。
だが定時を少し過ぎたあたりで、既に私服に着替えた先輩に肩を掴まれれば、それを振り払えるほど人間が強くない。
諦めてトボトボついてきたのは私が弱いからだ。
「えー、タイプー?
やだー、聞いてどーするのー?
私のこと狙っちゃう感じー?」
おー、こんなこと言う芸人さんいたなー。
総勢10人ほどの集まりの中、キレイ所要員の彼女は同期の清水さん。
終業後だというのに、崩れないメイクとふんわり巻髪は形状記憶合金ではないかと疑いたくなるほど朝と変わらない。
1人隣を挟んだ斜め前、前左右と男性に囲まれてきゃらきゃらと笑う。
「いや、だってこんなにかわいーのにフリーなんだもん、聞きたいよねー?」
こくこく頷く男性陣。
因みに男性7人、女性3人。
清水さんは5人の男性に囲まれている。
先輩は先輩の同期の男性とその友人(?)と話している。
2つのグループの間に挟まれた私は、コーラと『山盛りカリカリポテト』なる皿いっぱいの揚げた芋をつまみながら空気になる。
「タイプなんてわかんないよー。
好きになったらのその人がタイプだしー」
あー、清水さん。
この間言ってた細マッチョじゃなかったんですか?
自分より背が高くてー、とか言ってましたが清水さん、確か貴方165とかですよね?
ヒール履きたいからそれ以上が好ましいとか聞いたけど。
清水さんのキレイ系な顔立ちだとやっぱり様になるよな。
コーラを一口嚥下して、ポテトを食べる食べる。
「今は彼氏より仕事かなー」
「エー、若いのにもったいないよー、今度またこうやって飲もうよ」
副音声は『2人で』かな?
勝手な想像にニヤける顔をジョッキを傾けることで隠す。
ん?
「あ、ポテト食べます?」
ジョッキを下げると隣の男性が顔だけ向けている。
さっきからポテト食べすぎて、唇が塩辛い気がする。
そそ、と幾分減った皿を動かして取りやすいように移動すると苦笑された。
「いや、いいよ」
芋臭いって思われたのかな?
口の中から熱くなった顔を冷やしたくて、つい小さくなった氷を吸い込むようにコーラを含む。
チラリとスマホの時計を見ると、既に8時を回ってる。
コーラとポテトで1時間。
こんなんで腹を満たすには物足りない。
かと言ってがっつり食べるほど肝は座っていない。
はぁー。
氷のおかげて冷たい吐息が漏れた。
また、チラリと隣の男性が目を向けてくる。
「退屈?」
ええ、そりゃーもう。
「そんなことないですよ」
「へー」
興味ないなら聞くなよ、とは大人だから言わない。
「男いないの?」
直球だな!
「モテナイんで」
わかりきったこと聞くなよー
「なんで眼鏡なの?」
「視力悪いんで」
「コンタクトは?」
「異物混入は無理です」
なんだこれ、新手の拷問か?
非リア充への洗礼か?
正しい回答がわからない。
目がくるくるまわりそう!
助けて、先輩!
そういえば、先輩は我が子じゃなくても谷に突き落とすタイプの人だった。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる