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第六章 多々良さん探し 開始
美少女のために生きたい(3)
しおりを挟む「多々良さんは、なんとなく、待ってくれてる気がするんだ」
「童貞の妄想乙です」
「やったね、僕ちゃん、多々良さんが死ぬよ」
「おいやめろ」
ネットスラング的な僕まで出てくるとは、いよいよ脳内が混乱してきた。わぁわぁと響く頭の中、主導権を握
るのは、間違いなく僕である。
「ずっと、どこかで。僕が答えを出すことを」
どこかの、夕焼けのなか、存在している彼女が、脳裏にちらついて、すぐに消えた。
まだ僕は何か思い出さなきゃいけないことがあるのだろうか。それとも―――。
「だから何でそれが解るのかって言ってんだよ」
「根拠のない意見など、無意味ですね」
「冷静に考えて、多々良さんは僕のことなど待ってないのでは?」
「牛丼より、今は豚丼が食べたい気分だなぁってくらいの感覚なんじゃない、多々良さんは」
「ねー、それってどういうこと?」
「クズは所詮、理論的なことを言えないものだ。感情ばかりで物をいうんです。ハイ」
「後先なんて考えずに」
「自分自身の都合の良いように現実を捻じ曲げてたやつが今さら真実を見つけようとか、腹筋崩壊以前の問題」
「死ね」
「死ね」
「死ね」
「死ね」
「死ね」
「死んじゃえ」
一番最初に、多々良さんがかけてくれた、拒絶の言葉。
呟いたのは僕だった。
多々良さんのことを思い、悩みつくす。脳内にいる僕に罵声を浴びせられ、自分に存在を否定され、まいってしまう精神はもとからどこか狂っていて。彼女のことを考えるだけで、僕はどこかおかしくなってしまうみたいだ。
「死んでしまえれば、こんな思いもしないですんだ」
僕の呟きは、満場一致の同意を受けた。
けれど僕は、机の上にあるカッターナイフを体の太い血管に突き立てることなく、言葉を続ける。
「でも、あの時僕は死ななかった。それに意味は―――きっとない。だけど、意味を作ってもいいと思うんだ」
「どういうことですか」
「僕が今、生きてしまっているのは、多々良さんを自殺させないためなんだ」
という意味を作る。
ねつ造といっても問題ないかもしれない。
「こんな僕に、そんな風に妄想されて可哀そう」「ああ、可哀そうだ」「ふびんだ」
脳内に飛び交う非難の雨を気にしない。
今日、ツバキさんは、真実を知ることを促した。つまりは、現状維持なんてできないし、多々良さんにとって
も、ありえないことなのだ。
ツバキさんは、現状を、良しと思っていない。
呼吸して、悶々と考え、僕が生きている今は、ゲームで言うところのボーナスタイム。おまけの時間。
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